羽衣 伝説
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/3/36/Lake_Yogo05s3200.jpg/200px-Lake_Yogo05s3200.jpg)
概説
ストーリー
水源 地 (海岸 ・湖水 )に白鳥 が降 りて水浴 びし、人間 の女性 (以下 天女 )の姿 を現 す。天女 が水浴 びをしている間 に、天女 の美 しさに心 を奪 われたその様子 を覗 き見 る存在 (男 、老人 )が、天女 を天 に帰 すまいとして、その衣服 (羽衣 )を隠 してしまう。衣類 を失 った1人 の天女 が飛 びあがれなくなる(天 に帰 れなくなる)
日本 の羽衣 伝説 では、ここから近江 型 と丹後 型 でわかれる。近江 型 (昇天 型 )天 に帰 れなくなった天女 は男 と結婚 し子供 を残 す(幸 をもたらす)。天女 は羽衣 を見 つけて天上 へ戻 る後日 談 (後述 )
丹後 型 (難題 型 )天 に帰 れなくなった天女 は、老 夫婦 の子 として引 き取 られる天女 は酒造 りにたけ、老 夫婦 は裕福 となる老 夫婦 は自分 の子 ではないと言 って追 い出 す天女 はさまよった末 ある地 に留 まる(トヨウケビメ)
類型
羽衣 の隠 し場所 穀物 の貯蔵 場所 :蔵 、おひつ、ワラ束 の中 、カマド、ナガモチ植物 の植 えてある場所 :畑 の中 、花 の中 、藪 の中 珍 しい所 では、大黒柱 の中 というものもある。これらの隠 し場所 は、天女 に豊穣 霊 あるいは穀 霊 としての側面 があった為 と考 えられる。
昇天 型 :羽衣 を見 つけた天女 が、夫 を捨 てて天 にかえってしまう。子供 を一緒 に連 れて行 く場合 もある。難題 型 :山間 部 に多 い。天女 の父 が難題 を出 す七夕 伝説 に連続 する。焼畑 農耕 地帯 との関連 が指摘 [要 説明 ]されている。七 星 型 :北斗七星 のうちの1つのぼんやりしたものを泣 き暮 れている天女 に設定 する。再会 型 :九州 地方 に多 い。稲作 農耕 地帯 との関連 も考 えられている。夫 と相思相愛 になった天女 が、天 の父 に夫 を認 めてもらうため、夫 を助 ける。天 に帰 れなくなった天女 は男 と結婚 し子供 を残 す(幸 をもたらす)。- ところが、その
後 の経緯 を特定 しないケースもあり、男 は舞 を見 たいと所望 するが夫婦 にはならず、その場 で天女 に羽衣 を渡 してしまう。
日本 の羽衣 伝説
『近江 国 風土記 』にみられる羽衣 伝説
『丹後 国 風土記 』にみられる羽衣 伝説
各地 の羽衣 伝説
ユーラシア大陸 の羽衣 伝説
朝鮮 江原 道 金剛山 にまつわる伝承 である[5]。貧 しくも誠実 な樵 が猟師 に追 われた1匹 の獐(あるいは鹿 )を憐 れみ匿 ったところ、返礼 として、天女 を妻 とするために沐浴 の間 に衣服 を隠 すことを教 わり、その通 りにする[5]。衣 を失 って飛 べなくなった天女 はやむをえず男 の妻 となり複数 の子 を儲 けるが、やがて衣 を取 り戻 して天 に帰 る。その後 の展開 には、日本 の羽衣 伝説 同様 、いくつかの系統 がある[5]。中国 - 『
捜 神 記 』によれば、豫 洲 新 喩 県 の男 が田 に6~7人 の女 を見 つけ、隠 れて近 づき、脱 いでおかれていた衣 を1枚 隠 す。男 が姿 を見 せると女 たちは鳥 となって飛 び去 るが、衣 を失 った1羽 は飛 び立 つことができない。男 はそれを捕 らえて妻 とし、3人 の娘 を生 ませるが、やがて女 は娘 から父 に衣 の隠 し場所 をき出 させて取 り戻 し、娘 たちを連 れて去 る[6]。『玄 中 記 』に残 る姑 獲 鳥 伝説 にも同様 の展開 がみられる[6]。 - ベトナム
樵 の男 が人 の気配 のない泉 で沐浴 する数 人 の仙女 を見 つけ、1人 の着物 を米 蔵 の底 に隠 し、仙女 を己 の妻 とする。数 年 は睦 まじく暮 らすが、息子 が3歳 になったある日 、夫 の不在 時 に米 を売 った仙女 は着物 を見 つけ、自 らの櫛 を息子 の襟 に付 けて去 る。男 は帰宅 後 に事情 を知 り、息子 を連 れて泉 に向 かい、息子 が水 に櫛 を沈 める。仙女 は2人 を認 めて共 に暮 らすことになるが、仙女 の召使 の不 注意 により父 と子 は海 で溺死 し、仙女 は召使 を罰 して明 けの明星 に変 えてしまう[7]。他 説 では、仙女 自身 が明 けの明星 となり、父 と子 は宵 の明星 になって、互 いに捜 しあっているが二度 と会 うことはできない、とする[7]。- インドネシア
- インドネシアの
中央 セレベスには、天女 が蟹 や鸚鵡 、鳩 の姿 をとる羽衣 伝説 が伝 わる[8]。また、ジャワ島 には「羽衣 天女 」と「鶴 の恩返 し」双方 の要素 をもつ伝承 が伝 わる[8]。そのほかボルネオ、ハルマヘラ島 等 、各地 に羽衣 天女 (羽衣 伝説 )と同様 の展開 をする説話 が伝 わっている[8]。 - フランス
- 「
作者 不 詳 の『グラアランの短詩 』の主人公 グラアランは、森 の中 で真 っ白 な雌 鹿 を見 かける。その雌 鹿 が彼 の眼前 に飛 び出 してきたので呼 びかけたが、雌 鹿 は離 れていく。彼 は馬 で雌 鹿 の後 を追 うが追 いつけず、広野 にある泉 へと導 かれる。泉 では1人 の乙女 が水浴 びをしていて、2人 の別 の乙女 がそのほとりにいた。水浴 びしている乙女 の衣服 は、草叢 の中 に置 かれていた。グラアランはその衣服 を奪 い、娘 を無理 やり引 き留 めようと考 えた。その後 、グラアランはこの娘 を妻 に迎 える[後 にグラアランは宮廷 で皆 が王妃 の美貌 を称 える中 、王妃 よりも美 しい女性 が見 つけられると断言 する。これにより、2人 の恋 を誰 にも明 かさないという妻 との約束 を破 る。妻 を失 ったグラアランは、王妃 を侮辱 した罪 で判決 を待 つ身 となったが、判決 の日 に妻 が現 れて無罪 放免 となる]。そして妻 は馬 で森 に向 かい、川 へ入 っていく。後 を追 ったグラアランが川 で溺 れそうになると、妻 は彼 を一緒 に自国 へ連 れ帰 ったという」[9]。
北米 ・南米 の羽衣 伝説
脚注
出典
- ^ a b 『
大 東亞 神話 』, p. 223. - ^ 『
大 東亞 神話 』, p. 224. - ^ 『
大 東亞 神話 』, p. 255. - ^ フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの
女性 神話 』中央大学 出版 部 〈ユーラシア神話 試論 Ⅱ〉、2021年 、170頁 。ISBN 978-4-8057-5183-1 - ^ a b c 『
大 東亞 神話 』, p. 231-233. - ^ a b 『
大 東亞 神話 』, p. 234. - ^ a b 『
大 東亞 神話 』, p. 235. - ^ a b c 『
大 東亞 神話 』, p. 236-239. - ^ フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの
女性 神話 -ユーラシア神話 試論 Ⅱ』(渡邉 浩司 ・渡邉 裕美子 訳 )中央大学 出版 部 2021年 、ISBN 978-4-8057-5183-1、167-185頁 (第 9章 羽衣 とケルト人 の「白 い女神 」)、『グラアランの短詩 』の粗筋 は170頁 。 - ^ 『
大 東亞 神話 』, p. 243-245. - ^ 『
大 東亞 神話 』, p. 253.
参考 文献
関連 資料
関連 項目
- はごろもフーズ -
社名 は同 伝説 に由来 す 羽衣 (能 ) -羽衣 伝説 を題材 とした能 の作品 - トヨウケビメ
組踊 銘 苅 子 - セルキー -
近江 型 の類型 の一 つ - ワルキューレ -
北欧 神話 の半 神 。白鳥 の羽衣 を持 ち、男 にこれを奪 われるという話 がある。 千 夜 一夜 物語 のハサン・アル・バスリの冒険 および悲 しみの美 青年 の物語 捜 神 記 第 14卷 豫 章 新 喩 縣 男子 ,見田 中有 六 七 女 ,皆 衣 毛 衣 ,不知 是 鳥 。匍匐 往得其一 女 所 解 毛 衣 ,取 藏 之 ,即 往就諸 鳥 。諸 鳥 各 飛 去 ,一 鳥 獨 不 得 去 。男 子取 以為婦 。生 三 女 。其母后 使 女 問 父 ,知衣 在 積 稻 下 ,得 之 ,衣 而飛去 ,後 復 以迎三 女 ,女 亦 得 飛 去 。火 の鳥 (漫画 ) -手塚 治虫 による日本 の漫画 作品 。この話 を元 にした「羽衣 編 」というエピソードがある。羽衣 闘 伝 -東 篤志 による日本 の漫画 作品 。天女 は異 星 人 の血 を継 ぐ者 、羽衣 は彼女 らの戦闘 服 と言 う設定 。吉祥天 女 -吉田秋生 による日本 の漫画 作品 。ヒロイン・小夜子 の家 は天女 の羽衣 を祀 った「天 衣 神社 」の宮司 (天女 の子孫 とされる)の家系 という設定 。妖 しのセレス -渡瀬 悠 宇による日本 の漫画 作品 。また、それを原作 にしたテレビアニメ- かぐや
姫 の物語 - 『竹 取 物語 』を原作 とした高畑 勲 監督 ・スタジオジブリ制作 の日本 のアニメーション映画 。作中 に登場 する天人 は天女 のこと。 宮崎 羽衣 -母親 が三保 の松原 に旅行 した際 に羽衣 伝説 にちなんで名付 けた名前 である。- サザエさん (テレビアニメ) - 「
羽衣 伝説 カツオ天女 に会 う」というエピソードがある。 - ちびまる
子 ちゃん - さくらももこ原作 の日本 のテレビアニメ。「天女 のはごろも伝説 」(1999年 3月 28日 放送 )で、三保 の松原 の羽衣 伝説 が取 り上 げられた。『りぼん』2021年 4月 号 に同 エピソードの漫画 版 が掲載 され、後 に単行本 18巻 に収録 された。