(Translated by https://www.hiragana.jp/)
病識 - Wikipedia

やまい

そのひと病的びょうてき状態じょうたいにあることを自分じぶんみとめていること

やまい(びょうしき)は、そのひと病的びょうてき状態じょうたいにあることを自分じぶんみとめていることをす。病的びょうてき状態じょうたいにあるひとが、自分じぶん病気びょうきであることを自認じにんしている(自分じぶんみとめている)ことを「やまい識がある」とう。一方いっぽう病的びょうてき状態じょうたいであるにもかかわらず、自分じぶん病気びょうきであることを自認じにんしていない状態じょうたいを「やまい識がい」とう(やまい欠如けつじょ)。

むということは、身体しんたいてき精神せいしんてき社会しゃかいてき生活せいかつのどこかが不健康ふけんこうであるというサインである[1]ひとはこのサインをめ、日常にちじょう生活せいかつ修正しゅうせいし、病因びょういんについて管理かんり治療ちりょうければ、おおくの病気びょうき早期そうき消失しょうしつし、いままで以上いじょう健康けんこう日常にちじょう生活せいかつれることができる[1]

自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいであることを確信かくしんしていなくても、薄々うすうすいている状態じょうたいを、「やまいかんがある」とう。とく精神せいしん障害しょうがい場合ばあい、その障害しょうがいによる影響えいきょうもあって、たとえ「やまいかん」があっても「やまい識」までいたらない場合ばあいおおい。

やまい欠如けつじょ

編集へんしゅう

病的びょうてき状態じょうたいにあるひとは、自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいにあることを自認じにんしていることが普通ふつうである。また自分じぶん状態じょうたいいていない場合ばあいでも、ひと自分じぶん状態じょうたい指摘してきされたり、医者いしゃ診断しんだんによって自分じぶん病気びょうきである証拠しょうこせられたりして、自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいにあることに気付きづかされた場合ばあい、それと同時どうじ自分じぶん病気びょうきであることをみとめるのが普通ふつうなので、わざわざ「やまい識がある」とは通常つうじょうわない。

客観きゃっかんてきあきらかに病的びょうてき状態じょうたいであるにもかかわらず、自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいであることにまったいていない場合ばあい、あるいは自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいであることを医師いしなどの専門せんもん指摘してきされたり、自分じぶんでも薄々うすうすいているにもかかわらず、自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいであることをみとめていない場合ばあい、「やまい識がない」状態じょうたいわれる。ただし、あくまでひとからて「やまい識がない病人びょうにん」の状態じょうたいであり、患者かんじゃ本人ほんにんとしては「普通ふつう健康けんこうひと」の状態じょうたいのつもりである。

やまい識が欠如けつじょしている状態じょうたいを「やまい欠如けつじょ」とう。「やまい欠如けつじょ」は統合とうごう失調しっちょうしょう典型てんけいてき症状しょうじょうひとつであり、「やまい識」が問題もんだいとなる場合ばあいは、とく統合とうごう失調しっちょうしょうにおける「やまい欠如けつじょ」について場合ばあいおおい。統合とうごう失調しっちょうしょうにおいて「やまい欠如けつじょ」がこるのは、統合とうごう失調しっちょうしょう症状しょうじょうひとつである「現実げんじつ検討けんとう能力のうりょく欠如けつじょ」など、複数ふくすう要因よういんからんでいるとかんがえられており、まだはっきりとは解明かいめいされていない。

否認ひにんとスティグマ

編集へんしゅう

精神せいしん障害しょうがい依存いぞんしょうなどでは、患者かんじゃ自身じしんやめ識がいのが普通ふつうであり、みずかすすんで病院びょういんこうとしないため、家族かぞくなどの周囲しゅうい人々ひとびと統合とうごう失調しっちょうしょう依存いぞんしょうかんするただしい知識ちしき場合ばあいや、患者かんじゃ状態じょうたい気付きづいてくれる周囲しゅうい人々ひとびとがいない場合ばあい、「病院びょういんれてって治療ちりょうけさせる」と方法ほうほうれず、治療ちりょう開始かいしおくれやすい。また、医者いしゃ治療ちりょうにかかることが出来できても、「やまい識」が場合ばあいみずかすすんで治療ちりょうおこなおうとはしないばかりか、治療ちりょう拒絶きょぜつする態度たいどるため(否認ひにん[2][3]、しばしば治療ちりょう中断ちゅうだんされ、病気びょうき進行しんこうして致命ちめいてき結果けっかまねくことになる。

精神せいしん疾患しっかん依存いぞんしょうなどでは、患者かんじゃに「やまい識」をたせることよりもまず治療ちりょう優先ゆうせんされるが、ある程度ていど治療ちりょうすすんでも「やまい識」がられないこともおおく、そのせいで、退院たいいんできるレベルまで回復かいふくしても自己じこ判断はんだん治療ちりょう勝手かってりやめたりさけんだりすることがあり、これが病気びょうき再発さいはつまねくなど、わるさにもかかわってくる。

そのため、精神せいしん障害しょうがい依存いぞんしょうなどの病気びょうきでは、患者かんじゃ周囲しゅうい人々ひとびとの「やまい識」も重要じゅうようとなる。精神せいしん障害しょうがいかんしては、精神せいしん障害しょうがいしゃたいする差別さべつ意識いしきスティグマ)などから、患者かんじゃ家族かぞくしたしい人々ひとびとですら、自身じしん身内みうち病的びょうてき状態じょうたいであるとはみとめたがらず(否認ひにん)、患者かんじゃ事件じけんこすなどして、第三者だいさんしゃ介入かいにゅうがなされてはじめて患者かんじゃ治療ちりょう開始かいしされる場合ばあいおおい。また、アルコール依存いぞんしょうギャンブル依存いぞんしょうなどの依存いぞんしょうは、れっきとした「病気びょうき」であるにもかかわらず、「本人ほんにん自己じこ責任せきにん」などとかんがえるひとがかなりいる。患者かんじゃ病死びょうし自殺じさつ殺人さつじん患者かんじゃ殺害さつがいされる)などの致命ちめいてき結果けっかまねかないためにも、まず患者かんじゃ周囲しゅうい人々ひとびとが「やまい識」をち、患者かんじゃとともに病気びょうきかう姿勢しせい重要じゅうようとなる。

内科ないかけい疾患しっかん

編集へんしゅう

健康けんこう診断しんだんけ、異常いじょう指摘してきされても、症状しょうじょうがない場合ばあい日常にちじょう生活せいかつ影響えいきょうおよぶことをおそれ、病的びょうてき状態じょうたいみとめないことがある。やまい識がない状態じょうたいである。

精神せいしんけい疾患しっかん

編集へんしゅう

精神せいしん障害しょうがい場合ばあい患者かんじゃ自身じしん精神せいしん障害しょうがいたいする差別さべつ意識いしきもあって、たとえ「最近さいきんなにかおかしい」とう「やまいかん」がこったとしても、「自分じぶん精神せいしん障害しょうがいである」という「やまい識」にいたることはなかなかむずかしい。

とく統合とうごう失調しっちょうしょうかんしては、世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)の報告ほうこくでは生涯しょうがいゆうびょうりつは0.1 - 1.8%と、人間にんげん人生じんせいにおいて罹患りかんする可能かのうせいけっしてすくなくないにもかかわらず、患者かんじゃ自身じしんが「自分じぶん統合とうごう失調しっちょうしょうである」という「やまい識」にいたらない場合ばあいがとてもおおい。WHOの1973ねん報告ほうこくでは、統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃの97%に「やまい欠如けつじょ」がみとめられ、「やまい欠如けつじょ」は統合とうごう失調しっちょうしょう特徴とくちょうひとつとされる。

精神せいしん疾患しっかん発症はっしょう初期しょきにおいて、「統合とうごう失調しっちょうしょう陽性ようせい症状しょうじょう」と「双極そうきょくせい障害しょうがいの躁状態じょうたい」が、「統合とうごう失調しっちょうしょう陰性いんせい症状しょうじょう」と「双極そうきょくせい障害しょうがいのうつ状態じょうたい」が、それぞれよくており、経験けいけんあさ医者いしゃには区別くべつむずかしい場合ばあいがあるが、統合とうごう失調しっちょうしょう双極そうきょくせい障害しょうがいそううつびょう)の両者りょうしゃ区別くべつするさいに、「やまい識」の有無うむひとつの指標しひょうとなる。つまり、ひとつの指標しひょうとして、統合とうごう失調しっちょうしょうは「やまい識がい」状態じょうたいおおいが、双極そうきょくせい障害しょうがいはいかにおもくても「やまい識がある」場合ばあいおおい。

精神せいしん障害しょうがい場合ばあい、「やまい識」はっても「ただしいやまい識」が場合ばあいもある。とく統合とうごう失調しっちょうしょうは、統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃ自身じしんを「そううつびょうである」などと、自分じぶん納得なっとくできる病名びょうめい勝手かって自認じにんする場合ばあいがある。実際じっさいは、統合とうごう失調しっちょうしょうは、だれでもかかりうる病気びょうきであり、ただしいやまい識をもってただしい治療ちりょうさえすれば普通ふつう社会しゃかい復帰ふっきできるような病気びょうきであり、けっして差別さべつするような病気びょうきではない。うつびょうだれでもかかりうる普通ふつう病気びょうきであることを周知しゅうちさせるために、1990年代ねんだいまつより製薬せいやく業界ぎょうかいが「うつは『こころの風邪かぜ』」との啓発けいはつキャンペーンをおこない、成功せいこうした歴史れきしがあるが、統合とうごう失調しっちょうしょう普通ふつうにかかりうる「こころの病気びょうき」であり、統合とうごう失調しっちょうしょう罹患りかんすることも、けっしてずかしいようなことではない。[よう出典しゅってん]

双極そうきょくせい障害しょうがいにおいても、本人ほんにんは躁状態じょうたい心地ここちかんじ、病気びょうきであるとおもわないことや、躁状態じょうたいもどりたいとさえかんがえるひともいるため、患者かんじゃ教育きょういくにてやまい識をたせることが重要じゅうようである[4]

精神せいしん疾患しっかんにおいては、患者かんじゃ本人ほんにんの「やまい識がい」状態じょうたいとはべつに、患者かんじゃ周囲しゅうい人々ひとびとに「やまい識がない」状態じょうたいが、症状しょうじょう悪化あっかまねくこともある。とく統合とうごう失調しっちょうしょうやアルコール依存いぞんしょうなどでは、患者かんじゃ自身じしんやめ識がいのが普通ふつうであるうえに、精神せいしん障害しょうがいたいする理解りかい、あるいは精神せいしん障害しょうがいしゃたいする差別さべつ意識いしきによって、自分じぶん身内みうち精神せいしん疾患しっかんだとみとめたがらず、そのせいでも治療ちりょう開始かいしおくれがちである。精神せいしん障害しょうがい初期しょき症状しょうじょうを、たんに「ひきこもり」や「家庭かていない暴力ぼうりょく」などとかんがえ、治療ちりょうけさせずに放置ほうちしていると、次第しだい悪化あっかして自殺じさつ殺人さつじんなどかえしのつかないことになる。統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃ存在そんざいは、本人ほんにんでも家族かぞくでもない第三者だいさんしゃはじめに気付きづくことがおおく、第三者だいさんしゃがまず患者かんじゃ家族かぞくに「やまい識」をたせることも重要じゅうようとなる。

学習がくしゅう障害しょうがいアスペルガー症候群しょうこうぐんなどの発達はったつ障害しょうがいは、患者かんじゃ自身じしん病気びょうき概念がいねんてないようなてい年齢ねんれい発現はつげんし、学校がっこうでのいじめドロップアウトなどの深刻しんこく事態じたいをもたらすので、家族かぞくがわの「やまい識」がとく重要じゅうようとなってくる。とく軽度けいど発達はったつ障害しょうがいにおいては、周囲しゅうい患者かんじゃ自身じしんきにくく、そのままきづらさをかかえて人生じんせいごす場合ばあいおおいが、一方いっぽう投薬とうやくなどの大掛おおがかりな治療ちりょう必要ひつようとせず、現代げんだいにおいては周囲しゅうい適切てきせつなサポートとソーシャルスキルトレーニング(SST)などの適切てきせつ訓練くんれんによって、十分じゅうぶん社会しゃかい適応てきおうおこなえ、普通ふつう人生じんせいおくれるような病気びょうきとなっているので、就職しゅうしょく進学しんがくった本格ほんかくてき社会しゃかい参加さんか時期じきむかえるまえに、まずはやまい識をってただしい訓練くんれんけさせることが重要じゅうようとなる。

精神せいしん疾患しっかん場合ばあい病的びょうてきだとはからないこともあり、とく症状しょうじょう目立めだたない発症はっしょう初期しょきにおいては、本人ほんにん家族かぞくにも病気びょうきだとわからないことがある。しかし本人ほんにんに「やまい識」がなくても「やまいかん」さえあれば、「こころの健康けんこう相談そうだん」に電話でんわして、医療いりょう機関きかん紹介しょうかいけ、すぐに治療ちりょう開始かいしできる。発症はっしょう初期しょき場合ばあい投薬とうやく治療ちりょうすらせずに、生活せいかつ環境かんきょうととのえるだけで治療ちりょうできる場合ばあいもあり、治療ちりょうはやければそれだけ良好りょうこう期待きたいできる病気びょうきである。かり重症じゅうしょうしたとしても、現代げんだいでは精神せいしん障害しょうがいようくすりもあり、「やまい識」をって治療ちりょうけながら普通ふつう社会しゃかい生活せいかつおくっている患者かんじゃもたくさんいる。

いずれにせよ、自己じこ診断しんだんもっと危険きけんであり、まさしく「やまい識」をつためには、医療いりょう機関きかんでの診療しんりょうけなければならない。日本にっぽんでは精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつにより、国民こくみん精神せいしんてき健康けんこう保持ほじ義務付ぎむづけられており、かく自治体じちたい精神せいしん保健ほけん福祉ふくし相談そうだんいんなどが配備はいびされて「こころの健康けんこう相談そうだん」をおこなっている。無料むりょう相談そうだんできるので、かえしのつかない事態じたいになるまえに、たとえ「やまい識」がくとも、「やまいかん」がある段階だんかい気軽きがる相談そうだんすることがのぞましい。

このように緊急きんきゅう治療ちりょう必要ひつようにもかかわらずやまい欠如けつじょにより患者かんじゃ治療ちりょうこばむことが想定そうていされるため、精神せいしん保健ほけんおよ精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしかんする法律ほうりつでは特定とくてい要件ようけんたす場合ばあい自発じはつ入院にゅういんによる強制きょうせい入院にゅういん治療ちりょう規定きていしている。

統合とうごう失調しっちょうしょうにおける「やまい識」

編集へんしゅう

統合とうごう失調しっちょうしょう発症はっしょう初期しょきは、「だれかのこえこえるようながする」「だれかに見張みはられているようながする」などとった、漠然ばくぜんとした感覚かんかくとしてあらわれることがおおく(統合とうごう失調しっちょうしょうのリスク)、この段階だんかいでは「自分じぶん病的びょうてき状態じょうたいにあるのではないか」とう「やまいかん」「やまい識」がある場合ばあいおおい。

しかし、そのまま治療ちりょうけないでいる(Duration of untreated psychosis、DUP、精神病せいしんびょう治療ちりょう期間きかんながくなる)と、統合とうごう失調しっちょうしょう症状しょうじょうひとつである「現実げんじつ検討けんとう能力のうりょく欠如けつじょ」や、統合とうごう失調しっちょうしょうたいする差別さべつ意識いしきつよさなどもあって、「自分じぶん統合とうごう失調しっちょうしょうである」と可能かのうせい排除はいじょしながら自分じぶん感覚かんかく合理ごうりてき解釈かいしゃくして、「自分じぶんむら有力ゆうりょくしゃきらわれて村八分むらはちぶになったので、むらひとがみんな自分じぶん悪口わるぐちうようになった」「自分じぶんはネットでカルト教団きょうだん批判ひはんしたので、カルト教団きょうだん構成こうせいいんらにつね見張みはられるようになった」などという結論けつろんいたる。病状びょうじょう進行しんこうから、統合とうごう失調しっちょうしょう陽性ようせい症状しょうじょうである「幻覚げんかく」や「妄想もうそう」などがあらわれるようになり、「むらひと自分じぶん悪口わるぐちっている」「自宅じたく周辺しゅうへん複数ふくすうひと自分じぶん見張みはっている」ということが「事実じじつ」として患者かんじゃ確信かくしんされる段階だんかいいたると(統合とうごう失調しっちょうしょう急性きゅうせい)、「やまい識」はくなってしまう。この段階だんかいで、ようやく家族かぞくなどの周囲しゅういひとが、患者かんじゃ病的びょうてき状態じょうたいにあるという「やまい識」をることがおおいが、患者かんじゃ本人ほんにんやまい識がいため、「家族かぞくむら有力ゆうりょくしゃだまされて、自分じぶん統合とうごう失調しっちょうしょうだとおもんでいる」「カルト教団きょうだん洗脳せんのうされた家族かぞく出鱈目でたらめ理由りゆう自分じぶん拉致らちしようとしている」などと解釈かいしゃくされ、患者かんじゃ病院びょういんれてくことは困難こんなんになっている。

統合とうごう失調しっちょうしょうのリスク治療ちりょうけた場合ばあい基本きほんてきには投薬とうやく治療ちりょうおこなわず、ストレスをらすなどの生活せいかつ環境かんきょう改善かいぜんだけで場合ばあいおおい。しかし統合とうごう失調しっちょうしょう急性きゅうせいより以降いこう治療ちりょうけた場合ばあい患者かんじゃに「やまい識」をたせることよりも、まず治療ちりょう投薬とうやく治療ちりょう)が優先ゆうせんされる。急性きゅうせい記憶きおくのこらない患者かんじゃおおいため、患者かんじゃ状態じょうたいいたのち長期ちょうき治療ちりょうにおいてゆっくりと「やまい識」をたせることが必要ひつようになる。

統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃが「やまい識」をったとき、「やまい識」をてるほど回復かいふくした、つまり寛解かんかいしたとなされ、治療ちりょうひとつの指標しひょうとなる。しかし、急性きゅうせいぎた患者かんじゃが「やまい識」をったとき過去かこ自分じぶん理性りせいてきかえってくるしみをおぼえ、自殺じさつなどをこしやすいため注意ちゅうい必要ひつようである。「やまい識」をつことのくるしみからか、社会しゃかい生活せいかつおくれているほど寛解かんかいした統合とうごう失調しっちょうしょう患者かんじゃであっても、過去かこ自分じぶん統合とうごう失調しっちょうしょうであったという「やまい識」をたないこともある。「統合とうごう失調しっちょうしょう」というやまい識を無理むりたせる必要ひつようはなく、「なにか」の治療ちりょうおこなうことで社会しゃかい生活せいかつおくれているなら充分じゅうぶんである。「やまい欠如けつじょ」よりも「治療ちりょう中断ちゅうだん」がもっとけるべきことで、病気びょうき再発さいはつ悪化あっかまねくので、「やまい識」が場合ばあい周囲しゅういのサポートが不可欠ふかけつである。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ a b よしまつ和哉かずや; 小泉こいずみ典章てんしょう; 川野かわのみやび精神せいしん看護かんごがくI』(6はん)ヌーヴェルヒロカワ、2010ねん、71ぺーじISBN 978-4-86174-064-0 
  2. ^ 山本やまもと由紀ゆき; 長坂ながさか和則かずのり対人たいじん援助えんじょしょくのためのアディクションアプローチ: 依存いぞんするしん理解りかいきづらさの支援しえん中央ちゅうおう法規ほうき出版しゅっぱん、2015ねん10がつ2にち、Chapt.1.2。ISBN 978-4805852538 
  3. ^ 信田のぶたさよ依存いぞんしょう文芸春秋ぶんげいしゅんじゅう、2000ねん6がつISBN 978-4166601080 
  4. ^ mhGAP Intervention Guide for mental, neurological and substance use disorders in non-specialized health settings (Report). 世界せかい保健ほけん機関きかん (WHO). 2010ねん. ISBN 9789241548069

外部がいぶリンク

編集へんしゅう