兆ちょう

兆ちょう（ちょう）は漢字かんじ文化ぶんか圏けんにおける数かずの単位たんいの一ひとつ。兆ちょうがいくつを示しめすかは時代じだいや地域ちいきにより異ことなる。現在げんざい、日本にっぽん・台湾たいわん・韓国かんこく・香港ほんこんでは 10¹² = 1000000000000 を示しめす。

概説がいせつ

「兆ちょう」は古ふるく『書しょ経けい』に見みえているが、「兆民ちょうみん」や「億兆おくちょう」という語かたりで天下てんかの多おおくの人々ひとびとを意味いみする用法ようほうがあるだけで、具体ぐたい的てきな数かずとしては現あらわれない。後ごの注釈ちゅうしゃくでは具体ぐたい的てきな数かずが割わり当あてられ、億おくの上うえの位くらいとされたが、十じゅう億おくとされたり、万まん億おくとされたり、万まん万まん億おくとされたりした。

10倍ばいごとに位取くらいどりの名称めいしょうを定さだめる下した数すうで「兆ちょう」は 10⁶、上うえ数すうでは兆ちょうは億おく (10⁸) の億おく倍ばいで 10¹⁶ を指さし、中ちゅう数すうの万まん万まん進しんでは上うえ数すうと同おなじく 10¹⁶、万まん進しんでは億おくの万まん倍ばいで 10¹² となった。

日本にっぽんでは江戸えど時代じだいに万まん進しんに統一とういつされたので 10¹² となり、かつて日本にっぽん統治とうち下かにあった台湾たいわん・韓国かんこくでも 10¹² となった。

中国ちゅうごくでは、万まん進しんと万まん万まん進しんが統一とういつされることなく近代きんだい化かが始はじまってしまったため、あまり使つかわれていなかった「兆ちょう」以上いじょうの単位たんいについては混乱こんらんが生しょうじた。中国ちゅうごく大陸たいりくでは10¹² のことは「万まん億おく（万まん亿）」という。現在げんざいでは「兆ちょう」は主おもにメガ（100万まん）の翻訳ほんやく語ごとして使つかわれるが、これは下した数すうに相当そうとうする。なお、「テラ」は音訳おんやくして「太ふとし」（または太ふとし拉ひしげ）という。一方いっぽう、台湾たいわん・香港ほんこんではメガの意味いみで「百ひゃく万まん」を、テラの意味いみで「兆ちょう」を使用しようしているため、混乱こんらんのもとになっている。

ベトナム語ごで10⁶（現在げんざいベトナム以外いがいの漢字かんじ文化ぶんか圏けんで行おこなわれる万まん進しんでいうところの「百ひゃく万まん」）を意味いみする「triệu」も下した数すうの意味いみでの「兆ちょう」の漢字かんじ音おんである。

兆ちょうの位くらいおよび前後ぜんごの位くらいの命数めいすうは以下いかのようになる。下表かひょうが示しめす通とおり、兆ちょうの位くらいに達たっするか兆ちょうの位いを超こえると、よく「天文学てんもんがく的てき数字すうじにはねあがる」という表現ひょうげんが使つかわれる。

下した数すう		万まん進しん（現在げんざい）		万まん万まん進しん		上うえ数すう
105	億おく	108	一いち億おく	108	一いち億おく	108	一いち億おく
106	兆ちょう	-		-		-
107	京きょう	1011	千せん億おく	1015	千せん万まん億おく	1015	千せん万まん億おく
-		1012	一いち兆ちょう	1016	一いち兆ちょう	1016	一いち兆ちょう
		1013	十じゅう兆ちょう	1017	十じゅう兆ちょう	1017	十じゅう兆ちょう
		1014	百ひゃく兆ちょう	1018	百ひゃく兆ちょう	1018	百ひゃく兆ちょう
		1015	千せん兆ちょう	1019	千せん兆ちょう	1019	千せん兆ちょう
		1016	一いち京きょう	1020	一いち万まん兆ちょう	1020	一いち万まん兆ちょう
		-		1021	十じゅう万まん兆ちょう	1021	十じゅう万まん兆ちょう
				1022	百ひゃく万まん兆ちょう	1022	百ひゃく万まん兆ちょう
				1023	千せん万まん兆ちょう	1023	千せん万まん兆ちょう
				1024	一いち京きょう	1024	一いち億兆おくちょう
				-		1025	十じゅう億兆おくちょう
						1026	百ひゃく億兆おくちょう
						1027	千せん億兆おくちょう
						1028	一いち万まん億兆おくちょう
						1029	十じゅう万まん億兆おくちょう
						1030	百ひゃく万まん億兆おくちょう
						1031	千せん万まん億兆おくちょう
						1032	一いち京きょう

なお、「兆ちょう」という漢字かんじは洪水こうずいから逃にげる人ひとのさまを象かたどる象形しょうけい文字もじで、この文字もじを数かずを指さす単語たんごに当あてるのは仮借かしゃくによる。『説せつ文ぶん解かい字じ』は占うらないのときの亀かめの甲こうの割われ目めの形かたちを象かたどった文字もじと解釈かいしゃくしているが、これは誤あやまった分析ぶんせきである。

『康かん熙字典じてん』では「兆ちょう」の字じは「儿 (にんにょう・ひとあし)」に属ぞくする。

性質せいしつ

日本にっぽんなどの1兆ちょう (10¹²) は、英語えいご圏けんのShort scaleでは Trillion 、Long scaleでは Billion と呼よぶ。

千進せんしんの英語えいご圏けんShort scale、万まん進しんの漢字かんじ圏けん、百ひゃく万まん進しんのLong scaleで単位たんいがあがる数かずである。これは他たに𥝱（秭）、澗、極ごく、那由なゆ他ほか（指数しすうが12の倍数ばいすうとなる10の累乗るいじょう数すう）が該当がいとうする。

関連かんれん項目こうもく

• 命数めいすう法ほう
• 数かずの比較ひかく

外部がいぶリンク

• 『兆ちょう』 - コトバンク