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放送衛星 - Wikipedia

放送ほうそう衛星えいせい(ほうそうえいせい、Broadcasting Satellite、BS)とは、衛星えいせい放送ほうそう専用せんよう設計せっけい製作せいさくされた人工じんこう衛星えいせいである。通信つうしん衛星えいせい(CS)の1つとして位置いちづけられる。直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせいDirect Broadcast Satellite)ともばれる。

概要がいよう

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放送ほうそう衛星えいせい基本きほんてき機能きのう通信つうしん衛星えいせい同様どうよう搭載とうさいした中継ちゅうけいトランスポンダ)で地上ちじょうから送信そうしん(アップリンク)した電波でんぱ受信じゅしんしたのちべつ周波数しゅうはすう変換へんかん地上ちじょうけてさい送信そうしんする(ダウンリンク)ことである。通信つうしん衛星えいせいとのちがいは送信そうしん出力しゅつりょく使用しようする周波数しゅうはすうたい、カバーする地域ちいき所有しょゆうしゃ法的ほうてき位置いちづけなどにられる。

通信つうしん衛星えいせいでは当初とうしょはCバンド(6/4GHz)Kaバンド(30/20GHz)などがよくもちいられ、放送ほうそう衛星えいせいではKuバンド(14/12GHz)がもちいられる(周波数しゅうはすうはアップリンク/ダウンリンクの周波数しゅうはすうたい)。ただしKuバンドは降雨こうう減衰げんすいいちじるしいため赤道せきどう地域ちいきでは影響えいきょうすくない2.6GHzたい利用りようされる。

直接ちょくせつ放送ほうそう場合ばあい個別こべつ受信じゅしんのためアンテナのおおきさに制約せいやくがある。このためKuバンドにおいて100~200W程度ていどこう出力しゅつりょく要求ようきゅうされる。

静止せいし衛星えいせいのカバー範囲はんい本来ほんらいおおむ地球ちきゅう半分はんぶんであるが国際こくさい通信つうしんもちいられ、特定とくてい通信つうしん事業じぎょうしゃあいだ通信つうしんかぎられる通信つうしん衛星えいせいことなり特定とくてい多数たすう視聴しちょうしゃ受信じゅしんできる直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせいにおいては政治せいじてき文化ぶんかてき事情じじょうから近隣きんりんくにたいするダウンリンクの漏洩ろうえいスピルオーバー)をきびしく制限せいげんする必要ひつようがある。日本にっぽん放送ほうそう衛星えいせいではスピルオーバーを最小限さいしょうげん抑制よくせいするため、アンテナの形状けいじょう工夫くふうらされている。

また日本にっぽんでは放送ほうそう衛星えいせい放送ほうそう事業じぎょうしゃ通信つうしん衛星えいせい通信つうしん事業じぎょうしゃにより所有しょゆうされその目的もくてきもそれぞれの業務ぎょうむ限定げんていされたが1989ねん放送ほうそうほう改正かいせいにより通信つうしん事業じぎょうしゃ受託じゅたく放送ほうそう事業じぎょうしゃとして通信つうしん衛星えいせいもちいた放送ほうそうができるように、また2001ねん平成へいせい13ねん)には電気でんき通信つうしん役務えきむ利用りよう放送ほうそうほう新設しんせつ通信つうしん事業じぎょうしゃ通信つうしん衛星えいせいサービスをもちいて事業じぎょうしゃおこな衛星えいせい役務えきむ利用りよう放送ほうそう制度せいど誕生たんじょうした。現在げんざい日本にっぽんではもっぱ放送ほうそうもちいるためにげた人工じんこう衛星えいせい放送ほうそう衛星えいせい呼称こしょうしており東経とうけい110Kuバンドみぎ旋円へんによるBSデジタル放送ほうそうBSアナログ放送ほうそうおこなわれているほか、2004ねん平成へいせい16ねん) - 2009ねん平成へいせい21ねん)に東経とうけい144Sバンドひだり旋円へんによる移動いどうたい放送ほうそうサービスをおこなっていた衛星えいせい放送ほうそう衛星えいせい区分くぶんされている。通信つうしん事業じぎょうしゃげた衛星えいせいのなかには映像えいぞう配信はいしんとくした広帯域こうたいいき中継ちゅうけいのみをつものもすくなからずあり、その大半たいはん直接ちょくせつ放送ほうそう用途ようと使用しようしている機体きたいもあるがそちらはなおも通信つうしん衛星えいせいとされている。

日本にっぽんにおいての放送ほうそう衛星えいせい周波数しゅうはすうては当該とうがい記事きじ詳述しょうじゅつのとおり、BS1-BS23のうちの奇数きすう番号ばんごうの12のチャンネルがてられている。このため、アナログ放送ほうそう時代じだいはBSの放送ほうそうチャンネルがすべて奇数きすう当時とうじはBS1-BS15のうちの8つであったが、実際じっさい使用しようされたのは6つ[注釈ちゅうしゃく 1])である。また2002ねんからはじまった通信つうしん衛星えいせいの「東経とうけい110°CS放送ほうそう[注釈ちゅうしゃく 2]」はこの名残なごりから[よう出典しゅってん]物理ぶつりチャンネルはND2-ND24のうちの偶数ぐうすう番号ばんごうの12チャンネルとなっている。

ひだり旋とみぎ

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放送ほうそう衛星えいせいは、電波でんぱへんめん振動しんどうめん)が時間じかん経過けいかとともに回転かいてんする「えんへん (えんへんぱ)」の方向ほうこうかって、ひだりまわりが「ひだり旋円へん (させんえんへんぱ)」、みぎまわりは「みぎ旋円へん (うせんえんへんぱ)」という。日本にっぽん衛星えいせい放送ほうそうでは、既存きそんBS(2016ねん実施じっしされた4K・8K試験しけん放送ほうそうふくむ)・および110CSではみぎ旋が使用しようされてきたが、2017ねんの4K試験しけん放送ほうそうでは110CSのひだり、2018ねん12月1にち開始かいしされた4K・8Kほん放送ほうそう実用じつよう放送ほうそう)においては、既存きそんみぎ旋には現行げんこうの2Kハイビジョン放送ほうそうくわえて4Kをてるとともに、あらたにBSひだり旋と110CSひだり旋に4K・8Kをてている。[1]

日本にっぽん

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東経とうけい110放送ほうそう衛星えいせい

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  • 1978ねん昭和しょうわ53ねん
  • 1984ねん昭和しょうわ59ねん
    • 1がつ23にち - 放送ほうそう衛星えいせい2ごうa(BS-2a)「ゆり2ごうaNASDAN-IIロケット5号機ごうき打上うちあ
    • 3月23にち - BS-2aの中継ちゅうけい1だいが、5月3にちにもう1だい故障こしょう(これにより当初とうしょ予定よていされていたNHK衛星えいせい放送ほうそうの2チャンネル編成へんせい中止ちゅうしとなり、1チャンネルのみで放送ほうそうおこなうことになる)
    • 5月12にち - NHKがゆり2ごうaによる衛星えいせい試験しけん放送ほうそう開始かいし(BS-15chのNHK BS1のみ。総合そうごうテレビ教育きょういくテレビ時差じさ放送ほうそうおも)。世界せかいはつ直接ちょくせつ受信じゅしん衛星えいせい放送ほうそう
  • 1986ねん昭和しょうわ61ねん
    • 2がつ12にち - 放送ほうそう衛星えいせい2ごうb(BS-2b)「ゆり2ごうb」N-IIロケット7号機ごうき打上うちあげ。これによりNHKの衛星えいせい放送ほうそう2チャンネル体制たいせい確立かくりつ12月25にちNHK衛星えいせいだい2テレビジョン=BS-11ch開局かいきょく。これでだい1テレビは総合そうごうテレビ、だい2テレビは教育きょういくテレビの時差じさ編成へんせい中心ちゅうしんに)
  • 1987ねん昭和しょうわ62ねん
    • 7がつ4にち - NHKがゆり2ごうbによるNHK衛星えいせいだい1テレビジョン(BS1)24あいだ独自どくじ編成へんせい開始かいし地球ちきゅうによるしょくのシーズン=2-4月と9-10月の深夜しんやから未明みめいおよとしすうかいつきによるしょくにちちゅう休止きゅうし時間じかんのぞく)
  • 1989ねん平成へいせい元年がんねん
    • 6月1にち - NHKが衛星えいせいだい2テレビジョン(BS2)24あいだ放送ほうそう開始かいし独自どくじ編成へんせい地上波ちじょうは時差じさ編成へんせい混成こんせい
    • 6月3にち - NHKがハイビジョン実験じっけん放送ほうそう(1あいだ/原則げんそく14から15大相撲おおずもう期間きかんは5から6開始かいし
    • 8がつ1にち - NHKが衛星えいせい放送ほうそう(BSアナログ)のほん放送ほうそう受信じゅしんりょう必要ひつよう有料ゆうりょう放送ほうそうWOWOWちがいノースクランブルだが、NHKの受信じゅしんりょう衛星えいせい放送ほうそう追加ついか契約けいやく必要ひつよう)を開始かいし
  • 1990ねん平成へいせい2ねん
  • 1991ねん平成へいせい3ねん
    • 4がつ1にち - はつ民間みんかん放送ほうそうきょくであるWOWOWおよびSt.GIGAによる衛星えいせい放送ほうそう開始かいし前年ぜんねん11月30にちよりノンスクランブルでのサービス放送ほうそう実質じっしつ開局かいきょくしていたが、このより正式せいしきなスクランブルをかけた有料ゆうりょう放送ほうそう開始かいし
    • 4がつ19にち - NHKが補完ほかん衛星えいせいBS-3HをNASAのアトラスげるが失敗しっぱい
    • 8がつ25にち - 放送ほうそう衛星えいせい3ごう-b(BS-3b)「ゆり3ごうb」NASDAのH-Iロケット8号機ごうき打上うちあ
    • 11月25にち -ハイビジョン試験しけん放送ほうそう(8あいだ/にち開始かいし当初とうしょはハイビジョン推進すいしん協会きょうかい免許めんきょてられ、NHK・民放みんぽう家電かでんメーカーが時間じかん曜日ようび関係かんけいなくランダムに番組ばんぐみ編成へんせいするようになっていた。また一般いっぱん視聴しちょう目的もくてきとした放送ほうそうでは事実じじつじょう世界せかい史上しじょうはつのハイビジョン専門せんもん放送ほうそうきょくであった)
  • 1994ねん平成へいせい6ねん
    • 7がつ9にち - NHKが補完ほかん衛星えいせいBS-3NをESAのアリアンロケットで打上うちあ
    • 11月25にち - NHKと民放みんぽう6しゃがハイビジョン実用じつよう試験しけん放送ほうそう(8あいだ/にち開始かいし(NHKと民放みんぽう毎日まいにちぜん放送ほうそう時間じかん半分はんぶんずつを担当たんとうただなつ甲子園こうしえん期間きかんのぞ水曜日すいようびだけNHK独占どくせん 周波数しゅうはすうじょう免許めんきょ従来じゅうらいどおりハイビジョン推進すいしん協会きょうかいだが、呼出よびだし符号ふごう<コールサイン>はかく放送ほうそうきょく個別こべつ取得しゅとくした)
  • 1997ねん平成へいせい9ねん
    • 4がつ17にち - BSAT-1a(BS-4a)げ。8がつ1にちから運用うんよう開始かいし現用げんよう。これによって、地球ちきゅうまたはつきによるしょくでの放送ほうそう休止きゅうしがなくなる)。以後いご、BSAT-2までは1で4同時どうじ中継ちゅうけい可能かのう
  • 1998ねん平成へいせい10ねん
    • 4がつ29にち - BSAT-1b(BS-4b)げ。8月1にちから運用うんよう開始かいし予備よび
  • 2000ねん平成へいせい12ねん
  • 2001ねん平成へいせい13ねん
    • 3月9にち - BSAT-2aげ。4月26にちからBSAT-1bから運用うんよう引継ひきつぎ
    • 7がつ13にち - BSAT-2bげ。静止せいし軌道きどう投入とうにゅう失敗しっぱい
  • 2003ねん平成へいせい15ねん
    • 6月12にち - BSAT-2cげ。7がつ15にちから予備よび運用うんよう開始かいし
    • 3月31にち - BSによる衛星えいせいラジオ放送ほうそう事実じじつじょう全廃ぜんぱい以後いご、BSはテレビ放送ほうそうとくする
  • 2007ねん平成へいせい19ねん
    • 7がつ - BS-3N軌道きどうがい投棄とうき
    • 8がつ15にち - BSAT-3aげ。以後いご衛星えいせいは1で8同時どうじ中継ちゅうけい可能かのうとする。
    • 9月30にち - 衛星えいせいデータ放送ほうそう専門せんもんきょく事実じじつじょう全廃ぜんぱいただし、テレビ放送ほうそう連動れんどう付随ふずいしたデータ放送ほうそう一部いちぶのぞ継続けいぞく
    • 10月31にち - NHKのBSアナログハイビジョン放送ほうそう終了しゅうりょう実際じっさい番組ばんぐみ終了しゅうりょう同年どうねん9月30にち。10月はアナログ放送ほうそう終了しゅうりょうのための告知こくち放送ほうそうのみだった)
    • 12月1にち - しん参入さんにゅうのBSテレビ放送ほうそうきょくBS11トゥエルビほん放送ほうそう開始かいし
  • 2010ねん平成へいせい22ねん
    • 3月11にち - 地上ちじょうアナログ放送ほうそうによるあらたななん地域ちいきけに地上ちじょうデジタル放送ほうそうのサイマルほん放送ほうそう開始かいし
    • 10月29にち - BSAT-3b
  • 2011ねん平成へいせい23ねん
    • 3月31にち - NHKのBSデジタルハイビション放送ほうそう終了しゅうりょう。NHKのBS1/BS2がハイビジョン放送ほうそう移行いこう。これにともない、「NHK衛星えいせいだい1テレビジョン」は「NHK BS1[注釈ちゅうしゃく 3]、「NHK衛星えいせいだい2テレビジョン」は「NHK BSプレミアム」にそれぞれ正式せいしきチャンネルめい変更へんこう
    • 7がつ24にち - BSアナログ放送ほうそう終了しゅうりょう[注釈ちゅうしゃく 4]
    • 7がつ18にち - サッカー女子じょし日本にっぽん代表だいひょうがアメリカとのWはい決勝けっしょうせんで、ビデオリサーチしゃが2008ねんから調査ちょうさをしているBSの視聴しちょうりつ調査ちょうさはつけた視聴しちょうりつである10.7%を記録きろく。BSの視聴しちょうりつ10%をえたのは2011ねん9がつ11にちのサッカー女子じょしロンドン五輪ごりんアジア最終さいしゅう予選よせんの10.1%とわせて2かいだけだった[3]
    • 8がつ7にち - 東経とうけい110CSとのBS・CSハイブリッド衛星えいせいBSAT-3cげ(当初とうしょ7がつ2にち予定よていだった)

東経とうけい144放送ほうそう衛星えいせい

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  • 2003ねん平成へいせい15ねん
    • 1がつ17にち - 2.6GHzたい衛星えいせいデジタル音声おんせい放送ほうそう放送ほうそう方式ほうしきとして制度せいどされる(東経とうけい144ひだり旋円モバイル放送ほうそう 2,630 - 2,655MHz)
  • 2004ねん平成へいせい16ねん
    • 3月13にち - 2.6GHzたい衛星えいせいデジタル音声おんせい放送ほうそう衛星えいせい(モバイル放送ほうそう専用せんよう衛星えいせいMBSat
    • 10がつ20日はつか - 2.6GHzたい衛星えいせいデジタル音声おんせい放送ほうそうサービス(モバHO!)開始かいし世界せかいはつのモバイルユーザー衛星えいせいデジタル・マルチメディア放送ほうそう(S-DMB)
  • 2009ねん平成へいせい21ねん
    • 3月31にち - 15、モバHO!放送ほうそう終了しゅうりょう

じゅん天頂てんちょう放送ほうそう衛星えいせい

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  • 2003ねん平成へいせい15ねん
    • 6月6にち - 世界せかい無線むせん通信つうしん会議かいぎ(WRC-2003)閉幕へいまくじゅん天頂てんちょう衛星えいせいによる音声おんせい衛星えいせい放送ほうそう周波数しゅうはすう帯域たいいきとして日本にっぽんに2,605 - 2,630MHzを割当わりあて
  • 2006ねん平成へいせい18ねん
    • 3月 - じゅん天頂てんちょう衛星えいせいでの放送ほうそう通信つうしんサービスを目指めざした民間みんかん共同きょうどう企画きかく会社かいしゃ事業じぎょう断念だんねんどう衛星えいせい測位そくい中心ちゅうしんとした全額ぜんがく国費こくひプロジェクトへ方針ほうしん転換てんかん

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ BS3、5、7、9、11、15のかくチャンネル。ただし途中とちゅう周波数しゅうはすう変更へんこうによる用途ようと廃止はいし追加ついか使用しよう開始かいしとなったチャンネルがある。
  2. ^ 現在げんざいスカパー!相当そうとうするもの。
  3. ^ BS1は長年ながねんにわたり衛星えいせいだい1テレビという意味合いみあいの愛称あいしょう使用しようしていた。
  4. ^ NHK衛星えいせい放送ほうそうしん体制たいせい移行いこう「BS1」、「BSプレミアム」のアナログ・デジタル同時どうじ放送ほうそうおこなった。

出典しゅってん

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  1. ^ よくある質問しつもん ~ 4K・8Kの放送ほうそう配信はいしんサービスについて ~(JEITA CE部会ぶかい
  2. ^ Final Acts of WRC-2000 (Istanbul, 2000)
  3. ^ 速報そくほう〉なでしこがBS視聴しちょうりつ歴代れきだい1、2独占どくせん 朝日新聞あさひしんぶん 2011ねん9がつ12にち

関連かんれん項目こうもく

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