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乳首 - Wikipedia

乳首ちくび

哺乳類ほにゅうるいどうにあり、乳汁にゅうじゅう出口でぐちとなるちいさな突起とっきじょう器官きかん

乳首ちくび(ちくび、えい: nipple, どく: Brustwarze, ふつ: mamelon, : papilla)は、哺乳類ほにゅうるい胸部きょうぶにあるちいさな突起とっきじょう器官きかん乳頭にゅうとう(にゅうとう)ともいう。ひと場合ばあい1個いっこ乳房ちぶさ1個いっこある色素しきそ沈着ちんちゃくした突起とっきぶつ。その周囲しゅうい色素しきそ沈着ちんちゃくした領域りょういきちち(にゅうりん、えい: areola, どく: Warzenhof, ふつ: aréole, : areola mammae)という[1]

乳首ちくび
ヒトの女性じょせい乳首ちくび
男性の乳首
ヒトの男性だんせい乳首ちくび
英語えいご Nipple
器官きかん 感覚かんかく
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なお、資料しりょうによってはバストトップとしょうされる場合ばあいもある[2]が、和製わせい英語えいごである。

哺乳類ほにゅうるい乳房ちぶさ存在そんざいする乳汁にゅうじゅう出口でぐちである。授乳じゅにゅうとき子供こども乳首ちくびくわえて、うことで母乳ぼにゅう摂取せっしゅする。乳首ちくびオスメス分化ぶんかするまえ胎児たいじ段階だんかいつくられてしまうため、オスにも存在そんざいするがおおくはあまりおおきくならずにわる。女性じょせいホルモン影響えいきょうおおきいと女性じょせいよう発達はったつする(女性じょせい乳房ちぶさしょう)。

乳腺にゅうせん乳腺にゅうせんしょう合成ごうせいされた乳汁にゅうじゅうは、ちちかんとおって乳頭にゅうとうまではこばれる[3]ちちかん合流ごうりゅうしてしゅちちかん1個いっこ乳房ちぶさに15-20)となり、乳頭にゅうとう開口かいこうする[4]乳汁にゅうじゅうながしではなく、乳首ちくび乳房ちぶさしぼったり、乳首ちくびうことではじめててくる。ヒトの場合ばあい乳児にゅうじ乳首ちくび吸引きゅういんするとそれがトリガーとなって下垂かすいたいぜんよりプロラクチンというホルモンが分泌ぶんぴつされる。プロラクチンのちゅう濃度のうどたかまると乳汁にゅうじゅう合成ごうせいされる[5]一方いっぽう家畜かちくから乳汁にゅうじゅう場合ばあい乳首ちくびしぼってる。

ちちにはモントゴメリーせんちちせん)が分布ぶんぷしており、皮脂ひし分泌ぶんぴつする。これはちちおよび乳頭にゅうとう保護ほごする役割やくわりつ。

 
女性じょせい乳房ちぶさのタナー段階だんかいで、思春期ししゅんきはいるIIの前半ぜんはん乳頭にゅうとう)から乳首ちくび発達はったつはじめ(Thelarche)、Vにちかづくにつれておおきくなる。いろはIはうすピンク色ぴんくいろだがIIからVにかけては個人こじんによりうすピンク色ぴんくいろのままのひともいればくろずむひともいる。

思春期ししゅんきまえ女性じょせい乳房ちぶさタナー段階だんかいI)は男女だんじょとも乳首ちくびちいさく、性差せいさい。女性じょせい思春期ししゅんきはいると同時どうじ乳房ちぶさ成長せいちょうはじまり(Thelarche)、最初さいしょ乳房ちぶさのタナー段階だんかいIIの前半ぜんはんである乳頭にゅうとう[6]として乳首ちくびふくらみはじめ、しろ体操たいそうシャツTてぃーシャツ1まいのみ着用ちゃくようむね密着みっちゃくしたとき[7] 乳首ちくびちち付近ふきん疼痛とうつうかゆしょうじたり(これが後述こうじゅつするくろずみの一因いちいんにもなる)、「むねポチ」がしょうじやすくなることで、思春期ししゅんきはいったことにづきやすく[8]、これをノーブラをやめてジュニアブラはじめる[9]時期じきであり、ジュニアブラを着用ちゃくようすること乳首ちくびちち付近ふきん疼痛とうつうかゆみ、むねポチをおさえる[10][11]乳頭にゅうとうみち乳房ちぶさのタナー段階だんかいIIまでは3-4mmであるが、III以降いこうでは4-9mmとなる[12]成人せいじんがた乳房ちぶさになった女性じょせい乳房ちぶさのタナー段階だんかいV)の乳頭にゅうとうみち平均へいきん10mm前後ぜんこう乳頭にゅうとうたかさ8-9mmであるが、ひとによっては乳頭にゅうとうみちが20mm以上いじょうになる「巨大きょだい乳頭にゅうとう」となる場合ばあいがあり、巨大きょだい乳頭にゅうとうになると授乳じゅにゅう開口かいこうちいさい乳児にゅうじ乳首ちくびくわえて、うことが困難こんなんになる(乳児にゅうじ成長せいちょうして開口かいこうおおきくなると巨大きょだい乳頭にゅうとうでも乳首ちくびくわえて、うことが可能かのうとなる)[13]ぎゃくに、乳頭にゅうとうみち乳頭にゅうとうたかさが平均へいきん下回したまわる「短小たんしょう乳頭にゅうとう」でも「陥没かんぼつ乳頭にゅうとうほどではないものの開口かいこうちいさい乳児にゅうじ乳首ちくびくわえて、うことが困難こんなんになる[14]

いろ乳房ちぶさのタナー段階だんかいI(思春期ししゅんきまえ)はうすピンク色ぴんくいろであるが、これは血管けっかん集中しゅうちゅうしているためである。IIからVにかけては個人こじんによりうすピンク色ぴんくいろのままのひともいれば、ホルモンバランスの変化へんか乳首ちくびちち被服ひふくなどが摩擦まさつすることなどでメラニン細胞さいぼう活性かっせいしてメラニン生成せいせいされ、くろずむひともいる。妊娠にんしんなかから出産しゅっさん直後ちょくごにかけてはホルモンが増加ぞうかし、また授乳じゅにゅうどき刺激しげきからまもるためにメラニン色素しきそえてくろずみがす。高齢こうれいしゃはメラニンを生成せいせいする機能きのうおとろえるためにくろずみがうすくなる。男性だんせい思春期ししゅんき以降いこうくろずむ。ちちについても類似るいじ現象げんしょうられ、思春期ししゅんきまえではピンクだがにん経産婦けいさんぷでは褐色かっしょくないし黒褐色こっかっしょくとなる[15]

性的せいてき機能きのう

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生殖せいしょく機能きのうとしては上記じょうき以外いがい機能きのうはないが、女性じょせい乳首ちくび男性だんせいにとって、乳房ちぶさ同様どうよう性的せいてき魅力みりょくつ。女性じょせいにとっても性感せいかんたいひとつにかぞえられ、性行為せいこういさい重要じゅうよう役割やくわりたす(男性だんせいにおいても性感せいかんたいであることがおおい)。乳首ちくび皮膚ひふ神経しんけい刺激しげきされると、平滑へいかつすじ作用さようによりそのながさはびる(勃起ぼっき[16]

陰茎いんけい勃起ぼっき性的せいてき興奮こうふん以外いがい条件じょうけん就寝しゅうしんちゅうからだ放熱ほうねつなど)でも頻繁ひんぱんこってしまうのと同様どうように、乳首ちくびのそれは性的せいてき興奮こうふん以外いがいにも温度おんど触覚しょっかくによってもおこりうる。

疾患しっかん

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授乳期じゅにゅうき乳首ちくび清潔せいけつたもっておかないとちちかんまったり細菌さいきん感染かんせんしたりして乳腺にゅうせんえんになる。乳首ちくび病変びょうへんひろがるパジェットびょうというがんもある[17]乳首ちくび乳房ちぶさ内部ないぶまれたり、せい分泌ぶんぴつぶつしたら、乳癌にゅうがんうたがわれる[18]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 『トートラ人体じんたい解剖かいぼう生理学せいりがく 原書げんしょ9はん丸善まるぜん、2014ねん1がつ31にち、627ぺーじISBN 978-4-621-08768-8 
  2. ^ 石部いしべ千晶ちあき (2019ねん3がつ22にち). “皮膚ひふ回答かいとう! 「バストトップ」をキレイなピンク色ぴんくいろちかづける方法ほうほうって?”. マイナビウーマン. 株式会社かぶしきがいしゃマイナビ. 2019ねん10がつ6にち閲覧えつらん
  3. ^ 最新さいしんばん 女性じょせい医学いがく大全たいぜん主婦しゅふ友社ともしゃ主婦しゅふともしん実用じつようBOOKS〉、2010ねん2がつ22にち、35ぺーじISBN 978-4-07-264220-7 
  4. ^ 落合おちあい慈之[監修かんしゅう]『婦人ふじん乳腺にゅうせん外科げか疾患しっかんビジュアルブック だい2はん学研がっけんメディカルしゅうじゅんしゃ、2017ねん10がつ5にち、340ぺーじISBN 978-4-7809-1128-2 
  5. ^ 乳房ちぶさ文化ぶんか研究けんきゅうかい へん乳房ちぶさ科学かがく女性じょせいのからだとこころの問題もんだいきあう―』朝倉書店あさくらしょてん、2017ねん、116ぺーじISBN 978-4-254-10279-6 
  6. ^ 鈴木すずき光明こうめい(編著へんちょ)『産婦人科さんふじんか診療しんりょう指針ししん中外ちゅうがい医学いがくしゃ、2008ねん6がつ10日とおか、588ぺーじISBN 978-4-498-06033-3 
  7. ^ ずかしがるむすめもOK 「ともブラ」で思春期ししゅんきむねをケア”. NIKKEY STYLE (2019ねん11月21にち). 2020ねん5がつ3にち閲覧えつらん
  8. ^ 思春期ししゅんき発症はっしょう」とは 武田薬品工業たけだやくひんこうぎょう
  9. ^ 睡眠すいみんどきのぞナイトブラ(よるようブラ)ってなに?
  10. ^ 10さいむすめと「むね」についてはなはじめるタイミング”. 日経にっけいDUAL. 株式会社かぶしきがいしゃ日経にっけいBP (2015ねん2がつ19にち). 2019ねん10がつ6にち閲覧えつらん
  11. ^ 北村きたむら邦夫くにお(監修かんしゅう)『おんなしんとからだ』かねほししゃ、18ぺーじISBN 978-4-323-06482-6 
  12. ^ 大山おおやま建司けんじ<総説そうせつ> 思春期ししゅんき発現はつげん」『山梨大学やまなしだいがく看護かんご学会がっかいだい3かんだい1ごう山梨大学やまなしだいがく看護かんご学会がっかい、2004ねん、3-8ぺーじdoi:10.34429/00003695ISSN 1347-7714 
  13. ^ 巨大きょだい乳頭にゅうとうのママの母乳ぼにゅう育児いくじ、どうすればいいの?【助産じょさんがアドバイス】”. ピジョンインフォ. PIGEON. 2023ねん6がつ16にち閲覧えつらん
  14. ^ 短小たんしょう乳頭にゅうとうママの母乳ぼにゅう育児いくじ、どうすればいいの?【助産じょさんがアドバイス】”. ピジョンインフォ. PIGEON. 2023ねん6がつ17にち閲覧えつらん
  15. ^ 医科いかがくだい事典じてん 36』講談社こうだんしゃ、1983ねん4がつ10日とおか、89-92ぺーじISBN 4-06-147836-2 
  16. ^ Rauber Kopsch Band2.714”. Rauber-Kopsch解剖かいぼうがく. 慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく医学部いがくぶ解剖かいぼうがく教室きょうしつ. 2019ねん10がつ6にち閲覧えつらん
  17. ^ 山内やまうち兄人しょうと性差せいさ人間にんげん科学かがく』コロナしゃ、2008ねん9がつ25にち、180-181ぺーじISBN 978-4-339-07789-6 
  18. ^ 太田おおた和夫かずおからだ取扱とりあつかい説明せつめいしょ産経新聞さんけいしんぶん出版しゅっぱん、2007ねん9がつ11にち、250ぺーじISBN 978-4-86306-023-4 

関連かんれん項目こうもく

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