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水飴 - Wikipedia

水飴みずあめ

糖化とうかした粘液ねんえきじょうのデンプンによる甘味あまみりょうおよび食品しょくひん

水飴みずあめ(みずあめ)とは、デンプンたいして、適切てきせつさんまたは加水かすい分解ぶんかい酵素こうそ作用さようさせる方法ほうほうによって、糖化とうかしてつくられた粘液ねんえきじょう甘味あまみりょうである。デンプンを完全かんぜん加水かすい分解ぶんかいするとすべグルコースになるものの、そこまでは分解ぶんかいせずに、中途半端ちゅうとはんぱ加水かすい分解ぶんかいして製造せいぞうする。このため水飴みずあめおも成分せいぶんは、みず除外じょがいすると、グルコース、マルトースデキストリン混合こんごうぶつである。なお、酵素こうそ糖化とうか水飴みずあめ麦芽ばくが水飴みずあめ場合ばあいは、主成分しゅせいぶんはマルトースである。

注意ちゅういてんとして、名称めいしょうまぎらわしいものの、還元かんげん水飴みずあめは、水飴みずあめではないてんげられる。

製造せいぞう

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流動りゅうどうせいゆうした水飴みずあめ

伝統でんとうてき水飴みずあめ製法せいほう

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ふるくは、玄米げんまい発芽はつがさせ、発芽はつがした玄米げんまい含有がんゆうされるデンプンの加水かすい分解ぶんかい酵素こうそ[注釈ちゅうしゃく 1]、いわゆる「糖化とうか酵素こうそ」を利用りようして、水飴みずあめ製造せいぞうされていた。時代じだいくだると、発芽はつが玄米げんまいよりも効率こうりつ麦芽ばくが糖化とうか酵素こうそ供給きょうきゅうげんとして利用りようされるようになり、麦芽ばくが水飴みずあめ製造せいぞうされるようになった。麦芽ばくが水飴みずあめには原料げんりょう由来ゆらいするミネラルなどがわずかにふくまれるために、独特どくとく風味ふうみゆうし、飴色あめいろていする原因げんいんである。

伝統でんとうてき水飴みずあめ製法せいほう起源きげんについては、諸説しょせつ存在そんざいする。たとえば、酒造しゅぞうのために、デンプンしつ食品しょくひん糖化とうかしたこと起源きげんかもしれないというせつる。この場合ばあいにも、さらに、ねりしゅ白酒しろざけ (日本酒にほんしゅ)ようなものかられたあまこうじを、濾過ろかしてつくったもの起源きげんかもしれないというせつれば、味醂みりんのようなもののエタノールぶん煮詰につめて揮発きはつさせたもの起源きげんかもしれないというせつる。ただし、水飴みずあめのようなものは、有史ゆうし以前いぜんより製造せいぞうしていたとかんがえられており、諸説しょせつなかで、いずれのせつただしいかはさだかでない。

さん糖化とうか水飴みずあめ製法せいほう

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その、さらに、デンプンにシュウさんくわえて、シュウさん作用さようさせて加水かすい分解ぶんかいおこなって製造せいぞうしたさん糖化とうか水飴みずあめ登場とうじょうした。この水飴みずあめ製法せいほうを、さん糖化とうかほう場合ばあいる。ただし、この製法せいほう使用しようするシュウさん大量たいりょう摂取せっしゅした場合ばあいには、尿にょう結石けっせきなどの原因げんいんになるため、有害ゆうがいである。また、シュウさん酸味さんみゆうしており、水飴みずあめあじえてしまう。これらの理由りゆうで、シュウさんのぞ必要ひつようる。よって、炭酸たんさんカルシウム添加てんかしてシュウさん反応はんのうさせ、みず不溶ふようシュウさんカルシウムとしてから、濾過ろかしてシュウさんカルシウムを除去じょきょする方法ほうほうにより、シュウさんのぞ[1][注釈ちゅうしゃく 2]さん糖化とうか水飴みずあめは、基本きほんてき精製せいせいしたデンプンを原料げんりょうをするため、無色むしょく透明とうめいで、ほぼ水分すいぶんとうしつしかふくまない。

酵素こうそ糖化とうか水飴みずあめ製法せいほう

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また、デンプンを加水かすい分解ぶんかいするための酵素こうそ人工じんこうてき添加てんかして製造せいぞうした酵素こうそ糖化とうか水飴みずあめ登場とうじょうした。酵素こうそ糖化とうか水飴みずあめは、グルコースの含有がんゆうりょうおおく、甘味あまみつよ[2]酵素こうそ糖化とうか水飴みずあめは、基本きほんてき精製せいせいしたデンプンを原料げんりょうをするため、無色むしょく透明とうめいで、ほぼ水分すいぶんとうしつしかふくまない。

かた使用しようほう

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水飴みずあめは、そのままでもべられる。日本にっぽんでは、1960年代ねんだいごろまでさかんにおこなわれていた街頭がいとう紙芝居かみしばいには水飴みずあめもので、子供こどもたちが水飴みずあめばしで攪拌してあそびながらべていた。

それ以外いがいに、調理ちょうり材料ざいりょうとしても利用りようされる。日本にっぽんでは、砂糖さとう伝来でんらいするまえには主要しゅよう甘味あまみりょうとして利用りようされていたが、いまでも和菓子わがしでは甘味あまみりょうの1つとして使つかわれている。また、南部なんぶ煎餅せんべい水飴みずあめはさんだものである「あめせん」や、落雁らくがんなどのように、主要しゅよう材料ざいりょうの1つとして、水飴みずあめもちいるれい存在そんざいする。

また、水飴みずあめ自体じたい食品しょくひん添加てんかぶつではないものの、まるで食品しょくひん添加てんかぶつのような使つかかたをする場合ばあいる。水飴みずあめには、砂糖さとう結晶けっしょう阻害そがいする性質せいしつるため、糖分とうぶん濃度のうどたか食品しょくひんに、水飴みずあめ添加てんかすれば、なめらかな口当くちあたりを、比較的ひかくてきなが時間じかんにわたってたもてる。に、食品しょくひん保湿ほしつ目的もくてき使つかわれる場合ばあいもある。また、和菓子わがし表面ひょうめんのつやしや、表面ひょうめんしにも使つかわれる。

生薬きぐすりにかわあめ

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もちまい主原あるじはらりょうとして、麦芽ばくがじる含有がんゆうされる糖化とうか酵素こうそ作用さようさせて製造せいぞうした麦芽ばくが水飴みずあめを、乾燥かんそうして粉末ふんまつにしたものが、あるしゅかん方方かたがたざい配合はいごうされる生薬きぐすりの1つのにかわあめ(こうい)である。したがって、その主要しゅよう成分せいぶんは、マルトースである[3]。しかしながら、製法せいほうからあきらかなように、マルトース以外いがい成分せいぶんふくまれる。

にかわあめ配合はいごうされたかん方方かたがたざいとしては、たとえば、しょうけんちゅうだいけんちゅうげられる。しょうけんちゅうだいけんちゅう場合ばあいには、使用しようする生薬きぐすり重量じゅうりょう半分はんぶん程度ていどが、にかわあめである[注釈ちゅうしゃく 3]に、耆建ちゅうなど、様々さまざま漢方かんぽうかたざい存在そんざいする。

かん方方かたがたざい場合ばあいには、にかわあめ単独たんどくもちいること基本きほんてきいものの、にかわあめは、滋養じよう強壮きょうそう作用さようけん作用さようなどをゆうするとされている。このにかわあめ単独たんどく作用さようについては、マルトースがちょうない細菌さいきんくさむら影響えいきょうあたえるからではないかといったせつ[4]

還元かんげん水飴みずあめについて

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還元かんげん水飴みずあめばれるもの存在そんざいするが、これは水飴みずあめ加工かこうしたとうアルコール主成分しゅせいぶんとする甘味あまみりょうであり、水飴みずあめではない[5]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ デンプンの加水かすい分解ぶんかい酵素こうそは「糖化とうか酵素こうそ」ともばれる。さけ醸造じょうぞう水飴みずあめ製造せいぞうなどの分野ぶんやでは、しばしば、糖化とうか酵素こうそといういいかたされる。このため、この注釈ちゅうしゃく以降いこうでは、糖化とうか酵素こうそ呼称こしょうもちいる。
  2. ^ 参考さんこうまでに、シュウさん大量たいりょう摂取せっしゅした場合ばあいに、尿にょう結石けっせき発生はっせいする理由りゆうの1つは、腎臓じんぞう濾過ろかされたシュウさんが、尿にょうちゅう排泄はいせつされたカルシウムイオンと反応はんのうして、シュウさんカルシウムが生成せいせいして、シュウさんカルシウム結石けっせきができるからである。シュウさんカルシウム結石けっせきは、表面ひょうめん凹凸おうとつおおく、排尿はいにょうさい結石けっせきなががたいという問題もんだいゆうする。これ以上いじょうくわしい情報じょうほうは「尿にょう結石けっせき」の記事きじ参照さんしょう
  3. ^ ただし、処方しょほうによる加減かげん実施じっしされていない、標準ひょうじゅんてきほうざい場合ばあい配合はいごう割合わりあいはなしである。

出典しゅってん

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  1. ^ 村田むらた徳治とくじしんてい廃棄はいきぶつのやさしい化学かがく だい3かん はいさんはいアルカリ・汚泥おでいまき日報にっぽう出版しゅっぱん、2004ねん、117ぺーじISBN 978-4-89086-235-1 
  2. ^ ブドウ糖ぶどうとう”. osatou.com. 2016ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  3. ^ 山田やまだ ようじょう花輪はなわ 壽彦としひこきむ 成俊なりとし 編集へんしゅう薬学やくがくせいのための漢方かんぽう医薬いやくがく』 p.297 南江堂なんこうどう 2007ねん4がつ20日はつか発行はっこう ISBN 978-4-524-40214-4
  4. ^ 寺澤てらさわ としねん和漢わかん診療しんりょうがく岩波書店いわなみしょてん、2015ねん、36ぺーじISBN 978-4-00-431574-2
  5. ^ 日本にっぽんしょくささえる還元かんげんみずあめの役割やくわり - 物産ぶっさんフードサイエンス” (pdf). 2021ねん3がつ8にち閲覧えつらん