職業しょくぎょう（しょくぎょう、英えい: 主おもにoccupation、他たにprofessionやvocationなど[1]）は、生計せいけいを維持いじするために、人ひとが日々ひび従事じゅうじする仕事しごと[2][3]。社会しゃかい的てき分業ぶんぎょうの成立せいりつしている社会しゃかいにおいて生活せいかつを営いとなむ人々ひとびとが、それにつくことによって、その才能さいのうと境遇きょうぐうに応おうじた社会しゃかい的てき役割やくわりを分担ぶんたんし、これを継続けいぞく的てきに遂行すいこうし実現じつげんしつつ、その代償だいしょうとして収入しゅうにゅうを得えて生活せいかつに必要ひつような品々しなじなを獲得かくとくする、継続けいぞく的てきな活動かつどう様式ようしき[1]。生業せいぎょう（すぎわい、（せいぎょう、なりわい）とも。短みじかく職しょく（しょく）とも。
人間にんげんの社会しゃかいの中なかでは、まず食料しょくりょうの収集しゅうしゅう・栽培さいばい・収穫しゅうかくに携たずさわる、狩猟しゅりょう・農業のうぎょう・漁業ぎょぎょうといった第だい一いち次じ産業さんぎょうが職業しょくぎょうとして誕生たんじょうし、そして食品しょくひんの加工かこうから、その運搬うんぱん・交換こうかんとして経済けいざい活動かつどうに関係かんけいした職業しょくぎょうが始はじまり、工場こうじょう制せい手工業しゅこうぎょうなどの産業さんぎょう革命かくめいにより、工場こうじょう労働ろうどう（製造せいぞう業ぎょう）、労働ろうどう管理かんりといった新あらたな職業しょくぎょう（第だい二に次じ産業さんぎょう）が近代きんだいの職業しょくぎょうを彩いろどった。
19世紀せいきから20世紀せいきにかけては、さらに各種かくしゅサービス業ぎょうや知的ちてき専門せんもん職しょくといった第だい三さん次じ産業さんぎょうに属ぞくする職業しょくぎょうがさらに発展はってんした。
職業しょくぎょうは生活せいかつを支ささえているだけではなく、それに従事じゅうじする各人かくじんの精神せいしん的てきな支ささえともなっている事ことが多おおい。それは、職業しょくぎょう上じょう高たかい地位ちいを得えた者ものだけが享受きょうじゅしているのではない。職業しょくぎょうに従事じゅうじできている、経済けいざい的てきに自立じりつしている、という事こと自体じたいが、無意識むいしき的てきではあるものの個人こじんの尊厳そんげんを支ささえている面めんがあるのである。このため、職業しょくぎょうを失うしなってしまうこと（失業しつぎょう）は、経済けいざい的てきな面めんだけでなく、精神せいしん的てきな面めんにも悪影響あくえいきょうを及およぼし、うつ病びょうや自殺じさつの要因よういん・誘因ゆういんとなる事ことも稀まれではない。
そのため、政府せいふは、経済けいざい的てきな観点かんてんからだけでなく、国民こくみんの（心しんの）健康けんこうの維持いじのためにも、失業しつぎょう率りつを低ひくく抑おさえるようにつとめるべきだということは言いわれている。WHOの健康けんこうの定義ていぎにも、精神せいしん的てきな要素ようそに加くわえて、経済けいざい状況じょうきょうの要素ようそが盛もり込こまれている。
ワーク・ライフ・バランスとは日本語にほんごでは「仕事しごとと生活せいかつの調和ちょうわ」とも表現ひょうげんされるものである。職業しょくぎょう人じんとしての時間じかんと、家庭かてい人じん（あるいはひとりの人間にんげん）としての時間じかんのバランスのことである。
一部いちぶの例外れいがいを除のぞいて、ほとんどの職業しょくぎょう（仕事しごと）には何なんらかのストレスがつきまとっている。適度てきどなストレスはそれを克服こくふくしようとする個人こじんの人間にんげん力りょくや能力のうりょくの拡大かくだいを促うながすきっかけとなるが、過度かどのストレスは体調たいちょう・健康けんこうに悪影響あくえいきょうが出でる。ストレス対策たいさくには、「気持きもちの切きり替かえ」をうまく行おこなったり「心しんのゆとり」を持もつことが有効ゆうこうである。過剰かじょうな残業ざんぎょうや休日きゅうじつ出勤しゅっきんは精神せいしん疾患しっかんの温床おんしょうとなることは指摘してきされている（起おきている時間じかんのほとんどすべてが職業しょくぎょうのための時間じかんとなると、ストレスが大おおきくなりすぎるのである）。職場しょくばを離はなれた場ばで、友人ゆうじんと本音ほんねで話はなしあったり、家族かぞくと気持きもちを通かよわせたり、気分きぶんのリフレッシュにつながる趣味しゅみの時間じかんを持もつことは、人ひとが健康けんこうでいるためには必要ひつようであることは言いわれるようになり、過度かどな残業ざんぎょう・休日きゅうじつ出勤しゅっきんをさせ従業じゅうぎょう員いんの健康けんこうを害がいした企業きぎょうは賠償ばいしょう請求せいきゅうをされるケースも出でてきている。そのため残業ざんぎょう・休日きゅうじつ出勤しゅっきんを減へらす工夫くふうをする企業きぎょうも次第しだいに増ふえてきている。
