1964年ねん東京とうきょうオリンピック

1964年ねん東京とうきょうオリンピック（1964ねんとうきょうおりんぴっく）は、1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）10月がつ10日とおかから10月24日にちまでの15日間にちかん、日本にっぽんの東京とうきょう都とで開ひらかれた第だい18回かい夏季かきオリンピック。東京とうきょうオリンピック、東京とうきょう五輪ごりん、東京とうきょう1964（Tokyo 1964）と呼称こしょうされる。大会たいかい後ごには同どう一いち都市としでは初はつとなるパラリンピックも開催かいさい（第だい13回かい国際こくさいストーク・マンデビル競技きょうぎ大会たいかいとして開催かいさい）された。

1964年ねん東京とうきょうオリンピック
第だい18回かいオリンピック競技きょうぎ大会たいかい Jeux de la XVIIIe olympiade Games of the XVIII Olympiad
開催かいさい国こく・都市とし	日本にっぽん 東京とうきょう都と
参加さんか国こく・地域ちいき数すう	93
参加さんか人数にんずう	5,152人にん（男子だんし4,468人にん、女子じょし684人にん）
競技きょうぎ種目しゅもく数すう	20競技きょうぎ163種目しゅもく
開会かいかい式しき	1964年ねん10月がつ10日とおか
閉会へいかい式しき	1964年ねん10月24日にち
開会かいかい宣言せんげん	昭和しょうわ天皇てんのう
選手せんしゅ宣誓せんせい	小野おの喬たかし
最終さいしゅう聖火せいかランナー	坂井さかい義則よしのり
主しゅ競技きょうぎ場じょう	国立こくりつ競技きょうぎ場じょう
夏季かき
冬季とうき
Portal:オリンピック

アジア初はつおよび有色ゆうしょく人種じんしゅ国家こっか初はつのオリンピックでもある。また、1952年ねんのヘルシンキ（フィンランド）、1960年ねんのローマ（イタリア）に続つづいて第だい二に次じ世界せかい大戦たいせんの旧きゅう枢軸すうじく国こくの首都しゅとで開催かいさいされたオリンピックである。

大会たいかい開催かいさいまでの経緯けいい

開催かいさい地ち決定けっていを報ほうじた読売新聞よみうりしんぶん（1959年ねん5月がつ27日にち付づけ）

1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）の夏季かき大会たいかいの開催かいさい権けん を返上へんじょうした東京とうきょうは、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつの9年ねん後ごの1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）に1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）夏季かき大会たいかい開催かいさい地ちに立候補りっこうほした。しかし、翌よく1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）の第だい50次じIOC総会そうかいにおける投票とうひょうでローマに敗やぶれた。

次つぎに1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）夏季かき大会たいかい開催かいさい地ちに立候補りっこうほし、1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）5月がつ26日にちに西にしドイツのミュンヘンにて開催かいさいされた第だい55次じIOC総会そうかいにおいて欧米おうべいの3都市としを破やぶり開催かいさい地ちに選出せんしゅつされた。

得票とくひょう数すうは東京とうきょうが半数はんすうを超こえる34票ひょう、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのデトロイトが10票ひょう、オーストリアのウィーンが9票ひょう、ベルギーのブリュッセルが5票ひょうだった。特とくに、総会そうかいでの立候補りっこうほ趣意しゅい演説えんぜつを行おこなった平沢ひらさわ和重かずえ（外交がいこう官かん）や、中南米ちゅうなんべい諸国しょこくの支持しじを集あつめるために奔走ほんそうした日系にっけいアメリカ人じんの実業じつぎょう家か、フレッド・イサム・ワダ（和田わだ勇いさむ）、当時とうじ都議とぎであった北島きたじま義彦よしひこ、「日本にっぽんレスリングの父ちち」といわれた八田はった一朗いちろうらの功績こうせきが大おおきかった。和田わだは育そだった御坊ごぼう市しで名誉めいよ市民しみん第だい1号ごうとなっている。

1957年ねん（昭和しょうわ32年ねん）当時とうじ、日本にっぽん水泳すいえい連盟れんめい会長かいちょうを務つとめ東京とうきょう招致しょうちを主導しゅどうしていた田畑たばた政治せいじは、オリンピック招致しょうち費用ひようが2013年ねん現在げんざいの価格かかくに換算かんさんして約やく1200億おく円えんかかることを懸念けねんしていた岸きし信介しんすけ首相しゅしょうへ観光かんこう収入しゅうにゅうも見込みこめると直談判じかだんぱんした。

1964年ねん夏季かきオリンピック 開催かいさい地ち投票とうひょう

都市とし	国くに	投票とうひょう数すう
東京とうきょう	日本にっぽん	34
デトロイト	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく	10
ウィーン	オーストリア	9
ブリュッセル	ベルギー	5

開催かいさいが決定けっていした日本にっぽんでは「東京とうきょうオリンピック組織そしき委員いいん会かい」（会長かいちょう：津島つしま寿一ひさいち、事務じむ総長そうちょう：田畑たばた政治せいじ）が組織そしきされ、国家こっか予算よさんとして国立こくりつ競技きょうぎ場じょうをはじめとした施設しせつ整備せいびに約やく164億おく円えん、大会たいかい運営うんえい費ひ94億おく円えん、選手せんしゅ強化きょうか費用ひよう23億おく円えんを計上けいじょうした国家こっかプロジェクトとなった。

開催かいさいにあたり、組織そしき委員いいん会かいは巨大きょだいな東京とうきょうオリンピック公式こうしきポスターを都市とし部ぶに設置せっち、デザインは亀倉かめくら雄つよし策さくが手掛てがけた。

組織そしき委員いいん会かいでは、津島つしまと田畑たはたが第だい4回かいアジア大会たいかい参加さんか問題もんだいで1962年ねん10月がつに引責いんせき辞任じにん。後任こうにんに安川やすかわ第だい五ご郎ろうが組織そしき委員いいん会かい会長かいちょう、与謝野よさの秀しげるが事務じむ総長そうちょうとなった。政府せいふ側がわでも、オリンピック担当たんとう国務大臣こくむだいじんを設もうけ川島かわしま正次まさつぐ郎ろうが就つき、1964年ねん7月がつ第だい3次じ池田いけだ内閣ないかくで河野こうの一郎いちろうが就任しゅうにんした。

実施じっし競技きょうぎと日程にってい

各かく競技きょうぎの詳細しょうさいについては、それぞれの競技きょうぎのリンク先さきを参照さんしょうのこと。

競技きょうぎ名めい / 日にち付づけ（10月がつ）	10	11	12	13	14	15	16	17	18	19	20	21	22	23	24
開会かいかい式しき	•
陸上りくじょう競技きょうぎ					•	•	•	•	•	•	•	•
競泳きょうえい競技きょうぎ 飛込とびこみ競技きょうぎ		•	•	•	•	•	•	•	•
水球すいきゅう		•	•	•	•	•		•	•
体操たいそう									•	•	•	•	•	•
柔道じゅうどう											•	•	•	•
レスリング		•	•	•	•		•	•	•	•
自転車じてんしゃ競技きょうぎ					•		•	•	•	•	•
バレーボール		•	•	•	•	•		•	•	•		•	•	•
バスケットボール		•	•	•	•		•	•	•		•	•	•	•
サッカー		•	•	•	•	•	•		•		•			•
ボクシング		•	•	•	•	•	•	•	•	•	•	•		•
ボート		•	•	•	•	•
セーリング			•	•	•	•				•	•	•
カヌー											•	•	•
フェンシング				•	•	•	•	•	•	•	•	•	•	•
ウエイトリフティング		•	•	•	•		•	•	•
ホッケー		•	•	•	•	•	•	•	•	•		•	•	•
近代きんだい五ご種しゅ競技きょうぎ		•	•	•	•	•
馬術ばじゅつ							•	•	•	•			•	•	•
射撃しゃげき						•	•		•	•	•
閉会へいかい式しき															•

公開こうかい競技きょうぎ

• 男子だんし野球やきゅう

デモンストレーション

• 武道ぶどう

ハイライト

開会かいかい式しきで整列せいれつする各国かっこく競技きょうぎ団だん

マラソンで先頭せんとうを走はしるアベベ（甲州こうしゅう街道かいどう）

甲州こうしゅう街道かいどう上のぼり、味あじの素もとスタジアム。1964年ねん東京とうきょうオリンピックマラソン折おり返かえし地点ちてん。調布ちょうふ市し

甲州こうしゅう街道かいどう下くだり、小金井こがねい街道かいどう入口いりくち交差点こうさてん。1964年ねん東京とうきょうオリンピック50 km競歩きょうほ折おり返かえし点てん。府中ふちゅう市し緑町みどりちょう

閉会へいかい式しき

• 10月がつ10日とおか
  • 開会かいかい式しき

詳細しょうさいは「1964年ねん東京とうきょうオリンピックの開会かいかい式しき」を参照さんしょう

• 10月11日にち
  • 重量挙じゅうりょうあげバンタム級きゅうで一ノ関いちのせき史し郎ろうが銅どうメダル獲得かくとく。日本にっぽん勢ぜい初はつのメダル。
• 10月12日にち
  • 重量挙じゅうりょうあげフェザー級きゅうで三宅みやけ義信よしのぶが優勝ゆうしょう。
• 10月13日にち
  • 水泳すいえい競技きょうぎ男子だんし100m自由形じゆうがたで、ドン・ショランダーが優勝ゆうしょう。
• 10月14日にち
  • 水泳すいえい競技きょうぎ女子じょし100m自由形じゆうがたで、ドーン・フレーザーが三さん連覇れんぱ。
  • 陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし10000メートル競走きょうそうで、伏兵ふくへいミルズが優勝ゆうしょう。
  • レスリング、フリースタイルで吉田よしだ義勝よしかつ、渡辺わたなべ長武ながたけ、上うえ武たけ洋次郎ようじろうが優勝ゆうしょう。
• 10月15日にち
  • 陸上りくじょう競技きょうぎ、男子だんし100mでボブ・ヘイズが優勝ゆうしょう。
• 10月16日にち
  • 陸上りくじょう競技きょうぎ、男子だんし800mでピーター・スネルが二に連覇れんぱを達成たっせい。
• 10月17日にち
  • 陸上りくじょう競技きょうぎ、棒高跳ぼうたかとびで9時じ間あいだ半はんの熱闘ねっとうの末すえ、ハンセンが優勝ゆうしょう。
• 10月18日にち
  • 水泳すいえい競技きょうぎで米国べいこく勢ぜいが活躍かつやく。ドン・ショランダーが金きんメダル4個こ。
  • 水泳すいえい競技きょうぎで日本にっぽん勢ぜいは最後さいごの種目しゅもくで銅どうメダル獲得かくとく。
• 10月19日にち
  • レスリング、グレコローマンで市川いちかわ政光まさみつ、花はな原はら勉つとむが優勝ゆうしょう。フリースタイルと合あわせて5個この金きんメダル獲得かくとく。
• 10月がつ20日はつか
  • 柔道じゅうどう軽量けいりょう級きゅうで中谷なかたに雄つよし英えい優勝ゆうしょう。
  • 体操たいそう男子だんしは、団体だんたいで金きむ、個人こじん総合そうごうで金かね・銀ぎん。体操たいそう女子じょしも団体だんたいで銅どうメダル。女子じょし個人こじん総合そうごうでベラ・チャスラフスカが優勝ゆうしょう。
• 10月21日にち
  • 陸上りくじょう競技きょうぎマラソンでアベベの優勝ゆうしょう、史上しじょう初はつの連覇れんぱ。円谷つぶらや幸吉こうきちが銅どうメダル。
  • 柔道じゅうどう中ちゅう量りょう級きゅうで岡野おかの功いさお優勝ゆうしょう。
• 10月22日にち
  • 体操たいそう男子だんしは、つり輪わで早田そうだ卓たく次じが金きんメダル。
  • 柔道じゅうどう重量じゅうりょう級きゅうで猪熊いのくま功いさおが優勝ゆうしょう。日本にっぽんに3個こ目めの金きんメダル。
• 10月23日にち
  • 女子じょしバレーボールで日本にっぽんがソ連それんを破やぶり優勝ゆうしょう。男子だんしは銅どうメダル。
  • ボクシングのバンタム級きゅうで桜井さくらい孝雄たかおが初はつの金きんメダル。ヘビー級きゅうはジョー・フレージャーが優勝ゆうしょう。
  • 体操たいそう女子じょしは、平均へいきん台だいでベラ・チャスラフスカが優勝ゆうしょう。3個こ目めの金きんメダル獲得かくとく。
  • 体操たいそう男子だんしは、跳馬ちょうばで山下やました治おさむ広ひろが金きむ、平行棒へいこうぼうで遠藤えんどう幸雄ゆきおが金きむ、鶴見つるみ修治しゅうじが銀ぎん。遠藤えんどうが団体だんたい・個人こじんと合あわせて3個こ目めの金きんメダル獲得かくとく。
  • 柔道じゅうどう無む差別さべつ級きゅうでオランダのアントン・ヘーシンクに神永かみなが敗やぶれる。
• 10月24日にち
  • 閉会へいかい式しき

詳細しょうさいは「1964年ねん東京とうきょうオリンピックの閉会へいかい式しき」を参照さんしょう

会期かいき選定せんていの議論ぎろん

東京とうきょうが1964年ねん夏季かきオリンピックの開催かいさい権けんを獲得かくとくした1959年ねんの時点じてんでは、日本にっぽん側がわの準備じゅんび委員いいん会かいは会期かいきについて、過去かこの気象きしょうデータで晴天せいてんが多おおい時期じきである、7月がつ25日にち～8月がつ9日にちと10月がつ17日にち～11月がつ1日にちの2案あんを提案ていあんした。しかし、その後ごの検討けんとうでは、5～6月がつ案あんが浮上ふじょうした。9月ごろには、日本にっぽんに台風たいふうが上陸じょうりくしやすく、1959年ねんの伊勢湾いせわん台風たいふうで大おおきな被害ひがいが発生はっせいしたこと。東京とうきょうで開催かいさいされた1958年ねんアジア競技きょうぎ大会たいかいの成功せいこうが、5～6月がつの日本にっぽんの初夏しょかの爽さわやかな気候きこうも一因いちいんだったことが理由りゆうである。東京とうきょうオリンピック組織そしき委員いいん会かいは、1960年ねん2月がつにサンフランシスコで開催かいさいされた第だい56回かいIOC総会そうかいで、5～6月がつ案あんを追加ついかした会期かいき案あんを検討けんとう中ちゅうであると明あきらかにした。

1960年ねん2月がつに組織そしき委員いいん会かいは、下部かぶ機関きかんの競技きょうぎ特別とくべつ委員いいん会かいに会期かいきを研究けんきゅうする小しょう委員いいん会かいを設もうけた。小しょう委員いいん会かいには、各かく競技きょうぎ団体だんたいの代表だいひょう、気象きしょう・海象せいうち・生理せいり・衛生えいせいの専門せんもん家かが参加さんかした。春はる（5、6月がつ）、夏なつ（7、8月がつ）、秋あき（10月がつ）の3案あんのうち、夏なつは湿度しつどが高たかいことから、最初さいしょに除外じょがいされた。外国がいこく選手せんしゅは、日本にっぽんの夏なつの湿度しつどは、欧米おうべいでは全まったく経験けいけんできないので、最もっとも忌避きひしていた。5月案あんと10月がつ案あんには、一長一短いっちょういったんがあった。気象きしょうデータでは、雨あめの出現しゅつげん確かく率りつ、晴はれまたは曇くもりの出現しゅつげん平均へいきん確かく率りつで見みれば、10月のほうがやや有利ゆうりだが、台風たいふうの被害ひがいは9月に集中しゅうちゅうしやすい。台風たいふうによって日本にっぽんのどこかに大おおきな被害ひがいがあった直後ちょくごに、莫大ばくだいな経費けいひを必要ひつようとするオリンピックを開催かいさいすることは、国民こくみん的てきな感情かんじょうとして許ゆるされるかどうか。10月に会期かいきが決きまり8～9月がつに台風たいふうがあった場合ばあい、台風たいふうの時期じきは各国かっこくの選手せんしゅや用具ようぐが日本にっぽんへ向むけ海うみ・空路くうろによる輸送ゆそうの途上とじょうにあたり、この輸送ゆそうが円滑えんかつに行いくのか。ヨット、ボートが到着とうちゃく後ご、台風たいふうによる被害ひがいを完全かんぜんに防止ぼうしできるのか。台風たいふう後ごは必かならず伝染でんせん病びょうがまん延えんしているなどの懸念けねんが指摘してきされた。

東京とうきょうオリンピック関連かんれん道路どうろの整備せいびは、用地ようちの買収ばいしゅうに隘路あいろがあり、会期かいきが遅おそいほど都合つごうがよいので、関係かんけい者しゃは10月がつ案あんを希望きぼうした。日本にっぽん体育たいいく協会きょうかいの選手せんしゅ強化きょうか対策たいさく本部ほんぶは、「特殊とくしゅ環境かんきょうが選手せんしゅの運動うんどうに一般いっぱん的てきに悪わるい影響えいきょうを及およぼし、記録きろくの上うえでの成果せいかが多おおく期待きたいできない」「伝染でんせん病びょうに弱よわい外国がいこく選手せんしゅ、観光かんこう客きゃくに不測ふそくの事態じたいを発生はっせいする恐おそれがある」として、夏なつは除外じょがいされるべきだとした。小しょう委員いいん会かいは、1960年ねん4月がつ28日にちに総務そうむ委員いいん会かいを経へて組織そしき委員いいん会かいに答申とうしんし、5月23日にち～6月がつ7日にち、10月3～18日にちの2案あんを提示ていじした。総務そうむ委員いいん会かいでは、台風たいふう中ちゅうの輸送ゆそうを考慮こうりょし、10月18日にち～11月がつ1日にちが適当てきとうであるとの意見いけん書しょが附ふされた。

諸しょ外国がいこくのオリンピック関係かんけい者しゃでは、会期かいきについて多様たような意見いけんがあった。ヨーロッパ諸国しょこくの関係かんけい者しゃからは、5月がつ案あんに否定ひてい的てきな意見いけんが多おおかった。イギリスのエクゼターIOC委員いいんは、「スカンジナビア半島はんとうの国々くにぐにの場合ばあいを考かんがえてみよう。彼等かれらの国くには1年ねんの初はじめの部分ぶぶん（1月がつから3月がつの意い）は雪ゆきに覆おおわれている。だが私わたしは彼等かれらの国くにの選手せんしゅが春はるまでにベスト・コンディションに達たっするかどうかを疑うたがわしいと思おもう」と述のべた。イタリア・オリンピック委員いいん会かい筋すじは、「イタリアはじめヨーロッパ諸国しょこくでは、選手せんしゅは春はるにトレーニングを始はじめる。選手せんしゅたちは大半たいはんが学生がくせいであって本格ほんかく的てきなトレーニングは学期がっきが大体だいたい終おわった頃ころに始はじめるのだ。その時期じきが5月に当あたるのである」と述のべた。一方いっぽうで、オーストラリア、アルゼンチン、フィリピン、インドなどの関係かんけい者しゃは、5月がつ案あんを支持しじした。こうした議論ぎろんを経へて、最終さいしゅう的てきに会期かいきは10月10～24日にちに決定けっていした。

のちの2020年ねん東京とうきょうオリンピックでは、当初とうしょの会期かいきは2020年ねん7月がつ24日にち（一部いちぶ競技きょうぎは22日にち）～8月がつ9日にちだったが、1年ねん延期えんきで2021年ねん7月がつ23日にち（一部いちぶ競技きょうぎは21日にち）～8月がつ8日にちとなった。この開催かいさい都市とし選考せんこうでは、IOCが立候補りっこうほ都市としに対たいして、会期かいきが7月がつ15日にち～8月がつ31日にちにおさまるように要求ようきゅうしていた。秋あきはヨーロッパならサッカー、アメリカはメジャーリーグが佳境かきょうを迎むかえ、アメリカンフットボールのNFLと競合きょうごうし、テレビの放映ほうえい枠わくで人気にんきプロスポーツとの争奪そうだつ戦せんを避さけるのが目的もくてきだった。このことから、夏なつの暑あつさを避さけるために、秋あき開催かいさいを選択せんたくした1964年ねんオリンピックを評価ひょうかする声こえがある。しかし、当時とうじと後世こうせいでは、事情じじょうが異ことなっている点てんもある。1964年ねんオリンピックの会期かいき検討けんとうについての文献ぶんけんでは、次つぎのような記述きじゅつがあった。

「高温こうおん高だか湿しめによって最もっとも困難こんなんな競技きょうぎはバスケット、体操たいそう、レスリング、ボクシング、重量挙じゅうりょうあげおよびフェンシングの屋内おくない競技きょうぎである。殊ことにフェンシングは、危険きけん防止ぼうしのためにベスト（フェンシングのユニフォーム）を着用ちゃくようし身体しんたいを外気がいきから隔離かくりするため、熱ねつの放出ほうしゅつ（汗あせ）は逆ぎゃくに身体しんたいに圧力あつりょくとなってくる。したがってオリンピックともなれば、上記じょうきの6種目しゅもくの室内しつない競技きょうぎ場じょうはすべて完全かんぜんな冷房れいぼうをほどこさなければならない。3,000～15,000人にんを収容しゅうようした室内しつない競技きょうぎ場じょうを、常つねに快適かいてきな20℃前後ぜんこうに調節ちょうせつすることは容易よういでなく、例たとえ出来できたとしても莫大ばくだいな費用ひようが必要ひつようである。」

「第だい2の理由りゆうは夏季かきは環境かんきょう衛生えいせい上じょう、各種かくしゅ伝染でんせん病びょうおよび中毒ちゅうどくの最盛さいせい期きであって、殊ことに欧米おうべい人じんは、日本にっぽんに多おおい赤痢せきりに対たいする免疫めんえき性せいが少すくなく罹病りびょう率りつが大だい」

その後ごの日本にっぽんでは、建物たてものの冷房れいぼうが日常にちじょう的てきなものとなり、室内しつない競技きょうぎ場じょうでの暑あつさ問題もんだいは解消かいしょうされた。2020年ねんオリンピックでは、暑あつさ対策たいさくは屋外おくがい競技きょうぎに焦点しょうてんが置おかれるようになり、開催かいさい準備じゅんび段階だんかいでマラソン・競歩きょうほ会場かいじょうが札幌さっぽろ市しに変更へんこうされるなどの対策たいさくが実施じっしされた。また、その後ごの日本にっぽんでは、赤痢せきりが減少げんしょうしている。

台風たいふうについては、前述ぜんじゅつした伊勢湾いせわん台風たいふうなど、1950～60年代ねんだいごろの日本にっぽんでは、死者ししゃが1千せん人にんを超こえる台風たいふう被害ひがいがたびたび発生はっせいしていたが、その後ごは天気てんき予報よほうや治水ちすい対策たいさくの発達はったつで、死者ししゃは減少げんしょう傾向けいこうである。しかし、秋あきには台風たいふうリスクが存在そんざいしている点てんは変かわらない。令れい和わ元年がんねん東日本ひがしにっぽん台風たいふう（2019年ねん）では、10月12日にちに日本にっぽんへ上陸じょうりくし、関東かんとう地方ちほうなどで記録きろく的てきな大雨おおあめを降ふらせ、被害ひがいをもたらした。もし東京とうきょうオリンピックが2019年ねんに開催かいさいされ、開幕かいまく日びが1964年ねんオリンピックと同おなじく10月がつ10日にちだったならば、会期かいき中ちゅうに大型おおがた台風たいふうの直撃ちょくげきを受うけていたことになる。1964年ねんオリンピックの会期かいき検討けんとうで、10月がつ案あんについて、台風たいふうが「万まん一いち開催かいさい地ちの東京とうきょう地区ちくに開会かいかい前まえに襲来しゅうらいした場合ばあい、大会たいかい全般ぜんぱんの運営うんえいに大おおきな支障ししょうを来きたし、アジアにおける世紀せいきの祭典さいてんも一夜いちやにして崩くずれ去さることもあえて誇張こちょうではない」と指摘してきされていたことは、現代げんだいでもあてはまる。

開催かいさいに向むけての整備せいび

五輪ごりん橋きょう

この東京とうきょうオリンピックの開催かいさいに向むけて、競技きょうぎ用よう施設しせつから選手せんしゅ村むら、公共こうきょう交通こうつう機関きかんなどのインフラストラクチャーや観戦かんせん客きゃくを受うけ入いれるためのホテルに至いたるまで、東京とうきょう都内とないのみならず日本にっぽん各地かくちにおいて種々しゅじゅの建設けんせつ・整備せいびがなされた。

東京とうきょうオリンピックの経費けいひは265億おく3400万まん円えんといわれる（組織そしき委い経費けいひの99億おく4600万まんと大会たいかい競技きょうぎ施設しせつ関係かんけい費ひの165億おく8800万まん円えん との合計ごうけい）。経費けいひの大半たいはんは、公営こうえい競技きょうぎの収益しゅうえき金きんや、記念きねんメダルや寄附きふ金きん付づけ切手きって、寄附きふ金きん付づけたばこ「オリンピアス」の販売はんばい、割増わりまし金きんつき定期ていき預金よきん、電電でんでん公社こうしゃ発行はっこうの電話でんわ帳ちょうの広告こうこく収入しゅうにゅうが充あてられたほか、1961年ねんから始はじまった10円えん募金ぼきんで賄まかなわれた。

国立こくりつ代々木よよぎ競技きょうぎ場じょう第だい一いち体育館たいいくかん

日本武道館にほんぶどうかん

詳細しょうさいは「1964年ねん東京とうきょうオリンピックの会場かいじょう」を参照さんしょう

• 国立こくりつ競技きょうぎ場じょう
  • 当時とうじの陸上りくじょう競技きょうぎ用ようトラックはアンツーカーであったため、記録きろく映像えいぞうでも雨天うてんで開催かいさいされた際さいに泥どろ跳はねが見みられている。続つづく1968年ねん大会たいかい以降いこうの大会たいかいでは全天候ぜんてんこう型がたトラックが採用さいようされており、アンツーカートラックが使用しようされた最後さいごの夏季かき大会たいかいとなっている。
• 国立こくりつ代々木よよぎ競技きょうぎ場じょう
• 日本武道館にほんぶどうかん
• 駒沢こまざわオリンピック公園こうえん
• 岸きし記念きねん体育たいいく会館かいかん
• 織田おだフィールド（当時とうじの選手せんしゅ練習れんしゅう場じょう、現在げんざいは代々木公園よよぎこうえん陸上りくじょう競技きょうぎ場じょう）
• 三ツ沢みつざわ公園こうえん球技きゅうぎ場じょう
• 代々木よよぎ選手せんしゅ村むら

• 東海道新幹線とうかいどうしんかんせんの開業かいぎょう
• 東京とうきょうモノレールの開業かいぎょう
• 東京とうきょう国際こくさい空港くうこうのターミナルビル増築ぞうちく・滑走かっそう路ろ拡張かくちょう
• 首都高しゅとこう速そく道路どうろ・名神めいしん高速こうそく道路どうろの整備せいび
• 環たまき七なな通とおり・六本木ろっぽんぎ通どおりの拡幅かくふく・整備せいび
• ホテルニューオータニ
• ホテルオークラ（現げん・ホテルオークラ東京とうきょう）
• 東京とうきょうヒルトンホテル（現げん・ザ・キャピトルホテル 東急とうきゅう）
• 東京とうきょうプリンスホテル
• コープオリンピア
• 黒部くろべダム　
• 海底かいていケーブル　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　

聖火せいか

トーチを手てに聖火せいか台だいへと向むかう坂井さかい義則よしのり

詳細しょうさいは「1964年ねん東京とうきょうオリンピックの聖火せいかリレー」を参照さんしょう

聖火せいかは、1964年ねん8月がつ21日にちにギリシャのオリンピアで採火さいかされ、アジアを経由けいゆして当時とうじアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの統治とうち下かにあった沖縄おきなわに到着とうちゃくした。沖縄おきなわからは鹿児島かごしま、宮崎みやざき、北海道ほっかいどうに運はこばれて4つのコースで全ぜん都道府県とどうふけんを巡めぐり、10月がつ10日とおかのオリンピック開会かいかい式しきにて国立こくりつ競技きょうぎ場じょうの聖火せいか台だいに点火てんかされた。

聖火せいかの最終さいしゅうランナーは、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）8月がつ6日にちに広島ひろしま県けん三次みつぎ市しで生うまれた19歳さいの陸上りくじょう選手せんしゅ・坂井さかい義則よしのり（当時とうじ早稲田大学わせだだいがく競走きょうそう部ぶ所属しょぞく）であった。原爆げんばく投下とうかの日ひに広島ひろしま市しに程近ほどちかい場所ばしょで生せいを享とおるけた若者わかものが、青空あおぞらの下した、聖火せいか台だいへの階段かいだんを駆かけ上のぼる姿すがたはまさに日本にっぽん復興ふっこうの象徴しょうちょうであった。

交通こうつう規制きせい

東京とうきょうオリンピックの開催かいさい期間きかん中ちゅうは千駄ヶ谷せんだがやや代々木よよぎなどのメイン会場かいじょうの周辺しゅうへんはもちろんその他たの広範囲こうはんいにわたって大だい規模きぼな交通こうつう規制きせいが行おこなわれた。特とくに、10月がつ10日とおかの開会かいかい式しきでは警視庁けいしちょうは1万まん人にんの警察官けいさつかんを動員どういんして警備けいびに当あたった。開会かいかい式しき会場かいじょうとなった国立こくりつ競技きょうぎ場じょうの横よこの神宮じんぐう外苑がいえんも開会かいかい式しき当日とうじつは一般いっぱんに開放かいほうされたが、この神宮じんぐう外苑がいえんも収容しゅうよう人数にんずうは4万まん人にん程ほどであり、チケットのない者ものは神宮じんぐう外苑がいえんに入はいることができなかった。

そして午前ごぜん10時じから開会かいかい式しき終了しゅうりょう後ごまでは、この神宮じんぐう外苑がいえんには警察けいさつや大会たいかい関係かんけいなどの許可きょか車両しゃりょう以外いがいは一切いっさい通行つうこうが禁止きんしされた。それ以外いがいに「外周がいしゅう制限せいげん線せん」と名付なづけられた制限せいげん区域くいきがもうけられた。これは「新宿しんじゅく4丁目ちょうめ交差点こうさてん - 四谷よつや見附みつけ交差点こうさてん - 溜池ためいけ交差点こうさてん - 西麻布にしあざぶ交差点こうさてん - 新宿しんじゅく4丁目ちょうめ交差点こうさてん」を囲かこむ範囲はんい内ないでおこなわれた極きわめて大だい規模きぼな交通こうつう規制きせいで、開会かいかい式しき会場かいじょうの警備けいびの他ほかに国内外こくないがいのVIPなどの移動いどうをスムーズにするのが目的もくてきであった。その他たにマラソン、競歩きょうほ、自転車じてんしゃ競技きょうぎ、など多おおくの競技きょうぎで大だい規模きぼな交通こうつう規制きせいが実施じっしされた。

選手せんしゅ団だん

選手せんしゅ村むらでくつろぐ統一とういつドイツの選手せんしゅ団だん

日本にっぽん選手せんしゅ団だんは、1位いの統一とういつ東西とうざいドイツ選手せんしゅ団だんの374人にん、2位いのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの361人にんに次つぐ3位いの355人にんで、4位いはソビエト連邦れんぽうの332人にんであった。

東西とうざい統一とういつドイツ選手せんしゅ団だんが金きんメダルの場合ばあい、国旗こっき掲揚けいようが統一とういつ東西とうざいドイツ旗きで、国歌こっか演奏えんそうでなく「曲きょく演奏えんそう」と紹介しょうかいされ、交響こうきょう曲きょく第だい9番ばん (ベートーヴェン) が演奏えんそうされた。

各国かっこく選手せんしゅ団だんの中なかで最初さいしょに日本にっぽんに乗のり込こんできたのは韓国かんこくの馬術ばじゅつ競技きょうぎの選手せんしゅ団だんである。5月31日にちに釜山ぷさん港こうからアリラン丸まるに乗のり出航しゅっこう。6月3日にちに東京とうきょうに到着とうちゃくした。その後ご世界せかい各国かっこくの選手せんしゅ団だんが空路くうろや海路かいろで乗のり込こんできた。東京とうきょう国際こくさい空港くうこうには各国かっこくの選手せんしゅ団だんを運はこんできた旅客機りょかくきが並ならんだほか、競技きょうぎ用ようの道具どうぐや馬うまを運はこんできた貨物かもつ機きも並ならんだ。

メダル

東京とうきょうオリンピックのメダル、造幣ぞうへいさいたま博物館はくぶつかんにて展示てんじ。

東京とうきょうオリンピックの入賞にゅうしょうメダルは大蔵省おおくらしょう造幣局ぞうへいきょくの工芸こうげい官かんが原型げんけいを作成さくせいした。

デザインは金かね・銀ぎん・銅どうともに、表面ひょうめんは「勝利しょうり者しゃを肩車かたぐるました男性だんせいの群像ぐんぞう」、裏面りめんは「勝利しょうりの女神めがみ」が浮うき彫ぼりにされ、「大会たいかい名めい、競技きょうぎ名めい」を記載きさいしてある欄らんがあった。サイズは、金きんメダル・銀ぎんメダル・銅どうメダル共どもに直径ちょっけい6cm、厚あつさは3mm。重おもさは、金きんメダル90g、銀ぎんメダル82g、銅どうメダル69g。製造せいぞうされた数かずは、金きんメダル300個こ、銀ぎんメダル300個こ、銅どうメダル314個こ。価格かかくは、金きんメダル12,500円えん、銀ぎんメダル7,500円えん、銅どうメダル6,000円えん。（全すべて昭和しょうわ39年ねん当時とうじの価格かかく）と発表はっぴょうされたが、この価格かかくはあくまで造幣局ぞうへいきょくが日本にっぽんオリンピック委員いいん会かいに請求せいきゅうした額がくであり、実際じっさいのメダルの製造せいぞうでは1枚まいのメダルを製作せいさくするのにプレス加工かこうを合計ごうけい25回かいも繰くり返かえすなど手間てまのかかったものになっていた。大会たいかい後ご、製造せいぞうしたが余あまったメダルは鋳いつぶされている。

参加さんかメダルは岡本おかもと太郎たろう（表ひょう）と田中たなか一光かずみつ（裏うら）によるデザインだった。

各国かっこくのメダル獲得かくとく数すう

参加さんか国こく一覧いちらん

詳細しょうさいは「1964年ねん東京とうきょうオリンピックのメダル受賞じゅしょう数すう一覧いちらん」を参照さんしょう

順じゅん	国くに・地域ちいき	金きむ	銀ぎん	銅どう	計けい
1	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく	36	26	28	90
2	ソビエト連邦れんぽう	30	31	35	96
3	日本にっぽん（開催かいさい国こく）	16	5	8	29
4	東西とうざい統一とういつドイツ	10	22	18	50
5	イタリア	10	10	7	27
6	ハンガリー	10	7	5	22
7	ポーランド	7	6	10	23
8	オーストラリア	6	2	10	18
9	チェコスロバキア	5	6	3	14
10	イギリス	4	12	2	18

主おもなメダリスト

10,000メートルで優勝ゆうしょうしたミルズ（アメリカ）

女子じょし飛とび込こみで優勝ゆうしょうしたクレーマー（統一とういつドイツ）

• 1 金きんメダル
  • 桜井さくらい孝雄たかお（日本にっぽん、ボクシングバンタム級きゅう）
  • 三宅みやけ義信よしのぶ（日本にっぽん、ウエイトリフティングフェザー級きゅう）
  • 市し口こう政光まさみつ（日本にっぽん、レスリンググレコローマンバンタム級きゅう）
  • 花はな原はら勉つとむ（日本にっぽん、レスリンググレコローマンフライ級きゅう）
  • 上うえ武たけ洋次郎ようじろう（日本にっぽん、レスリングフリースタイルバンタム級きゅう）
  • 渡辺わたなべ長武ながたけ（日本にっぽん、レスリングフリースタイルフェザー級きゅう）
  • 吉田よしだ義勝よしかつ（日本にっぽん、レスリングフリースタイルフライ級きゅう）
  • 中谷なかたに雄つよし英えい（日本にっぽん、柔道じゅうどう軽量けいりょう級きゅう）
  • 猪熊いのくま功いさお（日本にっぽん、柔道じゅうどう重量じゅうりょう級きゅう）
  • 岡野おかの功いさお（日本にっぽん、柔道じゅうどう中ちゅう量りょう級きゅう）
  • 早田そうだ卓たく次じ（日本にっぽん、体操たいそう男子だんしつり輪わ）
  • 山下やました治おさむ広ひろ（日本にっぽん、体操たいそう男子だんし跳馬ちょうば）
  • 遠藤えんどう幸雄ゆきお（日本にっぽん、体操たいそう男子だんし平行棒へいこうぼう、体操たいそう男子だんし個人こじん総合そうごう）
  • 遠藤えんどう幸雄ゆきお・小野おの喬たかし・鶴見つるみ修治しゅうじ・早田そうだ卓たく次じ・三栗みぐりゅう崇たかし・山下やました治おさむ広ひろ（日本にっぽん、体操たいそう男子だんし団体だんたい総合そうごう）
  • 磯辺いそべサタ・河西かさい昌枝まさえ・近藤こんどう雅子まさこ・佐々木ささき節子せつこ・篠崎しのざき洋子ようこ・渋木しぶき綾乃あやの・谷田たにだ絹子きぬこ・半田はんだ百合子ゆりこ・藤本ふじもと佑子ゆうこ・松村まつむら勝美かつみ・松村まつむら好子よしこ・宮本みやもと恵美子えみこ（日本にっぽん、バレーボール女子じょし）
  • ボブ・ヘイズ（アメリカ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし100m、4×100mリレー）
  • ピーター・スネル（ニュージーランド、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし800m）
  • ピーター・スネル（ニュージーランド、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし1500m）
  • ビリー・ミルズ（アメリカ、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし10000m）
  • アベベ・ビキラ（エチオピア、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんしマラソン）
  • アル・オーター（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし円盤えんばん投とう）
  • ベティ・カスバート（オーストラリア、陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし400m）
  • マリー・ランド（イギリス、陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし走幅跳はしりはばとび）
  • ヨランダ・バラシュ（ルーマニア、陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし走高跳はしりたかとび）
  • アメリカ（陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし4×100リレー）
  • ポーランド（陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし4×100リレー）
  • ドン・ショランダー（アメリカ、競泳きょうえい男子だんし100m自由形じゆうがた）
  • ドン・ショランダー（アメリカ、競泳きょうえい男子だんし400m自由形じゆうがた）
  • アメリカ（競泳きょうえい男子だんし4×100mリレー）
  • アメリカ（競泳きょうえい男子だんし4×200mリレー）
  • ドーン・フレーザー（オーストラリア、競泳きょうえい女子じょし100m自由形じゆうがた）
  • イングリッド・クレーマー（統一とういつドイツ、女子じょし飛とびこみ）
  • ヴァチェスラフ・イワーノフ（ソビエト連邦れんぽう、ボート競技きょうぎ男子だんしシングルスカル）
  • ボリス・シャハリン（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう鉄棒てつぼう）
  • ベラ・チャスラフスカ（チェコスロバキア、体操たいそう女子じょし個人こじん総合そうごう）
  • ベラ・チャスラフスカ（チェコスロバキア、体操たいそう女子じょし平均へいきん台だい）
  • ベラ・チャスラフスカ（チェコスロバキア、体操たいそう女子じょし跳馬ちょうば）
  • ラリサ・ラチニナ（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう女子じょしゆか）
  • ソビエト連邦れんぽう（体操たいそう女子じょし団体だんたい）
  • ドイツ（馬術ばじゅつ馬場ばば馬術ばじゅつ団体だんたい）
  • アントン・ヘーシンク（オランダ、柔道じゅうどう男子だんし無む差別さべつ級きゅう）
  • ジョー・フレージャー（アメリカ、ボクシング・ヘビー級きゅう、後のちにプロボクシングで世界せかいヘビー級きゅう王者おうじゃ）
• 2 銀ぎんメダル
  • 神永かみなが昭夫あきお（日本にっぽん、柔道じゅうどう無む差別さべつ級きゅう）
  • 鶴見つるみ修治しゅうじ（日本にっぽん、体操たいそう男子だんしあん馬ば、体操たいそう男子だんし個人こじん総合そうごう、体操たいそう男子だんし平行棒へいこうぼう）
  • 遠藤えんどう幸雄ゆきお（日本にっぽん、体操たいそう男子だんし床ゆか運動うんどう）
  • モハメド・ガムーディ（チュニジア、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし10000m）
  • ベイジル・ヒートリー（イギリス、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんしマラソン）
  • イレーナ・シェビンスカ（ポーランド、陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし200m）
  • イレーナ・シェビンスカ（ポーランド、陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし走はしり幅跳はばとび）
  • マリー・ランド（イギリス、陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし五ご種しゅ競技きょうぎ）
  • オーストラリア（競泳きょうえい女子じょし4×100mリレー）
  • ボリス・シャハリン（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう男子だんし個人こじん総合そうごう）
  • ソビエト連邦れんぽう（体操たいそう男子だんし団体だんたい）
  • ラリサ・ラチニナ（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう女子じょし個人こじん総合そうごう）
  • ラリサ・ラチニナ（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう女子じょし跳馬ちょうば）
• 3 銅どうメダル
  • 円谷つぶらや幸吉こうきち（日本にっぽん、陸上りくじょう男子だんしマラソン）
  • 一ノ関いちのせき史郎しろう（日本にっぽん、ウエイトリフティングバンタム級きゅう）
  • 大内おおうち仁ひとし（日本にっぽん、ウエイトリフティングミドル級きゅう）
  • 堀内ほりうち岩雄いわお（日本にっぽん、レスリングフリースタイルライト級きゅう）
  • 吉川よしかわ貴久たかひさ（日本にっぽん、ライフル射撃しゃげき男子だんしフリーピストル）
  • 岩崎いわさき邦宏くにひろ・岡部おかべ幸さいわい明あきら・庄司しょうじ敏夫としお・福井ふくい誠まこと（日本にっぽん、競泳きょうえい男子だんし800m自由形じゆうがたリレー）
  • 相原あいはら俊子としこ・池田いけだ敬子けいこ・小野おの清子きよこ・千葉ちば吟子ぎんこ・辻つじ宏子ひろこ・中村なかむら多た仁子さとこ（日本にっぽん、体操たいそう女子じょし団体だんたい）
  • 池田いけだ尚弘なおひろ・小しょう瀬戸せと俊昭としあき・小山こやま勉つとむ・佐藤さとう安孝やすたか・菅原すがわら貞さだ敬けい・出町でまち豊ゆたか・猫田ねこだ勝敏かつとし・南みなみ将之まさゆき・森山もりやま輝久てるひさ・中村なかむら祐造ゆうぞう・樋口ひぐち時彦ときひこ（日本にっぽん、バレーボール男子だんし）
  • ロン・クラーク（オーストラリア、陸上りくじょう競技きょうぎ男子だんし10000m）
  • ウーベ・バイヤー（ドイツ、陸上りくじょう競技きょうぎハンマー投なげ）
  • イギリス（陸上りくじょう競技きょうぎ女子じょし4×100mリレー）
  • ボリス・シャハリン（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう男子だんしつり輪わ）
  • ラリサ・ラチニナ（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう女子じょし平均へいきん台だい）
  • ラリサ・ラチニナ（ソビエト連邦れんぽう、体操たいそう女子じょし段違だんちがい平行棒へいこうぼう）
  • ダニエル・モレロン（フランス、自転車じてんしゃ競技きょうぎスクラッチ）

デザイン

開催かいさい前年ぜんねんの1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）、組織そしき委員いいん会かいが置おかれた赤坂あかさか離宮りきゅう（赤坂あかさか迎賓館げいひんかん）に、デザイン室しつが開設かいせつされた。入場にゅうじょう券けん、メダル、ユニフォーム、競技きょうぎパンフレット、プログラム、施設しせつの標識ひょうしき、案内あんない板ばんなどを制作せいさくした。多おおくは20代だい後半こうはんから30代だい前半ぜんはんのデザイナーだった。

オリンピックに際さいして原はら弘ひろしが、「ノイエ・ハース・グロテスク（ヘルベチカの前身ぜんしんに当あたる）というサンセリフ体からだを使つかいたい」と大日本印刷だいにほんいんさつに打診だしん、市谷いちたに工場こうじょうに導入どうにゅうされた。

ポスター

東京とうきょうオリンピック第だい2号ごうポスター（9万まん枚まい作成さくせい）は、歴代れきだい大会たいかいのオリンピックポスターがイラストであったのを、グラフィックデザイナーの亀倉かめくら雄つよし策さくのデザイン（文字もじは原はら弘ひろし）、ストロボ写真しゃしん演出えんしゅつ早崎はやさき治おさむ、ディレクター村越むらこし襄じょうで、オリンピックポスター初はつの写真しゃしんポスターである。ポスターは全部ぜんぶで4種類しゅるいが制作せいさくされた。

第だい1号ごうポスター（10万まん枚まい作成さくせい）は、縦長たてながの全体ぜんたいが白地しろじに、赤あかい日ひの丸まるの下したに、金かねの五輪ごりんマークと金字こんじのTOKYOと1964のイラスト。6人にんが3案あんずつ提出ていしゅつした指名しめいコンペにて満場一致まんじょういっちで選えらばれた、亀倉かめくら（文字もじは原はら弘ひろし）の大会たいかいエンブレムと同おなじデザインだった。赤あかと金かねの配色はいしょくは豊臣とよとみ秀吉ひでよしの陣羽織じんばおり（木瓜ぼけ桐きり文ぶん緋ひ羅紗らしゃ陣羽織じんばおり・大阪城おおさかじょう天守閣てんしゅかく蔵ぞう）から着想ちゃくそうを得えたともいわれる。オリンピック史上しじょう初はじめて五輪ごりんの輪わの5色しょくの標準ひょうじゅん色しょくを詳細しょうさいに決定けっていした。

1959年ねんの招致しょうちポスターは栗ぐり谷川たにがわ健一けんいちが手てがけた通称つうしょう「富士山ふじさん」だった。

ピクトグラム

まず競技きょうぎ種目しゅもくピクトグラム計けい20種しゅが前年ぜんねんに作つくられ、1964年ねんに入はいってから施設しせつ用ようピクトグラム計けい39種しゅの制作せいさくが始はじまった。

案内あんないや誘導ゆうどう、競技きょうぎ種目しゅもく表示ひょうじにおいてピクトグラムが採用さいようされたのは東京とうきょうオリンピックが最初さいしょである。外国がいこく語ご（特とくに公用こうよう語ごのフランス語ふらんすごや英語えいご）によるコミュニケーションをとることができる者ものが少すくない日本人にっぽんじんと外国がいこく人じんの間あいだを取とり持もつために開発かいはつされた。制作せいさくにはアートディレクターを務つとめた勝見かつみ勝まさるを中心ちゅうしんに粟津あわづ潔きよしほか30名めいほどのデザイナーが携たずさわった。

競技きょうぎ種目しゅもくピクトグラムを制作せいさくしたのは、日本にっぽんデザインセンターの山下やました芳郎よしお1人ひとりである。ヨット競技きょうぎのみは人間にんげんを描えがかず、柔道じゅうどう・ウェイトリフティングの2つは正面しょうめん図ず。残のこりの競技きょうぎは右向みぎむきの1選手せんしゅを描写びょうしゃした（レスリングのみ2選手せんしゅが組くむ横よこからの図ず）。サッカー・バレー・バスケ・水球すいきゅうのボールは、各かくおよそ右みぎ端はし中段ちゅうだん寄よりに配置はいちされた。

東京とうきょう2020オリンピックでは、1964年ねん大会たいかいの競技きょうぎ種目しゅもくピクトグラムを先人せんじんへのリスペクトともに継承けいしょう・進化しんかさせたものと位置いちづけて、右向みぎむきに統一とういつさせず、左向ひだりむきのデザインも混在こんざいさせた。

日本にっぽん選手せんしゅ団だんのユニホーム

東京とうきょうオリンピックにおける日本にっぽん選手せんしゅ団だんのユニホームは1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）2月がつに国立こくりつ競技きょうぎ場じょうでコンテストが開催かいさいされ、そこで選えらばれたデザインが後日ごじつJOC総会そうかいにかけられて承認しょうにんを受うけるかたちで決定けっていされた。オリンピック東京とうきょう大会たいかい日本にっぽん選手せんしゅ団だんユニホーム、特とくに開会かいかい式しき・閉会へいかい式しきで着用ちゃくようされた式典しきてん用ようデレゲーションユニホームが、上半身じょうはんしんが赤色あかいろで下半身かはんしんが純白じゅんぱくのかなり派手はでな服装ふくそうであり、50年ねん近ちかく時ときを経へた現在げんざいでもオリンピック日本にっぽん選手せんしゅ団だんの公式こうしきユニホームと言いえばこの「上半身じょうはんしんが赤色あかいろで、下半身かはんしんは白色はくしょく」を思おもい浮うかべる人ひとが多おおい。日本にっぽん選手せんしゅ団だんの制服せいふくを松坂屋まつざかや上野うえの店てんが受注じゅちゅう。

• 開会かいかい式しき・閉会へいかい式しき用ようユニホーム（デレゲーションユニホーム）
  • ヘルシンキオリンピックから選手せんしゅ団だん公式こうしき服装ふくそうを手てがけてきた神田かんだの洋服ようふく商しょうであった望月もちづき靖之やすゆきが4年ねん以上いじょう掛かけてデザインしたもの。このユニホームの名称めいしょうは「1964年ねんオリンピック東京とうきょう大会たいかい日本にっぽん選手せんしゅ団だんブレイザーコート」、通称つうしょう「式典しきてん用ようブレザー」と呼よばれ男女だんじょ共どもに上着うわぎは真紅しんくのマットウーステッド地ちに金色きんいろの三みっつボタン、そして左ひだり胸むねにはポケットが付ついておりその部分ぶぶんに日ひの丸まるのワッペンと金糸きんしで五輪ごりんが刺繍ししゅうされていた。下半身かはんしんは男子だんしは純白じゅんぱくのズボン、女子じょしは純白じゅんぱくのアコーディオン・ブリーツをスカートにしたもの。帽子ぼうしは純白じゅんぱく地ちに赤あかいアクセントの付ついたものが採用さいようされている。生地きじは大同だいどう毛織けおり、製作せいさくは当時とうじ結成けっせいされたジャパンスポーツウェアクラブが担当たんとうし、全すべて手縫てぬいで縫製ほうせいされている。靴くつは男子だんしは純白じゅんぱくのエナメル地ちの紳士しんし靴くつ。女子じょしは白色はくしょくのローヒール。そして女子じょしだけ純白じゅんぱくのショルダーバッグを持もつ。石津いしづ謙介けんすけがデザインしたと言いうのが通説つうせつとなっていたが、研究けんきゅう者しゃの調査ちょうさによって望月もちづき靖之やすゆきがデザインしたという多数たすうの裏付うらづけが可能かのうな資料しりょうの存在そんざいが判明はんめいした。
• 選手せんしゅ村むらなどで着きるユニホーム
  • 開会かいかい式しき・閉会へいかい式しき用ようユニホームと基本きほん的てきに同おなじデザインだがダークカラーが採用さいようされて地味じみになっている。下半身かはんしんは男子だんしはグレーのズボン、女子じょしも色いろはグレーでボックス・ブリーツをスカートにしたもの。靴くつは男子だんしは黒色こくしょくの紳士しんし靴くつ。女子じょしも黒色こくしょくのローヒール。前述ぜんじゅつの式典しきてん用ようと同様どうように女子じょしだけ純白じゅんぱくのショルダーバッグが採用さいようされている。
• トレーニングウェア
  • 大会たいかい会場かいじょうなどで試合しあい時じ以外いがいに着用ちゃくようするトレーニングウェア。男女だんじょ共どもに同おなじデザインで、赤色あかいろを基本きほんに方ほうから袖そで、わきの下したからパンツの裾すそまで、身体しんたいの両側りょうがわの側線そくせんに沿そうようなラインで白しろい筋すじが入はいっている。そして胸むねと背中せなかに白色はくしょくのロろーマ字まじで「NIPPON」と書かかれている。素材そざいは100%化学かがく繊維せんいで出来できていた。

楽曲がっきょく

東京とうきょうオリンピックの行事ぎょうじで使用しようされた楽曲がっきょくは、オリンピック東京とうきょう大会たいかい組織そしき委員いいん会かいに設もうけられた式典しきてん運営うんえい協議きょうぎ会かいで以下いかの5曲きょくが決きめられた。これらの曲きょくは前年ぜんねんのオリンピックデーで披露ひろうされた。

• 「オリンピック東京とうきょう大会たいかいファンファーレ」（作曲さっきょく：今井いまい光也みつや）
• 「オリンピック東京とうきょう大会たいかい讃歌さんか(A)」（作詞さくし：佐藤さとう春夫はるお、作曲さっきょく：清水しみず脩おさむ）
• 「オリンピック東京とうきょう大会たいかい讃歌さんか(B)」（作詞さくし：西条さいじょう八十やそ、作曲さっきょく：小倉おぐら朗あきら）
• 「オリンピック賛歌さんか」（作詞さくし：コスティス・パロマ、訳詞やくし：野上のかみ彰あきら、作曲さっきょく：スピロ・サマラ、オーケストラ編曲へんきょく：古関こせき裕ひろし而）
• 「オリンピック・マーチ」（作曲さっきょく：古関こせき裕ひろし而）

「ファンファーレ」は広ひろく一般いっぱんから公募こうぼして、海外かいがいからの応募おうぼ作さくを加くわえて414編へんの中なかから選えらばれたもので、当時とうじ長野ながの県けん在住ざいじゅうの今井いまい光也みつやが作曲さっきょくし、日本にっぽんの伝統でんとう的てき音階おんかいを基調きちょうとした8小節しょうせつの東洋とうよう的てき色調しきちょうに溢あふれた作品さくひんで四よん部ぶ形式けいしきで書かかれた純じゅんトランペットの曲きょくであった。

オリンピック東京とうきょう大会たいかい讃歌さんかは、東京とうきょう大会たいかいのみに使つかわれた賛歌さんかで、開会かいかい式しき用ようの(A)、閉会へいかい式しき用ようの(B)の2曲きょくがあり、聖火せいかが灯ともされた直後ちょくごと聖火せいかが消きえゆく直前ちょくぜんに歌うたわれた。

選手せんしゅ団だんの入場にゅうじょう行進曲こうしんきょくは、世界せかい各国かっこくの著名ちょめいな行進曲こうしんきょく12曲きょくが選えらばれて、最初さいしょと最後さいごに使用しようされる行進曲こうしんきょくとして「オリンピック・マーチ」を古関こせき裕ひろし而が作曲さっきょくした。1分間ふんかん120の行進こうしん速度そくどでコーダは「君きみが代よ」の旋律せんりつで結むすばれている。

この他ほかに、開会かいかい式しき冒頭ぼうとうには「オリンピック序曲じょきょく」（作曲さっきょく：團だん伊玖磨いくま）が華はなやかな雰囲気ふんいきの中なかで演奏えんそうされ、昭和しょうわ天皇てんのう・香こう淳じゅん皇后こうごうがロイヤルボックスに着席ちゃくせきする直前ちょくぜんには電子でんし音楽おんがく「オリンピック・カンパノロジー」（作曲さっきょく：黛まゆずみ敏郎としお）が荘厳そうごんな雰囲気ふんいきを醸かもし出だしていた。

国民こくみんの五輪ごりんへの関心かんしんを高たかめるために、日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい (NHK)がオリンピック東京とうきょう大会たいかい組織そしき委員いいん会かい、日本にっぽん体育たいいく協会きょうかい、東京とうきょう都との後援こうえんで製作せいさくしたのが以下いかの音頭おんどと愛唱あいしょう歌かで、1963年ねん6月がつ23日にちに発表はっぴょうされてレコード会社かいしゃ各社かくしゃから競作きょうさくで吹ふき込こみ発売はつばいされた。

• 「東京とうきょう五輪ごりん音頭おんど」（作詞さくし：宮田みやた隆たかし、作曲さっきょく：古賀こが政男まさお、歌うた：三波みなみ春夫はるお・橋はし幸夫ゆきお・つくば兄弟きょうだい・神楽坂かぐらざか浮子・三橋みつはし美よし智也ともや・坂本さかもと九きゅう・北島きたじま三郎さぶろう・畠山はたけやまみどり・大木おおき伸夫のぶお・司つかさ富子とみこ）
• 「海うみをこえて友ともよきたれ」（作詞さくし：土井どい一郎いちろう、作曲さっきょく：飯田いいだ三郎さぶろう）

これとは別べつに、日本にほんビクターが公募こうぼして日本にっぽん体育たいいく協会きょうかい、オリンピック東京とうきょう大会たいかい組織そしき委員いいん会かい、東京とうきょう都とが選定せんていし、日本にっぽん体育たいいく協会きょうかい、オリンピック東京とうきょう大会たいかい組織そしき委員いいん会かい、東京とうきょう都と、文部省もんぶしょう、日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい (NHK)、日本民間放送連盟にほんみんかんほうそうれんめい（民放連みんぽうれん）の後援こうえんで1962年ねん5月8日にちに東京とうきょう都と体育館たいいくかんで日本にほんビクター主催しゅさい「オリンピックの歌うた発表はっぴょう会かい」で発表はっぴょうされたのが以下いかの2曲きょくである。

• 「東京とうきょうオリンピックの歌うた「この日ひのために」」（作詞さくし：鈴木すずき義夫よしお、補作ほさく：勝かち承うけたまわ夫おっと、作曲さっきょく：福井ふくい文彦ふみひこ、編曲へんきょく：飯田いいだ信夫しのぶ、歌うた：三浦みうら洸こう一いち・安西あんざい愛子あいこ・ビクター合唱がっしょう団だん）ビクターレコードVS-693 (JES-3408)
• 「東京とうきょうオリンピック音頭おんど」（作詞さくし：山川やまかわ茂男しげお、補作ほさく：佐伯さえき孝夫たかお、作曲さっきょく：馬飼野まかいの曻、編曲へんきょく：寺岡てらおか真ま三さん、歌うた：橋はし幸夫ゆきお・市丸いちまる・松島まつしまアキラ・神楽坂かぐらざか浮子・ビクター少年しょうねん民謡みんよう会かい）VS-693 (JES-3409)

オリンピックの開催かいさい時期じきには芸術げいじゅつ展示てんじとして、多おおくの日本にっぽんの芸術げいじゅつ作品さくひんが披露ひろうされた。

記念きねん発行はっこう物ぶつ

記念きねん貨幣かへい（100円えん銀貨ぎんか）

記念きねん貨幣かへい（1000円えん銀貨ぎんか）

記念きねん乗車じょうしゃ券けん（バス１区く乗車じょうしゃ券けん ￥15）

• 記念きねん切手きって
  • 5+5円えん付加ふか金きん付つきが20種類しゅるい、1961年ねん10月がつ11日にち三さん種しゅ、1962年ねん6月がつ23日にち三さん種しゅ、10月がつ10日とおか三さん種しゅ、1963年ねん6月がつ23日にち三さん種しゅ、11月11日にち四よん種しゅ、1964年ねん6月がつ23日にち四よん種しゅの七なな次じにわたり発行はっこうされた。
  • 5円えん・10円えん・30円えん・40円えん・50円えんの五ご種類しゅるいが1964年ねん9月9日にち（5円えんのみ）、1970年ねん10月がつ10日とおか（残のこり四よん種しゅ）に発行はっこうされた。
    • 「出場しゅつじょう記念きねん」として東京とうきょうオリンピック記念きねん切手きってを発行はっこうした国くにとしては中華民国ちゅうかみんこく（台湾たいわん）、韓国かんこく、ソ連それん、北朝鮮きたちょうせん（ボイコット）などがある。
• 記念きねん貨幣かへい
  • 100円えん銀貨ぎんかが1964年ねん9月がつ21日にち（11月24日にち追加ついか発行はっこう）、1000円えん銀貨ぎんかが1964年ねん10月がつ2日にち（10月がつ29日にち追加ついか発行はっこう）に発行はっこうされた。詳細しょうさいは東京とうきょうオリンピック記念きねん貨幣かへいを参照さんしょう。
• 記念きねん乗車じょうしゃ券けん
  • 東京とうきょう都と交通こうつう局きょくが、バス乗車じょうしゃ券けん『 オリンピック 東京とうきょう大会たいかい 記念きねん乗車じょうしゃ券けん』を発売はつばい。

東京とうきょうオリンピック開催かいさいが日本にっぽんにもたらした影響えいきょう

詳細しょうさいは「1964年ねん東京とうきょうオリンピックのレガシー」を参照さんしょう

東京とうきょうオリンピック開催かいさいを契機けいきに、競技きょうぎ施設しせつや日本にっぽん国内こくないの交通こうつう網もうの整備せいびに多額たがくの建設けんせつ投資とうしがなされ、競技きょうぎを見みる旅行りょこう需要じゅようが喚起かんきされ、テレビ放送ほうそうを見みるための受像じゅぞう機き購入こうにゅうの飛躍ひやく的てき増加ぞうかなどの消費しょうひも増ふえたため、日本にっぽん経済けいざいに「オリンピック景気けいき」といわれる好景気こうけいきをもたらした。

開催かいさい地ちの東京とうきょうでは、開催かいさいに向むけて競技きょうぎ施設しせつのみならず、帝都ていと高速度こうそくど交通こうつう営団えいだん・東京とうきょうモノレール羽田空港はねだくうこう線せん・首都高しゅとこう速そく道路どうろ・ホテルなど、様々さまざまなインフラストラクチャーの整備せいびが行おこなわれ、都市とし間あいだ交通こうつう機関きかんの中核ちゅうかくとして東京とうきょう（首都しゅと圏けん）から名古屋なごや（中京ちゅうきょう圏けん）を経由けいゆして、大阪おおさか（京阪神けいはんしん）に至いたる三さん大都市だいとし圏けんを結むすぶ東海道新幹線とうかいどうしんかんせんも開会かいかい式しき9日にち前まえの10月がつ1日にちに開業かいぎょうした。これらのほとんどは、現在げんざいに至いたるまで改良かいりょうやメンテナンスを重かさねながら利用りようされている。

開会かいかい式しきが行おこなわれた10月がつ10日とおかは、1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）国民こくみんの祝日しゅくじつに制定せいていされ、以降いこう「体育たいいくの日ひ」として広ひろく親したしまれるようになった（2000年ねん〈平成へいせい12年ねん〉より10月がつの第だい2月曜日げつようび、2021年ねん〈令れい和わ3年ねん〉より「スポーツの日ひ」となった）。それまで社会しゃかい人じんのスポーツは見みる物ものだったが、ママさんバレーに代表だいひょうされる参加さんかするスポーツが盛さかんになり、公共こうきょうのスポーツ施設しせつが各地かくちに造つくられていった。

「テレビ・オリンピック」

オリンピック放送ほうそうを観戦かんせんする市民しみん。
その後ご、街頭がいとうテレビは衰退すいたいしていった。

東京とうきょうオリンピックは、ベルリンオリンピックで初はつお目見めみえしたオリンピックのテレビ中継ちゅうけい技術ぎじゅつが格段かくだんに向上こうじょうしたことを印象いんしょうづける大会たいかいとなった。衛星えいせい放送ほうそう技術ぎじゅつを始はじめ、カラー写真しゃしん・小型こがたのコンパクトカメラの開発かいはつなどもその特徴とくちょうである。当時とうじ初はじめてスローモーションの画像がぞうを使つかい、その後ごのスポーツ中継ちゅうけいで欠かかせない放送ほうそう技術ぎじゅつになった。

日本にっぽんでは1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）のミッチー・ブーム以降いこうテレビ受像じゅぞう機き（白黒しろくろ）の普及ふきゅうが急速きゅうそくに進すすみ、1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）に23.6%だった普及ふきゅう率りつは1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）には87.8%に達たっした。当時とうじ非常ひじょうに高価こうかだったカラーテレビ受像じゅぞう機きは、東京とうきょうオリンピックを契機けいきに各かくメーカーが宣伝せんでんに力ちからを入いれ始はじめた。

計時けいじ技術ぎじゅつ

セイコー（現げんセイコーホールディングス）が初はじめてオリンピックの公式こうしき計時けいじを担当たんとうした。セイコーは電子でんし計時けいじを採用さいよう、オリンピック史上しじょう初はじめて計測けいそくと順位じゅんいに関かんしてノートラブルを実現じつげんし、世界せかい的てきな信頼しんらいを勝かち取とることに成功せいこうした。

記録きろく映画えいが

東京とうきょうオリンピック記録きろく映画えいがを撮影さつえいする車くるま
（画像がぞう左側ひだりがわはアベベ・ビキラ選手せんしゅ）

『東京とうきょうオリンピック』

詳細しょうさいは「東京とうきょうオリンピック (映画えいが)」を参照さんしょう

『オリンピック東京とうきょう大会たいかい 世紀せいきの感動かんどう』

市川いちかわ崑こんが総そう監督かんとくを務つとめて制作せいさくされた『東京とうきょうオリンピック』のフィルムを新あらたなスタッフが再さい編集へんしゅう・再さい構成こうせいし、シナリオを執筆しっぴつした作品さくひん。1966年ねん5月がつ15日にち公開こうかい。市川いちかわの『東京とうきょうオリンピック』に比くらべ、実況じっきょうを含ふくんだ解説かいせつの流ながれる部分ぶぶんが多おおく、「記録きろく映画えいが」の色彩しきさいが濃こいため、いわゆる「ドキュメンタリー」に分類ぶんるいされている。154分ふん。

• プロデューサー：田口たぐち助太郎すけたろう
• 脚本きゃくほん：前田まえだ博ひろし、山岸やまぎし達いたる児じ
• 音楽おんがく：矢代やしろ秋雄あきお、若杉わかすぎ弘ひろし
• 解説かいせつ：岡田おかだ実みのる、北出きたいで清五郎せいごろう、鈴木すずき文彌ぶんや
• 監修かんしゅう：川本かわもと信正のぶまさ

テレビドキュメンタリー

2013年ねん8月がつにNHK総合そうごうテレビジョンで3部ぶ作さくとして放送ほうそう。

「1964東京とうきょうオリンピック (テレビ番組ばんぐみ)」も参照さんしょう

テレビの関連かんれん番組ばんぐみ

• NHKテレビの放送ほうそう開始かいし60周年しゅうねん記念きねん事業じぎょうとして、2013年ねんに当時とうじの映像えいぞう記録きろくを視聴しちょう者しゃなどから提供ていきょうしたもので構成こうせいした特別とくべつ番組ばんぐみが編成へんせいされている。いずれもNHK BS1にて放送ほうそう。
  • 2013年ねん1月がつ1日にち 「伝説でんせつの名めい勝負しょうぶ・東洋とうようの魔女まじょ 世紀せいきの金きんメダルロード」

  東洋とうようの魔女まじょと呼よばれた女子じょしバレーボール日本にっぽん代表だいひょうが金きんメダルを決定けっていさせるソビエト戦せんのノーカットフルタイムの映像えいぞうが視聴しちょう者しゃから提供ていきょうされた。この試合しあいに関与かんよした選手せんしゅや、その試合しあいを観戦かんせんした著名ちょめい人じんのインタビューを交まじえてその試合しあいを振ふり返かえった。

  • 2013年ねん12月31日にち 「よみがえる東京とうきょうオリンピック1964→2020半はん世紀せいきを経へて発見はっけん!20時じ間あいだの競技きょうぎ映像えいぞう」

  NHKの取材しゅざい班はんは2020年ねんの東京とうきょう五輪ごりん開催かいさい決定けってい前まえの事前じぜん取材しゅざいで、1964年ねんに行おこなわれた同どう大会たいかいの記録きろく映像えいぞうとなる16mmじゅうろくみりフィルムを発見はっけんした。この中なかにはNHKのライブラリーにも残のこされていない映像えいぞうも多数たすう発掘はっくつされた。そこで、この映像えいぞうにラジオのアーカイブス音源おんげんを絡からませ、この大会たいかいに参加さんかした選手せんしゅや当事とうじ者しゃへのインタビューを交まじえ、1964年ねん五輪ごりんの記憶きおくをよみがえらせる

実況じっきょう録音ろくおん

大会たいかい終了しゅうりょう後ご、日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい（NHK）から開会かいかい式しきや閉会へいかい式しき、ハイライトとなった競技きょうぎのラジオ実況じっきょう放送ほうそうを収録しゅうろくした磁気じき録音ろくおんテープが発売はつばいされると共ともに、その音源おんげんをもとに記録きろくLPレコードやフォノシートが製作せいさくされた。このNHKのマラソン実況じっきょう放送ほうそうの音源おんげんの一部いちぶ（国立こくりつ競技きょうぎ場じょうに戻もどってきた時ときの円谷つぶらや幸吉こうきちとベイジル・ヒートリーのデッドヒート）が、ピンク・ピクルスの歌うたう「一人ひとりの道みち」の冒頭ぼうとうに使用しようされている。

開催かいさい前後ぜんこうにおける国民こくみんの感情かんじょうの変化へんか

東京とうきょうオリンピック開催かいさい4ヶ月かげつ前まえの6月がつ上旬じょうじゅん、日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそう世論せろん調査ちょうさ所しょ（現げん・NHK放送ほうそう文化ぶんか研究所けんきゅうじょ世論せろん調査ちょうさ部ぶ）が東京とうきょうと金沢かなざわ市しで事前じぜんの世論せろん調査ちょうさを行おこなった。「オリンピックには大変たいへんな費用ひようがかかるので、いろいろな点てんで国民こくみんに負担ふたんをかけ、犠牲ぎせいを払はらわせている」（東京とうきょう60.6％、金沢かなざわ53.7％）、「オリンピック準備じゅんびのために一般いっぱん市民しみんのかんじんなことがお留守るすになっている」（東京とうきょう49％、金沢かなざわ29％）、「オリンピックに多おおくの費用ひようをかけるぐらいなら、今いまの日本にっぽんでしなければいけないことはたくさんあるはずだ」（東京とうきょう58.9％、金沢かなざわ47.1％）、「オリンピックは結構けっこうだが、わたしには別べつになんの関係かんけいもない」（東京とうきょう47.1％、金沢かなざわ54.3％）など、圧倒的あっとうてきな国民こくみんの支持しじに熱狂ねっきょう的てきに迎むかえられていた訳わけではなかった。

日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい放送ほうそう世論せろん調査ちょうさ所しょが昭和しょうわ42年ねんに刊行かんこうした「東京とうきょうオリンピック」では、大会たいかいの開会かいかいまで政府せいふや関係かんけい者しゃが「吹ふけど踊おどらぬ国民こくみん」をいかに躍おどらせるかに苦心くしんしたさまを各紙かくしの社説しゃせつなどの引用いんようから克明こくめいに記しるし、次つぎのように書かき残のこしている。 「実際じっさい、開会かいかいを目前もくぜんにひかえて人々ひとびとの正直しょうじきな感情かんじょうは、関係かんけいのないお祭まつりということであったろう。少すくなくとも開会かいかい式しきまでは、その他たの人ひとびとにとっては、まったく関係かんけいのない出来事できごとと映うつっていたとしても、無理むりからぬことであった」

もっとも大会たいかい直後ちょくごの調査ちょうさでは、「オリンピックは日本にっぽんにプラスだったか」の問といに、89.8％が「プラスだったと思おもう」と答こたえている。

空気くうきを変かえたのは、開催かいさい前年ぜんねん（1963年ねん）から新聞しんぶん社しゃ（全国ぜんこく紙し）や総理府そうりふ（現げん・内閣ないかく府ふ）を中心ちゅうしんに行おこなわれた「盛もり上あげキャンペーン」や聖火せいかリレーなどのイベントに加くわえて、開幕かいまく後ごも技わざの魅力みりょく、興奮こうふんであり、自国じこく開催かいさいのリアルタイムで複数ふくすう競技きょうぎが相互そうごに関係かんけいしながら同時どうじ進行しんこうする、総合そうごう競技きょうぎ大会たいかいの魔力まりょくに国民こくみんがくぎ付づけになったことがあげられる。大会たいかい終盤しゅうばん、日本にっぽんが団体だんたいを制せいした体操たいそう男子だんしは視聴しちょう率りつ80％、「東洋とうようの魔女まじょ」が優勝ゆうしょうした女子じょしバレーボールの決勝けっしょうは85％を記録きろくした。

世界せかい情勢じょうせい

東京とうきょうオリンピックの開催かいさい期間きかんには、1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）10月14日にちのソ連それんのニキータ・フルシチョフ首相しゅしょう解任かいにん、10月16日にちの中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく（後述こうじゅつのとおり本ほん大会たいかいには不参加ふさんか）による初はつの核かく実験じっけんなど国際こくさい的てき事件じけんが次々つぎつぎと起おこった。これにより「瞬間しゅんかん的てきに世界せかいの注目ちゅうもくを奪うばわれた面めんもある」と考かんがえられる一方いっぽう、冷戦れいせん下したの世界せかい情勢じょうせいを反映はんえいする場ばとして注視ちゅうしの的まとになるという面めんもあったようである。この大会たいかいはこれらの事件じけんとともに世界せかい史しの一ひとつの転換てんかん点てんであった。

• 史上しじょう初はつの3人にん乗のり宇宙船うちゅうせんであるソ連それんのボスホート1号ごう（1964年ねん10月がつ12日にち打うち上あげ、10月13日にち帰還きかん）は東京とうきょう上空じょうくうを飛行ひこうするにあたり、オリンピックに参加さんかする「世界せかいの青年せいねんに熱烈ねつれつなあいさつを」送おくった。
• キング牧師ぼくしのノーベル平和へいわ賞しょう受賞じゅしょうが決定けっていしたのも、会期かいき中ちゅうの10月がつ14日にちのことである（受賞じゅしょう式典しきてんは12月10日にち）。
• イギリス領りょう北きたローデシアは、閉会へいかい式しき当日とうじつにあたる1964年ねん10月がつ24日にち（日本にっぽん時間じかんでは同日どうじつ午前ごぜん7時じ）にザンビアとして独立どくりつしたため、開会かいかい式しきと閉会へいかい式しきとで異ことなる国名こくめいとなった。選手せんしゅ村むらの国旗こっきなども、同日どうじつをもって新しん国旗こっきに付つけ替かえられた。
• 新しん興国こうこく競技きょうぎ大会たいかい (GANEFO) への参加さんか選手せんしゅへの資格しかく停止ていし処分しょぶんをめぐり、国際こくさい陸上りくじょう競技きょうぎ連盟れんめいと国際こくさい水泳すいえい連盟れんめいと対立たいりつしていた朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく（北朝鮮きたちょうせん）とインドネシアは、組織そしき委員いいん会かいが両国りょうこくの参加さんかを実現じつげんすべく両者りょうしゃの間あいだに入はいり調整ちょうせいを続つづけるも対立たいりつ関係かんけいは修復しゅうふくされず、両国りょうこくとも開会かいかい式しきの前日ぜんじつ（10月がつ9日にち）に不参加ふさんか届とどけを組織そしき委員いいん会かいに提出ていしゅつして参加さんかしなかった。
• 当時とうじアパルトヘイト政策せいさくを行おこなっていた南みなみアフリカの参加さんかをめぐって、これに反対はんたい・抗議こうぎするアフリカ・スポーツ最高さいこう会議かいぎの要請ようせいを受うけ、国際こくさいオリンピック委員いいん会かいは南みなみアフリカの参加さんかを拒否きょひ。これに反発はんぱつした南みなみアフリカはオリンピック参加さんかを辞退じたいし、アフリカ各国かっこくのボイコットは回避かいひされた。
• 中華民国ちゅうかみんこくと「中国ちゅうごくを代表だいひょうする国家こっか」の地位ちいをめぐって対立たいりつしていた中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくは、独立どくりつしたNOCとしてIOCに加盟かめいしていた中華民国ちゅうかみんこくの扱あつかいへの反発はんぱつから1958年ねんにIOCを脱退だったいしていたため、当初とうしょより参加さんかの予定よていは無なかった（新興しんこう国こく競技きょうぎ大会たいかいの項目こうもくも参照さんしょう）。会期かいき中ちゅうの10月がつ16日にちに初はつの核かく実験じっけん（原子げんし爆ばく弾だん実験じっけん）を行おこなってアジア初はつの核保有かくほゆう国こくとなっている。

その他た

「オフィシャルエアライン」のロゴが書かかれた日本航空にほんこうくうのコンベア880

• オフシャルエアラインには聖火せいかも運はこんだ日本航空にほんこうくうが指定していされ、ダグラス DC-8やコンベア880などの所有しょゆう機材きざいにロゴが書かかれた。
• 開会かいかい式しきでは、海上かいじょうで1年ねん半はんもの間あいだ訓練くんれんしたブルーインパルスのF-86が、上空じょうくう3000メートルに五色ごしきのスモークで直径ちょっけい1800メートル各かく五輪ごりんの間隔かんかく300メートルで五輪ごりんのマークを描えがいたことで話題わだいを呼よぶ。
• 開会かいかい宣言せんげんの前まえにIOCのブランデージ会長かいちょうが片言かたことの日本語にほんごで「開会かいかい宣言せんげんを天皇陛下てんのうへいかにお願ねがい申もうしあげます」と述のべた後のち、昭和しょうわ天皇てんのうが開会かいかい宣言せんげんを行おこなった。
• 当時とうじ、ボディビルや剣道けんどうに勤いそしみスポーツに関心かんしんを持もっていた作家さっかの三島みしま由紀夫ゆきおが期間きかん中ちゅうのオリンピック・リポーターとして採用さいようされ、式典しきてん、各かく競技きょうぎの感動かんどうの模様もようを伝つたえる記事きじを毎日新聞まいにちしんぶん、報知ほうち新聞しんぶん、朝日新聞あさひしんぶんなどに分ぶん載の形式けいしきで連載れんさいした。三島みしまはオリンピック開会かいかいの感想かんそうとして、「やつぱりこれをやつてよかつた。これをやらなかつたら日本人にっぽんじんは病気びょうきになる」、「小泉こいずみ八雲やくもが日本人にっぽんじんを〈東洋とうようのギリシャ人じん〉と呼よんだときから、オリンピックはいつか日本人にっぽんじんに迎むかえへられる運命うんめいにあつたといつてよい」とコメントしている。
• 池田いけだ勇人はやと首相しゅしょうは、この前まえの9月がつに精密せいみつ検査けんさの結果けっかガンが見みつかり、入院にゅういん治療ちりょうをしていて10月がつ10日とおかの開会かいかい式しきは出席しゅっせきしたが、閉会へいかい式しきは欠席けっせきして、そして閉会へいかい式しき翌日よくじつの10月がつ25日にちに辞任じにんを発表はっぴょうした。翌年よくねん夏なつに死去しきょ。
• 日本にっぽんのお家芸いえげいと言いわれた男子だんし体操たいそう団体だんたいは、ローマ大会たいかいに続つづいて2連覇れんぱを果はたしたが、前回ぜんかいのローマ大会たいかいと東京とうきょう大会たいかいに限かぎって団体だんたい総合そうごうでは1つしかメダルが授与じゅよされていない。東京とうきょう大会たいかいでは女子じょしも団体だんたいで銅どうメダルを獲得かくとくしたが、チームへの1つだけである。他たの団体だんたい競技きょうぎでは選手せんしゅ全員ぜんいんにメダルが授与じゅよされているので、このようなケースは珍めずらしい。2006年ねん10月がつ19日にちになって表彰ひょうしょうの楯だてが各かく選手せんしゅに贈おくられた。
• 閉会へいかい式しきは誘導ゆうどうのトラブルからこれまでの慣例かんれいと違ちがい国こく別べつの整然せいぜんとした行進こうしんにならなかったが、そのために却かえって、各国かっこくの選手せんしゅが入はいり混まじり腕うでや肩かたを組くみ合あって入場にゅうじょうするものとなった。その後ごのオリンピックでは東京とうきょう方式ほうしきが採用さいようされるようになった。ただし国くに別べつに選手せんしゅが入場にゅうじょうしなかったのは1956年ねんメルボルンオリンピックが先さきである。
• 大会たいかい後ごの日本にっぽんにおける祝勝しゅくしょう会かいにはメダル取得しゅとく者しゃが呼よばれていたが、男子だんしバレーボールチームは1964年ねん東京とうきょうオリンピックのバレーボール競技きょうぎでメダルを取とったにも拘かかわらず、連絡れんらくミスにより参加さんかできなかった。
• 諸しょ外国がいこくから来日らいにちするオリンピック関係かんけい者しゃや各国かっこく元首げんしゅたちを接待せったいするための女性じょせいスタッフを30名めい採用さいようし、「コンパニオン」と命名めいめいした（1964年ねん東京とうきょうオリンピックのコンパニオン参照さんしょう）。「コンパニオン」という語かたりが日本にっぽんで知しられる契機けいきという。陸上りくじょう競技きょうぎ関係かんけい者しゃ（オリンピック出場しゅつじょう経験けいけん者しゃである田島たじま（土倉つちくら）麻あさや星野ほしの（吉川よしかわ）綾子あやこなど）に声こえがかけられたほか一般いっぱん公募こうぼもされたが、「公募こうぼ」は結局けっきょくコネ採用さいようばかりで総理そうり大臣だいじんの次女じじょと三さん女じょ、日本にっぽんオリンピック委員いいん会長かいちょうの長女ちょうじょ、日立製作所ひたちせいさくしょ顧問こもんの長女ちょうじょなど大会たいかい関係かんけい者しゃの子女しじょが数多かずおおく含ふくまれていた。コンパニオンの一人ひとりの西村にしむら亜希子あきこは、報知ほうち新聞しんぶんの企画きかくで対談たいだんしたプロ野球やきゅう・読売よみうりジャイアンツの長嶋ながしま茂雄しげおと1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）に結婚けっこんした。
• 公募こうぼで決きまった公式こうしき標語ひょうごは「世界せかいは一ひとつ東京とうきょうオリンピック」。名古屋なごやの中学生ちゅうがくせいの作品さくひん。
• 1966年ねん、アメリカ映画えいが『歩あるけ走はしるな!』（コロムビア映画えいが、チャールズ・ウォルタース監督かんとく、ケーリー・グラント主演しゅえん）が制作せいさく・公開こうかいされた。オリンピックを含ふくめた当時とうじの東京とうきょうの様相ようそうが色濃いろこく描えがかれている。
• 日本にっぽん国内こくないではチケットの売うれ行ゆきが好調こうちょうで種目しゅもくによっては徹夜てつやで売うり場ばに並ならぶなどの現象げんしょうも見みられた。しかし海外かいがいにおけるチケットの売うれ行ゆきはあまり良よくなかった。当初とうしょの割わり当あて分ぶんを全すべて完売かんばいしたのは大韓民国だいかんみんこく（韓国かんこく）のみでそれ以外いがいの国々くにぐにでは競技きょうぎによっては完売かんばいしたチケットがあったが、全すべて完売かんばいした国くには無なかった。その理由りゆうについて「チケットを買かってもホテルが予約よやくできないので行いけない」という声こえが多おおかったという。日本にっぽんと韓国かんこくはまだ外交がいこう関係かんけいを結むすんでいなかったが、北朝鮮きたちょうせんと異ことなり、韓国かんこくは東京とうきょう五輪ごりんに参加さんかした。
• 日本にっぽん中ちゅうの関心かんしんがオリンピックに集中しゅうちゅうしたため、プロ野球やきゅうもこれに配慮はいりょして公式こうしき戦せんの日程にっていを前倒まえだおしして消化しょうかし、日本にっぽん選手権せんしゅけんシリーズの日程にっていもプロ野球やきゅう史上しじょう最もっとも早はやい9月がつ29日にち開幕かいまく、第だい7戦せん予定よていは10月7日にちとしていたが、南海なんかいホークスと阪神はんしんタイガースの関西かんさい圏けんチーム同士どうしで争あらそわれた実際じっさいの1964年ねんの日本にっぽんシリーズは10月1日にち開幕かいまくとなった上うえ、雨天うてんによる試合しあい延期えんきや両りょうチームが3勝しょうずつで並ならぶ接戦せっせんなどもあって、阪神はんしん甲子園こうしえん球場きゅうじょうで行おこなわれた第だい7戦せんはオリンピック開会かいかい式しき当日とうじつの10月がつ10日とおかの夜よるとなり、注目ちゅうもく度どは大おおきく下さがった。
• 開催かいさい期間きかん中ちゅうに国立こくりつ霞ヶ丘かすみがおか陸上りくじょう競技きょうぎ場じょうの織田おだポールに翻ひるがえった五輪ごりん旗はたは、アベリー・ブランデージIOC会長かいちょうから組織そしき委員いいん会かい会長かいちょうの安川やすかわに寄贈きぞうされたのち、安川やすかわが母校ぼこうの福岡県立修猷館高等学校ふくおかけんりつしゅうゆうかんこうとうがっこうに寄贈きぞうした。かつては運動会うんどうかいの入場にゅうじょう行進こうしんに使用しようされたが、現在げんざいはレプリカを使用しようして現物げんぶつは同校どうこうの資料しりょう館かんに額がく入いりで展示てんじされている。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん文献ぶんけん

• 波多野はたの勝まさる『東京とうきょうオリンピックへの遙はるかな道みち―招致しょうち活動かつどうの軌跡きせき 1930 - 1964』草くさ思おもえ社しゃ、2004年ねん7月がつ。ISBN 978-4794213358
• 『東京とうきょうオリンピック　文学ぶんがく者しゃの見みた世紀せいきの祭典さいてん』講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ、2014年ねん1月がつ。ISBN 978-4062902175

参考さんこう文献ぶんけん

• 『決定けってい版ばん 三島みしま由紀夫ゆきお全集ぜんしゅう33巻かん 評論ひょうろん8』新潮社しんちょうしゃ、2003年ねん8月がつ。ISBN 978-4106425738。 
• 浜田はまだ幸絵ゆきえ『〈東京とうきょうオリンピック〉の誕生たんじょう: 一いち九きゅう四よん〇年ねんから二に〇二に〇年ねんへ』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん、2018年ねん）978-4642038812

関連かんれん項目こうもく

• 国際こくさいオリンピック委員いいん会かい
• 日本にっぽんオリンピック委員いいん会かい
• オリンピック賛歌さんか
• 夏季かきオリンピック
• 1964年ねん東京とうきょうオリンピックの日本にっぽん選手せんしゅ団だん
• 1964年ねん東京とうきょうパラリンピック
• 国立こくりつオリンピック記念きねん青少年せいしょうねん総合そうごうセンター
• 特異とくい日び
• 東京とうきょうオリンピック支援しえん集団しゅうだん
• プロジェクト:オリンピック
• 池田いけだ勇人はやと
• 鈴木すずき俊一しゅんいち
• いだてん〜東京とうきょうオリムピック噺ばなし〜
• 夢ゆめ食堂しょくどうの料理人りょうりにん〜1964東京とうきょうオリンピック選手せんしゅ村むら物語ものがたり〜
• 1940年ねん東京とうきょうオリンピック（開催かいさい中止ちゅうし）
• 1940年ねん札幌さっぽろオリンピック（開催かいさい中止ちゅうし）
• 2020年ねん東京とうきょうオリンピック・パラリンピック
• 2020年ねん東京とうきょうオリンピック

外部がいぶリンク

• Tokyo 1964 Summer Olympics - Athletes, Medals & Results
• 東京とうきょうオリンピック1964 - JOC
• オリンピック聖火せいかリレー実施じっし要領ようりょう 1964 聖火せいかリレー鹿児島かごしま県けん実行じっこう委員いいん会かい
• The Official Report of the Games of the XVIII Olympiad, Tokyo 1964 Volume I LA84 Foundation
• 闘魂とうこんの記録きろく－オリンピック東京とうきょう大会たいかいを目指めざして - 科学かがく映像えいぞう館かん
• オリンピックを運はこぶ - 科学かがく映像えいぞう館かん
• 科学かがくの祭典さいてん - 科学かがく映像えいぞう館かん
• 東京とうきょうオリンピックを世界せかいの人々ひとびとに - NHK放送ほうそう史し
• オリンピック放送ほうそうとNHK - NHK放送ほうそう史し
• より速はやく　より高たかく　より強つよく　東京とうきょうオリンピック1964ダイジェスト - NHK放送ほうそう史し
• 特集とくしゅう なつかしの番組ばんぐみ 東京とうきょうオリンピック 制作せいさく者しゃ座談ざだん会かい_NHKアーカイブス
• TBSアーカイブ「映像えいぞうで振ふり返かえる 1964年ねん東京とうきょうオリンピックへの道みち～この日ひのために～」 - YouTube
• TBSアーカイブ「映像えいぞうで振ふり返かえる 1964年ねん東京とうきょう五輪ごりん 直前ちょくぜんの様子ようす」 - YouTube
• 1964年ねん東京とうきょうオリンピック・パラリンピックについて調しらべる - 調しらべ方かた案内あんない（国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん）