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体位 - Wikipedia

医療いりょう看護かんご介護かいご領域りょういき体位たいい(たいい)は、からだ位置いち姿勢しせいのことをす。

たとえばつ、すわる、るや、そのさいひざばすかげるか、あるいはからだねじるかどうか、といったちがいによってそれを区別くべつする。

概要がいよう

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医療いりょうおこなわれる画像がぞう診断しんだんおも診療しんりょう放射線ほうしゃせん技師ぎしによるXせん撮影さつえいなど)では、だてはじめ、側臥そくが(デクビタス)、そとてんうちてんそと旋・うち旋、はんとべなど、診断しんだん目的もくてきおうじて適宜てきぎわせられている。たとえば、胸部きょうぶXせん撮影さつえい場合ばあい心不全しんふぜんしん拡大かくだい胸水きょうすい貯留ちょりゅう鬱血うっけつによる血管けっかんかげ拡大かくだい呼吸こきゅう不全ふぜん確認かくにん、また腹部ふくぶXせん撮影さつえい場合ばあい腸閉塞ちょうへいそく(イレウス)のニボー、消化しょうかかん穿孔せんこうのフリーエアー、急性きゅうせいはらしょう確認かくにんなど、検査けんさ体位たいい診断しんだん所見しょけんおよぼす影響えいきょう非常ひじょうおおきい。

産婦人科さんふじんかでの診察しんさつ出産しゅっさんどき姿勢しせいなどでは、仰臥ぎょうが側臥そくが (横臥おうが、Lateral position)、また救急きゅうきゅうのものでは昏睡こんすい体位たいい (Coma position)、回復かいふく体位たいいといったようなものがある。いずれも出産しゅっさんしゃ受診じゅしんしゃ単独たんどく体位たいいである。

そのほか、泌尿器ひにょうき肛門こうもん産婦人科さんふじんかにおいて検査けんさ治療ちりょうじょうもちいられる体位たいいには、以下いかのようなものがある(仰臥ぎょうが側臥そくがはら総称そうしょうしてばれる場合ばあいもある)。

  • はら伏臥ふくがかいかげ[1]
  • シムズ体位たいい(シムス) (en:Sims' position) はんはら並列へいれつしてあつかわれることもある[2]
  • ひざむね体位たいいひざむね) (Knee-Chest Position)
  • 切石きりいし体位たいい切石きりいし・戴石砕石さいせきせん) (en:Lithotomy position)
  • トレンデレンブルグ体位たいい(トレンデレンブルク体位たいい)(en:Trendelenburg position[3]
  • はん(ファウラー) (Half-sitting position, en:Fowler's position)
  • ジャックナイフ (Jack-knife position)

など

介護かいご看護かんご領域りょういきではしとねかさ防止ぼうしのために、一定いってい時間じかん以上いじょうおな体位たいいをとりつづけさせないよう、体位たいい変換へんかん適宜てきぎおこなうことが重要じゅうようである。

体位たいい呼吸こきゅう

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心不全しんふぜんでは、上体じょうたいこした体位たいいでないと、呼吸こきゅう困難こんなんおちい場合ばあいがある。

体位たいいちゅう酸素さんそ濃度のうどにも影響えいきょうあたえ、呼吸こきゅう機能きのう低下ていかした患者かんじゃにおいて、仰臥ぎょうがはらでははい内部ないぶ酸素さんそりょう血液けつえきりょう分布ぶんぷがあり、効率こうりつてきガス交換こうかんおこなうために、患者かんじゃ状態じょうたいわせた体位たいい選択せんたく重要じゅうようである。

麻酔ますいちゅう体位たいい

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手術しゅじゅつ体位たいい(Surgical positions)英語えいごばんともばれる。不適切ふてきせつ体位たいいをとると、患者かんじゃ体重たいじゅう様々さまざま圧迫あっぱくによって、末梢まっしょう神経しんけい障害しょうがい組織そしき障害しょうがい呼吸こきゅう抑制よくせい循環じゅんかん抑制よくせいなどがしょうじる危険きけんがある。通常つうじょう覚醒かくせいには、しびれやいたみをかんじ、からだうごかすことで障害しょうがい回避かいひすることができるが、全身ぜんしん麻酔ますいなかは、無理むりのある体位たいいたいして苦痛くつううったえることができないため、じゅうあつし合併症がっぺいしょう進展しんてんする可能かのうせいがある[4]

呼吸こきゅうけいへの影響えいきょう

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全身ぜんしん麻酔ますいしたでは、麻酔ますいやく麻薬まやくによる呼吸こきゅう中枢ちゅうすう抑制よくせいと、すじ弛緩しかんやくによる全身ぜんしん筋肉きんにく弛緩しかんがあるため、体位たいい換気かんき状態じょうたいおおきく影響えいきょうする。さらに、重力じゅうりょく方向ほうこうへの内臓ないぞう移動いどう、および体位たいい保持ほじのための固定こてい抑制よくせいたいにより、胸郭きょうかく運動うんどう制限せいげんされ、横隔膜おうかくまく運動うんどうさまたげられる。

とくはらでは、自重じちょう支持しじだいによりむね腹部ふくぶ機械きかいてき圧迫あっぱくされ、てい換気かんきともな二酸化炭素にさんかたんそ蓄積ちくせきはい発生はっせいのリスクがたかくなる。

また、仰臥ぎょうが砕石さいせきでは、腹腔ふくこう内臓ないぞうによって横隔膜おうかくまくあたまがわげられ、機能きのうてきざんりょう低下ていかする。

側臥そくがでは、はいないりゅうしたがわにシフトして、換気かんきりゅう均等きんとうしょうじる。

循環じゅんかんけいへの影響えいきょう

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全身ぜんしん麻酔ますいでは、末梢まっしょう血管けっかん抵抗ていこう低下ていかすることがおおく、通常つうじょう覚醒かくせいみとめられるような交感神経こうかんしんけいかいした代償だいしょう機能きのうはたらかないため、重力じゅうりょく影響えいきょう身体しんたい下方かほう静脈じょうみゃくうつとどこおしやすくなる。そのため、静脈じょうみゃく還流かんりゅう減少げんしょうし、心拍しんぱくりょう低下ていかしょうじて血圧けつあつ低下ていかにつながる。

さらに、はらみぎじん摘位では腹部ふくぶ圧迫あっぱくにより、直接ちょくせつ下大しもおお静脈じょうみゃくあつはいされ、静脈じょうみゃく還流かんりゅう障害しょうがいされる。特殊とくしゅれいでは、仰臥ぎょうが妊娠にんしん末期まっき子宮しきゅう腹腔ふくこうない巨大きょだい腫瘍しゅよう下大しもおお静脈じょうみゃくうえから圧迫あっぱくして、じゅうあつし血圧けつあつ低下ていかをまねく「仰臥ぎょうがてい血圧けつあつ症候群しょうこうぐん」がられている。通常つうじょう下大しもおお静脈じょうみゃく腹腔ふくこうない正中せいちゅうやや右寄みぎよりを走行そうこうしているので、血圧けつあつ低下ていかには腹部ふくぶ左側ひだりがわ徒手としゅあつはいしたり、ひだりはん側臥そくがにするなどの対処たいしょ有効ゆうこうである。

側臥そくがでは自重じちょうにより、したがわ腋窩えきか動脈どうみゃく閉塞へいそく腋窩えきか静脈じょうみゃくうつとどこおしょうじる。

砕石さいせきでは股関節こかんせつひざ関節かんせつ屈曲くっきょくするため、下肢かし鬱血うっけつによる静脈じょうみゃく血栓けっせん形成けいせい助長じょちょうしやすい。

出典しゅってん

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  1. ^ 医学書院いがくしょいん看護かんごだい事典じてんだい2はん(2000ねん、p.2527)
  2. ^ 講師こうしだいいちびわこ学園がくえん理学りがく療法りょうほう 高塩たかしお純一じゅんいち. “実技じつぎ講座こうざ3「呼吸こきゅう援助えんじょ方法ほうほう”. 2016ねん3がつ8にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん7がつ23にち閲覧えつらん
  3. ^ 医学書院いがくしょいん看護かんご医学いがく事典じてんだい6はん(2002ねん、p.562-563「体位たいい」)
  4. ^ しゅうじゅつ管理かんりチームテキスト だい3はん, 公益社こうえきしゃだん法人ほうじん 日本にっぽん麻酔ますい学会がっかい(発行はっこう), 2016ねん8がつ10日とおか発行はっこう

関連かんれん項目こうもく

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