沈 しず み込 こ み帯 たい (しずみこみたい、英 えい : subduction zone )とは、地球 ちきゅう 上 うえ の2つのプレート が出会 であ って、下 した にあるほうのプレートがすべってマントル に1年 ねん で数 かず cm沈 しず み込 こ む場所 ばしょ のことである。この沈 しず み込 こ みによって海溝 かいこう やトラフ が作 つく られる。
海洋 かいよう プレートの沈 しず み込 こ みによって海溝 かいこう が作 つく られる
沈 しず み込 こ み帯 たい では、プレートが沈 しず み込 こ んでいくことで最終 さいしゅう 的 てき に消失 しょうしつ してマントルとなるため、マントルの上昇 じょうしょう からマグマ が生成 せいせい 噴出 ふんしゅつ され新 あたら しいプレートが作 つく られる海嶺 かいれい とは対極 たいきょく の働 はたら きをしている。たいていの場合 ばあい は、より密度 みつど の高 たか い海洋 かいよう プレートが大陸 たいりく プレートの下 した にすべり込 こ み、周辺 しゅうへん では多 おお くの火山 かざん があり、また地震 じしん を頻発 ひんぱつ させる造山 つくりやま 帯 たい をしばしば形成 けいせい する。
沈 しず み込 こ み帯 たい は海底 かいてい のリソスフェア が別 べつ のプレートに収束 しゅうそく し、その下 した の深 ふか さ約 やく 100kmに沈 しず み込 こ む線上 せんじょう に存在 そんざい する。そのような深 ふか さではスラブ の橄欖 かんらん 岩 がん はエクロジャイト (榴輝岩 がん )に変化 へんか し、海底 かいてい のリソスフェアの密度 みつど が増加 ぞうか し、マントルに沈 しず み込 こ む。沈 しず み込 こ み帯 たい ではリソスフェア、堆積 たいせき 物 ぶつ 、岩石 がんせき に閉 と じ込 こ められた水 みず などが、マントルにリサイクルされる。また地球 ちきゅう 以外 いがい の惑星 わくせい では沈 しず み込 こ み帯 たい は確認 かくにん されていない。もし沈 しず み込 こ み帯 たい がなければプレートテクトニクス は存在 そんざい せず、地球 ちきゅう はかなり違 ちが ったものになっていたかもしれない。
沈 しず み込 こ み (しずみこみ、英 えい : subduction )が発生 はっせい する原因 げんいん は、リソスフェアとその下 した にあるアセノスフェア の密度 みつど の違 ちが いで、それは地殻 ちかく の構成 こうせい で決 き まる。密度 みつど の大 おお きさは通常 つうじょう 、大陸 たいりく 地殻 ちかく (大陸 たいりく 直下 ちょっか のアセノスフェア)、海洋 かいよう 地殻 ちかく (海底 かいてい の下 した のアセノスフェア)、アセノスフェアの順 じゅん に小 ちい さくなる。しかし例外 れいがい 的 てき にLIPと呼 よ ばれる玄武岩 げんぶがん が大量 たいりょう に存在 そんざい すれば、海洋 かいよう 地殻 ちかく を極端 きょくたん に軽 かる くして沈 しず み込 こ まない海底 かいてい のリソスフェアの地域 ちいき を形成 けいせい することがある。そのような地域 ちいき ではプレート同士 どうし が衝突 しょうとつ して、造山 つくりやま 活動 かつどう を引 ひ き起 お こす。
T. Lay および金森 かなもり 博雄 ひろお はプレート境界 きょうかい の沈 しず み込 こ み帯 たい を、断層 だんそう 面 めん のアスペリティ が占 し める割合 わりあい に基 もと づいて以下 いか の4種 しゅ に分類 ぶんるい した[ 1] [ 2] 。
カテゴリー1 - 全長 ぜんちょう 500km以上 いじょう のほぼ同 おな じラプチャーゾーン(断層 だんそう 破壊 はかい 域 いき )をもつ巨大 きょだい 地震 じしん が規則正 きそくただ しい時間 じかん 間隔 かんかく で発生 はっせい する傾向 けいこう がある。アスペリティはプレート境界 きょうかい ほぼ全域 ぜんいき に分布 ぶんぷ する。例 れい : 南 みなみ チリ沈 しず み込 こ み帯 たい 。
カテゴリー2 - ラプチャーゾーンがカテゴリー1よりやや小 ちい さく、あるときはセグメントが個別 こべつ に断層 だんそう 破壊 はかい し、あるときには全長 ぜんちょう 500km程度 ていど の海溝 かいこう 全体 ぜんたい が断層 だんそう 破壊 はかい して巨大 きょだい 地震 じしん を引起 ひきおこ す。例 れい : アリューシャン 沈 しず み込 こ み帯 たい 。
カテゴリー3 - いつも同 おな じ部分 ぶぶん が断層 だんそう 破壊 はかい して大 だい 地震 じしん を発生 はっせい させるが、同時 どうじ に複数 ふくすう のセグメントが断層 だんそう 破壊 はかい して巨大 きょだい 地震 じしん を発生 はっせい することは稀 まれ である。例 れい : 千島 ちしま 列島 れっとう 沈 しず み込 こ み帯 たい 。
カテゴリー4 - 非 ひ 地震 じしん 性 せい のすべりの割合 わりあい が大 おお きく、巨大 きょだい 地震 じしん は発生 はっせい しないとされる。例 れい : マリアナ 沈 しず み込 こ み帯 たい 。
カスケード沈 しず み込 こ み帯 たい
カスケード沈 しず み込 こ み帯 たい 地震 じしん 空白 くうはく 域 いき
M 9クラスの超 ちょう 巨 きょ 大 だい 地震 じしん はカテゴリー1の沈 しず み込 こ み帯 たい において発生 はっせい するとされ、南 みなみ チリでは1960年 ねん にチリ地震 じしん が発生 はっせい し、日本 にっぽん においては従来 じゅうらい 、南海 なんかい トラフ はカテゴリー2、日本 にっぽん 海溝 かいこう はカテゴリー3に属 ぞく するとされてきたが、その日本 にっぽん 海溝 かいこう では2011年 ねん にM9.0の東北 とうほく 地方 ちほう 太平洋 たいへいよう 沖 おき 地震 じしん が発生 はっせい した。
これらの分類 ぶんるい はプレートの沈 しず み込 こ み角度 かくど が関連 かんれん し、若 わか く、薄 うす く弾力 だんりょく 性 せい があるプレートは低 てい 角 かく で沈 しず み込 こ み、プレート間 あいだ に高 こう 圧 あつ がかかり摩擦 まさつ が高 たか く固着 こちゃく が強 つよ くなる。一方 いっぽう で古 ふる く、厚 あつ く脆 もろ いプレートは高角 こうかく で沈 しず み込 こ み固着 こちゃく が弱 よわ いとされる。固着 こちゃく の強 つよ い沈 しず み込 こ み帯 たい はプレート移動 いどう のエネルギーの多 おお くが巨大 きょだい 地震 じしん によりプレート間 あいだ に歪 ひずみ が放出 ほうしゅつ され地震 じしん カップリング率 りつ が高 たか く、固着 こちゃく の弱 よわ い沈 しず み込 こ み帯 たい は非 ひ 地震 じしん 性 せい のすべりが多 おお く、地震 じしん による歪 ひずみ の開放 かいほう の割合 わりあい が小 ちい さく地震 じしん カップリング率 りつ が低 ひく い。
電子 でんし 基準 きじゅん 点 てん やGPS の解析 かいせき により日本 にっぽん 付近 ふきん のプレート境界 きょうかい におけるプレート間 あいだ の固着 こちゃく による滑 すべ り遅 おく れ速度 そくど が推定 すいてい されており、歪 ひずみ の蓄積 ちくせき の度合 どあ いや地震 じしん カップリング率 りつ が見積 みつ もられている[ 3] [ 4] [ 5] 。
日本 にっぽん 付近 ふきん で最 もっと も低 てい 角 かく で沈 しず み込 こ むのは南海 なんかい トラフで、高角 こうかく で沈 しず み込 こ むのは伊豆 いず ・小笠原 おがさわら 海溝 かいこう であり、このことが日本 にっぽん 周辺 しゅうへん における地震 じしん の起 お こり方 かた を支配 しはい している。南海 なんかい トラフでは凡 およ そ100 - 150年 ねん 毎 ごと に連動 れんどう 型 がた 巨大 きょだい 地震 じしん を発生 はっせい し、時 とき には1707年 ねん の宝永 ほうえい 地震 じしん のような南海 なんかい トラフ全般 ぜんぱん に断層 だんそう 破壊 はかい が及 およ んでいるが、伊豆 いず ・小笠原 おがさわら 海溝 かいこう では小 ちい さな地震 じしん は頻発 ひんぱつ しているものの巨大 きょだい 地震 じしん が確認 かくにん されていない[ 6] 。
1700年 ねん にカスケード地震 じしん を引起 ひきおこ したカスケード沈 しず み込 こ み帯 たい は、普段 ふだん は地震 じしん の回数 かいすう が少 すく なく歴史 れきし 記録 きろく 上 じょう は静穏 せいおん を保 たも っているが、若 わか いファンデフカプレート が低 てい 角 かく で沈 しず み込 こ み固着 こちゃく が強 つよ く、地質 ちしつ 調査 ちょうさ から巨大 きょだい 地震 じしん が数 すう 百 ひゃく 年 ねん 毎 ごと に発生 はっせい していると推定 すいてい され、将来 しょうらい M9クラスの地震 じしん の発生 はっせい が予測 よそく される[ 2] 。
^ 北 きた にプエルトリコ海溝 かいこう が連続 れんぞく する。
^ 南 みなみ にヤップ海溝 かいこう が連続 れんぞく する。
^ en:Divergent double subduction で東西 とうざい 両側 りょうがわ に沈 しず み込 こ んでいる。
^ 駿河 するが 湾内 わんない は駿河 するが トラフ とも称 しょう される。東 ひがし に相模 さがみ トラフ、南西 なんせい に琉球 りゅうきゅう 海溝 かいこう が連続 れんぞく する。
^ 北 きた にマニラ海溝 かいこう 、南 みなみ にスールー海溝 かいこう (英語 えいご 版 ばん ) が連続 れんぞく する。
^ 東 ひがし にニューブリテン海溝 かいこう 、マヌス海溝 かいこう (英語 えいご 版 ばん ) が連続 れんぞく する。
^ エスピリトゥサント島 とう を境 さかい に、北 きた ニューヘブリディーズ海溝 かいこう と南 みなみ ニューヘブリディーズ海溝 かいこう と称 しょう される。
^ フィリピン海 うみ 膨 (英語 えいご 版 ばん ) を境 さかい に、北側 きたがわ は東 ひがし ルソン海溝 かいこう (英語 えいご 版 ばん ) と称 しょう される。
^ 北 きた にセラムトラフ、西 にし にスンダ海溝 かいこう が連続 れんぞく する
^ ルイビル海山 うみやま 列 れつ を境 さかい に、北 きた をトンガ海溝 かいこう 、南 みなみ をケルマデック海溝 かいこう とも称 しょう される。
^ 西 にし にニューブリテン海溝 かいこう 、東 ひがし に南 みなみ ソロモン海溝 かいこう を挟 はさ んでニューヘブリディーズ海溝 かいこう が連続 れんぞく する。
^ 北 きた からアンダマン海溝 かいこう (英語 えいご 版 ばん ) 、スマトラ海溝 かいこう (英語 えいご 版 ばん ) 、ジャワ海溝 かいこう に細分 さいぶん 化 か される。
^ Lay, T(1981) (PDF ) Lay, T., and Kanamori, H., 1981, An asperity model of great earthquake sequences, Earthquake Prediction - An International Review, AGU Geophys. Mono. : Washington, D.C., p. 579-592.
^ a b T.レイ・T.C.ウォレス 『地震 じしん 学 がく 下巻 げかん 』 柳谷 やなぎや 俊 しゅん 訳 やく 、古今 ここん 書院 しょいん 、2002年 ねん
^ 橋本 はしもと 千尋 ちひろ (2009) (PDF ) 橋本 はしもと 千尋 ちひろ 、鷺 さぎ 谷 たに 威 たけし 、松浦 まつうら 充宏 みつひろ :GPS データインバージョン, 平成 へいせい 21年度 ねんど 地球 ちきゅう シミュレーター利用 りよう 報告 ほうこく 会 かい
^ 東海 とうかい ・東 あずま 南海 なみ ・南海 なんかい 地震 じしん の連動 れんどう 性 せい 評価 ひょうか 研究 けんきゅう プロジェクト(2010) 東海 とうかい ・東 あずま 南海 なみ ・南海 なんかい 地震 じしん の連動 れんどう 性 せい 評価 ひょうか 研究 けんきゅう プロジェクト:連動 れんどう 性 せい を考慮 こうりょ した強 つよ 震動 しんどう ・津波 つなみ 予測 よそく 及 およ び地震 じしん ・津波 つなみ 被害 ひがい 予測 よそく 研究 けんきゅう
^ 橋本 はしもと 学 まなぶ (2005) (PDF ) 橋本 はしもと 学 まなぶ 、小林 こばやし 知 とも 勝 しょう 、田部井 たべい 隆雄 たかお :断層 だんそう の準 じゅん 静的 せいてき モデルの構築 こうちく と歪 ひずみ 蓄積 ちくせき 過程 かてい に関 かん する研究 けんきゅう
^ 山岡 やまおか 耕 こう 春 はる (2001) (PDF ) 山岡 やまおか 耕 こう 春 はる 「固着 こちゃく 域 いき と東海 とうかい 地震 じしん 」