孫まご禄ろく堂どう

孫まご 禄ろく堂どう（そん ろくどう）は清末きよすえ民みん初はつの武術ぶじゅつ家か。形かたち意い拳けん、八卦はっけ掌てのひらの達人たつじん、孫まご式しき太極拳たいきょくけんの創始そうし者しゃ。諱いみなは福ぶく全ぜん。字じは禄ろく堂どう。道みち号ごうは涵斎。

孫まご禄ろく堂どう
プロフィール
出生しゅっしょう：	1861年ねん（清きよし咸豊11年ねん）
死去しきょ：	1932年ねん（民みん国こく21年ねん） 中華民国ちゅうかみんこく
出身しゅっしん地ち：	清きよし直ちょく隷省保ほ定府じょうふ完かん県けん
職業しょくぎょう：	武術ぶじゅつ家か
各種かくしゅ表記ひょうき
繁体字はんたいじ：	孫まご禄ろく堂どう
簡体字かんたいじ：	孙禄堂どう
拼音：	Sūn Lùtáng
ラテン字じ：	Sun Lu-t'ang
和名わみょう表記ひょうき：	そん ろくどう
発音はつおん転記てんき：	スン ルータン

郭かく雲くも深ふか、尚なお雲くも祥さちと共ともに、後世こうせいの人々ひとびとに形かたち意い拳けんの近世きんせい三さん大名だいみょう手しゅの一人ひとりと賞賛しょうさんされ、 内うち家か三さん拳こぶし（形かたち意い拳けん・八卦はっけ掌てのひら・太極拳たいきょくけん）の融合ゆうごう論ろんを説といた内うち家か拳こぶしを代表だいひょうする達人たつじんの一人ひとりである。

幼おさない頃ころより武術ぶじゅつを好このみ初学しょがくは李り魁いさお元もと（李り奎垣）より形かたち意い拳けんを学まなぶ。

その後ご、李り魁いさお元もとが一身上いっしんじょうの理由りゆうから閉門へいもんすると、李りの師しである郭かく雲くも深ふかより形かたち意い拳けんを学まなび、郭かくの友人ゆうじんであった程ほど廷華からも八卦はっけ掌てのひらを学まなび大成たいせいする。

楊健侯こうの太極拳たいきょくけんに感動かんどうし、武たけ式しき太極拳たいきょくけんの達人たつじん郝為真しんの太極拳たいきょくけんを学まなんだ。

形かたち意い拳けん、八卦はっけ掌てのひら、太極拳たいきょくけんの精髄せいずいを融合ゆうごうし、日々ひび練習れんしゅうを重かさね、独自どくじの孫まご式しき太極拳たいきょくけんを創造そうぞうした。

これにより孫まごは形かたち意い・八卦はっけ・太極たいきょくの三門さんもんの求もとめるところ同おなじであるとの認識にんしきを得えて、 内うち家か三さん拳こぶしの合一ごういつ論ろんを提唱ていしょうするようになる。

1928年ねんには、内うち家か拳けんで最高さいこうの達人たつじんであるとの評価ひょうかを得えて、 中国ちゅうごく武術ぶじゅつの全国ぜんこく的てき統一とういつ組織そしきであった南京なんきん中央ちゅうおう国こく術じゅつ館かんに、武たけ当とう門もん（内うち家か拳こぶし）門もん長ちょうとして招聘しょうへいされるが、間まもなくそれを辞じして江蘇ちぁんすー省しょう国くに術じゅつ館かんに退しりぞき、副ふく館長かんちょう兼けん教務きょうむ主任しゅにんに就任しゅうにんした。

著書ちょしょには「形かたち意い拳こぶし学がく」、「八卦はっけ掌てのひら学がく」、「太極拳たいきょくけん学がく」、「拳こぶし意い述じゅつ真しん」などがある。

その弟子でしには孫まご剣けん雲くも（長女ちょうじょ）、孫まご存そん周しゅう（二男じなん）、胡えびす鳳おおとり山さんなどが著名ちょめいである。

エピソード(伝説でんせつ)

孫まご禄ろく堂どうはずば抜ぬけた身体しんたい能力のうりょくで有名ゆうめいである。活かつ猴(かっこう・いきざる)禄ろく堂どうとの異名いみょうを持もつ。

• 馬うまのしっぽをのせ、一緒いっしょに数すう十じゅうキロ走はしり続つづけた。しっぽを掴つかむのではなく、のせて落おとさないようにするだけであるから速度そくどをきちんと合あわせないとできることではない。しかも走はしりに合あわせて馬うまに飛とび乗のったり飛とび降おりたりしたとも伝つたえられる。
• 壁かべを駆かけ上あがったと思おもいきや天井てんじょう近ちかくでくるりと身みを翻ひるがえし、背中せなかを壁かべにつけた状態じょうたいで落下らっかした。
• 100人にん以上いじょうの村人むらびとの小競こぜり合あいに巻まき込こまれたことがあったが、点てん穴あな術じゅつを用もちいて全員ぜんいんを気絶きぜつさせ騒さわぎを収おさめた。