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通信衛星 - Wikipedia

通信つうしん衛星えいせい

マイクロなみたい電波でんぱもちいた無線むせん通信つうしんおこなうために使用しようされる人工じんこう衛星えいせい

通信つうしん衛星えいせいつうしんえいせいえい: communications satellite)とは、マイクロおび電波でんぱもちいた無線むせん通信つうしん目的もくてきとして、宇宙うちゅう空間くうかんげられた人工じんこう衛星えいせいである。CSやCOMSAT(コムサット)などとりゃくされる。その出力しゅつりょくおおきく、使用しよう目的もくてき人工じんこう衛星えいせいから直接ちょくせつ放送ほうそうするものを放送ほうそう衛星えいせい(BSまたはDBS)という。

概要がいよう

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現在げんざいほとんどの通信つうしん衛星えいせい静止せいし軌道きどうまたはじゅん静止せいし軌道きどうもちいるが、最近さいきんてい軌道きどうちゅう軌道きどう衛星えいせいコンステレーションもちいる通信つうしんシステムもある。ロシア地理ちりてき高緯度こういどであることからモルニヤ軌道きどう通信つうしん衛星えいせいもちいるれいもある。

通信つうしん衛星えいせいひかりケーブルもちいた海底かいていケーブル相補そうほてき技術ぎじゅつ提供ていきょうするものである。

近年きんねんだい容量ようりょうすすんだ海底かいていケーブルにくらべて、通信つうしん衛星えいせい伝送でんそう能力のうりょくひくく、遅延ちえん時間じかんおおきいことから、2015ねん時点じてんでは、国際こくさい通信つうしんのほぼ99%を海底かいていケーブルがになっている[1]

通信つうしん衛星えいせいアーサー・C・クラークはじめて提唱ていしょうしたものとされるが、ポトチュニック1928ねん先行せんこう作品さくひんもとづくものである。クラークは1945ねんに「ワイヤレス・ワールド」で「地球ちきゅうがい中継ちゅうけい」とだいする記事きじあらわし、無線むせん信号しんごう中継ちゅうけいするために人工じんこう衛星えいせい静止せいし軌道きどう配備はいびする方法ほうほう基本きほん原理げんり説明せつめいしたことから、一般いっぱんにアーサー・C・クラークが通信つうしん衛星えいせい発明はつめいしゃとしてられた。

通信つうしん衛星えいせい形態けいたい

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受動じゅどうがた通信つうしん衛星えいせい

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クラークいたる発表はっぴょう当時とうじ宇宙うちゅう空間くうかん人工じんこう衛星えいせいはこ具体ぐたいてき手段しゅだんがなかったが、1957ねんソビエト連邦れんぽう人工じんこう衛星えいせいスプートニクげに成功せいこうして実現じつげんせい検討けんとうされた。当初とうしょ軌道きどうじょう安定あんてい動作どうさする中継ちゅうけいトランスポンダ開発かいはつ困難こんなんで、受動じゅどうがた衛星えいせいエコー1ごうと2ごう実験じっけんされた。この衛星えいせい金属きんぞく皮膜ひまくをもつ風船ふうせんで、軌道きどうじょう衛星えいせい電波でんぱ信号しんごう反射はんしゃばんとしてもちいるものである。利用りようする電波でんぱ周波数しゅうはすう選択せんたく可能かのう構造こうぞう単純たんじゅん故障こしょうしにくいが、地上ちじょうからの電波でんぱ送信そうしんだい電力でんりょくようするおおきな欠点けってんがあった。[よう出典しゅってん]

能動のうどうがた通信つうしん衛星えいせい

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地上ちじょうから送信そうしんされた電波でんぱ信号しんごう衛星えいせい受信じゅしんして電力でんりょく増幅ぞうふくし、こう利得りとくアンテナにより地上ちじょうけてダウンリンクする能動のうどうがた衛星えいせい開発かいはつおこなわれた。

テルスター衛星えいせいはじめての能動のうどうがた通信つうしん衛星えいせいである。ベル研究所けんきゅうじょ開発かいはつされたCバンドのトランスポンダを装備そうびしていた。このさいのアップリンク6ギガヘルツおび、ダウンリンク4GHzたいという周波数しゅうはすうわせはそのひろ通信つうしん衛星えいせいもちいられるものとなった。この衛星えいせい1962ねん7がつ10日とおかNASAによりケープカナベラル宇宙うちゅう基地きちからはつ民間みんかん企業きぎょうスポンサーとなってげられた。テルスター衛星えいせいは2あいだ37ふん周回しゅうかいする、軌道きどう傾斜けいしゃかく45楕円だえん軌道きどう遠地点えんちてん やく5,600km、きん地点ちてん やく950km)に投入とうにゅうされた。テルスターはAT&T所属しょぞくするがこれはAT&T、ベル研究所けんきゅうじょアメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょくイギリス郵政省ゆうせいしょうフランス郵政省ゆうせいしょうあいだ衛星えいせい通信つうしん技術ぎじゅつ開発かいはつするための多国たこくあいだ合意ごういによるものである。

その、トランスポンダのかず帯域たいいきやし送信そうしん電力でんりょくたかめたリレー1ごう衛星えいせいも1962ねん12月13にちげられた。このリレー1ごうもちいて、1963ねん11月23にちおこなわれていたはつ日米にちべいあいだテレビ伝送でんそう実験じっけんちゅうジョン・F・ケネディ米国べいこく大統領だいとうりょう暗殺あんさつ事件じけん報道ほうどうされ、その映像えいぞう視聴しちょうしゃ強烈きょうれつ印象いんしょうあたえた。

静止せいし通信つうしん衛星えいせい

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1964ねん静止せいし通信つうしん衛星えいせいによる国際こくさい通信つうしんもう運営うんえいするための国際こくさい協同きょうどう組織そしきインテルサット日本にっぽん米国べいこくふくむ18カ国かこくつくられた。インテルサットは1965ねんにインテルサット Iごうシリーズの衛星えいせいげて商用しょうよう国際こくさい衛星えいせい通信つうしんサービスと開始かいしした。

ソビエト連邦れんぽうモルニヤ衛星えいせい使つかったが、1973ねんげられたカナダのアニク 1ごう世界せかいはつ国内こくない通信つうしんよう静止せいし通信つうしん衛星えいせいであった。

 
静止せいし通信つうしん衛星えいせい シンコム 2ごうのサイド
 
シンコム 4ごう(リーサット)

シンコム 1ごうは、最初さいしょ静止せいし通信つうしん衛星えいせいとなる予定よていであった。1963ねん2がつ14にちケープ・カナベラルから人工じんこう衛星えいせいよう中型ちゅうがたロケット、デルタ B 16号機ごうきでシンコム 1ごうげられたが電子でんし回路かいろ故障こしょう静止せいし軌道きどうかう途中とちゅう沈黙ちんもくした。

同年どうねん7がつ26にち、デルタ B 20号機ごうきでシンコム 2ごうげられた。ただし完全かんぜん静止せいし状態じょうたいではなく、メキシコおき大西洋たいせいよう上空じょうくうで8のうごいていた。アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょくによる音声おんせい映像えいぞうテレタイプ端末たんまつファクシミリのテストに成功せいこうしている。帯域たいいきはば制限せいげんがあるため、映像えいぞう中継ちゅうけい音声おんせいけず、その品質ひんしつくなかったが視聴しちょう許容きょようできる範囲はんいであった[2][3]

1964ねん8がつ19にち、デルタ D 25号機ごうきでシンコム 3ごうげられ、問題もんだいなく太平洋たいへいよう赤道せきどういき上空じょうくう経度けいど180静止せいし同年どうねん東京とうきょうオリンピックにおいて日米にちべいあいだのテレビ画像がぞう伝送でんそうがシンコム 3ごうもちいて実施じっしされ、通信つうしん衛星えいせい有用ゆうようせいひろ世界せかい放送ほうそう通信つうしん関係かんけいしゃ印象いんしょうけることとなった。1965ねん1がつ1にちアメリカ国防総省こくぼうそうしょうわたし、軍事ぐんじよう通信つうしんとして活用かつようした。1969ねん4がつ停止ていしした[4][5][6]

てい軌道きどう衛星えいせい

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てい軌道きどう衛星えいせいは、軌道きどう周期しゅうきが1にちよりかなりみじかてい高度こうど衛星えいせいで、利用りようしゃ上空じょうくう通過つうかする時間じかんのみが通信つうしん可能かのうであるが、通信つうしん可能かのう範囲はんいひろげるために多数たすう衛星えいせい必要ひつようとし、一群いちぐん衛星えいせい連動れんどうして稼動かどうする場合ばあい衛星えいせいコンステレーションを編成へんせいする。GPS衛星えいせい携帯けいたい電話でんわサービスよう衛星えいせい電話でんわのイリジウムなどが該当がいとうする。

衛星えいせい種類しゅるい

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インターネット衛星えいせい

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移動いどうたいあいだ通信つうしんしたりインターネットに接続せつぞく可能かのうイリジウム衛星えいせいiPSTARスターリンク衛星えいせいなど。

中継ちゅうけい衛星えいせい

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おも静止せいし軌道きどうじょうから軌道きどう周回しゅうかいする衛星えいせい宇宙船うちゅうせんから通信つうしん中継ちゅうけいする。TDRSなど。

衛星えいせい放送ほうそう放送ほうそう衛星えいせい通信つうしん衛星えいせいちがい)

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放送ほうそうは、技術ぎじゅつてきには通信つうしんいち形態けいたいであるが、日本にっぽんでは郵政省ゆうせいしょう総務そうむしょう前身ぜんしん)が特定とくてい多数たすうけを『放送ほうそう』で、企業きぎょうなど認可にんか団体だんたい限定げんていしゃけを『通信つうしん』として、それぞれ厳格げんかく区別くべつし、もちいる人工じんこう衛星えいせいもそれぞれ専用せんようのものを使用しようしていた。

直接ちょくせつ放送ほうそう衛星えいせい(DBS)による放送ほうそう衛星えいせい放送ほうそうBS放送ほうそう)は、放送ほうそうよう設計せっけいされたこう出力しゅつりょく人工じんこう衛星えいせいもちい、家庭かてい小型こがたDBSようアンテナにけて直接ちょくせつ送信そうしんする。放送ほうそう衛星えいせいはKuバンド(K-under。Kバンドのしたで12GHz - 18GHz)のたかほう周波数しゅうはすうもちいる。

1989ねん平成へいせい元年がんねん)10がつ1にち放送ほうそうほう改正かいせいされ、企業きぎょう業者ぎょうしゃけの番組ばんぐみ・プログラムを送信そうしんなど、特定とくてい目的もくてき以外いがい利用りようきんじていた通信つうしん衛星えいせい利用りようした、特定とくてい多数たすうへの直接ちょくせつ放送ほうそう(CS放送ほうそう)が可能かのうになった。1996ねん平成へいせい8ねん)にCSデジタルプラットフォーム事業じぎょうしゃ日本にっぽんデジタル放送ほうそうサービスが、CSデジタル放送ほうそう事業じぎょうの「パーフェクTV!」を開始かいしした。

総務そうむしょう2009ねん平成へいせい21ねん)2がつに、CS放送ほうそうのうち放送ほうそう衛星えいせいおな東経とうけい110げられた通信つうしん衛星えいせいN-SAT-110利用りようするスカパー!などの衛星えいせい放送ほうそうを、ほう制度せいどじょう特別とくべつ衛星えいせい放送ほうそう」としてBSデジタル放送ほうそう普及ふきゅう計画けいかく一本いっぽんした。スカパー!プレミアムサービスなどの通信つうしん衛星えいせい使用しようした衛星えいせい放送ほうそうは「一般いっぱん衛星えいせい放送ほうそう」としてあつかわれる。

CS衛星えいせい放送ほうそう関係かんけいりゃく年表ねんぴょう

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脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ こんなにほそくて大丈夫だいじょうぶ? られざる「海底かいていケーブル」の世界せかい (1/2)”. ITmedia エンタープライズ (2015ねん7がつ24にち). 2018ねん4がつ29にち閲覧えつらん
  2. ^ シンコム2ごう”. 宇宙うちゅう情報じょうほうセンター(宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう). 2018ねん1がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2018ねん1がつ6にち閲覧えつらん
  3. ^ Henry, Varice F. (1965ねん7がつ). “Television Tests with the Syncom II Synchronous Communications Satellite (NASA technical note D-2911)” (PDF). ntrs.nasa.gov. アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく. 2018ねん1がつ6にち閲覧えつらん
  4. ^ シンコム3ごう”. 宇宙うちゅう情報じょうほうセンター(宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう). 2018ねん1がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2018ねん1がつ6にち閲覧えつらん
  5. ^ Syncom 3” (英語えいご). アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく (1964ねん8がつ19にち). 2022ねん1がつ5にち閲覧えつらん
  6. ^ 五輪ごりん映像えいぞうを“宇宙うちゅう中継ちゅうけい”で世界せかいへ 巨大きょだいアンテナ”. テレビ朝日てれびあさひ (2021ねん7がつ22にち). 2022ねん1がつ5にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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1964ねん国際電信電話こくさいでんしんでんわげんKDDI)の企画きかくした東京とうきょうシネマが制作せいさくした短編たんぺん映画えいが現在げんざい上記じょうきサイトないいて無料むりょう公開こうかいちゅう》。衛星えいせい通信つうしん原理げんり紹介しょうかいのほか、げられる通信つうしん衛星えいせいかんする紹介しょうかいされている。