既製 きせい 服 ふく (きせいふく、英 えい : Ready-to-wear, 略語 りゃくご でRTW )とは、衣料 いりょう メーカー が大量 たいりょう 生産 せいさん し商品 しょうひん 化 か した衣服 いふく のことで、あらかじめいくつかのサイズを決 き めて生産 せいさん した服 ふく のことである。フランス語 ふらんすご ではプレタポルテ と言 い う[注釈 ちゅうしゃく 1] 。
お店 みせ に並 なら んだ既製 きせい 服 ふく
既製 きせい 服 ふく
既製 きせい 服 ふく
ハンガーで吊 つ るした状態 じょうたい で売 う られていることから「吊 つ るし」とも呼 よ ばれることがあり[1] [注釈 ちゅうしゃく 2] 、英語 えいご でもoff-the-rack(棚 たな から選 えら ぶ品 しな )という表現 ひょうげん で呼 よ ばれている。
現在 げんざい 、世界 せかい の人々 ひとびと に着用 ちゃくよう されている衣服 いふく の大半 たいはん を占 し める。
対比 たいひ されている概念 がいねん は、顧客 こきゃく ひとりひとりの体型 たいけい を採寸 さいすん してひとりひとりの型紙 かたがみ を起 お こして作 つく る「注文 ちゅうもん 服 ふく 」であり、英語 えいご 圏 けん ではbespoke tailoring 、tailor-madeという用語 ようご と対比 たいひ され(日本語 にほんご で「オーダーメイド 服 ふく 」「テーラーメイド服 ふく 」などと訳 やく され)、フランス市場 いちば で発表 はっぴょう された既製 きせい 服 ふく を"プレタポルテ"と呼 よ ぶ場合 ばあい はオートクチュール という用語 ようご と対比 たいひ される。
既製 きせい 服 ふく 工場 こうじょう の縫製 ほうせい の工程 こうてい (バングラデシュ)
注文 ちゅうもん 服 ふく は服 ふく 作 づく りの職人 しょくにん がいる専門 せんもん 店 てん で、個人 こじん 客 きゃく からの注文 ちゅうもん を受 う け、生地 きじ (布 ぬの 地 ち 、服地 ふくじ )もかなり多 た 種類 しゅるい 用意 ようい されている中 なか から顧客 こきゃく と相談 そうだん しつつ顧客 こきゃく の好 この みで指定 してい してもらい、ひとりひとり異 こと なる顧客 こきゃく の体型 たいけい を採寸 さいすん していちいちパターン (型紙 かたがみ )を起 お こし、熟練 じゅくれん の職人 しょくにん がひとつひとつ手 しゅ とハサミで裁断 さいだん し、それを一旦 いったん 仮縫 かりぬ いして立体 りったい に組 く み立 た てて顧客 こきゃく に再 さい 来店 らいてん ・試 ためし 着 ちゃく してもらい微 ほろ 調整 ちょうせい して本 ほん 縫 ぬ いを行 おこな い完成 かんせい させて顧客 こきゃく に渡 わた すという流 なが れであるが、それに対 たい して既製 きせい 服 ふく は、基本 きほん 的 てき には、世 よ の中 なか でありがちないくつかの(そして各国 かっこく の規格 きかく で定 さだ められているいくつかの)体型 たいけい を想定 そうてい したトルソー を数種類 すうしゅるい 用意 ようい し、型紙 かたがみ (産業 さんぎょう パターン)を数 すう パターン作成 さくせい し、生地 きじ もメーカー側 がわ であらかじめ数 すう パターンほど選択 せんたく ・限定 げんてい し(1種類 しゅるい から数種類 すうしゅるい 程度 ていど 。複数 ふくすう の場合 ばあい 、主 おも に同種 どうしゅ の繊維 せんい で染色 せんしょく の色 いろ の異 こと なる生地 きじ 、場合 ばあい によっては異 こと なる繊維 せんい 種 たね から選 えら び)、製造 せいぞう は工場 こうじょう で行 おこな い、裁断 さいだん も布地 ぬのじ を何 なん 枚 まい 〜何 なん 十 じゅう 枚 まい も重 かさ ねてまとめて一挙 いっきょ に(電動 でんどう ジグソー やレーザーカッター などで)裁断 さいだん するなどして生産 せいさん 効率 こうりつ を高 たか め、ミシン も多数 たすう 並 な べて多人数 たにんずう の労働 ろうどう 者 しゃ を使 つか いライン生産 せいさん ・分業 ぶんぎょう 制 せい で大量 たいりょう 生産 せいさん を行 おこな い、メーカーは卸売 おろしうり 業者 ぎょうしゃ にロット 単位 たんい でまとめて大量 たいりょう に売 う るなどすれば済 す むので、注文 ちゅうもん 服 ふく より単価 たんか を抑 おさ えて安 やす く製造 せいぞう することができる。
既製 きせい 服 ふく は、あらかじめいくつかのサイズの服 ふく を用意 ようい するわけであるが、そのサイズの設定 せってい 方法 ほうほう には様々 さまざま な種類 しゅるい がある。具体 ぐたい 的 てき な数値 すうち は各 かく 事業 じぎょう 者 しゃ ごとに異 こと なるため、表 ひょう は一 いち 例 れい である。ただし、国 こく ごとに定 さだ められている場合 ばあい が多 おお く、日本 にっぽん ではJIS 規格 きかく が用 もち いられている。よってまず日本 にっぽん の規格 きかく を説明 せつめい する。
なお、日本 にっぽん でも、アメリカのメーカーが開発 かいはつ した既製 きせい 服 ふく は以前 いぜん から大量 たいりょう に輸入 ゆにゅう 販売 はんばい されておりアメリカ系 けい の既製 きせい 服 ふく を販売 はんばい している店舗 てんぽ は日本 にっぽん 国内 こくない にかなり多数 たすう あり、さらにスウェーデン発 はつ のH&M やスペイン発 はつ のZARA (ザラ)などの既製 きせい 服 ふく の店舗 てんぽ が、いずれも比較的 ひかくてき 安価 あんか に、日本 にっぽん 国内 こくない 各地 かくち で展開 てんかい するようになっており、若 わか い世代 せだい では普通 ふつう にそういったお店 みせ でも既製 きせい 服 ふく を購入 こうにゅう しており、そういう店舗 てんぽ の既製 きせい 服 ふく はアメリカのサイズ規格 きかく やヨーロッパのサイズ規格 きかく で表示 ひょうじ されている結果 けっか 、各人 かくじん は結局 けっきょく 、「自分 じぶん は、日本 にっぽん のサイズでは何 なに 、USサイズでは何 なに 、EUサイズでは何 なに 」と自分 じぶん のサイズを複数 ふくすう の規格 きかく で記憶 きおく する傾向 けいこう が生 しょう じている。
また、特定 とくてい の服 ふく は、特定 とくてい の方法 ほうほう でサイズ表記 ひょうき される。たとえばワイシャツである。→#ワイシャツのサイズ
標準 ひょうじゅん 体型 たいけい を基準 きじゅん として1つの身長 しんちょう に1つのサイズのみを対応 たいおう させた設定 せってい 方法 ほうほう 。標準 ひょうじゅん 体型 たいけい の場合 ばあい はぴったりのサイズとなるが、大 だい 多数 たすう の人 ひと にとってはずれが生 しょう じる。ただ、ほとんどの服 ふく ではぴったりしたサイズの服 ふく である必要 ひつよう 性 せい が薄 うす いため、最 もっと も一般 いっぱん 的 てき な方法 ほうほう である。サイズが小 ちい さいほうからS (small), M (medium), L (large) の順 じゅん に設定 せってい されていることが多 おお く、その場合 ばあい さらにSより小 ちい さいサイズとしてSSなどが、Lより大 おお きいサイズとしてXLや2Lなどが設定 せってい されていることもある。なお、子供 こども 服 ふく などではおおむね10cm刻 きざ みで身長 しんちょう を表記 ひょうき したものが用 もち いられる。
(例 れい :単位 たんい はcm)
サイズ
身長 しんちょう
胸囲 きょうい
胴 どう 囲 かこえ
S
165
90
78
M
175
94
82
L
185
98
86
「S・M・L」よりも小刻 こきざ みに設定 せってい されたものに「号 ごう 」がある。この場合 ばあい は「号 ごう 」の前 まえ に付 つ く数字 すうじ の大小 だいしょう がサイズの大小 だいしょう を表 あらわ している。「S・M・L」などに比 くら べてサイズの数 かず が多 おお いため、比較的 ひかくてき 体 からだ にフィットした服 ふく に用 もち いられることが多 おお い。紳士 しんし 服 ふく と婦人 ふじん 服 ふく とではサイズの分 わ け方 かた が異 こと なり、紳士 しんし 服 ふく の場合 ばあい は身長 しんちょう の違 ちが いでサイズが分 わ けられており、婦人 ふじん 服 ふく の場合 ばあい は胴 どう 囲 かこえ の違 ちが いでサイズが分 わ けられている。
(婦人 ふじん 服 ふく の例 れい :単位 たんい はcm)
サイズ
胸囲 きょうい
胴 どう 囲 かこえ
腰 こし 囲 かこえ
7号 ごう
76
58
86
9号 ごう
82
63
90
11号 ごう
88
72
98
男性 だんせい 用 よう のスーツなど体 からだ にフィットした服 ふく では上記 じょうき のサイズに加 くわ えて体型 たいけい の違 ちが いが考慮 こうりょ されたサイズが用 もち いられる。具体 ぐたい 的 てき には、標準 ひょうじゅん 体型 たいけい をA体 からだ とし胸囲 きょうい と胴 どう 囲 かこえ との差 さ が大 おお きいものをY体 からだ 、逆 ぎゃく に差 さ が小 ちい さいものをB体 からだ とする。また、より厳密 げんみつ にY体 からだ とA体 からだ の中 なか 間 あいだ としてYA体 からだ 、A体 からだ とB体 からだ との間 あいだ にAM体 からだ やAB体 たい 、B体 からだ より差 さ が小 ちい さいものとしてO体 からだ などが用 もち いられることがあり、その場合 ばあい B体 からだ はBB体 からだ と表記 ひょうき されることもある。ただし、体型 たいけい を考慮 こうりょ したとしてもすべての人 ひと にフィットする服 ふく は作 つく れないため、スーツなどでは今 いま なおオーダーメイド で作 つく られることも珍 めずら しくない。以下 いか 、表 ひょう では胸囲 きょうい の違 ちが いで行 くだり を分 わ けているが、量販 りょうはん 店 てん などでは分 わ かりやすくするために便宜上 べんぎじょう 身長 しんちょう の違 ちが いを号 ごう で分 わ けていることが多 おお く、タグも身長 しんちょう ・胸囲 きょうい ・胴 どう 囲 かこえ の三 さん 元 もと 表示 ひょうじ といわれる表記 ひょうき 法 ほう が一般 いっぱん 的 てき である。なお、スーツにおいて表記 ひょうき されている身長 しんちょう は着丈 きたけ ×2+25(cm)で計算 けいさん されたものである。
(例 れい :単位 たんい はcm)
胸囲 きょうい
Y
A
AM
AB
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
(前略 ぜんりゃく )
92
171
75
73
169
78
72
167
81
71
165
84
70
94
173
77
74
171
80
71
169
83
72
167
86
71
96
175
79
75
173
82
74
171
85
73
169
88
72
98
177
81
76
175
84
75
173
87
74
171
90
73
100
179
83
77
177
86
76
175
89
75
173
92
74
102
181
85
78
179
88
77
177
91
76
175
94
75
(後略 こうりゃく )
体型 たいけい の違 ちが いを考慮 こうりょ するとサイズの数 かず が膨大 ぼうだい になるため、量販 りょうはん 店 てん などでは該当 がいとう 者 しゃ が少 すく ないサイズを省 はぶ いた品 しな 揃 そろ えが一般 いっぱん 的 てき である。
(量販 りょうはん 店 てん の品 しな 揃 そろ えの例 れい :単位 たんい はcm)
胸囲 きょうい
Y
A
AB
B
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
身長 しんちょう
胴 どう 囲 かこえ
着丈 きたけ
90
165
74
70
165
78
70
92
170
76
72.5
170
80
72.5
94
175
78
75
175
82
75
165
84
70
96
180
80
77.5
180
84
77.5
170
86
72.5
98
175
88
75
165
92
70
100
180
90
77.5
170
94
72.5
102
175
96
75
104
180
98
77.5
ワイシャツでは首 くび 周 まわ りと袖丈 そでたけ とでサイズ分 わ けされていることが多 おお い。
赤 あか ちゃん・幼児 ようじ 用 よう の既製 きせい 服 ふく
50 cm、60 cm、70 cm、80 cm、90 cm、95 cm、100 cm、105 cm、110 cm...などと表示 ひょうじ される。[3]
^ ファッション業界 ぎょうかい やアパレル業界 ぎょうかい では、フランス語 ふらんすご がそれなりの力 ちから を持 も っており、基本 きほん 用語 ようご としても通用 つうよう している
^ 既製 きせい 服 ふく が一般 いっぱん 的 てき となる1960年代 ねんだい 以前 いぜん は、既製 きせい 服 ふく は低 ひく く見 み られ、「吊 つ るし」という言葉 ことば も否定 ひてい 的 てき な意味 いみ を持 も つものであった[2] 。
^ コトバンク
^ 「“吊 つ るし”という考 かんが えは捨 す てましょう」『家庭 かてい 全科 ぜんか 』第 だい 2-1巻 かん 、国際 こくさい 情報 じょうほう 社 しゃ 、1960年 ねん 1月 がつ 。
^ [1]