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実数直線 - Wikipedia

数学すうがくにおける実数じっすう直線ちょくせん(じっすうちょくせん、えい: real line, real number line)は、そのうえかくてん実数じっすうであるような直線ちょくせんである。

実数じっすう直線ちょくせんしき

つまり、実数じっすう直線ちょくせんとは、すべての実数じっすうからなる集合しゅうごう R を、幾何きかがくてき空間くうかん具体ぐたいてきにはいち次元じげんユークリッド空間くうかん)とみなしたものということである。 この空間くうかんベクトル空間くうかん(またはアフィン空間くうかん)や距離きょり空間くうかん位相いそう空間くうかん測度そくど空間くうかんあるいは線型せんけい連続れんぞくたいとしてみることもできる。

たん実数じっすう全体ぜんたい集合しゅうごうとしての実数じっすう直線ちょくせん記号きごう R (あるいは黒板こくばん太字ふとじの ℝ) であらわされるのがふつうだが、それがいち次元じげんのユークリッド空間くうかんであることを強調きょうちょうする意味いみR1かれることもある。

ほんこうでは R位相いそう幾何きかがくてき幾何きかがくてきあるいはじつ解析かいせきてき側面そくめん焦点しょうてんてる。もちろん実数じっすう全体ぜんたいひとつのからだとして代数だいすうがくでも重要じゅうよう意味いみつが、その文脈ぶんみゃくでの R直線ちょくせんとして言及げんきゅうされるのはまれである。そういった観点かんてんふくめた R詳細しょうさい実数じっすうこう参照さんしょうのこと。

線型せんけい連続れんぞくたい

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実数じっすう直線ちょくせん標準ひょうじゅんてき大小だいしょう関係かんけい < による順序じゅんじょかんして線型せんけい連続れんぞくたいである。具体ぐたいてきえば、実数じっすう直線ちょくせん大小だいしょう関係かんけい <かんしてぜん順序じゅんじょ集合しゅうごうであり、またこの順序じゅんじょ稠密ちゅうみつで、上限じょうげん性質せいしつつ。

上記じょうき性質せいしつくわえて、実数じっすう直線ちょくせん最大さいだいもと最小さいしょうもとたない。また、部分ぶぶん集合しゅうごうとして可算かさん稠密ちゅうみつなもの(ようするに有理数ゆうりすう全体ぜんたい)をふくむ。可算かさん稠密ちゅうみつ部分ぶぶん集合しゅうごうち、最大さいだいもと最小さいしょうもとたないような任意にんい線型せんけい連続れんぞくたい実数じっすう直線ちょくせん順序じゅんじょ同型どうけいであるという定理ていりがある。

実数じっすう直線ちょくせん可算かさんくさり条件じょうけん (ccc):

R におけるたがいにまじわらないそらでないひらき区間くかんからなる任意にんいぞく可算かさんである」

満足まんぞくする。順序じゅんじょ集合しゅうごうろんにおいてよくられるススリンの問題もんだいは「最大さいだいもと最小さいしょうもとたず可算かさんくさり条件じょうけん満足まんぞくする線型せんけい連続れんぞくたいR順序じゅんじょ同型どうけいでなければならないか」ということをうものである。そしてこの問題もんだい主張しゅちょうは、集合しゅうごうろん標準ひょうじゅんてき公理系こうりけいとしてもちいられる ZFC から独立どくりつであることがられている。

距離きょり構造こうぞう

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実数じっすう直線ちょくせんじょう距離きょり絶対ぜったい絶対ぜったい

実数じっすう直線ちょくせんは、絶対ぜったい

d(x, y)  =  | xy |

距離きょりとして距離きょり空間くうかんとなる。pR および εいぷしろん > 0たいして、R における p中心ちゅうしんとする εいぷしろん-球体きゅうたいとは、たんひらき区間くかん (pεいぷしろん, p + εいぷしろん) のことである。

実数じっすう直線ちょくせん距離きょり空間くうかんとしていくつか重要じゅうよう性質せいしつつ。

位相いそうてき性質せいしつ

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実数じっすう直線ちょくせんにただひとつの無限むげんとおてんくわえてコンパクトできる。

実数じっすう直線ちょくせんじょうには標準ひょうじゅんてきふたつのたがいに同値どうち方法ほうほう位相いそうれることができる。ひとつは、実数じっすう直線ちょくせんぜん順序じゅんじょ集合しゅうごうであることをもちいて順序じゅんじょ位相いそうれる方法ほうほう。もうひとつはさきべた距離きょりからくる内在ないざいてき距離きょり位相いそうれる方法ほうほうである。R うえのこれらふたつはまったおな位相いそうさだめる。位相いそう空間くうかんとしては、実数じっすう直線ちょくせんひらけ区間くかん (0, 1)同相どうしょうである。

実数じっすう直線ちょくせんあきらかにいち次元じげん位相いそう多様たようたいである。同相どうしょうちがいをのぞいて境界きょうかいのないいち次元じげん多様たようたい種類しゅるいしかなく、実数じっすう直線ちょくせん R1 のほかは円周えんしゅう S1 である。実数じっすう直線ちょくせんには標準ひょうじゅんてき微分びぶん構造こうぞうはいるから、微分びぶん多様たようたいにすることができる(位相いそう空間くうかんとしての構造こうぞううえ微分びぶん構造こうぞう微分びぶん同相どうしょうちがいをのぞいてひとつしかない)。

実数じっすう直線ちょくせん局所きょくしょコンパクトかつパラコンパクトであり、まただい可算かさんかつ正規せいき空間くうかんである。また弧状こじょう連結れんけつであり、したがって連結れんけつである一方いっぽうで、任意にんいいちてんのぞくだけで連結れんけつにすることができる。また実数じっすう直線ちょくせんちぢみであり、そのホモトピーぐんおよび簡約かんやくホモロジーぐんはすべてれいとなる。

局所きょくしょコンパクト空間くうかんとしての実数じっすう直線ちょくせんはいくつかの方法ほうほうでコンパクトすることができる。Rいちてんコンパクト円周えんしゅうじつ射影しゃえい直線ちょくせん)であり、くわえられたてん符号ふごうなしの無限むげんだいかんがえることができる。べつ方法ほうほうで、実数じっすう直線ちょくせんふたつの端点たんてんくわえてられるはしコンパクト拡大かくだい実数じっすう直線ちょくせん [−∞, +∞]ばれる。ほかにも、実数じっすう直線ちょくせん無限むげんてんくわえるストーン-チェックコンパクトなどがある。

文脈ぶんみゃくによっては実数じっすう全体ぜんたい集合しゅうごうじょう標準ひょうじゅんことなる位相いそうたとえばしも極限きょくげん位相いそうザリスキー位相いそう)をれるほうが有効ゆうこうであることもある。Rたいするザリスキー位相いそう有限ゆうげん位相いそうおなじになる。

線型せんけい構造こうぞう

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実数じっすう直線ちょくせんは、実数じっすう全体ぜんたいからだ R(つまり自分じぶん自身じしん)のうえいち次元じげんベクトル空間くうかんである。このベクトル空間くうかん標準ひょうじゅん内積ないせきち、ユークリッド空間くうかん構造こうぞうしめす(ここでいう内積ないせきたん実数じっすう通常つうじょう乗法じょうほうのことである)。R うえ標準ひょうじゅんノルム絶対ぜったいならない。

測度そくど空間くうかんとしての性質せいしつ

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実数じっすう直線ちょくせんにはルベーグ測度そくどという標準ひょうじゅんてき測度そくどれることができる。ルベーグ測度そくどR うえボレル測度そくど区間くかん測度そくど区間くかんながさであるものとしてさだめられる測度そくど)の完備かんびとして定義ていぎすることができる。

実数じっすう直線ちょくせんじょうのルベーグ測度そくど局所きょくしょコンパクトぐんうえハール測度そくどのもっとも簡単かんたんれいのひとつである。

関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Munkres, James (1999). Topology (2nd ed.). Prentice Hall. ISBN 0-13-181629-2 
  • Walter Rudin, Real and Complex Analysis, McGraw-Hill, 1966, ISBN 0-07-100276-6.