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大マゼラン雲 - Wikipedia

だいマゼランくも

かじきからテーブルさんにかけて位置いちする銀河ぎんが
だいマゼラン星雲せいうんから転送てんそう

だいマゼランくも(だいマゼランうん)[4][5][6]えい: Large Magellanic Cloud, LMC) は、かじきからテーブルさんにかけて位置いちする、ほし星雲せいうん集合しゅうごうたいである銀河ぎんがである。

だいマゼランくも
Large Magellanic Cloud
星座せいざ かじきテーブルさん
かけの等級とうきゅう (mv) 0.9m[1]
直径ちょっけい 10.75°× 9.17°
(650′× 550′)[1]
やく42平方へいほう[2]
満月まんげつやく20ばい
分類ぶんるい SB(s)m かた[1]
位置いち
もと:J2000.0
あかけい (RA, αあるふぁ) 05h 23m 34.5s[1]
あかぬき (Dec, δでるた) -69°45′22″[1]
距離きょり 16.30まん光年こうねん
(49.97 kpc[3]
物理ぶつりてき性質せいしつ
直径ちょっけい 1.5まん 光年こうねん
太陽たいようとの相対そうたい質量しつりょう 10 ×1010
カタログでの名称めいしょう
ESO 56- G 115,
ESO 052400-6948,
ESO-LV 0561150,
RC1 A0524,
RC2 A0524-69,
PGC 17223,
電波でんぱげんとして)
GLXY G279.0-34.4+262,
ガンマ線がんませんみなもととして)
2EG J0532-6914,
3EG J0533-6916,
GEV J0543-7031[1]
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解説かいせつ

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Sm がたぼう渦巻うずまき銀河ぎんが[5]とされるが、Irr-I がた不規則ふきそく銀河ぎんが分類ぶんるいされることもある。しょうマゼランくもとともにそらかわ銀河ぎんがばん銀河ぎんがとなっており、アンドロメダ銀河ぎんがなどとともに局所きょくしょ銀河ぎんがぐん構成こうせいしている。南天なんてんにあるため、沖ノ鳥島おきのとりしまなどのごく一部いちぶのぞいて日本にっぽんからはることはできない。南半球みなみはんきゅうでは、かじきテーブルさんにまたがるぼんやりとしたくものようにえる。太陽系たいようけいからおよそ16まん光年こうねん(5まんパーセク)の距離きょり位置いちし、質量しつりょう銀河系ぎんがけいの10ぶんの1程度ていど直径ちょっけい銀河系ぎんがけいの20ぶんの1程度ていど矮小わいしょう銀河ぎんがであり、局所きょくしょ銀河ぎんがぐんなかではアンドロメダ銀河ぎんが (M31)・銀河系ぎんがけいさんかく銀河ぎんが (M33) にぐ4番目ばんめおおきなメンバーである。形態けいたい不規則ふきそく銀河ぎんがであるが、わずかにぼう構造こうぞう渦巻うずまき構造こうぞう痕跡こんせきられる。このことから、かつてはぼう渦巻うずまき銀河ぎんがであったものが、そらかわ銀河ぎんがとの相互そうご作用さようによって変形へんけいけて現在げんざい形状けいじょうになったとかんがえる研究けんきゅうしゃもいる。将来しょうらいてきにはそらかわ銀河ぎんがからはなれていくとかんがえられているが、ぎゃく今後こんご20おくねん以内いないそらかわ銀河ぎんが衝突しょうとつ合体がったいするとするせつもある[7]

ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう使つかって7年間ねんかん観測かんそくおこなった結果けっかだいマゼランくも回転かいてん速度そくど正確せいかく測定そくていされ、その中央ちゅうおうは2おく5000まんねんいちかいころがしていることがわかった[8]

だいマゼランくもには、局所きょくしょ銀河ぎんがぐん銀河ぎんがなかでももっと活発かっぱつスターバースト領域りょういきである散光さんこう星雲せいうんタランチュラ星雲せいうん (NGC 2070) や、1987ねん出現しゅつげんし、宇宙うちゅうニュートリノ検出けんしゅつされた超新星ちょうしんせい SN 1987A[9]存在そんざいする。

呼称こしょう

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だいマゼラン星雲せいうん[10]ばれることもあるが、英語えいごめいの the Large Magellanic Cloud (LMC) の訳語やくごたるため、「- 星雲せいうん」ではなく「- くも」である。日本にっぽん変光星へんこうせい観測かんそくしゃ連盟れんめい (VSOLJ) ローカルでは、さらにこの星雲せいうん銀河ぎんがえただいマゼラン銀河ぎんがという表記ひょうきおこなわれている[11][12][13]ラテン語らてんごめい Nubecula Major。まただいマジェランくも表記ひょうきされたこともある[14]

発見はっけん

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南半球みなみはんきゅうひとたちにとっては有史ゆうし以前いぜんからられており、発見はっけんしゃ特定とくていできない。10世紀せいきイスラーム天文てんもんアル・スーフィー著書ちょしょ恒星こうせいしょ』において、ほぼ北緯ほくい1215ふんにあるバブ・エル・マンデブ海峡かいきょう Babd al Mandab (sic.) をさかいにして、バグダードアラビア北部ほくぶではえないが、アラビアの南部なんぶではえ、al-Bakr (「しろうし」の)とんでいたとしるしている[2]

「- マゼランくも」のは、ポルトガル航海こうかいフェルディナンド・マゼラン1519ねん世界せかい周航しゅうこうにおいて記録きろくしていたことにちなむ。それ以前いぜん航海こうかいしゃは「ケープくも」とんでいた[2]

イタリア航海こうかいアメリゴ・ヴェスプッチ1503ねんから1504ねんにかけてっただい3の航海こうかいにおいて言及げんきゅうしている「3つのカノープス[注釈ちゅうしゃく 1]」の1つがだいマゼランくもではないかとかんがえられている。また、おなじイタリアのアンドレアス・コルサーリ英語えいごばん1517ねん航海こうかいさいえがいたスケッチにもえている。

1603ねんドイツヨハン・バイエル星図せいずウラノメトリア』において Nubecula Major としており、1679ねんフランス宮廷きゅうてい建築けんちくオギュスタン・ロワーエ星図せいずには Nubes Major とある。1801ねんドイツのヨハン・ボーデ星図せいずウラノグラフィア』(Uranographia )においてバイエルを踏襲とうしゅうして Nubecula Major とし、なおかつ独立どくりつした星座せいざ「おおぐも(だいくも」としてあつかっていた[15]

中国ちゅうごく伝統でんとうてき星座せいざ体系たいけいにおけるあつかいについては、中国ちゅうごくではえないので古代こだいからのさんかき二十八宿にじゅうはっしゅくにはふくまれておらず、のち南天なんてん星座せいざきん南極なんきょくほしほしかんとして追加ついかされたなかでは、だいマゼランくも(おおぐも)に相当そうとうするものは「夾白」の採用さいようされた。

だいマゼランくもまでの距離きょり様々さまざま標準ひょうじゅん光源こうげんによって計算けいさんされており、なかでもセファイドがた変光星へんこうせいもちいるものが一般いっぱんてきである。セファイドがた変光星へんこうせいは、平均へいきん光度こうどへんこう周期しゅうきとのあいだに「周期しゅうき-光度こうど関係かんけい」とばれる一定いってい関係かんけいつことがられている[16]。しかしながら、セファイドがた変光星へんこうせい金属きんぞくりょう影響えいきょうけており、金属きんぞくりょうことなるセファイドがた変光星へんこうせい周期しゅうき-光度こうど関係かんけいことなる[16]残念ざんねんなことに、周期しゅうき-光度こうど関係かんけい較正こうせいもちいられるそらかわ銀河ぎんがうち典型てんけいてきなセファイドがた変光星へんこうせいは、だいマゼランくもられるセファイドがた変光星へんこうせいよりも金属きんぞくりょうんでいる[17]

2006ねんには、M106うち様々さまざま金属きんぞくりょうのセファイドがた変光星へんこうせいもちいて、絶対ぜったい光度こうどさい較正こうせいされた[18]。この改良かいりょうされた較正こうせいもちいた研究けんきゅうでは、距離きょり係数けいすう 18.41、または48kpc(やく157,000光年こうねん)という結果けっかている。この距離きょりは、著者ちょしゃによっても確認かくにんされている[19][20]

ことなる測定そくてい方法ほうほう相互そうご相関そうかんさせることで距離きょり限定げんていすることができる。現在げんざいざんは、だいマゼランくも推定すいていサイズよりもちいさい。現代げんだいの8メートルきゅう光学こうがく望遠鏡ぼうえんきょうは、局所きょくしょ銀河ぎんがぐんいたところしょく変光星へんこうせい発見はっけんしてきた。これらのほしけいのパラメータは、質量しつりょう組成そせい仮定かていなしに測定そくてい可能かのうである。また、超新星ちょうしんせいSN 1987Aひかりエコーは、任意にんい恒星こうせいモデルや仮定かてい必要ひつようとしない幾何きかがくてき測定そくていである。

2013ねん3がつネイチャーに、距離きょりをより正確せいかく決定けっていするために赤色あかいろ巨星きょせいによって構成こうせいされるちょう周期しゅうきしょく変光星へんこうせい使用しようした研究けんきゅう結果けっか掲載けいさいされた[3]。この研究けんきゅう結果けっかでは、誤差ごさ2.2%の精度せいどで 49.97kpc(163,000光年こうねん)という距離きょりられている[3]

だいマゼランくもあつかった作品さくひん

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ この「カノープス」は、あかるいほし総称そうしょうであり、りゅうこつαあるふぁほしのことではない。当時とうじあかるいほしのことを「canopus」とんでいた。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f NASA/IPAC Extragalactic Database”. Results for Large Magellanic Cloud. 2008ねん11月28にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c Richard Hinckley Allen (1963ねん). “'Star names: Their Lore and Meaning”. Dover Publications. pp. 294-295. 2016ねん4がつ24にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c Pietrzyński, G. et al. (2013-03). “An eclipsing-binary distance to the Large Magellanic Cloud accurate to two per cent”. Nature 495 (7439): 76-79. arXiv:1303.2063. Bibcode2013Natur.495...76P. doi:10.1038/nature11878. ISSN 0028-0836. http://www.nature.com/articles/nature11878. 
  4. ^ 国立こくりつ天文台てんもんだい へん理科りか年表ねんぴょう 2008年版ねんばん丸善まるぜん、2007ねん11月23にち、131ぺーじISBN 978-4621079027 
  5. ^ a b 川崎かわさきわたるおも星雲せいうん星団せいだん」『天文てんもん年鑑ねんかん 2009年版ねんばんまことぶんどう新光しんこうしゃ、2008ねん11月、309ぺーじISBN 978-4416208199 
  6. ^ 三上みかみ孝雄たかお銀河ぎんが」『天文てんもん観測かんそく年表ねんぴょう 2008年版ねんばんじんしょかん、2007ねん11月、197ぺーじISBN 978-4-8052-0789-5 
  7. ^ 銀河系ぎんがけいだいマゼランくも、20おくねんに「だい衝突しょうとつ」 えい研究けんきゅう”. CNN.co.jp (2019ねん1がつ14にち). 2023ねん8がつ8にち閲覧えつらん
  8. ^ だいマゼランくも、2おく5000まんねんいち回転かいてん”. AstroArts (2014ねん2がつ19にち). 2014ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん
  9. ^ 熊谷くまがいむらさきあさ; 茂山しげやま俊和としかず; 山岡やまおかひとし; 野本のもと憲一けんいち4 ねんたった超新星ちょうしんせい 1987A」『天文てんもん月報げっぽう日本にっぽん天文てんもん学会がっかい、1991ねん2がつ、44ぺーじhttps://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1991/pdf/19910203.pdf2016ねん4がつ24にち閲覧えつらん 
  10. ^ 渡辺わたなべ和郎かずお星図せいず」『天文てんもん年鑑ねんかん 2009年版ねんばんまことぶんどう新光しんこうしゃ、2008ねん11月、329ぺーじISBN 978-4416208199 
  11. ^ 山岡やまおかひとしVSOLJ ニュース』 031かんhttp://mirahouse.jp/vs/vsolj_news/031.html2016ねん4がつ24にち閲覧えつらん 
  12. ^ 山岡やまおかひとしVSOLJ ニュース』 162かんhttp://mirahouse.jp/vs/vsolj_news/162.html2016ねん4がつ24にち閲覧えつらん 
  13. ^ 山岡やまおかひとしVSOLJ ニュース』 188かんhttp://mirahouse.jp/vs/vsolj_news/188.html2016ねん4がつ24にち閲覧えつらん 
  14. ^ 鈴木すずきたかししん天文学てんもんがく辞典じてんじんしょかん、1986ねん、383ぺーじ
  15. ^ Bode, Johann Elert. “Uranographia Sive Astrorum.”. Linda Hall Library, LHL Digital Services.. 2014ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん
  16. ^ a b セファイド”. 天文学てんもんがく辞典じてん. 日本にっぽん天文てんもん学会がっかい (2018ねん9がつ27にち). 2018ねん10がつ10日とおか閲覧えつらん
  17. ^ Mottini, M. et al. (2006). “The chemical composition of Cepheids in the Milky Way and the Magellanic Clouds”. Memorie della Società Astronomica Italiana 77: 156. arXiv:astro-ph/0510514. Bibcode2006MmSAI..77..156M. 
  18. ^ Macri, L. M. et al. (2006). “A New Cepheid Distance to the Maser-Host Galaxy NGC 4258 and Its Implications for the Hubble Constant” (英語えいご). The Astrophysical Journal 652 (2): 1133. arXiv:astro-ph/0608211. Bibcode2006ApJ...652.1133M. doi:10.1086/508530. ISSN 0004-637X. http://stacks.iop.org/0004-637X/652/i=2/a=1133. 
  19. ^ Freedman, Wendy L; Madore, Barry F (2010). “The Hubble Constant”. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 48: 673-710. arXiv:1004.1856. Bibcode2010ARA&A..48..673F. doi:10.1146/annurev-astro-082708-101829. ISSN 0066-4146. 
  20. ^ Majaess, Daniel J. et al. (2010). “Anchoring the Universal Distance Scale via a Wesenheit Template”. JAAVSO 39 (1): 122. arXiv:1007.2300. Bibcode2011JAVSO..39..122M. 
  21. ^ だいマゼランくもあお天体てんたい散開さんかい星団せいだん「NGC 1858」をハッブルが撮影さつえい”. sorae. 2022ねん12月12にち閲覧えつらん
  22. ^ ハッブルが発見はっけん–おとなり銀河ぎんがだいマゼランくも」にある球状きゅうじょう星団せいだんからかる宇宙うちゅう深遠しんえん画像がぞうアリ)”. UchuBiz. 2023ねん12月31にち閲覧えつらん
  23. ^ やく250光年こうねんはばがあるスーパーバブル構造こうぞう輝線きせん星雲せいうん「LHA 120-N 44」【今日きょう宇宙うちゅう画像がぞう”. sorae. 2024ねん4がつ18にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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座標ざひょう:   05h 23m 34.5s, −69° 45′ 22″