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平仮名 - Wikipedia

平仮名ひらがな

おも日本語にほんご表記ひょうきのため草書そうしょたい漢字かんじから借用しゃくようした音節おんせつ文字もじ総称そうしょう

平仮名ひらがな(ひらがな)は、音節おんせつ文字もじひとつ。かな一種いっしゅである。異体いたい変体へんたい仮名がなばれる。

平仮名ひらがなひらがな
類型るいけい: 音節おんせつ文字もじ
言語げんご: 日本語にほんご琉球りゅうきゅう
時期じき: 800ねん -
おや文字もじ体系たいけい:
姉妹しまい文字もじ体系たいけい: 片仮名かたかな
Unicode範囲はんい: U+3041-U+309F - 平仮名ひらがな
U+1B001 - 仮名かめい補助ほじょ
U+1B150-U+1B152 - 小書こが仮名がな拡張かくちょう
ISO 15924 コード: Hira
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平安へいあん時代じだい - 明治めいじ時代じだい

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高野たかのきり

平仮名ひらがなのもとになったのは、奈良なら時代じだい中心ちゅうしん使つかわれていた万葉仮名まんようがな(まんようがな)である。

万葉仮名まんようがな楷書かいしょ行書ぎょうしょのほか、草書そうしょかれることもあった。草書そうしょ万葉仮名まんようがなを、平仮名ひらがなぜん段階だんかいとして草仮名そうがな(そうがな)とぶ。すでに8世紀せいきすえせいくらいん文書ぶんしょには、字形じけい筆順ひつじゅんうえ平安へいあん時代じだい平仮名ひらがなつうじる草仮名そうがなしるされている。9世紀せいき中頃なかごろの『藤原ふじわらゆうねん申文もうしぶみ』(さだかん9ねん867ねん〉)やどう時期じきの『さとししょう大師だいしびょうちゅう言上ごんじょうそうこうしょ』などの文書ぶんしょるい京都きょうと藤原ふじわら良相りょうしょうふゆなん右大臣うだいじんのぼめた公卿くぎょう。813 - 867)てい遺跡いせきからつかった土器どきぐんにもられる[1]。また、宮城みやぎけん多賀城たがじょうあと遺跡いせきから発掘はっくつされた土器どきや、富山とやまけん射水いみず赤田あかだ遺跡いせきからも草仮名そうがなかれた墨書ぼくしょ土器どき発掘はっくつされているため、どう時期じき地方ちほう赴任ふにんしたかんじんらによって、日本にっぽん各地かくち普及ふきゅうはじめたとかんがえられる。

宇多天皇うだてんのう宸翰しんかんの『しゅうえきしょう』(寛平かんぺい9ねん897ねん〉)では、くんちゅう草仮名そうがなを、傍訓ぼうくん片仮名かたかなをそれぞれ使つかけており、このころから平仮名ひらがな独立どくりつした文字もじ体系たいけいとして次第しだい意識いしきされつつあったことがうかがえる。その草仮名そうがなりゃくすすみ、ついに漢字かんじくさ書体しょたいからかたち逸脱いつだつした。こうして、文章ぶんしょうしる書記しょき体系たいけいとして確立かくりつしたのが平仮名ひらがな(ひらがな)である。

伝統でんとうてき平安へいあん時代じだい初期しょき名僧めいそう能筆のうひつでもあった空海くうかいつくったという俗説ぞくせつがある。空海くうかいが「いろはうたおよびいろは手本てほんつくったという俗説ぞくせつから発展はってんして、空海くうかい平仮名ひらがなまで創作そうさくしたということになったとみられる[2]

平仮名ひらがな誕生たんじょうした当初とうしょから、ひとつの音節おんせつたいして複数ふくすう字体じたい (異体いたい) があった。異体いたい万葉仮名まんようがなくらべるとはるかにすくない。平仮名ひらがなによる表現ひょうげん頂点ちょうてんたっした平安へいあん時代じだい末期まっき時点じてんで、異体いたい総数そうすうやく300しゅ、そのうち個人こじん使用しようしたのはおよそ100から200しゅほどとされる。

9世紀せいき後半こうはんからうたぶん表記ひょうきなどにもちいられていた平仮名ひらがな公的こうてき文書ぶんしょあらわれるのは、醍醐天皇だいごてんのう時代じだい勅撰ちょくせん和歌集わかしゅうである『古今ここん和歌集わかしゅう』(延喜えんぎ5ねん905ねん〉)が最初さいしょである。その序文じょぶん漢文かんぶんである真名まなじょと、仮名かめいかれた仮名かめいじょのふたつがある。またうけたまわひらた5ねん935ねんごろ紀貫之きのつらゆきあらわした『土佐とさ日記にっき』については、のちにその貫之つらゆき自筆じひつほんまき藤原ふじわら定家さだいえ臨書りんしょしたものがつたわっており、当時とうじすでに後世こうせい平仮名ひらがなとほぼおな字体じたいもちいられていたことが確認かくにんできる。てんれき5ねん951ねん)の「醍醐寺だいごじ五重塔ごじゅうのとう天井板てんじょういた落書らくがき」になると、片仮名かたかなしるされた和歌わか一節いっせつ平仮名ひらがなえており、このころには平仮名ひらがな文字もじ体系たいけいとして完全かんぜん独立どくりつしたものになっていたとかんがえられる。なお「平仮名ひらがな」という言葉ことば登場とうじょうするのは16世紀せいき以降いこうのことであり、これは片仮名かたかな区別くべつするために「普通ふつう仮名かめい」のばれたものである。

山梨やまなしけんのケカチ遺跡いせき甲州こうしゅう塩山しおやま下於曽しもおぞ)からは、すべ平仮名ひらがな和歌わかきざんだうえで焼成しょうせいしたとみられる10世紀せいきなかばのさらじょう土器どきが2016ねん出土しゅつどしており、国司こくしかんじん赴任ふにんにより地方ちほうにも次第しだい伝播でんぱしたことがうかがえる[3]

平仮名ひらがなによる最初さいしょ文学ぶんがく作品さくひんである紀貫之きのつらゆきちょ土佐とさ日記にっき』は、作者さくしゃ女性じょせい仮託かたくしてかれているというのが通説つうせつである[4]貴族きぞく社会しゃかいにおける平仮名ひらがな私的してきかあるいは女性じょせいによってもちいられるものとされ、女流じょりゅう文学ぶんがく平仮名ひらがなかれた以外いがいにも、和歌わか消息しょうそくなどには性別せいべつわず平仮名ひらがなもちいていた。それにより女手おんなで(おんなで)ともばれた。平安へいあん時代じだい貴族きぞく女性じょせいは、大和言葉やまとことばもちいた平仮名ひらがな使つかっておおくの作品さくひんのこした。平仮名ひらがなかれたものは私的してき性格せいかくつよ文書ぶんしょ使つかわれ、地位ちいひくられていたが、中国ちゅうごくとの公的こうてき交流こうりゅう断絶だんぜつながくなるにつれて、勅撰ちょくせん和歌集わかしゅうもちいられるまでに進出しんしゅつした。

異体いたい変体へんたい仮名がな抑圧よくあつ

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変体へんたい仮名がな人々ひとびとからわすられ、かたちくずれていった。

明治めいじ33ねん1900ねん)、「小学校しょうがっこうれい施行しこう規則きそく」の「だいいちごうひょう」に48しゅ平仮名ひらがなしめされた。以後いごこの字体じたいだけがおおやけ教育きょういくにおいて教授きょうじゅされ、一般いっぱん普及ふきゅうした。これにより、すうおおくの変体へんたい仮名がなもちいられなくなった。

ただし変体へんたい仮名がな判読はんどく可能かのう人々ひとびとはその当然とうぜん存在そんざいしていることから、そのすうじゅうねんほどは変体へんたい仮名がな使つかった書籍しょせき出版しゅっぱん併存へいそんしたとおもわれる。たとえば昭和しょうわ2ねん1927ねん発行はっこう随筆ずいひつ叢書そうしょには、変体へんたい仮名がな使つかったぶん使つかっていないぶんっている[5]。しかしだい大戦たいせんは、変体へんたい仮名がな使つかった書籍しょせき1900年代ねんだい以前いぜん(江戸えど時代じだいふくむ)の書籍しょせき復刻ふっこくばんかぎられている[6]

仮名遣かなづかいの改変かいへん

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だい世界せかい大戦たいせん現代げんだい仮名遣かなづか制定せいていされた。これにより、特殊とくしゅ場合ばあいのぞいて「」と「」がもちいられなくなった。

字体じたい由来ゆらい

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ひらがなの由来ゆらい
  • 」は「しゅう」の変形へんけいとするせつ有力ゆうりょくである。
  • 」は「」の異体いたい」の変形へんけいである。

一覧いちらん

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現在げんざい日本語にほんごおも使つかわれているものは以下いかとおりである。

くだり ぎょう くだり くだり こう くだり こう ぎょう こう くだり
                    だん
( )                 だん
                  だん
( )                 だん
                    だん
撥音はつおん
拗音ようおん 促音そくおん 拗音ようおん
はん濁音だくおん 濁音だくおん

1900ねんごろ日本語にほんごおも使つかわれていたものは以下いかとおりである。[7][よう説明せつめい]

くだり ぎょう くだり くだり こう くだり こう ぎょう こう くだり
                         だん
                     だん
                    だん
                    だん
                        だん
より まいらせこう なり さま こと かしこ 撥音はつおん
               
はん濁音だくおん 濁音だくおん 長音ちょうおん たたみおん たたみおん

筆順ひつじゅん

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以下いか画像がぞうに、平仮名ひらがな筆順ひつじゅんじゅん)と発音はつおんしめす。

 

"平仮名ひらがなじゅん" - YouTube

使つかみち

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現在げんざい日本語にほんごもっと基本きほんてき文字もじであり、おもつぎのような場面ばめんもちいられる。

現在げんざい日本にっぽん学校がっこう教育きょういくでは文字もじなかでは「平仮名ひらがな」が最初さいしょおしえられる。

現代げんだいでは、平仮名ひらがなえて使用しようする理由りゆうひとつとして「やわらかでしたしみやすいイメージ」がかんがえられるといわれる[8]。カタカナ(//形状けいじょうちかいが)や漢字かんじおおくと比較ひかくして、平仮名ひらがな特徴とくちょうには「まるみ・ながれるような」などがげられる[9]ひらがな・カタカナ地名ちめいのような使用しようれいもある。

選挙せんきょほうでは候補者こうほしゃ通称つうしょう使用しようみとめられていることもあり、平仮名ひらがなもちいる候補者こうほしゃ度々たびたびられる[10]。これをぞくに「名前なまえをひらく」などというひともいる。

 
選挙せんきょカーでのれい。より投票とうひょうしゃ名前なまえおぼえてもらいやすくするため、名字みょうじ名前なまえ漢字かんじから平仮名ひらがなえることがおおい。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 平仮名ひらがな:9世紀せいき後半こうはん土器どきから発見はっけん 最古さいこのものか”. 毎日まいにちjp (毎日新聞まいにちしんぶん). (2012ねん11月28にち). オリジナルの2012ねん12月1にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121201033436/http://mainichi.jp/select/news/20121129k0000m040087000c.html 2020ねん4がつ14にち閲覧えつらん 
  2. ^ すで空海くうかいどう時代じだいからこのような説明せつめいがなされていたことがこうだん鈔などにしるされている。後代こうだいでも度々たびたびこのように説明せつめいされている。14世紀せいき後半こうはん成立せいりつした『仮名かめい文字もじ』(くだりおもねちょ)には、「くだりおもね思案しあんするに、けんしゃ空海くうかい)の製作せいさくとして真名まな漢字かんじ)のきょくそう伊呂波いろはちぢみなして…」とあり、すなわちいろはうたつくったのが弘法大師こうぼうだいし空海くうかいであるという伝承でんしょうから、いろはうたしるすために「真名まなきょくそう」から平仮名ひらがなつくったのも空海くうかいであるということである。これはのちの『かり本末ほんまつ』(ばん信友のぶともちょ)にも、「空海くうかい僧都そうず、その草体そうたい仮名かめいにもとづきて、さらにやすくなだらめきて、よんじゅうななおと字体じたいせいさだめて…」とある。『国語こくごがく大系たいけいだいななかんだいきゅうかん厚生こうせいかく、1939ねん所収しょしゅう仮名かめい文字もじ』および『かり本末ほんまつ参照さんしょう
  3. ^ 平安へいあん和歌わかきざ土器どき出土しゅつど 全国ぜんこくはつ 平仮名ひらがな確立かくりつ時期じき裏付うらづけ/山梨やまなし甲州こうしゅうケカチ遺跡いせき産経新聞さんけいしんぶんニュース2017ねん8がつ27にち
  4. ^ 実際じっさい冒頭ぼうとう一節いっせつに「おとこもすなる日記にっきといふものを、おんなもしてみむとてするなり」というくだりがある。ただし平成へいせい18ねん2006ねん)に小松こまつ英雄ひでおおこなった検証けんしょうによると、この日記にっき女性じょせい仮託かたくしたものではなく、冒頭ぼうとう一節いっせつは「漢字かんじではなく、仮名かめい文字もじいてみよう」という表明ひょうめいを、仮名かめい特性とくせいかした技法ぎほうたくみに表現ひょうげんしたものであるという。
  5. ^ たとえば『日本にっぽん随筆ずいひつ大成たいせいだい2かん吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1927ねん)など。
  6. ^ たとえば『去来きょらいしょう中村なかむらしゅんじょう山下やました登喜子ときこ 解説かいせつ笠間かさま書房しょぼう、1969ねんなど。
  7. ^ 「[東京とうきょう築地つきじ活版かっぱん製造せいぞうしょ]活版かっぱん見本みほん野村のむら宗十郎そうじゅうろう へん東京とうきょう築地つきじ活版かっぱん製造せいぞうしょ、1903ねん
  8. ^ 駅名えきめい、ひらがなブームから漢字かんじ回帰かいき JR西にし. 神戸こうべ新聞しんぶんNEXT. (2015ねん10がつ28にち). オリジナルの2015ねん10がつ28にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151028093252/https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201510/0008518756.shtml 2020ねん4がつ14にち閲覧えつらん 
  9. ^ 浜松はままつ市立しりつ雄踏ゆうとう小学校しょうがっこう
  10. ^ 藤木ふじきTDC (2013ねん7がつ30にち). “【数字すうじ検証けんしょう】それほど有効ゆうこうなのか?「ともあき、のぶあき...」保守ほしゅけい政党せいとうほど平仮名ひらがなでの立候補りっこうほにこだわるなぞ. 日刊にっかんナックルズ. オリジナルの2013ねん8がつ6にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130806050027/http://n-knuckles.com/case/politics/news000110.html 2020ねん4がつ14にち閲覧えつらん 

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 江守えもり賢治けんじしょ歴史れきし日本にっぽん習字しゅうじ普及ふきゅう協会きょうかい、1967ねんISBN 481950004X
  • 小松こまつ茂美しげみ『かな その成立せいりつ変遷へんせん岩波いわなみ新書しんしょ、1968ねんISBN 4004120977

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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