脱出だっしゅつポッド(だっしゅつポッド、Escape pod)は、大型おおがた船せんや宇宙船うちゅうせんが火災かさいや爆ばく発はつなどの緊急きんきゅう事態じたいに晒さらされた際さいの避難ひなんに用もちいられる、通常つうじょうは人間にんげん1人ひとり分ぶんの容量ようりょうを有ゆうするカプセルまたは小しょう船舶せんぱく。より大おおきく、さらに装備そうびの充実じゅうじつした脱出だっしゅつ艇てい (Escape ship) もまた同どう目的もくてきに使用しようされる。超ちょう音速おんそく航空機こうくうき (Supersonic aircraft) のような実在じつざいの乗物のりものにも僅わずかながらも採とり入いれられている。
想定そうていされる過剰かじょうな高度こうどや速度そくどにおいては従来じゅうらいの射出しゃしゅつ座席ざせきでは安全あんぜんな利用りようが不可能ふかのうなため、B-58ハスラー、XB-70 ヴァルキリー、ジェネラル・ダイナミクスF-111およびB-1Aランサーには全すべてある種しゅのモジュール式しき脱出だっしゅつ装置そうちが搭載とうさいされている。
アポロ13号ごうでは、司令しれい船せんを原因げんいんとする爆発ばくはつを受うけた機械きかい船せんが機関きかん停止ていしに陥おちいった際さいに、本来ほんらいそのための設計せっけいも予定よていもされていなかった月つき着陸ちゃくりく船せん (Lunar Module) を救命きゅうめい艇ていとして使用しようしている。3人にんの乗組のりくみ員いんは定員ていいん2名めいのLM船内せんないで長期間ちょうきかんを生いき延のび、さらに宇宙船うちゅうせん本体ほんたいの軌道きどう修正しゅうせいのためにLMのエンジンを利用りようした。再さい突入とつにゅうの少すこし前まえに退出たいしゅつしたLM"救命きゅうめいボート"を切きり離はなしたクルーは、LMを用もちいることで節約せつやくできた司令しれい船内せんないの最後さいごの電力でんりょくと酸素さんそとを使つかい切きって地球ちきゅうに帰還きかんした。
一いち隻せきのみが建造けんぞうされたソビエト連邦れんぽうのマイク級きゅう原子力げんしりょく潜水せんすい艦かんが有ゆうしていた脱出だっしゅつカプセルは1989年ねんの沈没ちんぼつ時ときに放出ほうしゅつされた。オスカー級きゅうや同どうクラスの旧きゅうソ連それんの潜水せんすい艦かんは乗組のりくみ員いん用よう脱出だっしゅつカプセルを備そなえているとされるが、クルスク艦かん (Kursk) の沈没ちんぼつ事故じこの際さいに搭乗とうじょう員いんはカプセルまで辿たどりつけなかった。タイフーン級きゅう弾道だんどうミサイル潜水せんすい巡洋艦じゅんようかんにもまたセイル近接きんせつ部ぶあるいはその付近ふきんに脱出だっしゅつポッドの配置はいちが目めされており、ドイツのタイフーン級きゅう弾道だんどうミサイル潜水せんすい艦かんドキュメンタリー『セヴェルスターリ』(Severstal) にて立証りっしょうがなされている。