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死神 - Wikipedia

死神しにがみ

擬人ぎじんしたもの

死神しにがみ(しにがみ)とは、生命せいめいつかさどるとされるかみ世界せかい各地かくち類似るいじ伝説でんせつ存在そんざいする。冥府めいふにおいてはたましい管理かんりしゃとされ、落語らくごなど様々さまざま娯楽ごらく作品さくひんにもふるくからつかさど存在そんざいとして登場とうじょうする。

西洋せいよう死神しにがみ
オーストリアデュルンシュタイン修道院しゅうどういん彫刻ちょうこく
ろうそくしを溶接ようせつする死神しにがみしめ古代こだいのイラスト。[よう検証けんしょう]

西洋せいよう死神しにがみ

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西洋せいようにおいて概念がいねん擬人ぎじんされて、きた骸骨がいこつとしてえがかれるようになったのは中世ちゅうせい以降いこうである[1]伝承でんしょうにおける登場とうじょう人物じんぶつとして、大鎌おおがまにした姿すがたをしていることがおおく、もなくむかえる人間にんげんたましいあつめているとわれる。イギリスとドイツでは、死神しにがみ男性だんせいとして表現ひょうげんされるのが一般いっぱんてきだが、フランス、スペイン、イタリアにおいては女性じょせい姿すがたをしていることもめずらしくない[2]

1800年代ねんだい後半こうはんから、えい文学ぶんがくにおいて死神しにがみというキャラクターはグリム・リーパー(Grim Reaper)のられるようになった。グリム・リーパーという言葉ことば最初さいしょ文献ぶんけん登場とうじょうするのは1847ねんの『The Circle of Human Life』である[3][4][5]

それ以降いこう一般いっぱんてき大鎌おおがま、もしくはぶりな草刈くさかりがまち、くろ基調きちょうにしたいたんだローブにまとった人間にんげん白骨はっこつ姿すがたえがかれ、ときミイラしているか、完全かんぜん白骨はっこつしたうまっていることもある。また、あし存在そんざいせず、つね浮遊ふゆうしているものもおおく、くろつばさやしている姿すがたえがかれる。

こうした一般いっぱんてき想像そうぞうされる禍々まがまがしい死神しにがみ姿すがたは、一種いっしゅアレゴリーであり、擬人ぎじんしたものである。神話しんわ宗教しゅうきょう作品さくひんによってその姿すがたおおきくわる。ときには白骨はっこつとはちがった趣向しゅこう不気味ぶきみなデザインとなることもある。

そのだいかま一度いちどげると、ろされたかまかなら何者なにものかのたましいるとわれ、死神しにがみかまからのがれるためには、ものたましいささげなければならないとされる。

心霊しんれい写真しゃしんにおいては、かまった死神しにがみうつるといのちかかわる危険きけん前兆ぜんちょうで、たとえかまっていなくともなんらかの危機きききる、という迷信めいしん存在そんざいする。

基本きほんてきに、死神しにがみわる存在そんざいとしてあつかわれることおおいが、『最高さいこうしんつかえる農夫のうふ』という異名いみょうもある。この場合ばあいむかえる予定よてい人物じんぶつ冥府めいふへとみちび役目やくめ死神しにがみっているといわれる。その人物じんぶつたましいのみが現世げんせい彷徨うろつつづけ、悪霊あくりょうするのをふせぐためである。

日本にっぽん死神しにがみ

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日本にっぽん神話しんわにおけるイザナミ冥界めいかいおうとされる閻魔えんま死神しにがみとみなされることもある[6][7]西洋せいようにおける死神しにがみ日本にっぽんにおける死神しにがみことなるとかんがえられることもある。日本にっぽんにはその概念がいねん存在そんざいしなかったとされることもある[8][9]

江戸えど時代じだい以降いこうたとえば近松ちかまつ門左衛門もんざえもんによる心中しんちゅうのをテーマにした人形浄瑠璃にんぎょうじょうるり古典こてん書籍しょせきなどに、「死神しにがみ」という言葉ことばはみられる[10][11][12]戦後せんごに、西洋せいよう死神しにがみ観念かんねん日本にっぽんはいってきたことで、死神しにがみ人格じんかく存在そんざいとしてかたられるようになり[8]、テレビドラマや漫画まんが、ゲームなど様々さまざまなフィクション作品さくひん登場とうじょうするようになった[13][14]

宗教しゅうきょう神話しんわにおける死神しにがみ

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おおくの文化ぶんかでは、その神話しんわなか死神しにがみれている。人間にんげんの「」は、「誕生たんじょう」ととも人生じんせいにとって重要じゅうよう位置いちめるものである。その性質せいしつじょうあく存在そんざいてき認知にんちをされている。

ほとんどの場合ばあい死神しにがみ宗教しゅうきょうなかもっと重要じゅうようかみの1つとされ、最高さいこうかみもしくはいでたかかみとなっている場合ばあいおおく、崇拝すうはい対象たいしょうにしている宗教しゅうきょうもある。

この場合ばあいたん死神しにがみ崇拝すうはいといっても「絶対ぜったいてきちからかみ」の能力のうりょく一部いちぶに「生死せいしあやつ能力のうりょく」があるなど、いわゆる邪教じゃきょう崇拝すうはいだけではないてん注意ちゅういするべきである。穀物こくもつ生成せいせい輪廻りんね転生てんせい関連付かんれんづけられる地域ちいきでは再生さいせいかみとしてとらえられることもある。

キリスト教きりすときょうなどの一神教いっしんきょうにおいてはかみ唯一ゆいいつかみ以外いがいになく、実際じっさい生物せいぶつらしめ、それを執行しっこうするのは天使てんし(いわゆる「天使てんし」)である。このためキリスト教きりすときょうでは「死神しにがみ」は存在そんざいせず、わりに「悪魔あくま」が存在そんざいする。また、直接ちょくせつ死神しにがみとはかれていないが、黙示録もくしろくにおいて「だい4の封印ふういん」をけたとき、「けん飢餓きがってあおいざめたった""というもの」がやってると記載きさいされている。このものかみによってつかわされているというてん、そして比喩ひゆ表現ひょうげんであるということは特筆とくひつすべきである。また民話みんわ創作そうさくにおいては、かみ悪魔あくまとはべつ存在そんざい(つまり和訳わやくの"死神しにがみ"にはんしてかみではない)としての死神しにがみ登場とうじょうすることがある(グリム童話どうわの『死神しにがみ名付なづおや Der Gevatter Tod』など)。

タロットカードにおける死神しにがみ

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タロットうらなでは「だいアルカナ」の13番目ばんめのカード「Death」としてまたは死神しにがみ使つかわれる。死神しにがみは「停止ていし」や「損失そんしつ」など、不吉ふきつ出来事できごと予兆よちょうとされるが、カードのわせやデッキからしたときの図柄ずがらきによって「からの再生さいせい」や「やりなおし」に意味いみ変化へんかする。

死神しにがみ一覧いちらん

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関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Noyes, Deborah (2008). Encyclopedia of the End: Mysterious Death in Fact, Fancy, Folklore, and More. Boston: Houghton Mifflin. p. 35. ISBN 978-0618823628 
  2. ^ Guthke, Karl S. (1999). The Gender of Death: A Cultural History in Art and Literature. Cambridge: Cambridge University Press. p. 7. ISBN 0521644607 
  3. ^ The Circle of Human Life is a translation by Robert Menzies of part of an earlier German book by August Tholuck, Stunden Christlicher Andacht, published in 1841.
  4. ^ grim reaper”. Merriam-Webster. 1 September 2020閲覧えつらん
  5. ^ Menzies, Robert (1847). The Circle of Human Life. Edinburgh: Myles Macphail. p. 11 
  6. ^ 七会ななかいしず『よくわかる「世界せかい死神しにがみ事典じてん廣済堂こうさいどうあかつき廣済堂こうさいどう文庫ぶんこ〉、2009ねん11月30にち、168-174ぺーじISBN 978-4-331-65459-0 
  7. ^ 河野こうの信子のぶこ へんおんなおとこ時空じくう』 1かん藤原ふじわら書店しょてん、1995ねん9がつ、115ぺーじISBN 978-4-89434-022-0 
  8. ^ a b 多田ただ克己かつみ へん絵本えほんひゃく物語ものがたり 桃山ももやまじん夜話やわ国書刊行会こくしょかんこうかい、1997ねん6がつ24にち、127-128ぺーじISBN 978-4-336-03948-4 
  9. ^ 木村きむら文輝ふみてる生死せいし仏教ぶっきょうがく法藏館ほうぞうかん、2007ねん4がつ1にち、141ぺーじISBN 978-4-8318-2418-9 
  10. ^ 近松ちかまつ門左衛門もんざえもん近松ちかまつ門左衛門もんざえもんしゅう』 2かん鳥越とりこし文蔵ぶぞう他校たこうちゅうわけ小学館しょうがくかん新編しんぺん日本にっぽん古典こてん文学ぶんがく全集ぜんしゅう〉、1998ねん4がつ1にち、76ぺーじISBN 978-4-09-658075-2 
  11. ^ 鳥越とりこし 1998, p. 266.
  12. ^ 桃山ももやまじん桃山ももやまじん夜話やわ 絵本えほんひゃく物語ものがたり角川書店かどかわしょてん角川かどかわソフィア文庫ぶんこ〉、2006ねん7がつ31にち、131ぺーじISBN 978-4-04-383001-5 
  13. ^ ななかい 2009, p. 3.
  14. ^ 村上むらかみ健司けんじ編著へんちょ百鬼夜行ひゃっきやこう解体かいたい新書しんしょコーエー、2000ねん11月、69ぺーじISBN 978-4-87719-827-5