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SN 1987A - Wikipedia
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SN 1987A

超新星ちょうしんせい

SN 1987A すなわち1987年ねん超新星ちょうしんせいA は、大だいマゼラン雲くも内うちに発見はっけんされた超新星ちょうしんせいである。初はじめて観測かんそくされたのが1987年ねん2月がつ23日にちであり、これが同年どうねん最初さいしょに観測かんそくされた超新星ちょうしんせいであることから 1987A という符号ふごうが付つけられている。「SN」は「超新星ちょうしんせい」を意味いみする "supernova" の略りゃくである。地球ちきゅうからは16.4万まん光年こうねん離はなれている[3]。23日にち午前ごぜん10時じ30分ふん（UT）に撮影さつえいされた大だいマゼラン雲くもの写真しゃしんに写うつっており、可視かし光こうで捉とらえられたのはこれが最初さいしょとされる。超新星ちょうしんせい発見はっけんの報告ほうこくが最初さいしょになされたのは24日にちのことである。超新星ちょうしんせいの明あかるさは5月にピークを迎むかえ、視み等級とうきゅうにして最大さいだい3等級とうきゅうとなったあと、数ヵ月すうかげつかけて徐々じょじょに減げん光ひからした。肉眼にくがんで観測かんそくされた超新星ちょうしんせいとしては1604年ねんに観測かんそくされた SN 1604（ケプラーの超新星ちょうしんせい）以来いらい383年ねんぶりであり、現代げんだいの天文学てんもんがく者しゃにとっては初はじめて超新星ちょうしんせいを間近まぢかに観察かんさつする機会きかいとなった。

1987年ねん超新星ちょうしんせいA
SN 1987A
SN 1987A周辺の大マゼラン雲と複数のリング構造（右上）
SN 1987A周辺しゅうへんの大だいマゼラン雲くもと複数ふくすうのリング構造こうぞう（右上みぎうえ）
仮かり符号ふごう・別名べつめい SN 1987A[1]
星座せいざ かじき座ざ
見みかけの等級とうきゅう (mv) 2.9[2]
変光星へんこうせい型がた SN
分類ぶんるい II型がた[2]
発見はっけん
発見はっけん日び 1987年ねん2月がつ24日にち（23:00 UTC）
位置いち
元もと期き:J2000.0[1]
赤あか経けい (RA, αあるふぁ)  05h 35m 28.020s[1]
赤あか緯ぬき (Dec, δでるた) −69° 16′ 11.07″[1]
距離きょり 51.4 キロパーセク[要よう出典しゅってん]
168,000光年こうねん[要よう出典しゅってん]
銀河ぎんが 大だいマゼラン雲くも[2]
物理ぶつり的てき性質せいしつ
元もとの恒星こうせい サンデュリーク-69° 202
■Template （■ノート ■解説かいせつ） ■Project

日本にっぽんでは陽子ようし崩壊ほうかいの観測かんそくのために建設けんせつされたカミオカンデがこのニュートリノを捉とらえており、精密せいみつな観測かんそくを行おこなうことができた成果せいかにより建設けんせつを主導しゅどうした東京大学とうきょうだいがく名誉めいよ教授きょうじゅの小柴こしば昌俊まさとしが2002年ねんにノーベル物理ぶつり学がく賞しょうを受賞じゅしょうしている。

SN 1987A の超新星ちょうしんせい爆発ばくはつを起おこした恒星こうせいはサンデュリーク-69° 202という質量しつりょうが太陽たいようの20倍ばいほどの青色あおいろ超ちょう巨星きょせいであることが分わかっている。また爆発ばくはつ後ごには超新星ちょうしんせい残骸ざんがいとして三重みえリング構造こうぞうを持もつ星雲せいうん状じょうの天体てんたいが観測かんそくされている。 この三重みえリングは過去かこに放出ほうしゅつされたガスに光ひかりが反射はんしゃして見みえたものと考かんがえられている。

2024年ねん2月がつ23日にち、超新星ちょうしんせい残骸ざんがいの中心ちゅうしん部ぶに中性子星ちゅうせいしせいが存在そんざいすることを、ジェイムズ・ウェッブ宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによって確認かくにんされた[4]。

観測かんそくされたニュートリノの放出ほうしゅつ

編集へんしゅう

地球ちきゅうに SN 1987A からの可視かし光こうが届とどくおよそ 2 - 3 時じ間あいだ前まえに、ニュートリノのバーストが 3 箇所かしょの別々べつべつに離はなれた場所ばしょのニュートリノ検出けんしゅつ器きで観測かんそくされた。これは星ほしの中心ちゅうしん核かくの崩壊ほうかいと同時どうじに起おきたニュートリノの放出ほうしゅつによるもので、可視かし光こうの放出ほうしゅつに先行せんこうして起おきる現象げんしょうである。可視かし光こうの伝搬でんぱんは崩壊ほうかいの衝撃波しょうげきはが星ほしの表面ひょうめんに達たっした後のちにのみ起おきる遅おそいプロセスである[5]。

1987年ねん2月がつ23日にち午前ごぜん7時じ35分ふん(UCT)、まず日本にっぽんのカミオカンデが 11 個こ、アメリカのIMBが 8 個こ、ロシアのBaksan（英語えいご版ばん）が 5 個この反はんニュートリノを、少すくなくとも 13 秒間びょうかん続つづいたバースト中ちゅうから検出けんしゅつした。その約やく3時じ間あいだ前まえ、CERN のモンブラン観測かんそく所しょにある液体えきたいシンチレーターに 5 個このバーストが観測かんそくされていたが、SN 1987A とは無関係むかんけいとされている[6]。

実際じっさいに観測かんそくされたニュートリノは 24 個こに過すぎなかったが、これはそれまでに観測かんそくされた大気たいきや太陽たいようを起源きげんとしたバックグラウンドレベルからは大幅おおはばに増加ぞうかした。これは超新星ちょうしんせい爆発ばくはつからのニュートリノ放射ほうしゃを直接ちょくせつ観測かんそくとして知しられる初はじめての事例じれいである。ニュートリノ天文学てんもんがくの幕まくを開あけた業績ぎょうせきでもある。宇宙うちゅうから飛来ひらいするニュートリノの観測かんそく例れいとしては太陽たいようニュートリノの観測かんそくが1960年代ねんだいから行おこなわれていたが、ニュートリノの飛来ひらいした方向ほうこう、時刻じこく、エネルギー分布ぶんぷが詳細しょうさいに分析ぶんせきされたのはこの観測かんそくが初はじめてである。

観測かんそく結果けっかは崩壊ほうかいのエネルギーの 99% がニュートリノとして放出ほうしゅつされる[7]という理論りろん的てきな超新星ちょうしんせい爆発ばくはつモデルと矛盾むじゅんがなかった。モデルから見積みつもられたニュートリノの総数そうすうは 1058 個こで、全ぜんエネルギーは 10×1046 J にも及および、これも結果けっかと一致いっちした[8]。

ニュートリノの観測かんそくはフレーバーの数かずや他たの特性とくせいとともにニュートリノの質量しつりょうと電荷でんかに上限じょうげんを与あたえた[6]。例たとえば、電子でんしニュートリノの静止せいし質量しつりょうは 5% 以内いないの誤差ごさで最大さいだい 16 eV であり、これは電子でんしの質量しつりょうの 30 万まん分ぶんの 1 である。観測かんそくデータはニュートリノのフレーバー数すうが最大さいだいで 8 であることも示しめしたが、他たの実験じっけんや観測かんそく結果けっかはより厳密げんみつに見積みつもられている。実験じっけん結果けっかは、太陽たいようニュートリノや大気たいきニュートリノなど人工じんこうニュートリノでの実験じっけんと同様どうように多おおくの慎重しんちょうなニュートリノの厳密げんみつな確認かくにんにより強化きょうかされている。

爆発ばくはつによって生しょうじたエネルギー量りょうは、太陽たいようが45億おく年ねんかけて放出ほうしゅつしてきた全ぜんエネルギーの1000倍ばいの量りょうを僅わずか10秒びょうで放出ほうしゅつしたものと推定すいていされる[9]。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d “SIMBAD Astronomical Database”. Results for SN 1987A. 2016年ねん9月がつ25日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c 『理科りか年表ねんぴょう 国立こくりつ天文台てんもんだい編へん』（平成へいせい25年ねん 第だい86冊さつ）丸善まるぜん出版しゅっぱん、117頁ぺーじ頁ぺーじ。ISBN 978-4-621-08606-3。 
  3. ^ そのため「実際じっさいに超新星ちょうしんせい爆発ばくはつが起おこったのは16万まん年ねん前まえのことである」といったような説明せつめいがされることもあるが、天文学てんもんがく界かいの慣例かんれいとしては、観測かんそくされた時ときを事象じしょうが発生はっせいした時ときとする（こういった天文学てんもんがく的てきな距離きょりといったものは一般いっぱんに、たいした精度せいどで決定けっていできるものではない、といった事情じじょうもある）。
  4. ^ “Uncovered with JWST: A neutron star in the remnant of Supernova 1987A” (英語えいご). EurekAlert!. 2024年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん。
  5. ^ Nomoto, Ken'ichi; Shigeyama, Toshikazu (1987). “Supernova 1987A: Constraints on the Theoretical Model”. In Minas Kafatos; Andrew Michalitsianos. Supernova 1987a in the Large Magellanic Cloud. Cambridge University Press. section 3.2 Shock propagation time. ISBN 0-521-35575-3 
  6. ^ a b Arnett, W.D.; et al. (1989). “Supernova 1987A”. en:Annual Review of Astronomy and Astrophysics 27: 629–700. Bibcode: 1989ARA&A..27..629A. doi:10.1146/annurev.aa.27.090189.003213. 
  7. ^ 国立こくりつ天文台てんもんだい 固かた武たけ慶けい (2011年ねん6月がつ13日にち). “超新星ちょうしんせい爆発ばくはつのかぎをにぎるニュートリノ”. 月刊げっかんJICFuS. 計算けいさん基礎きそ科学かがく連携れんけい拠点きょてん. 2014年ねん7月がつ10日とおか閲覧えつらん。
  8. ^ Improved analysis of SN1987A antineutrino events. G. Pagliaroli, F. Vissani, M.L. Costantini, A. Ianni, Astropart.Phys.31:163-176,2009.
  9. ^ “超新星ちょうしんせいからのニュートリノの検出けんしゅつ”. 大阪大学おおさかだいがく神岡かみおか核かく子こ崩壊ほうかい実験じっけん. 2023年ねん9月がつ1日にち閲覧えつらん。

外部がいぶリンク

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