(Translated by https://www.hiragana.jp/)
四次方程式 - Wikipedia

よん方程式ほうていしき

移項いこうして整理せいりすると(変数へんすうよんしき)=0とあらわせる方程式ほうていしき

よん方程式ほうていしき(よじほうていしき、quartic equation)とは、次数じすうが 4 である代数だいすう方程式ほうていしきのことである。この項目こうもくではおも一変いっぺんすうよん方程式ほうていしきあつかう。

概要がいよう

編集へんしゅう

一変いっぺんすうよん方程式ほうていしき

a4 x4 + a3 x3 + a2 x2 + a1 x + a0 = 0 (a4 ≠ 0)

かたち表現ひょうげんされる。a4

x4 + A3 x3 + A2 x2 + A1 x + A 0 = 0 ( )

かたちにしてもかいわらないのでこのかたちろんじられることがおおい。

一般いっぱんてきよん方程式ほうていしき解法かいほうは、ジェロラモ・カルダーノ弟子でしであるルドヴィコ・フェラーリによって発見はっけんされ、カルダノの著書ちょしょアルス・マグナ』で概要がいようべられた。カルダノは x, x2, x3 をそれぞれ、線分せんぶんながさ、一辺いっぺんながさが x正方形せいほうけい面積めんせき一辺いっぺんながさが x立方体りっぽうたい体積たいせき対応たいおうさせてとらえ、4以上いじょう方程式ほうていしきには意味いみがないとかんがえていたため、さん方程式ほうていしきちがって詳細しょうさいにはべられていない。

しかし、カルダノの死後しごルネ・デカルト著書ちょしょ方法ほうほう序説じょせつ』の試論しろんひとつである『幾何きかがく』において定規じょうぎとコンパスによる作図さくずろんじ、ながx線分せんぶんながy線分せんぶんなが1線分せんぶんからながx y線分せんぶんられることをしめしている。これによると、ながx線分せんぶんなが1線分せんぶんからながxnn任意にんい自然しぜんすう)の線分せんぶん作図さくず可能かのうであることがかるため 4 以上いじょう方程式ほうていしきくことにも幾何きかがくてき意味いみあたえることは可能かのうであり、カルダノのとらかた不十分ふじゅうぶんであったことがかる。

そのよん方程式ほうていしきさん方程式ほうていしき同様どうよう様々さまざま解法かいほう発見はっけんされ、方程式ほうていしき代数だいすうてき解法かいほう探索たんさくわせて詳細しょうさい研究けんきゅうすすめられた。

ふくしき

編集へんしゅう

よん方程式ほうていしきうち奇数きすうこう

a4 x4 + a2 x2 + a0 = 0 (a4 ≠ 0)

かたちしきx2変数へんすうとする方程式ほうていしきることができ、ふく方程式ほうていしき (biquadratic equation)、左辺さへんふくしきばれる。方程式ほうていしき解法かいほうっていれば簡単かんたんくことができる。

y = x2変換へんかんすることで yかんする方程式ほうていしき

a4 y2 + a2 y + a0 = 0

ることができ、この方程式ほうていしきくことによってかいもとめられる。

また、実数じっすう係数けいすうとするふくしき

x4 + A2 x2 + A0

たいして、つぎのようなしきせきへの因数いんすう分解ぶんかいもよくおこなわれる。x2方程式ほうていしきとみたときの判別はんべつしき

D = A22 − 4A0

符号ふごうによって

D > 0 であれば x2 について平方へいほう完成かんせいすることにより

 

D < 0 であれば A0 > 0 であることに注意ちゅういして

 

変形へんけいすれば、いずれの場合ばあい因数いんすう分解ぶんかい公式こうしき

αあるふぁ2βべーた2 = (αあるふぁ + βべーた) (αあるふぁβべーた)

利用りようして実数じっすう係数けいすうとするしきせき因数いんすう分解ぶんかいできる。

かい様子ようす

編集へんしゅう

よん方程式ほうていしきは、代数だいすうがく基本きほん定理ていりより、高々たかだか4複素数ふくそすうかいつ。

よん方程式ほうていしき ax4 + bx3 + cx2 + dx + e = 0判別はんべつしき

 

によってあたえられ、係数けいすうによってさだまる以下いかの4定数ていすうによってさらに詳細しょうさい情報じょうほうられる。

 

Δでるた, P, R, Δでるた0, Dかんして、以下いか事実じじつ成立せいりつする[1]

  1. Δでるた < 0 のとき、ことなる2実数じっすうかいと1くみ共役きょうやく複素数ふくそすうかいつ。
  2. Δでるた > 0 のとき、
    1. P < 0 かつ D < 0 ならば、そうことなる4実数じっすうかいつ。
    2. P > 0 または D > 0 ならば、2くみ共役きょうやく複素数ふくそすうかいつ。
  3. Δでるた = 0 のときにのみ、方程式ほうていしきじゅうかいち、
    1. P < 0 かつ D < 0 かつ Δでるた0 ≠ 0 ならば、1個いっこ実数じっすうじゅうかいと、ことなる2重複じゅうふく 1 の実数じっすうかいつ。
    2. D > 0 または(P < 0 かつ(D, R のどちらかが0でない))ならば、1個いっこ実数じっすうじゅうかいと、1くみ共役きょうやく複素数ふくそすうかいつ。
    3. Δでるた0 = 0 かつ D ≠ 0ならば、1個いっこ実数じっすうさんじゅうかいと、1個いっこ重複じゅうふく 1 の実数じっすうかいつ。
    4. D = 0 のとき、
      1. P < 0 ならば、ことなる 2実数じっすうじゅうかいつ。
      2. P < 0 かつ R = 0 ならば、1くみ共役きょうやく複素数ふくそすうである、ことなる 2虚数きょすうじゅうかいつ。
      3. Δでるた0 = 0 ならば、b/4a実数じっすうよんじゅうかいとしてつ。

以上いじょうには、たとえば Δでるた > 0 かつ P·D < 0 である場合ばあいなどがしるされていない。しかし、このようなわせは実際じっさいには存在そんざいしない。

フェラーリの解法かいほう

編集へんしゅう

フェラーリ解法かいほうは、一般いっぱんてきよん方程式ほうていしき解法かいほうのうちで最初さいしょあたえられた解法かいほうである。よん方程式ほうていしき

a4 x4 + a3 x3 + a2 x2 + a1 x + a0 = 0 (a4 ≠ 0)

a4

x4 + A3 x3 + A2 x2 + A1 x + A0 = 0

かたちにする。( )

 

とし

x = yB3

によって変数へんすう変換へんかんおこなうと

y4 + (A2 − 6 B32) y2 + (A1 − 2 A2 B3 + 8 B33) y + (A0A1 B3 + A2 B32 − 3 B34) = 0

となり、3こうえた方程式ほうていしきられる。やすいように

y4 + p y2 + q y + r = 0

く。q = 0ときは、ふくしきとしてけばよいので、以後いごq ≠ 0 とする。

媒介ばいかい変数へんすう u ≠ 0もち

 

変形へんけいする。ここでうえしき展開てんかい係数けいすう比較ひかくすると、uさん方程式ほうていしき

u (p + u)2 − 4 r u = q2

られる。このような補助ほじょてき方程式ほうていしきを、あたえられたよん方程式ほうていしきかんするさん分解ぶんかい方程式ほうていしき(resolvent cubic equation) という。q ≠ 0 なので、この分解ぶんかい方程式ほうていしきかいu ≠ 0たしており、このかいひとつを u としてる。また、もとめるよん方程式ほうていしき

 

となり、この2つの方程式ほうていしきから、よん方程式ほうていしきかいもとめることができる。

デカルトの方法ほうほう

編集へんしゅう

デカルトは、著書ちょしょ方法ほうほう序説じょせつ』の試論しろんひとつである『幾何きかがく』においてよん方程式ほうていしき

y4 + p y2 + q y + r = 0

くために、しきによる因数いんすう分解ぶんかい

y4 + p y2 + q y + r = (y2 + c1 y + c0) (y2 + d1 y + d0)

仮定かていした方法ほうほうすすめた。係数けいすう比較ひかくすると

c1 + d1 = 0
c0 + d0 + c1 d1 = p
c1 d0 + c0 d1 = q
c0 d0 = r

られる。うえの 3 つのしきから

d1 = − c1
2 c0 c1 = c13 + p c1q
2 d0 c1 = c13 + p c1 + q

られる。

4 c12 r = 4 c12 c0 d0 = (2 c0 c1)(2 d0 c1) = (c13 + p c1q)(c13 + p c1 + q)

であるから

c12( c12 + p)2 - q2 = 4 c12 r

という、c1かんするろく方程式ほうていしきられる。偶数ぐうすうこうしかいので u = c12 とでもおけば

u( u + p)2q2 = 4 r u

という uかんするさん方程式ほうていしきられる。この方程式ほうていしきは、フェラーリの方法ほうほうたのとおなさん分解ぶんかい方程式ほうていしきであり、これをくことによって、もと方程式ほうていしきかいられる。

オイラーの方法ほうほう

編集へんしゅう

レオンハルト・オイラーは、さん方程式ほうていしきよん方程式ほうていしき解法かいほうをいくつか発見はっけんした。ここにべる方法ほうほうオイラーの方法ほうほうばれる解法かいほうひとつである。

(x + a + b + c) (x + abc) (xa + bc) (xab + c)
= {(x + a)2 − (b + c)2}{(xa)2 − (bc)2}
= (x2a2)2 + (b2c2)2 − (x + a)2 (bc)2 − (xa)2 (b + c)2
= x4 + a4 + b4 + c4 − 2 (x2 a2 + x2 b2 + x2 c2 + a2 b2 + b2 c2 + c2 a2) + 8 x a b c
= x4 − 2 (a2 + b2 + c2) x2 + 8 a b c x + a4 + b4 + c4 − 2 (a2 b2 + b2 c2 + c2 a2)

という等式とうしきもちいると、x未知数みちすうとするよん方程式ほうていしき

x4 − 2 (a2 + b2 + c2) x2 + 8 a b c x + a4 + b4 + c4 − 2 (a2 b2 + b2 c2 + c2 a2) = 0

の4かい

abc, − a + b + c, ab + c, a + bc

であることがかる。

この方程式ほうていしきと、3 こうえたよん方程式ほうていしき

x4 + p x2 + q x + r = 0

係数けいすうくらべ、p, q, r から a, b, cもとめることができれば、3 こうえたよん方程式ほうていしきかいうえにあるように 4 つもとまる。

実際じっさい係数けいすうくらべてみれば

p = − 2 (a2 + b2 + c2)
q = 8 a b c
r = a4 + b4 + c4 − 2 (a2 b2 + b2 c2 + c2 a2) = (a2 + b2 + c2)2 − 4 (a2 b2 + b2 c2 + c2 a2)

ここで f0 = (2a)2, f1 = (2b)2, f2 = (2c)2 とおけば

f0 + f1 + f2 = −2p
f0 f1 + f1 f2 + f2 f0 = p2 − 4 r
f0 f1 f2 = q2

となり、係数けいすう関係かんけいにより f0, f1, f2さん方程式ほうていしき

u3 + 2 p u2 + (p2 − 4 r) uq2 = 0

かいであり、これもフェラーリの方法ほうほうあらわれたさん分解ぶんかい方程式ほうていしきである。このさん方程式ほうていしきくことによって a, b, cられる。

ラグランジュの方法ほうほう

編集へんしゅう

ジョゼフ=ルイ・ラグランジュは、すでられていたさん方程式ほうていしきよん方程式ほうていしき解法かいほうを、いろいろな視点してんからくわしく調しらげた。ここでべるのは、ラグランジュによるフェラーリの方法ほうほう解釈かいしゃくであり、現代げんだいてきえば対称たいしょうぐんもちいた方法ほうほうである。

フェラーリの方法ほうほうにおいて、よん方程式ほうていしき

y4 + p y2 + q y + r = 0

かたち変形へんけいされる。この方程式ほうていしきの 4 つのかいr0, r1, r2, r3 とする。さん分解ぶんかいしきくことでよん方程式ほうていしきは、 2 つの方程式ほうていしき

 

分解ぶんかいすることができた。

 

は、もとよん方程式ほうていしきの 4 つのかいのうちの 2 つをかいとするが、これをとりあえず r0, r1 の 2 つとしたとき、

 

かいr2, r3 となり、係数けいすう関係かんけいから

 
 

したがって

(r0 + r1) (r2 + r3) = − u

便宜上べんぎじょう

 

かいr0, r1 としたが、かいならかたはいろいろかんがえられる。 rmrnえる互換ごかんσしぐまm,nけば、たとえば

σしぐま0,1 (r0 + r1) (r2 + r3) = (r0 + r1) (r2 + r3)
σしぐま0,2 (r0 + r1) (r2 + r3) = (r2 + r1) (r0 + r3)

など、一般いっぱんにはことなるることになる。このように調しらべていくと 4 つのかいならかたは 4! = 24 とおりあるが

(r0 + r1) (r2 + r3) = − u

は、最初さいしょかいならかたによって

s0 = (r0 + r1) (r2 + r3)
s1 = (r0 + r2) (r1 + r3)
s2 = (r0 + r3) (r1 + r2)

の 3 とおりとなる。

たとえば、互換ごかん σしぐま0,1作用さようさせると、

σしぐま0,1 s0 = s0
σしぐま&0,1 s1 = s2
σしぐま0,1 s2 = s1

となる。

一般いっぱんに、互換ごかん σしぐまm,ns0, s1, s2ならえしかしないため s0, s1, s2かんする基本きほん対称たいしょうしき

s0 + s1 + s2
s0 s1 + s1 s2 + s2 s0
s0 s1 s2

は、互換ごかん σしぐまm,n によって不変ふへんであり、 r0, r1, r2, r3基本きほん対称たいしょうしきけることになる。

すなわち s0, s1, s2基本きほん対称たいしょうしきは、最初さいしょかんがえたよん方程式ほうていしき係数けいすう p, q, rける。

以上いじょうのことから

u = − (r0 + r1) (r2 + r3)

は、ならかたによって 3 つのs0, − s1, − s2 をとり、これらをかいとする方程式ほうていしき

(u + s0) (u + s1) (u + s2) = 0

左辺さへんu についての多項式たこうしきとして展開てんかいすると、その係数けいすうp, q, r多項式たこうしきとしてけるしきである。この uかんするさん方程式ほうていしきこそ、フェラーリの方法ほうほうさん分解ぶんかい方程式ほうていしきとしてもとめられた方程式ほうていしきならない。

このようにしてラグランジュは、よん方程式ほうていしきくための補助ほじょ方程式ほうていしきであるさん分解ぶんかい方程式ほうていしきかいが、もとよん方程式ほうていしきかい多項式たこうしきけることを発見はっけんし、補助ほじょ方程式ほうていしき次数じすうさんである理由りゆうを、置換ちかんという立場たちばからはっきりとしめした。

このようなしきほかにもあり

 
 
 

とすれば、 かいとするさん方程式ほうていしきよん方程式ほうていしきくこともできる。ラグランジュは補助ほじょ方程式ほうていしきかいもちいて、問題もんだい方程式ほうていしきかい公式こうしき表現ひょうげんするのとはぎゃくに、補助ほじょ方程式ほうていしきかいを、もと方程式ほうていしきかい整式せいしき(あるいは一般いっぱん有理ゆうりしき)としてけることが代数だいすうてきける理由りゆうかんがえ、とく

 

かたちしき、さらに一般いっぱんに、n方程式ほうていしきであれば 1の原始げんしn もちいて

 

かたちしき性質せいしつくわしく調しらべたが、以上いじょう代数だいすう方程式ほうていしき代数だいすうてき解法かいほう発見はっけんにはいたらなかった。このかたちしきラグランジュの分解ぶんかいしき (Lagrange resolvent) という。 以上いじょう代数だいすう方程式ほうていしき代数だいすうてき解法かいほう存在そんざいについては、パオロ・ルフィニオーギュスタン=ルイ・コーシーニールス・アーベルらの研究けんきゅうアーベル-ルフィニの定理ていりとして結実けつじつし、否定ひていされることになるが、かれらの研究けんきゅうは、このようなラグランジュの研究けんきゅう源流げんりゅうとしている。

かい公式こうしき全文ぜんぶん

編集へんしゅう

4方程式ほうていしき

 

かい公式こうしき以下いかとおりである:

 
 
 
 

しき一部いちぶえたことにより簡略かんりゃくしたもの

 

実際じっさいおう用例ようれい

編集へんしゅう

ガロアぐん

編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ Rees, E. L. (1922). “Graphical Discussion of the Roots of a Quartic Equation”. The American Mathematical Monthly 29 (2): 51-55. doi:10.2307/2972804. JSTOR 2972804. 
  2. ^ Charles Hermite (1858). “Sur la résolution de l'équation du cinquième degré”. Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences 46: 508–515. https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k3003h/f508.image.langEN. 

外部がいぶリンク

編集へんしゅう
  • Weisstein, Eric W. "Quartic Equation". mathworld.wolfram.com (英語えいご).
  • よん方程式ほうていしき』 - コトバンク
  • よん方程式ほうていしきかい - こう精度せいど計算けいさんサイト