商号しょうごう

商号しょうごう（しょうごう）とは、個人こじん商人しょうにんや会社かいしゃが営業えいぎょうを行おこなうにおいて自己じこを表示ひょうじするために使用しようする名称めいしょう。

日本にっぽん法ほうにおける商号しょうごう

日本にっぽんでは、主おもに商法しょうほう、会社かいしゃ法ほう及および商業しょうぎょう登記とうき法ほう等ひとしにおいて、その取扱とりあつかいについて規定きていされている。なお、以下いか、本稿ほんこうにおいて平成へいせい17年ねん7月がつ26日にち法律ほうりつ第だい87号ごうによる改正かいせい前まえの商法しょうほうは「旧きゅう商法しょうほう」として区別くべつする。

商号しょうごうの選定せんてい

商号しょうごうの選定せんていの方法ほうほう

会社かいしゃ及および外国がいこく会社かいしゃを除のぞく商人しょうにんの商号しょうごう

商号しょうごうの選定せんていに関かんする立法りっぽう主義しゅぎには、営業えいぎょうの実態じったいと合致がっちしたものに限かぎるとする商号しょうごう真実しんじつ主義しゅぎもあるが、日本にっぽんの商法しょうほうは会社かいしゃ及および外国がいこく会社かいしゃを除のぞく商人しょうにんについて、原則げんそくとして、その氏し、氏名しめいその他たの名称めいしょうをもって自由じゆうに商号しょうごうを付つけることができるものとして商号しょうごう自由じゆう主義しゅぎを採用さいようする（商号しょうごう選択せんたくの自由じゆう。商法しょうほう11条じょう1項こう、旧きゅう商法しょうほう16条じょう）。

会社かいしゃの商号しょうごう

会社かいしゃ法ほうは、会社かいしゃについて、その名称めいしょうが商号しょうごうであるとしており（会社かいしゃ法ほう6条じょう1項こう、旧きゅう商法しょうほう17条じょう、旧きゅう有限ゆうげん会社かいしゃ法ほう3条じょう第だい1項こう）、逆ぎゃくに会社かいしゃでない者ものは商号しょうごうに会社かいしゃであることを示しめす文字もじを使用しようすることができない（会社かいしゃ法ほう7条じょう、旧きゅう商法しょうほう18条じょう）。また、会社かいしゃは、その種類しゅるいに従したがい、商号しょうごう中ちゅうに株式会社かぶしきがいしゃ、合名ごうめい会社かいしゃ、合資ごうし会社かいしゃ、合同ごうどう会社かいしゃの文字もじを用もちいなければならない（会社かいしゃ法ほう6条じょう、旧きゅう商法しょうほう17条じょう、旧きゅう有限ゆうげん会社かいしゃ法ほう3条じょう第だい1項こう）。

持分もちぶん会社かいしゃがその商号しょうごう中ちゅうに退社たいしゃした社員しゃいんの氏し若もしくは氏名しめい又または名称めいしょうを用もちいているときは、退社たいしゃした社員しゃいんは、その名称めいしょうの使用しようをやめることを請求せいきゅうできる（会社かいしゃ法ほう613条じょう）。

各種かくしゅ業法ぎょうほうなどに定さだめる名称めいしょうの使用しよう

銀行ぎんこう、労働ろうどう金庫きんこ、信用金庫しんようきんこ、保険ほけん会社かいしゃ、信託しんたく会社かいしゃ、無尽むじん会社かいしゃ、農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい、漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい、事業じぎょう協同きょうどう組合くみあい、消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあいなど特とくにその信用しんよう維持いじを確保かくほすべきものとして法律ほうりつで定さだめられている一定いっていの業種ぎょうしゅについては、商号しょうごうや名称めいしょうの中なかに「銀行ぎんこう」、「労働ろうどう金庫きんこ」、「信用金庫しんようきんこ」などそれぞれの業種ぎょうしゅを示しめす文字もじを使用しようしなければならないものとされている（銀行ぎんこう法ほう6条じょう1項こう、労働ろうどう金庫きんこ法ほう8条じょう1項こう、信用金庫しんようきんこ法ほう6条じょう1項こう、保険ほけん業法ぎょうほう7条じょう1項こう、信託しんたく業法ぎょうほう14条じょう1項こう、無尽むじん業法ぎょうほう4条じょう1項こう、農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい法ほう4条じょう1項こう、水産すいさん業ぎょう協同きょうどう組合くみあい法ほう3条じょう1項こう、中小ちゅうしょう企業きぎょう等とう協同きょうどう組合くみあい法ほう6条じょう1項こう、消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあい法ほう3条じょう1項こう）。他方たほうで、これらの業種ぎょうしゅにない者ものはその名称めいしょうや商号しょうごうに「銀行ぎんこう」や「労働ろうどう金庫きんこ」などの文字もじを用もちいることを禁きんじられている（銀行ぎんこう法ほう6条じょう2項こう、労働ろうどう金庫きんこ法ほう8条じょう2項こう、信用金庫しんようきんこ法ほう6条じょう2項こう、保険ほけん業法ぎょうほう7条じょう2項こう、信託しんたく業法ぎょうほう14条じょう2項こう、無尽むじん業法ぎょうほう4条じょう2項こう、農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい法ほう4条じょう2項こう、水産すいさん業ぎょう協同きょうどう組合くみあい法ほう3条じょう2項こう、中小ちゅうしょう企業きぎょう等とう協同きょうどう組合くみあい法ほう6条じょう2項こう、消費しょうひ生活協同組合せいかつきょうどうくみあい法ほう3条じょう2項こうなど）。

また、「日本銀行にっぽんぎんこう」など特定とくていの法人ほうじんに限かぎって独占どくせん使用しようが認みとめられている特定とくていの名称めいしょうについては、その名称めいしょうの使用しようが認みとめられている法人ほうじん以外いがいの者ものがその文字もじを用もちいることはできない（日本銀行にっぽんぎんこう法ほう13条じょう、日本電信電話にほんでんしんでんわ株式会社かぶしきがいしゃ等とうに関かんする法律ほうりつ8条じょう、日本にほんたばこ産業さんぎょう株式会社かぶしきがいしゃ法ほう4条じょう、成田なりた国際こくさい空港くうこう株式会社かぶしきがいしゃ法ほう4条じょう、株式会社かぶしきがいしゃ日本にっぽん政策せいさく金融きんゆう公庫こうこ法ほう5条じょう1項こうなど）。

商号しょうごうの選定せんていに関かんする制限せいげん

商号しょうごうの選定せんていに関かんしては以下いかのような制限せいげんを受うける。

商号しょうごう単一たんいつの原則げんそく

商人しょうにんは複数ふくすうの商号しょうごうを保有ほゆうすることができるが、同どう一いち営業えいぎょうについては同どう一いち営業えいぎょう所しょで複数ふくすうの商号しょうごうを持もつことはできない。

会社かいしゃの名称めいしょう等とうに関かんする規制きせい

前述ぜんじゅつのように、会社かいしゃはその会社かいしゃの種類しゅるいに従したがって「株式会社かぶしきがいしゃ」や「合名ごうめい会社かいしゃ」などの文字もじを用もちいなければならず（会社かいしゃ法ほう6条じょう2項こう）、他たの種類しゅるいの会社かいしゃであると誤認ごにんされるおそれのある文字もじを用もちいることができない（会社かいしゃ法ほう6条じょう3項こう）。また、会社かいしゃでない者ものは会社かいしゃであると誤認ごにんされるおそれのある文字もじを名称めいしょうや商号しょうごうに用もちいることができない（会社かいしゃ法ほう7条じょう）。

他たの商人しょうにんと誤認ごにんさせる名称めいしょう等とうの使用しようの禁止きんし

何人なんにんも、不正ふせいの目的もくてきをもって、他たの商人しょうにんや他たの会社かいしゃであると誤認ごにんされるおそれのある名称めいしょう又または商号しょうごうを使用しようしてはならない（商法しょうほう12条じょう1項こう・会社かいしゃ法ほう8条じょう、旧きゅう商法しょうほう21条じょう）。これに違反いはんした者ものは、100万まん円えん以下いかの過料かりょうに処しょせられる（商法しょうほう13条じょう・会社かいしゃ法ほう978条じょう3号ごう、旧きゅう商法しょうほう22条じょう）。

銀行ぎんこうなど一定いっていの業種ぎょうしゅについては、その業種ぎょうしゅを表あらわす特定とくていの名称めいしょうを商号しょうごうに使用しようすることが義務ぎむづけられており、また、これら以外いがいの者ものがその業種ぎょうしゅを表あらわす文字もじを商号しょうごうに用もちいることが禁きんじられている（前述ぜんじゅつの「各種かくしゅ業法ぎょうほうなどに定さだめる名称めいしょうの使用しよう」を参照さんしょう）。また、宅地たくち建物たてもの取引とりひき業ぎょうのように（他た法令ほうれいで禁止きんしされているものを除のぞき）法令ほうれいでの制限せいげんこそないものの、ある条件じょうけんに当あてはまる文字もじが入はいっていると免許めんきょ申請しんせいで受うけ付つけられず、商号しょうごうの変更へんこうを求もとめられることもある。 ※このほか商号しょうごう登記とうきにおいて文字もじの制約せいやくがある（後述こうじゅつ）。

商号しょうごう登記とうき

商人しょうにんが自然しぜん人じんである場合ばあいには商号しょうごうの登記とうきは任意にんいであるが（商法しょうほう11条じょう2項こう）、会社かいしゃである場合ばあいには必かならず商号しょうごうの登記とうきを要ようする（会社かいしゃ法ほう911条じょう3項こう2号ごう・会社かいしゃ法ほう912条じょう2号ごう・会社かいしゃ法ほう913条じょう2号ごう・会社かいしゃ法ほう914条じょう2号ごう）。

なお、他人たにんの既すでに登記とうきした商号しょうごうと同一どういつであり、かつ、その営業えいぎょう所しょの所在しょざい場所ばしょが他人たにんの商号しょうごうの登記とうきに係かかる営業えいぎょう所しょの所在しょざい場所ばしょと同一どういつであるときは、登記とうきすることができない（商業しょうぎょう登記とうき法ほう第だい27条じょう・同一どういつの所在しょざい場所ばしょにおける同一どういつの商号しょうごうの登記とうきの禁止きんし）。

文字もじの制約せいやく

2002年ねん10月がつ31日にち以前いぜん

商業しょうぎょう登記とうき上じょう、以前いぜんは商業しょうぎょう登記とうき規則きそくにより、商号しょうごう中ちゅうにアルファベットやアラビア数字すうじなどの使用しようは認みとめられていなかった（同どう規則きそく48条じょうの解釈かいしゃく。漢字かんじであれば使用しようできる字体じたいに制限せいげんがないとも解釈かいしゃくできる。ただし漢かん数字すうじの「〇」については、漢字かんじではなく符号ふごうとみなされているため使用しようできない。例れい：FM802（大阪おおさか府ふのFM放送ほうそう業ごう）の商号しょうごうは「株式会社かぶしきがいしゃエフエム八はち〇二に」にすることもできなかったため、株式会社かぶしきがいしゃエフエムはちまるにとなった）。そのため、定款ていかん上じょうはアルファベットであるが登記とうき上じょうは片仮名かたかなである会社かいしゃもある（例れい：株式会社かぶしきがいしゃKVK（岐阜ぎふ県けんの水みず栓せん金具かなぐ業ぎょう）→登記とうき上じょうは株式会社かぶしきがいしゃケーブイケー、TDF株式会社かぶしきがいしゃ（かつて宮城みやぎ県けんに存在そんざいした輸送ゆそう機き器用きよう鍛造たんぞう品ひん業ぎょう）→登記とうき上じょうはテーデーエフ株式会社かぶしきがいしゃ、株式会社かぶしきがいしゃPALTEK（神奈川かながわ県けんの半導体はんどうたい専門せんもん商社しょうしゃ）→登記とうき上じょうは株式会社かぶしきがいしゃパルテックなど）。さらに以前いぜんはカタカナのャュョッァィゥェォも使用しようが認みとめられなかったため、登記とうき上じょうの商号しょうごうをヤユヨツアイウエオに置おき換かえたケースもある（例れい：ジャパンタイムズ（東京とうきょう都との英字えいじ新聞しんぶん社しゃ）→当時とうじの登記とうき上じょうは株式会社かぶしきがいしゃジヤパンタイムズ）。

2002年ねん11月1日にち以降いこう

2002年ねん11月1日にちから商号しょうごうの登記とうきにロろーマ字まじ（ローマン・アルファベット）、アラビア数字すうじ、＆（アンパサンド）等ひとし一部いちぶの符号ふごうの使用しようが認みとめられた。

一方いっぽうで反対はんたい解釈かいしゃくとして、ギリシア文字もじ、キリル文字もじ、@（アットマーク）等とうは使用しようできない。前述ぜんじゅつの漢かん数字すうじ「〇」も認みとめられなかった。

アルファベットが使用しようできることとなったことに合あわせて、登記とうき上じょうの商号しょうごうを片仮名かたかなからアルファベットに変更へんこうしている会社かいしゃもある（例れい：ティーディーケイ株式会社かぶしきがいしゃ→TDK株式会社かぶしきがいしゃ、ケイディーディーアイ株式会社かぶしきがいしゃ→KDDI株式会社かぶしきがいしゃ、エヌティエヌ株式会社かぶしきがいしゃ→NTN株式会社かぶしきがいしゃ、株式会社かぶしきがいしゃアクセス→株式会社かぶしきがいしゃACCESS、株式会社かぶしきがいしゃワウワウ→株式会社かぶしきがいしゃWOWOW、株式会社かぶしきがいしゃジュージヤ→株式会社かぶしきがいしゃJEUGIA、アあール・ケるけー・ビびー毎日放送まいにちほうそう株式会社かぶしきがいしゃ→RKB毎日放送まいにちほうそう株式会社かぶしきがいしゃ、株式会社かぶしきがいしゃティー・ヴイ・キュー九州きゅうしゅう放送ほうそう→株式会社かぶしきがいしゃTVQ九州きゅうしゅう放送ほうそう、アスティ株式会社かぶしきがいしゃ→ASTI株式会社かぶしきがいしゃ、株式会社かぶしきがいしゃエスティネット→株式会社かぶしきがいしゃSTNet、ジューキ株式会社かぶしきがいしゃ→JUKI株式会社かぶしきがいしゃ、ジェイアール九州きゅうしゅうバス株式会社かぶしきがいしゃ→JR九州きゅうしゅうバス株式会社かぶしきがいしゃ、株式会社かぶしきがいしゃビーエムジーファンハウス→株式会社かぶしきがいしゃBMGファンハウスなど）。また、株式会社かぶしきがいしゃアイビーシー岩手いわて放送ほうそうや株式会社かぶしきがいしゃアール・エフ・ラジオ日本にっぽん、ジェイ・アール北海道ほっかいどうバス株式会社かぶしきがいしゃの様ように解禁かいきん後ごもカタカナ社名しゃめいを維持いじしている会社かいしゃや株式会社かぶしきがいしゃNST新潟総合にいがたそうごうテレビのように後ごから略称りゃくしょうの「NST」を追加ついかした例れいも存在そんざいする。

従来じゅうらいより容認ようにんされている中黒なかぐろ（・）の入はいった商号しょうごうを使用しようしている企業きぎょう（株式会社かぶしきがいしゃソニー・ピクチャーズ エンタテインメントなど）も、商業しょうぎょう登記とうき規則きそくの改正かいせいに伴ともない、近年きんねん増加ぞうかしている。

空白くうはく（スペース）は、ロろーマ字まじを用もちいて複数ふくすうの単語たんごを表記ひょうきする場合ばあいに限かぎり、認みとめられている。

会社かいしゃ名めいと商号しょうごう

前述ぜんじゅつのように、例たとえば株式会社かぶしきがいしゃの場合ばあい、「○○株式会社かぶしきがいしゃ」または「株式会社かぶしきがいしゃ○○」のように、その商号しょうごう中ちゅうに「株式会社かぶしきがいしゃ」を含ふくまなければならない。他たに会社かいしゃの形態けいたいにはかつての有限ゆうげん会社かいしゃや現在げんざいの特例とくれい有限ゆうげん会社かいしゃ、合名ごうめい会社かいしゃ、合資ごうし会社かいしゃおよび合同ごうどう会社かいしゃについても同様どうようである。

「会社かいしゃ名めい」または「社名しゃめい」は商法しょうほうや会社かいしゃ法ほうで定さだめられたものでなく、社会しゃかい通念つうねんとしての呼称こしょう（呼よび方かた）であり、「○○株式会社かぶしきがいしゃ」であっても、会社かいしゃの形態けいたいを含ふくまず「○○」であっても一般いっぱん的てきに認識にんしきされている。ただし、「○○」と称しょうした場合ばあい、同一どういつのものが有あることがあり、注意ちゅういを要ようする。また商号しょうごうである「○○株式会社かぶしきがいしゃ」など一ひとつの法務局ほうむきょくの管轄かんかつ地域ちいき内ないであればその本社ほんしゃは一ひとつしか商号しょうごうとして登記とうき上うえ認みとめられない。本社ほんしゃが或あるる法務局ほうむきょくの管轄かんかつ地域ちいきにあり、その会社かいしゃが別べつの法務局ほうむきょくの管轄かんかつ地域ちいき内ないに本社ほんしゃ業務ぎょうむ以外いがいの拠点きょてんを置おく場合ばあいは、「○○株式会社かぶしきがいしゃ△△営業えいぎょう所しょ」など、支店してん、営業えいぎょう所しょ、出張所しゅっちょうしょ、工場こうじょう、製造せいぞう所しょなどを含ふくめて表あらわし、本社ほんしゃでは無ないことを唱うたわなければならない。また、英文えいぶん社名しゃめいが定款ていかんで定さだめられることがあるが、これは日本にっぽん法ほう上じょうの商号しょうごうではない。

名めい板いた貸かし

自己じこの商号しょうごうの使用しようを他人たにんに許諾きょだくした商人しょうにんは、誤認ごにんして取引とりひきをした者ものに対たいし、連帯れんたいして債務さいむの弁済べんさい責任せきにんを負おう（名めい板いた貸かし責任せきにん、商法しょうほう14条じょう、会社かいしゃ法ほう9条じょう、旧きゅう商法しょうほう23条じょう）。ただし、営業えいぎょう主ぬしと誤認ごにんするについて重大じゅうだいな過失かしつがあった者ものに対たいしては責任せきにんを負おわない（判例はんれい）。

商号しょうごう権けん

商号しょうごう権けんの意義いぎ

商人しょうにんが商号しょうごう上じょうに有ゆうする様々さまざまな権利けんりを総称そうしょうして商号しょうごう権けんといい、商号しょうごう権けんには商号しょうごう使用しよう権けんと商号しょうごう専用せんよう権けんがある。

商号しょうごう使用しよう権けん（積極せっきょく的てき商号しょうごう権けん）

自みずからの商号しょうごうを他人たにんから妨害ぼうがいされずに用もちいることができる権利けんり（商法しょうほう12条じょう1項こう、会社かいしゃ法ほう8条じょう1項こう）

商号しょうごう専用せんよう権けん（消極しょうきょく的てき商号しょうごう権けん）

自みずからの商号しょうごうと誤認ごにんされるおそれのある商号しょうごうを他人たにんが不正ふせいに用もちいることを排除はいじょする権利けんり（商法しょうほう12条じょう2項こう、会社かいしゃ法ほう8条じょう2項こう）

不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほうによる商号しょうごうの保護ほご

著名ちょめい性せいを有ゆうする他人たにんの商号しょうごうと同一どういつもしくは類似るいじした商号しょうごうの使用しようするなどの行為こういは不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほう上うえの「不正ふせい競争きょうそう」となり（不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほう第だい2条じょう）、差止さしどめ請求せいきゅう権けんや損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう権けんが認みとめられることになる。

• 差止さしどめ請求せいきゅう権けん（不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほう第だい3条じょう）
• 損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう権けん（不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほう第だい4条じょう）

類似るいじ商号しょうごう規制きせいの廃止はいし

かつては、商法しょうほうにおいて、同どう一いち市区しく町村ちょうそん内ないで同どう一いち事業じぎょう目的もくてきである場合ばあいには商号しょうごう登記とうきを認みとめない規制きせい（類似るいじ商号しょうごう規制きせい）があったが、会社かいしゃ法ほうの施行しこう時じの商法しょうほう改正かいせいに伴ともない廃止はいしされた。同どう一いち商号しょうごうによる不正ふせい競争きょうそうに対たいしては、不正ふせい競争きょうそう防止ぼうし法ほうで対応たいおうすれば十分じゅうぶんとされたためである。

商号しょうごうの譲渡じょうと・相続そうぞく

商号しょうごうの譲渡じょうと

商号しょうごうは営業えいぎょうとともにする場合ばあい又または営業えいぎょうを廃止はいしする場合ばあいに限かぎり、有償ゆうしょうもしくは無償むしょうを問とわず、譲渡じょうとすることができ、登記とうきすれば第三者だいさんしゃに対抗たいこうできる（商法しょうほう15条じょう、旧きゅう商法しょうほう24条じょう）。営業えいぎょうを譲ゆずり受うけた商人しょうにんが譲渡じょうと人じんの用もちいていた商号しょうごうを続つづけ用ようする場合ばあいには商法しょうほう15条じょうに定さだめられる責任せきにんを伴ともなう。

商号しょうごうの相続そうぞく

商号しょうごうは相続そうぞくの対象たいしょうとなる（商業しょうぎょう登記とうき法ほう30条じょう3項こう・商業しょうぎょう登記とうき法ほう32条じょう）。

商号しょうごうの廃止はいし・変更へんこう

商号しょうごうの廃止はいし・変更へんこうには登記とうきを要ようする（商法しょうほう10条じょう、会社かいしゃ法ほう909条じょう）。銀行ぎんこうなど特定とくていの業種ぎょうしゅの商号しょうごうについては商号しょうごうの変更へんこうに認可にんかを必要ひつようとする（銀行ぎんこう法ほう6条じょう3項こうなど）。なお、現げんに使用しようされていないにもかかわらず商号しょうごうの登記とうきをした者ものが廃止はいし等とうの登記とうきをしていない場合ばあいには、当該とうがい商号しょうごうの登記とうきに係かかる営業えいぎょう所しょの所在しょざい場所ばしょにおいて同一どういつの商号しょうごうを使用しようしようとする者ものは、登記とうき所しょに対たいし、当該とうがい商号しょうごうの登記とうきの抹消まっしょうを申請しんせいすることができる（商業しょうぎょう登記とうき法ほう33条じょう）。

英えい米べい法ほうにおける商号しょうごう

英えい米べい法ほうでは商号しょうごうはtrade nameまたはbusiness nameという。

商号しょうごうは個人こじん事業じぎょう主ぬしである商人しょうにんや、法人ほうじん等とう会社かいしゃにおいて定さだめられ、それぞれの営業えいぎょうないし事業じぎょうのグッドウィル（日本語にほんごでいうのれん）を示しめすための機能きのうを有ゆうしている。

英えい米べい法ほうでも不正ふせい競争きょうそう禁止きんしの法理ほうりにより商号しょうごうは商号しょうごう権けんの侵害しんがいから保護ほごを受うける。

なお、英えい米べい法ほうでは組合くみあい（partnership）が事業じぎょうに用もちいる名称めいしょうも商号しょうごう（business name）という。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 商業しょうぎょう登記とうき法ほう
• 株式会社かぶしきがいしゃ (日本にっぽん)#英語えいご

外部がいぶリンク

• 商号しょうごうにロろーマ字まじ等とうを用もちいることについて （法務省ほうむしょう）