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栄養体 - Wikipedia

栄養えいようたい(えいようたい)は、生物せいぶつ生活せいかつたまき生活せいかつにおいて、いわゆる生活せいかついとなからだ言葉ことばである。生物せいぶつぐんによってややことなった使つかかたがなされる。

概説がいせつ

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栄養えいようたい(えいようたい)というのは、おも植物しょくぶつ藻類そうるい菌類きんるいなど、かつて植物しょくぶつなされていた生物せいぶつにおいてもちいられることがおお言葉ことばであり、そのような生物せいぶつにおいて、栄養素えいようそ摂取せっしゅし、成長せいちょうし、生活せいかつするからだすものである。栄養えいようとは本来ほんらいこうしたいとなみをかたりであり、栄養素えいようそとは区別くべつすべきかたりである。細胞さいぼう生物せいぶつ場合ばあい光合成こうごうせいのための器官きかんからだささえる器官きかん栄養えいよう吸収きゅうしゅうのための器官きかんなど、栄養えいようたいにさまざまな構造こうぞう分化ぶんかする場合ばあいもある。独立どくりつしたからだそのものではなく、それを構成こうせいする組織そしき器官きかん主体しゅたいにおいた場合ばあい栄養えいよう組織そしき栄養えいよう器官きかんといった言葉ことば使つかう。意味いみてき対立たいりつするとすれば生殖せいしょく器官きかんである。

しかし、栄養えいようたいとして分化ぶんかした器官きかんが、繁殖はんしょくのために分化ぶんかしたかたちをとる場合ばあいがある。たとえば根茎こんけいかれたり、から不定ふていしたり、腋芽えきがムカゴになったりする場合ばあいであるが、このような生殖せいしょく栄養えいよう生殖せいしょく、または栄養えいようたい生殖せいしょくび、無性むしょう生殖せいしょくひとつとなす。つまり、無性むしょう生殖せいしょくのうち、胞子ほうしなどの生殖せいしょく細胞さいぼう形成けいせいするかたちでないものは、栄養えいようたい活動かつどうなす。

菌類きんるい藻類そうるいなかで、複雑ふくざつ生活せいかつたまきつものでは、ふたつのからだがあって世代せだい交代こうたいするものや、それ以上いじょうかず世代せだい区別くべつできるものがある。それぞれの世代せだい独立どくりつ生活せいかつをして、一定いってい以上いじょう成長せいちょうをする場合ばあいには、それらを独立どくりつ栄養えいようたいなすこともある。しかし、ある世代せだい非常ひじょう退化たいかてきで、ごく一時いちじてきであったりする場合ばあいには、それを栄養えいようたいとはかんがえない場合ばあいもある。

植物しょくぶつ

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いわゆる植物しょくぶつかい生物せいぶつコケ植物しょくぶつシダ植物しょくぶつ種子しゅし植物しょくぶつ)は、いずれも配偶はいぐうたい胞子ほうしたいふたつのからだ世代せだい交代こうたいおこな生活せいかつたまきつ。コケ植物しょくぶつでは、配偶はいぐうたい生活せいかつ主体しゅたいであるのにたいして、胞子ほうしたい配偶はいぐうたい寄生きせいし、限定げんていてき成長せいちょうしかない。したがって、コケ植物しょくぶつでは配偶はいぐうたい栄養えいようたいである。

シダ植物しょくぶつ種子しゅし植物しょくぶつでは、これとはぎゃくに、胞子ほうしたいがよく発達はったつし、配偶はいぐうたい一時いちじてきでほとんど発達はったつしない。したがって胞子ほうしたい栄養えいようたいである。これは、精子せいし形成けいせいたまごまでおよいでかせるために遊離ゆうりしたみず必要ひつようとする、配偶はいぐうたいという世代せだい簡略かんりゃくし、胞子ほうしたい体内たいないめることで、みず依存いぞんする必要ひつようすくなくする方向ほうこうへの進化しんかすすんだものとかんがえられる。種子しゅし植物しょくぶつでは、配偶はいぐうたい肉眼にくがんてきおおきさにたっせず、独立どくりつ生活せいかつおこなわないので、栄養えいようたいうにはあたいしない程度ていどになっている。しかし、シダ植物しょくぶつでは、配偶はいぐうたいぜんたいばれ、一応いちおう独立どくりつしている。また、一部いちぶにはぜんたいのみで生育せいいくつづけているものもあり、栄養えいようたいとしての機能きのうっている。

藻類そうるい

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藻類そうるいは、葉緑素ようりょくそち、光合成こうごうせいおこない、それによってられた栄養えいようによって生命せいめい活動かつどうおこない、成長せいちょう分裂ぶんれつしてえてく。また、ある時期じきにはそのような姿すがたて、ゆうはし細胞さいぼう形成けいせいして接合せつごうするなど、有性ゆうせい生殖せいしょくおこなう。このような、有性ゆうせい生殖せいしょくなどにおいて特有とくゆう生殖せいしょく器官きかん形成けいせいして特殊とくしゅ活動かつどうをしている状態じょうたいのぞく、普段ふだん生活せいかつおこなう姿すがた栄養えいようたいである。藻類そうるい栄養えいようたい葉状ようじょうたい (Thallus) とう。

藻類そうるい栄養えいようたいは、単細胞たんさいぼう少数しょうすう細胞さいぼうからなる細胞さいぼうぐんたい糸状いとじょう細胞さいぼうれつ複数ふくすう細胞さいぼうれつからなる構造こうぞう平面へいめんてき配列はいれつ細胞さいぼうぐん立体りったいてき配列はいれつ細胞さいぼうからだとう、さまざまな構造こうぞうのものがある。

栄養えいようたい生殖せいしょく細胞さいぼう関係かんけいには、おおきく2つのかたがある。ひとつは、栄養えいようたい細胞さいぼうがある時期じきにすべて生殖せいしょく細胞さいぼう変化へんかするものである。もうひとつは、生殖せいしょく細胞さいぼう特定とくてい部位ぶいあらたに形成けいせいされるようなもので、この場合ばあい栄養えいようたいから生殖せいしょく細胞さいぼう分化ぶんかするかたちになる。

菌類きんるい

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菌類きんるい生活せいかつは、細胞さいぼうがい有機物ゆうきぶつ細胞さいぼうがい消化しょうか分解ぶんかいし、吸収きゅうしゅうすることでおこなわれる。そのような活動かつどうおこなうのが菌類きんるい栄養えいようたいである。菌類きんるい栄養えいようたい葉状ようじょうたい (Thallus pl.Thalli) というが、語感ごかんてきにはきんたいといった表現ひょうげんちかい。

ツボカビもんにおいては、きんたいかたち単細胞たんさいぼうかり単細胞たんさいぼうかりでつながった単細胞たんさいぼうたいちかいもの、多核たかく菌糸きんしからだとうられる。単細胞たんさいぼうてきなものでは、栄養えいようたいがすべて生殖せいしょく細胞さいぼう変化へんかする。

それ以外いがい菌類きんるいでは、栄養えいようたいかたちはおおよそ単細胞たんさいぼう酵母こうぼかたと、細胞さいぼう糸状いとじょう菌糸きんしたいのものにかれる。

動物どうぶつでの使用しようれい

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動物どうぶつてき生物せいぶつにおいても、この言葉ことば使用しようされることがある。

原生げんせい生物せいぶつでは運動うんどうのう生活せいかつ様式ようしきことなる複数ふくすう形態けいたい生物せいぶつめずらしくなく、栄養えいよう吸収きゅうしゅうして成長せいちょう増殖ぞうしょくする形態けいたい栄養えいようたい栄養えいようがた、トロフォゾイト、trophozoite)とぶ。したがって寄生きせいせい場合ばあいには、栄養えいようたい病原びょうげんせい関係かんけいしていることがおおい。栄養えいようたいシストのように休眠きゅうみん状態じょうたいにあるものと対照たいしょうさせた用語ようごであり、複数ふくすうことなる形態けいたい総称そうしょうとしてあつかわれることもある。たとえばトリパノソーマではむちがたぜんむちがたうえむちがたきりむちがたなどといった形態けいたいるが、これらはいずれも栄養えいようたいである。これにたいして赤痢せきりアメーバランブルむち毛虫けむしでは、分裂ぶんれつをしないシストと分裂ぶんれつする栄養えいようたいの2がたしかない[1]ぎゃく非常ひじょうせま意味いみかぎって使つか生物せいぶつもあり、マラリア原虫げんちゅうには増殖ぞうしょくおこな様々さまざま形態けいたいられているが、あかないがた増殖ぞうしょくなかのある一時期いちじきのみを栄養えいようたいんでいる。

また、とげ動物どうぶつヒドロむしるいぐんたいつくるものなどで、ぐんたい形成けいせいする個々ここ個体こたい役割やくわり分担ぶんたんや、それにおうじた分化ぶんかられる場合ばあいがある。その場合ばあい触手しょくしゅ発達はったつさせてえさをとる個体こたいクラゲしょうじて生殖せいしょくにかかわる個体こたい分化ぶんかするれいがある。この場合ばあいに、えさ個体こたい栄養えいようちゅうんだり、生殖せいしょくにかかわる個体こたい生殖せいしょくちゅうんだりするが、この生殖せいしょくちゅう以外いがい部分ぶぶん栄養えいようからだ (trophosome) とぶ。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Protozoa: Structure, Classification, Growth, and Development”. Medical Microbiology. University of Texas Medical Branch at Galveston (1996ねん). 2018ねん10がつ5にち閲覧えつらん