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粥占 - Wikipedia

かゆうらない(かゆうら、かいうら、よねうら[1])とは、かゆもちいて1ねん吉凶きっきょううらなとしうらないである。毎年まいとし日本にっぽん各地かくち神社じんじゃ祭礼さいれいとしておこなわれる[2]おおくは小正月こしょうがつかみにあずきかゆけんずるときにおこなわれ、うらなわれる内容ないようはそのとし天候てんこう作物さくもつ豊凶ほうきょうなどである。

起源きげんは、『年中ねんじゅう行事ぎょうじしょう』によれば、中国ちゅうごくからつたえられたので、この小豆しょうずかゆ蚩尤もしくはこうからしおんな怨霊おんりょうきょうし、これをしょくすればそのたたをのがれ、年中ねんじゅう邪気じゃきをはらうという伝説でんせつ由来ゆらいするという。

方法ほうほう

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方法ほうほうにはいくつかあるが、おおくは、がったかゆなかぼうれてかきまわし、ぼうについたべいつぶかずうらなうものである。に、ほそたけかんなどをべいなどとともになべがまて、げたのちかんいてなかはいったつぶかずかぞえるかんかゆつつかゆ[3][4](この場合ばあい、12ほんかんれて1かげつごとの天候てんこう判断はんだんしたり、その地域ちいきつくられる作物さくもつかずだけかんれて作物さくもつべつ豊凶ほうきょう判断はんだんしたりする)や、かゆ数日すうじつあいだ放置ほうちして、カビ具合ぐあいうらなうものもある。

かつては全国ぜんこくてきに、神社じんじゃではなく村落そんらく一族いちぞく本家ほんけなどで共同きょうどうおこなわれていたとられるが、そのほとんどはおこなわれなくなり、神社じんじゃ神事しんじとしておこなわれるものがのこっている。

九州きゅうしゅうでは、北部ほくぶ九州きゅうしゅう中心ちゅうしんかゆうらない分布ぶんぷするが、福岡ふくおかけん佐賀さがけん大分おおいたけん西部せいぶでは、かゆめし半月はんつきから1ヶ月かげつ放置ほうちして、それについたカビのかたいろでそのとし豊凶ほうきょう天候てんこううらな方式ほうしきかゆうらない点在てんざいする。とくに、筑後川ちくごがわちゅう流域りゅういき朝倉あさくらぐん脊振山せふりさんから佐賀さが平野へいやにかけての佐賀さがけん南部なんぶ集中しゅうちゅうして分布ぶんぷする。

1がつ15にち(もしくは2がつ15にち)にどんぶりだいわんにアズキやしおれたかゆ大盛おおもりにけ、神前しんぜんそなえる「かゆき」「かゆれ」をおこなう。すう週間しゅうかんからやく2ヶ月かげつってから、神前しんぜんそなえられたかゆす「かゆびらき」をおこない、かゆについたカビを神社じんじゃ総代そうだい氏子うじこ総代そうだい中心ちゅうしんとなって何人なんにんかの氏子うじこが、神社じんじゃつたわる「かゆめん」や口伝くでんもと判別はんべつし、カビのいろやついた場所ばしょかゆのどこについたかで地域ちいきぶし方角ほうがくなどを区別くべつしてうらなう)、具合ぐあいうらなう。儀礼ぎれいわったかゆは、付近ふきん井堰いせきかわながす。うらないの結果けっか氏子うじこ同士どうしはなってめ、そのプロセスは氏子うじこ以外いがいものでも自由じゆうることが出来でき場合ばあいおおいが、福岡ふくおか西にし飯盛めしもり神社じんじゃかゆうらないのように、宮司ぐうじかゆもと付近ふきん旧家きゅうかのうち4いえからなる組織そしきで、そのいえ戸主こしゅ男子だんし跡継あとつぎからなる。みやなか宮司ぐうじつぎくらいたかく、宮司ぐうじだいわりごとの志賀しが海神わたつみしゃへの挨拶あいさつ同行どうこうする権利けんりつ)だけがかゆづくりからかゆうらないまでにかかわり、ものはその結果けっかのみをくことができるというせいたかかゆうらないもある。

日本にっぽん各地かくちかゆうらない行事ぎょうじ

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山梨やまなしけん富士吉田ふじよしだ冨士ふじさん下宮したみや小室こもろ浅間あさま神社じんじゃつつかゆ神事しんじ世襲せしゅううらないじん一族いちぞくかやいけ温泉おんせん一門いちもん)によるつつかゆ保存ほぞんかい奉仕ほうしおこなわれる。
  • 冨士ふじさん下宮したみや小室こもろ浅間あさま神社じんじゃ
  • 彌彦やひこ神社じんじゃ
    • 新潟にいがたけん弥彦やひこむら彌彦やひこ神社じんじゃでは、1がつ8にちから15にちにかけてかゆうらないずみおけ神事しんじおこなわれる。古伝こでんしたがえして祝詞のりとそうし、天候てんこう農作物のうさくもつ豊凶ほうきょううらな神事しんじである。
  • 諏訪すわ大社たいしゃ
    • 長野ながのけん下諏訪しもすわまち諏訪すわ大社たいしゃ下社しもしゃ春宮とうぐうおこなわれるかゆうらない[5]1がつ14にちよるからかゆ炊舎にもうけられた大釜おおかまのあずきがゆのなかに、かやつつをいれ、終夜しゅうやたて、よく15にちあさ神前しんぜんにそなえ、祭典さいてんをおこなったのちかやとうり、つつないかゆ分量ぶんりょうはかって農作物のうさくもつのうちさだめられたたね豊凶ほうきょう判定はんていする。
    • かやとうのながさは5すん5ふんで、これを42ほん本数ほんすうはとしによってことなる)あさすだれじょうみつらねて、いたものをいれる。
    • それぞれのつつはそれぞれのこくしゅにかたどり、神殿しんでんだいゆかで1つつわり、こくさい種類しゅるい上下じょうげ品位ひんいかみうらないにしたがってとなえ、しゃひのとがこれにおうじて大声おおごえとなえかえして神前しんぜんあつまった人々ひとびとかせ、42しゅのすべてをおわってしき終了しゅうりょうし、等級とうきゅう記入きにゅうした目録もくろく社前やしろまえ掲示けいじした。
  • 出雲いずも大神宮だいじんぐう
    • 京都きょうと亀岡かめおか千歳ちとせまち出雲いずも大神宮だいじんぐうかゆうらない(よねうら)は、毎年まいとし1がつ15にちおこなわれる小正月こしょうがつさいで、小豆あずきぜたこめ早生わせちゅうせい(なかて)、晩生ばんせい(おくて)をあらわす3ほん竹筒たけづつ一緒いっしょがまき、つつはいった小豆あずきすくなくこめまっているほど豊作ほうさくとする[1]
  • まいおか神社じんじゃ
    • 大阪おおさか東大阪ひがしおおさかまいおか神社じんじゃでは毎年まいとし1がつ11にち境内けいだいかまど殿どの小豆あずきかゆき、12ほんうらないいちねん天候てんこうを、53ほんうらないちく農作物のうさくもつ豊凶ほうきょううらない、これをかゆうらない(かゆうら)神事しんじぶ。小豆あずきかゆき、うらない具合ぐあい天候てんこううらなうまでのぜん見学けんがく可能かのうだが、53ほんうらないちく神前しんぜんってうらなのちとされる。小豆あずきかゆ参拝さんぱいしゃ振舞ふるまわれる。かゆうらない結果けっかうらない(おきあげ)として、1がつ15にちかゆうらない報賽ほうさいさいのち授与じゅよされる。「まいおかかゆうらない神事しんじ」という季語きごもある。
  • 筑紫つくし神社じんじゃ
    • 福岡ふくおかけん筑紫野ちくしの筑紫つくし神社じんじゃでは、毎年まいとし3がつ15にち、1かげつまえの2がつ15にちいて神殿しんでんおさめたかゆして、東西とうざい南北なんぼく農作のうさくいなごがい伝染でんせんびょううらなかゆぼく(かゆうら)がおこなわれている。かゆれるどうばちには文化ぶんかねん1805ねん)のめいがあり、筑紫野ちくしの無形むけい民俗みんぞく文化財ぶんかざい指定していされている[6]
  • せんぐり八幡宮はちまんぐう

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 今年ことし豊作ほうさく?京都きょうと亀岡かめおかで「「かゆうらないさい」、かゆでまい豊凶ほうきょううらない”. 京都きょうと新聞しんぶん. (2017ねん1がつ16にち). http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170116000035 2017ねん1がつ17にち閲覧えつらん 
  2. ^ 中西なかにし裕二ゆうじ民間みんかん信仰しんこう正当せいとうせい所在しょざい--かゆうらないという事例じれいから (民俗みんぞく文化ぶんか形成けいせい過程かていのダイナミズム研究けんきゅう)」『福岡大学ふくおかだいがく研究けんきゅう論集ろんしゅう A 人文じんぶん科学かがくへんだい5かんだい6ごう福岡大学ふくおかだいがく研究けんきゅう推進すいしん、2006ねん3がつ、21-37ぺーじISSN 13464698NAID 110004675852 
  3. ^ 中西なかにし裕二ゆうじ民間みんかん信仰しんこうにおける信仰しんこう外部がいぶせい : 民俗みんぞく調査ちょうさからの再考さいこう(<特集とくしゅう>宗教しゅうきょう批判ひはん諸相しょそう)」『宗教しゅうきょう研究けんきゅうだい82かんだい2ごう日本にっぽん宗教しゅうきょう学会がっかい、2008ねん、571-592ぺーじdoi:10.20716/rsjars.82.2_571ISSN 0387-3293NAID 110006937289 
  4. ^ 年中ねんじゅう行事ぎょうじ事典じてん」p222 1958ねん昭和しょうわ33ねん)5がつ23にち初版しょはん発行はっこう 西にし角井かくいただしけいへん 東京とうきょうどう出版しゅっぱん
  5. ^ つつかゆ神事しんじ」《諏訪すわ大社たいしゃしゃ神事しんじ
  6. ^ 村里むらざと, 徳夫のりお (March 31, 1991). “ちくしの散歩さんぽ21 筑紫野ちくしの指定してい無形むけい民俗みんぞく文化財ぶんかざい かゆト―筑紫つくしみや農業のうぎょう祭事さいじ”. 筑紫野ちくしの教育きょういく委員いいんかい. October 2, 2021閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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