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国号 - Wikipedia

国号こくごう

くに名称めいしょう称号しょうごう

国号こくごう(こくごう)とは、おもくに称号しょうごう、あるいは名称めいしょうのこと[1]。2とおりの意味いみにおいて使用しようされており、1つは「帝国ていこく」、「王国おうこく」、「だい公国こうこく」、「公国こうこく」、「首長しゅちょうこくこうこく)」、「共和きょうわこくみんこく)」などの統治とうち体制たいせい政体せいたい)をあらわ部分ぶぶんふくめたくに名称めいしょう用法ようほうであり、もう1つは政体せいたいのぞいた固有名詞こゆうめいし部分ぶぶんのみを用法ようほうである。

政体せいたいふくめない用例ようれいとしては「韓国かんこく国号こくごうあらため朝鮮ちょうせんしょうスルノけん」(明治めいじ43ねんみことのりれいだい318ごう)がある。どうみことのりれいは「韓国かんこく国号こくごうあらためしかこん朝鮮ちょうせんしょうス」としており、政体せいたい当時とうじ韓国かんこく帝政ていせいいていた帝国ていこく)をふくめないで国号こくごうというかたりもちいている。なお、韓国かんこく併合へいごうせきスル条約じょうやく明治めいじ43ねん条約じょうやくだい4ごう)ではたがいの国名こくめいを「日本にっぽんこく韓国かんこく」と表記ひょうきしているが、それをさかのぼにちかん議定ぎていしょ1904ねん2がつ23にち)ではたがいの国名こくめいを「大日本帝国だいにっぽんていこく大韓たいかん帝国ていこく」としている。

日本にっぽん国号こくごう

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大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう原本げんぽんしるされた国号こくごう
 
韓国かんこく併合へいごうせきスル条約じょうやく」にかんするかんようへの全権ぜんけん委任いにんじょう文中ぶんちゅうでの日本にっぽん国号こくごうは4ぎょうは「大日だいにち本國ほんごく」、7ぎょうでは「大日本帝國だいにっぽんていこく」となっている。

政体せいたいふくめない日本にっぽん国号こくごうは、「日本にっぽん」である。この用例ようれい最初さいしょ確実かくじつなものとしては、一般いっぱんてきには大宝たいほう元年がんねん701ねん施行しこう大宝たいほう律令りつりょうの「明神みょうじん御宇ぎょう日本にっぽん天皇てんのう(あきつみかみとあめのしたしらすやまとのすめらみこと)」がそれとされている。『日本書紀にほんしょき』(養老ようろう4ねん720ねん完成かんせい)では大化たいか元年がんねん7がつ645ねん8がつ)のじょうに、高句麗こうくり百済くだら使者ししゃしめしたみことのりに「明神みょうじん御宇ぎょう日本にっぽん天皇てんのう」の文言もんごんている。また最初さいしょ徴候ちょうこうとしては、有名ゆうめい中国ちゅうごくずいしょ大業おおわざ3ねん607ねん)の「日出ひのでづるしょ天子てんし」があげられる。朝鮮半島ちょうせんはんとう史書ししょにおいては『さん国史こくし』(12世紀せいき編纂へんさん)「しん本紀ほんぎ」の文武ぶんぶおう10ねん12月(671ねん1がつじょうに、「倭国わのくにごう日本にっぽんさらむ。みずかう、日出ひのでづるにちかきをもっす」とある。

飛鳥あすかいけ遺跡いせき出土しゅつど天武てんむ6ねん677ねんめい木簡もっかんから、このころ天皇てんのうごうすで使用しようされていることがかっている。「天皇てんのうごう使用しようと「日本にっぽんごう使用しようは軌をおなじくするとみられている。平成へいせい23ねん2011ねん)7がつ禰軍という百済くだらひと武将ぶしょう墓誌ぼしに「日本にっぽん」の文字もじつかったという論文ろんぶん中国ちゅうごく発表はっぴょうされた。墓誌ぼし678ねん制作せいさくかんがえられており、事実じじつなら日本にっぽんという国号こくごうしるされたもっとふるれいとなる[2]

中世ちゅうせい日本にっぽんでは、「大日だいにち本国ほんごく」を「大日だいにち如来にょらい本国ほんごく」の解釈かいしゃくしており、『しゃく日本にっぽんまきだいにもこのせつ記述きじゅつされている[3]

近代きんだい以降いこう日本にっぽん国号こくごうについては、これを正面しょうめんからさだめた法令ほうれいはないが、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうしたでは「大日本帝国だいにっぽんていこく」、日本国にっぽんこく憲法けんぽうしたでは「日本にっぽんこく」が国号こくごうとして使用しようされる[4][5]明治めいじ4ねん1871ねん)に鋳造ちゅうぞうされた国璽こくじには「だい日本にっぽん國璽こくじ」ときざまれ、明治めいじ7ねん1874ねん)の改鋳かいちゅうさいしてもしるしぶん変更へんこうされず、今日きょういたるまで使用しようされている。

明治維新めいじいしん以降いこう日本にっぽん国内こくない国外こくがいけの各種かくしゅ文書ぶんしょにおいて自国じこく国号こくごう統一とういつせず、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう制定せいてい以後いごも「日本にっぽん日本にっぽんこく日本にっぽん帝國ていこくだい日本にっぽんこく大日本帝國だいにっぽんていこく、Japan」など各種かくしゅのものを併用へいようしていた[注釈ちゅうしゃく 1]。このような実際じっさい国号こくごう使用しよう統一とういつせいはなかったが、昭和しょうわ10ねん1935ねん)に帝国ていこく議会ぎかい国号こくごう統一とういつ問題もんだいとしてげられ、7がつ外務省がいむしょうでは外交がいこう文書ぶんしょじょう国号こくごうを「大日本帝國だいにっぽんていこく」に統一とういつすることを決定けっていし、みや内省ないせい歩調ほちょうわせ同様どうよう国号こくごう表記ひょうきもちいることとなった[6][注釈ちゅうしゃく 2]

昭和しょうわ21ねん1946ねん公布こうふ日本国にっぽんこく憲法けんぽうでは、「日本にっぽんこく」(原文げんぶんでは日本にっぽんこく)というかたりもちいられている。

中国ちゅうごく国号こくごう

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ぜん近代きんだい中国ちゅうごくにおいては、中原なかはら部族ぶぞく国家こっか国号こくごういちであり、中原ちゅうげん民族みんぞく国家こっか国号こくごうであるという意識いしきがあった[7]。そのため、こうかんから南北なんぼくあさにかけて、日本にっぽんが「やまと」の国号こくごう使節しせつおくることは中国ちゅうごくがわにとって違和感いわかんのあるものであり、むしろ聖徳太子しょうとくたいし国号こくごうを「日本にっぽん」とあらためて国書こくしょおくるのは中国ちゅうごくがわ納得なっとくのいくものであったとする見解けんかいもある[8]

文献ぶんけん情報じょうほう

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  • 国号こくごうる「日本にっぽん」の自己じこ意識いしき前野まえの みち名古屋大学なごやだいがく大学院だいがくいん国際こくさい文化ぶんか研究けんきゅう 言語げんご文化ぶんか研究けんきゅう叢書そうしょだい5ごう(2006ねん3がつ)「日本にっぽんぞうさぐる」 )[1]
  • 我国わがくに国号こくごう問題もんだいせきスル資料しりょう外務省がいむしょう記録きろく条約じょうやく調印ちょういん批准ひじゅん実施じっし其他ノ先例せんれい雑件ざっけん外務省がいむしょう条約じょうやくきょくだいいち昭和しょうわ11ねん5がつ アジア歴史れきし資料しりょうセンター所収しょしゅう[2]レファレンスコード「B04013401600」で検索けんさく可能かのう

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ たとえば、下関しものせき条約じょうやくでは、天皇てんのうを「だい日本國にっぽんこく皇帝こうてい陛下へいか」と、本文ほんぶんでは「日本にっぽんこく」と、全権ぜんけん弁理べんり大臣だいじん肩書かたがきとしては「大日本帝國だいにっぽんていこく」とそれぞれあらわされていた。
  2. ^ 閣議かくぎ決定けってい天皇てんのう裁可さいか帝国ていこく議会ぎかい議決ぎけつなどによるものではない。

出典しゅってん

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  1. ^ 新村しんむらいずるへん広辞苑こうじえん』1983ねん 岩波書店いわなみしょてん
  2. ^ 日本にっぽん呼称こしょう最古さいこれいか 678ねん墓誌ぼし?中国ちゅうごく発見はっけん - 文化ぶんか - 朝日新聞あさひしんぶん 2011ねん10がつ22にち
  3. ^ 遠藤えんどう慶太けいたろく国史こくし -日本書紀にほんしょきはじまる古代こだいの「正史せいし」』 中公新書ちゅうこうしんしょ 2016ねん p.189.
  4. ^ 大辞林だいじりん大日本帝国だいにっぽんていこく
  5. ^ 名古屋大学なごやだいがく 前野まえのみち言語げんご文化ぶんか研究けんきゅう叢書そうしょだい5ごう(2006ねん3がつ)「日本にっぽんぞうさぐる」 国号こくごう日本にっぽん自己じこ意識いしき
  6. ^ 我国わがくに国号こくごう問題もんだいせきスル資料しりょう外務省がいむしょう記録きろく条約じょうやく調印ちょういん批准ひじゅん実施じっし其他ノ先例せんれい雑件ざっけん外務省がいむしょう条約じょうやくきょくだいいち昭和しょうわ11ねん5がつ アジア歴史れきし資料しりょうセンター所収しょしゅう
  7. ^ ちん舜臣しゅんしん中国ちゅうごく歴史れきしシリーズ 中国ちゅうごく歴史れきし)』 講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ 1997ねん pp.96 - 97.
  8. ^ どう中国ちゅうごく歴史れきしシリーズ 中国ちゅうごく歴史れきし)』 講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ 1997ねん p.97.

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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