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拗音 - Wikipedia

拗音ようおん

日本語にほんご音節おんせつ一種いっしゅ
ごう拗音ようおんから転送てんそう

拗音ようおん(ようおん)、ねじれるおととは、日本語にほんご音節おんせつ一種いっしゅ。1モーラを形成けいせいする。

仮名かめい表記ひょうきでは、種類しゅるいがある:

  • だん仮名かめい小書こがきのやくだりく(れい:きゃ・きゅ・きょ)
  • または、ク、グに小書こがきワが

概要がいよう

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拗音ようおんとは、「ねじがったおと」を意味いみ[1]直音ちょくおん(ちょくおん)の対語たいごである。音声おんせいがくうえ拗音ようおんとは子音しいん母音ぼいんかた口蓋こうがいまたはえんくちびるされることによって形成けいせいされた音節おんせつであるが、狭義きょうぎには、対立たいりつするかた口蓋こうがいまたはえんくちびるされない直音ちょくおんをもっているものをいう。

  • れい拗音ようおんきゃきゅきょは、直音ちょくおん

かた口蓋こうがいによる拗音ようおんひらき拗音ようおん(かいようおん)、えんくちびるによる拗音ようおんごう拗音ようおん(ごうようおん)と[2]

直音ちょくおんが、もっぱら仮名かめい1文字もじ表記ひょうきされるのにたいし、とく現代げんだい仮名遣かなづかいは、拗音ようおん仮名かめい2文字もじ使つかって表記ひょうきされるという特徴とくちょうがある。このため、マ字まじ表記ひょうきなどで、子音しいんのちくわえるものは、おおかたこれにあたる。

拗音ようおん種類しゅるい

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拗音ようおんひらき拗音ようおんごう拗音ようおん分類ぶんるいされる。音声おんせいがくてきえば

  • ひらき拗音ようおん母音ぼいん/i/[i]) であるモーラかた口蓋こうがいしたあたま子音しいん/i/ 以外いがい母音ぼいん通常つうじょう /a//u//o/)がいたモーラ
  • ごう拗音ようおん母音ぼいん/u/現代げんだい標準ひょうじゅんでは [ɯ]) であるモーラのえんくちびるしたあたま子音しいん通常つうじょう/k//g/たいする [kʷ][ɡʷ] のみ)に /u/ 以外いがい母音ぼいん通常つうじょう /a/条件じょうけんきで /i//e/)がいたモーラである。

拗音ようおん構成こうせいする母音ぼいんちょう母音ぼいんであるものをこじれ長音ちょうおん(ようちょうおん)という[3]

ちょくこじれ対立たいりつ

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ひらき拗音ようおん

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ちょくこじれ対立たいりつは、ひらき拗音ようおんではあたま子音しいん母音ぼいん/a//u//o/形成けいせいされる音節おんせつについて存在そんざいする。ただし、「」にはちょくこじれ対立たいりつ存在そんざいしない。

母音ぼいん/i/形成けいせいされる音節おんせつおよび「」「」「」のあたま子音しいんかた口蓋こうがいおとであるが、標準ひょうじゅんてき日本語にほんご音節おんせつなかにはこれに対立たいりつするようなかた口蓋こうがいされていないあたま子音しいんによる音節おんせつ存在そんざいしないので、ちょくこじれ対立たいりつ言及げんきゅうされることはない。

母音ぼいん/e/形成けいせいされる音節おんせつにも歴史れきしてきにはちょくこじれ対立たいりつがなく、かた口蓋こうがいおとかた口蓋こうがいおと混在こんざいしていたが、現在げんざいでは北九州きたきゅうしゅう方言ほうげんのぞき、すべてかた口蓋こうがいおん発音はつおんされる。ただし、最近さいきんでは外来がいらい流入りゅうにゅうにより [ɕe]/[ʃe](シェ)・[tɕe]/[tʃe](チェ)・[ʑe/dʑe]/[ʒe/dʒe](ジェ) のかた口蓋こうがいおと[se][tse][ze/dze]区別くべつされるようになり、これによって母音ぼいん/e/ である音節おんせつ一部いちぶにもちょくこじれ対立たいりつられるようになっている。

ごう拗音ようおん

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ごう拗音ようおんえんくちびるによる対立たいりつであるが、実際じっさいじょう軟口蓋なんこうがいおんこうくだり)についてのみ言及げんきゅうされる。

母音ぼいん/a//i//e/形成けいせいされる音節おんせつちょくこじれ対立たいりつ存在そんざいしたが、/kwi//kwe//gwi//gwe/[kʷi][kʷe][ɡʷi][ɡʷe])は日本語にほんご音韻おんいんとして定着ていちゃくせず、唯一ゆいいつのこった /ka//ga/(か・が、[ka][ɡa])と /kwa//gwa/(くゎ・ぐゎ、[kʷa][ɡʷa])の対立たいりつ江戸えどから明治めいじにかけて /ka//ga/統一とういつされ、現在げんざいでは一部いちぶ方言ほうげんのぞいてほとんどられなくなった。

」のあたま子音しいんえんくちびるおとであるが、これに対立たいりつするようなえんくちびるされていないあたま子音しいんによる音節おんせつ存在そんざいしないので、ちょくこじれ対立たいりつ構造こうぞうはない。半母音はんぼいん参照さんしょうされたい。

拗音ようおんは、中国ちゅうごくから輸入ゆにゅうした漢字かんじおとによって日本語にほんご定着ていちゃくしたおとで、中国ちゅうごく音節おんせつ構造こうぞうじょうかいおんともなったおと由来ゆらいし、室町むろまち時代ときよには日本語にほんご音韻おんいん体系たいけいとして確立かくりつした。国語こくごでは漢字かんじおん母音ぼいん開口かいこうおん合口あいくちおん区別くべつひらきあい区別くべつ)をもうけ(中国ちゅうごく伝統でんとうてき学問がくもんである音韻おんいんがくの「とうよび」に由来ゆらい)、かいおんiに由来ゆらいする拗音ようおんひらけ拗音ようおんまたは開口かいこう拗音ようおんといい、かいおんuに由来ゆらいする拗音ようおんごう拗音ようおんまたは合口あいくち拗音ようおんんだ。歴史れきしてき字音仮名遣じおんかなづかいで、ひらき拗音ようおんうつるために「ヤぎょう」の仮名かめい使つかわれ、ごう拗音ようおんうつるため「ワぎょう」の仮名かめい使つかわれた。ただし、ごう拗音ようおん日本語にほんごにほとんど定着ていちゃくしなかったため、「くゎ」「ぐゎ」をのぞいて字音仮名遣じおんかなづかいとしても使つかわれなくなっていった。

表記ひょうき仮名かめいでの拗音ようおんかた

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このこうでは、仮名かめいあらわすのに、平仮名ひらがながほとんど使つかわれないような場合ばあいには片仮名かたかなを、それ以外いがいでは平仮名ひらがなもちいる。

直音ちょくおんは、仮名かめい1文字もじ表記ひょうきされるが、拗音ようおんは「くだり」と「くだり」をのぞくだりだん仮名かめい1文字もじに「くだり」の仮名かめい小文字こもじ仮名がな)1文字もじ、あるいは「」または「ぐ」の1文字もじに「」の仮名がな1文字もじけて、2文字もじあらわす。

外来がいらい方言ほうげんなどをあらわすため、直音ちょくおん拗音ようおん以外いがいおとを、通常つうじょう仮名かめい1文字もじに「くだり」、「くだり」または「くだり」の仮名がな1文字もじけて拗音ようおんふうに2文字もじ表記ひょうきすることがあるが、それについては外来がいらいこうべる。なおぞくに、本来ほんらい拗音ようおん以外いがいのそれらのおとふくめて拗音ようおんといったり、2文字もじ仮名がなのことを拗音ようおんったりするひとがいる。

ひらき拗音ようおん

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ひらき拗音ようおん(かいようおん)は「くだり」と「くだり」をのぞくだりだん仮名かめい1文字もじ小文字こもじの「」「」「」のうちの1文字もじけて仮名かめい2文字もじ表記ひょうきされる。 なお「」、「」または「ジ」に「」をけて表記ひょうきされる「シェ」「チェ」「ジェ」は対立たいりつする直音ちょくおんがあるのでこれらを拗音ようおんふくめるとのかんがかたもあるが、外来がいらいのみであることや部分ぶぶんてき音韻おんいん体系たいけい全般ぜんぱんにわたるものでないことから拗音ようおんふくめないかんがかたもある。

ごう拗音ようおん

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ごう拗音ようおん(ごうようおん)は「く」、「ぐ」に小文字こもじの「ゎ」をけて「」と「」と表記ひょうきされる。歴史れきしてきにはごう拗音ようおんあたま子音しいんえんくちびるした子音しいんであるが、現代げんだいでは「」「」と発音はつおんされ、現代げんだい仮名遣かなづかいでは「か」「が」とかれる。「ク」「ク」「ス」が漢音かんおん仮名遣かなづかいとして存在そんざいしたが、江戸えど時代じだいおとにもとづくほんきょ宣長のりなが歴史れきしてき仮名遣かなづかいにはれられていない。

現代げんだい外来がいらいにおいては「くゎ」などがっていたはずの/kw/のおとわすのに、「クァ」「クィ」「クェ」「クォ」などと場合ばあいがある。ただし、ひとによってはこれらのおとを2モーラ発音はつおん(「クア」「クイ」とうおな発音はつおん)する。

仮名がな

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拗音ようおん仮名かめい表記ひょうきするのに使つかう「ゃ」とうちいさい仮名かめい文字もじ仮名がなという。仮名がなには拗音ようおん(の2文字もじ以外いがいつぎのような使つかかたがある。

  • 」は促音そくおんである。促音そくおん拗音ようおんとの最大さいだいちがいは、促音そくおんは「っ」1文字もじで1モーラをあらわすのにたいし、拗音ようおんは2文字もじで1モーラをあらわてんである。
  • 」は「箇」の字体じたいひとつ(略字りゃくじ「个」の変形へんけい)、それから一般いっぱんして「」や「が」の代用だいようであり、本来ほんらい片仮名かたかなでない。「」は、「ヶ」のみが場合ばあいによって「か」となること、また字形じけい類似るいじから「ヶ」の誤用ごようとしてまれた文字もじであり、これも本来ほんらい片仮名かたかなではない。このため、これらには平仮名ひらがな存在そんざいしない。
  • 」「」「」「」「」が、おなだんのかなのあとに使つかわれることがある(「ドストエフスキィ」など人名じんめいおおい)。これらの表記ひょうき一般いっぱん長音ちょうおん同一どういつ発音はつおん意図いとしたものであるかどうかは不明ふめいだが、2010年代ねんだい現在げんざいにおいては一般いっぱん長音ちょうおん同様どうようまれる。したがって、1文字もじで1モーラを構成こうせいする。
  • おも外来がいらい使つかわれる「イェ」「ウィ」「ファ」「ティ」とうは、拗音ようおんおなじく2文字もじで1モーラのおとあらわす。これらのモーラが日本語にほんご音韻おんいん体系たいけいめる位置いちづけについては諸説しょせつあるが、点字てんじ日本にっぽん点字てんじ表記ひょうきほう)ではこれらを拗音ようおんとしてあつかう。

拗音ようおんとう一覧いちらん

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ひらき拗音ようおん

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きゃ(kya) きゅ(kyu) きょ(kyo) 子音しいんによる ぎゃ(gya) ぎゅ(gyu) ぎょ(gyo) 子音しいんによる
しゃ(sya/sha) しゅ(syu/shu) しょ(syo/sho) 子音しいんによる じゃ(zya/ja) じゅ(zyu/ju) じょ(zyo/jo) 子音しいんによる
ちゃ(tya/cha) ちゅ(tyu/chu) ちょ(tyo/cho) 子音しいんによる ぢゃ(zya/ja) ぢゅ(zyu/ju) ぢょ(zyo/jo) 子音しいんによる
にゃ(nya) にゅ(nyu) にょ(nyo) 子音しいんによる

ひゃ(hya) ひゅ(hyu) ひょ(hyo) 子音しいんによる びゃ(bya) びゅ(byu) びょ(byo) 子音しいんによる ぴゃ(pya) ぴゅ(pyu) ぴょ(pyo) 子音しいんによる
みゃ(mya) みゅ(myu) みょ(myo) 子音しいんによる

りゃ(rya) りゅ(ryu) りょ(ryo) 子音しいんによる

ごう拗音ようおん

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くゎ(kwa) (く)(kwi) (く)(kwe) 子音しいんえんくちびる ぐゎ(gwa) (ぐ)(gwi) (ぐ)(gwe) 子音しいんえんくちびる

出典しゅってん

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  1. ^ 拗音ようおん”. コトバンク. 2020ねん6がつ13にち閲覧えつらん
  2. ^ 以外いがい小書こが仮名がないたおと、もしくはそのような小書こがきの仮名かめい自体じたい拗音ようおん誤解ごかいしている場合ばあいおおい。
  3. ^ こじれ長音ちょうおん”. コトバンク. 2020ねん6がつ13にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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  • 促音そくおん
  • 撥音はつおん
  • 三木みき武夫たけお - 内閣ないかく総理そうり大臣だいじんとなった1970年代ねんだいでも「こっくゎい(国会こっかい)」のような古風こふうな(または徳島とくしま方言ほうげんごう拗音ようおんもちいていたことで有名ゆうめい