山やま濤

山やま濤（さんとう、建たて安やすし10年ねん（205年ねん）- 太ふと康やすし4年ねん1月がつ18日にち（283年ねん 3月3日にち））は、後こう漢かん末すえ年ねんの三さん国こく時代じだいの魏たかしおよび西にし晋すすむの文人ぶんじん。字じは巨きょ源げん。司つかさ隸河内かわち郡ぐん懐ふところ県けん（現在げんざいの河南かなん省しょう焦こげ作市さくいち武たけ陟のぼる県けん）の人ひと。祖父そふは山本やまもと。父ちちは山やま曜。子こは山やま該・山やま淳あつし・山やま允まこと・山やま謨・山やま簡。張ちょう春華はるかは従したがえ母はは（父ちちの従姉妹いとこ）であり、司馬しば師し・司馬しば昭あきら・司馬しば榦らの又従兄弟またいとこである。唐とう末すえの山行さんこう章あきらは山やま濤の後裔こうえいと称しょうした。

概要がいよう

山やま濤（左ひだり）と王おう戎えびす
（4世紀せいきのレリーフ）

幼少ようしょう時じに父ちちを亡なくしたため、貧窮ひんきゅうした生活せいかつを送おくった。老ろう荘そう思想しそうに耽ふけって嵆康・阮籍らと交遊こうゆうし、竹林ちくりんの七なな賢けんの一人ひとりとなった。40歳さいを過すぎて官途かんとについて司馬しば氏しに属ぞくしたため、嵆康を朝廷ちょうていに推薦すいせんした時ときに「與あずか山やま巨きょ源げん絶交ぜっこう書しょ」（山やま巨きょ源げんに与あたえる絶交ぜっこう書しょ）を突つき付つけられた。しかし、嵆康の刑死けいしの際さいには息子むすこの行ゆく末すえを託たくされた事ことからみても、彼かれらの友情ゆうじょうは変かわらなかったものと思おもわれる。

曹爽の台頭たいとうにより隠棲いんせいするが、曹爽が司馬しば懿のクーデターで粛清しゅくせいされると再ふたたび出仕しゅっしした。

咸熙元年がんねん（264年ねん）、又従兄弟またいとこの司馬しば昭あきらが鍾会の謀反むほん鎮圧ちんあつのため洛陽らくようを離はなれると、山やま濤を行軍こうぐん司馬しばに任にんじ、鄴の警護けいごをさせた。簒奪さんだつを目前もくぜんに控ひかえた司馬しば昭あきらは、曹氏一族いちぞくを鄴に軟禁なんきんしていた。山やま濤は司馬しば氏しの親戚しんせきとしてその監視かんしを任まかされた。

西にし晋すすむ代だいになって、吏部尚書しょうしょ・太子たいし少しょう傅でんを歴任れきにんするなど栄達えいたつし、79歳さいのとき司つかさ徒とになった。嵆紹を推挙すいきょしたり、諸しょ葛かずら京きょうを東宮とうぐう舎人とねりに推挙すいきょしたりしている。同年どうねんに逝去せいきょすると康かんと諡おくりなされた。