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微小管 - Wikipedia

微小びしょうかん(びしょうかん、えい: microtubuleマイクロチューブル)は、細胞さいぼうなかいだされる直径ちょっけいやく 25 nm のかんじょう構造こうぞうであり、おもチューブリンばれるタンパク質たんぱくしつからなる。細胞さいぼう骨格こっかく一種いっしゅ細胞さいぼう分裂ぶんれつさい形成けいせいされる分裂ぶんれつ装置そうちほしじょうからだ紡錘ぼうすいたい染色せんしょくたいをまとめてこうぶ。ほしじょうたい紡錘ぼうすいたい中心ちゅうしんたい微小びしょうかんふく合体がったいそのものをその形態けいたいからこうんだ)の主体しゅたいは、この微小びしょうかんである。

細胞さいぼう生物せいぶつがく
動物どうぶつ細胞さいぼうしき
典型てんけいてき動物どうぶつ細胞さいぼう構成こうせい要素ようそ:
  1. かく小体こてい
  2. 細胞さいぼうかく
  3. リボソーム (5の一部いちぶとしててんしめす)
  4. しょう
  5. あらめんしょう胞体
  6. ゴルジたい (またはゴルジ装置そうち)
  7. 細胞さいぼう骨格こっかく (微小びしょうかん, アクチンフィラメント, 中間ちゅうかんみちフィラメント)
  8. すべりめんしょう胞体
  9. ミトコンドリア
  10. えき
  11. 細胞さいぼうしつ基質きしつ (細胞さいぼうしょう器官きかんふく液体えきたい。これをもと細胞さいぼうしつ構成こうせいされる)
  12. リソソーム
  13. 中心ちゅうしんたい

微小びしょうかん構造こうぞう

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うえからチューブリンりょうたい、プロトフィラメント、微小びしょうかんひだり側面そくめんみぎ断面だんめん

チューブリンにはαあるふぁ, βべーた, γがんま, δでるたなどの種類しゅるいがあることがられているが、微小びしょうかんおもに、αあるふぁチューブリンとβべーたチューブリンが結合けつごうしたヘテロりょうたい(ヘテロダイマー)を基本きほん単位たんいとして構成こうせいされる。αあるふぁ, βべーたチューブリンからなるヘテロりょうたい繊維状せんいじょうにつながったものをプロトフィラメントとび、これが螺旋らせんかたちで11-16ほん程度ていどあつまって管状かんじょう構造こうぞうったものが微小びしょうかんである。細胞さいぼうちゅういだされる微小びしょうかんおもなものは13ほんのプロトフィラメントからなり、直径ちょっけいやく25nmである。また、むち繊毛せんもうにはダブレット、トリプレットとばれる2ほんまたは3ほん微小びしょうかん融合ゆうごうした構造こうぞういだされる。

細胞さいぼうちゅう微小びしょうかん表面ひょうめんには微小びしょうかん結合けつごうタンパク質たんぱくしつ (MAPs) とばれるタンパク質たんぱくしつ結合けつごうしている。これらの結合けつごうタンパク質たんぱくしつ種類しゅるい神経しんけい細胞さいぼうむち繊毛せんもう紡錘ぼうすいたいなど、組織そしき微小びしょうかん機能きのうによってことなっており、微小びしょうかん機能きのう調節ちょうせつしているとかんがえられている。チューブリンとこの微小びしょうかん結合けつごうタンパク質たんぱくしつふく合体がったい広義こうぎには微小びしょうかんぶ。

微小びしょうかん伸長しんちょう

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微小びしょうかんには方向ほうこうせいがあり、チューブリンりょうたい付加ふかしやすいがわを+(プラス)はし解離かいりしやすいがわを-(マイナス)はしぶ(微小びしょうかんはチューブリンの付加ふかにより伸長しんちょうし、解離かいりにより短縮たんしゅくされる)。+はしと-はしでは付加ふか速度そくどばい程度ていどちがう。付加ふか解離かいり速度そくど遊離ゆうりチューブリンの濃度のうどによってまり、こう濃度のうど場合ばあいはいずれのはしでも付加ふかこる。濃度のうど低下ていかとともにまず-はしでの付加ふかまり、てい濃度のうどではいずれのはしでも解離かいりすすむ。伸長しんちょう解離かいり速度そくどひとしく、全体ぜんたい平衡へいこう状態じょうたいとなる濃度のうど臨界りんかい濃度のうどぶ。微小びしょうかんかけじょうながさが変化へんかしない場合ばあいでも、つねに+はしでの伸長しんちょうと-はしでの短縮たんしゅくこっており、この状態じょうたいトレッドミルぶ。なお微小びしょうかん+はしにおいても臨界りんかい濃度のうど以上いじょう遊離ゆうりチューブリンが存在そんざいしていればかならずしも伸長しんちょうつづくというわけではなく、重合じゅうごうつづけていた微小びしょうかん突如とつじょ 急激きゅうげきだつ重合じゅうごう (catastroph) をこすことがあり、これを動的どうてき不安定ふあんていせい (dynamic instability) とんでいる。

この微小びしょうかん伸長しんちょう短縮たんしゅく微小びしょうかんのダイナミクスともばれる)は、微小びしょうかん結合けつごうタンパク質たんぱくしつ (MAPs) によって様々さまざま変化へんかする。微小びしょうかん安定あんていするもの、微小びしょうかん切断せつだんするもの、微小びしょうかん同士どうし結合けつごうするものなどがある。

微小びしょうかんは、その-はし中心ちゅうしんたいき、重合じゅうごうである+はし細胞さいぼうない様々さまざま領域りょういきばすことがおおい。なお、中心ちゅうしんたい構成こうせいする中心ちゅうしん自体じたい、9ついさんれん微小びしょうかん環状かんじょう配置はいちしたものである。また、中心ちゅうしんたいにはγがんまチューブリンがふくまれ、このγがんまチューブリンに結合けつごうするかたち微小びしょうかん伸長しんちょうする。

微小びしょうかんとモータータンパク質たんぱくしつ

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細胞さいぼう分裂ぶんれつさい形成けいせいされる紡錘ぼうすいたい (spindle) や、繊毛せんもうむち主要しゅよう構造こうぞう複数ふくすう微小びしょうかんたばからなり、染色せんしょくたい移動いどうむちなどの運動うんどうつかさどっている(原核げんかく生物せいぶつむちには微小びしょうかん存在そんざいしない)。微小びしょうかん足場あしば(レール)とするモータータンパク質たんぱくしつとしてダイニンキネシンなどがられている。これらのタンパク質たんぱくしつ細胞さいぼう巨視的きょしてき運動うんどうのみではなくタンパク質たんぱくしつmRNAといった分子ぶんし細胞さいぼうない局在きょくざいにも関与かんよしているが、この場合ばあいの-はしから+はしけての輸送ゆそう順行じゅんこうせい、+はしから-はしけての輸送ゆそう逆行ぎゃっこうせいとして区別くべつされ、いずれの輸送ゆそう微小びしょうかんけい細胞さいぼうしつちゅう存在そんざいするモータータンパク質たんぱくしつぐんとの相互そうご作用さようによってこる。順行じゅんこうせい輸送ゆそうはキネシンが、逆行ぎゃっこうせい輸送ゆそうにはダイニンが重要じゅうよう役割やくわりたしているといわれている。

微小びしょうかん形成けいせい操作そうさ

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コルヒチンやビンカアルカロイドけいこうがんざいビンクリスチンなど)は微小びしょうかん伸長しんちょう阻害そがいする。タキサンけいこうがんざいドセタキセルパクリタキセル)はぎゃく解離かいり阻害そがいし、微小びしょうかん極度きょくど安定あんていする。いずれも分裂ぶんれつ装置そうち主体しゅたいである微小びしょうかん不全ふぜんをもたらし、細胞さいぼう分裂ぶんれつ阻害そがいすることから分裂ぶんれつどくばれている。

微小びしょうかん重合じゅうごう阻害そがいする薬剤やくざいであるコルヒチン紡錘ぼうすいいと形成けいせい阻害そがいこすことから、果樹かじゅではたねし(みのる)の果実かじつ品種ひんしゅ改良かいりょうにより作成さくせいするさい使用しようされる(たねなしスイカ参照さんしょう)。 また、カタニンによって切断せつだんされる。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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外部がいぶリンク

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