ある核種 かくしゅ について、その原子核 げんしかく の質量 しつりょう をM 、質量 しつりょう 数 すう をA 、原子 げんし 番号 ばんごう をZ とし、単体 たんたい の陽子 ようし および中性子 ちゅうせいし の質量 しつりょう をそれぞれM p 、M n としたときに、質量 しつりょう 欠損 けっそん B は、
B
=
M
p
Z
+
M
n
(
A
−
Z
)
−
M
{\displaystyle B=M_{\mathrm {p} }Z+M_{\mathrm {n} }(A-Z)-M}
である。
自由 じゆう な陽子 ようし と中性子 ちゅうせいし を融合 ゆうごう させると、その結合 けつごう エネルギーに相当 そうとう する約 やく 2.2 MeVのガンマ線 がんません を放出 ほうしゅつ することが知 し られている。一方 いっぽう 、重水素 じゅうすいそ の原子核 げんしかく (重 じゅう 陽子 ようし )の質量 しつりょう を測定 そくてい すると、陽子 ようし と中性子 ちゅうせいし がそれぞれ別々 べつべつ に存在 そんざい するときに観測 かんそく される質量 しつりょう の和 わ よりも約 やく 2.2 MeV/c²だけ軽 かる い値 ね となる。アインシュタイン の特殊 とくしゅ 相対性理論 そうたいせいりろん によれば、質量 しつりょう とエネルギー は等価 とうか であり、E=mc² の関係 かんけい が存在 そんざい する。質量 しつりょう 欠損 けっそん は原子核 げんしかく の結合 けつごう エネルギーが質量 しつりょう の減少 げんしょう という形 かたち で観測 かんそく されるものであると考 かんが えられており、実際 じっさい の測定 そくてい 結果 けっか も非常 ひじょう に良 よ い一致 いっち を見 み せている。原子核 げんしかく の結合 けつごう エネルギーの大 おお きさは、質量 しつりょう 公式 こうしき によって説明 せつめい される。
Bethe-Weizsäckerの質量 しつりょう 公式 こうしき
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原子核 げんしかく の結合 けつごう エネルギーを液 えき 滴 しずく 模型 もけい の考 かんが えかたを用 もち い、実験 じっけん 的 てき に求 もと めた質量 しつりょう を再現 さいげん するようパラメータを求 もと める半 はん 実験 じっけん 式 しき として、ベーテ・ヴァイツゼッカーの質量 しつりょう 公式 こうしき がある。
縦 たて 方向 ほうこう を陽子 ようし 数 すう 、横 よこ 方向 ほうこう を中性子 ちゅうせいし 数 すう 、高 たか さ方向 ほうこう を核 かく 子 こ あたりの結合 けつごう エネルギーの正負 せいふ を反転 はんてん したものにとって三 さん 次元 じげん のグラフにすると、安定 あんてい 同位 どうい 体 たい に沿 そ って谷 たに 状 じょう の形状 けいじょう を示 しめ す。これをハイゼンベルク の谷 たに と呼 よ んでいる。核 かく 図表 ずひょう も参照 さんしょう 。
原子核 げんしかく の安定 あんてい 性 せい と質量 しつりょう 欠損 けっそん
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ある原子核 げんしかく が安定 あんてい であるかどうかということを考 かんが える際 さい に、質量 しつりょう 欠損 けっそん を用 もち いて議論 ぎろん することが出来 でき る。
原子核 げんしかく 崩壊 ほうかい に対 たい する安定 あんてい 性 せい
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本 ほん 項 こう では、例 れい としてある原子核 げんしかく がアルファ崩壊 ほうかい に対 たい して安定 あんてい であるかどうかということを質量 しつりょう 欠損 けっそん を用 もち いて考 かんが えてみることとする。
アルファ崩壊 ほうかい は、原子核 げんしかく がアルファ粒子 りゅうし (ヘリウム 原子核 げんしかく )を放出 ほうしゅつ して、原子 げんし 番号 ばんごう が2、質量 しつりょう 数 すう が4だけ少 すく ない原子核 げんしかく に変換 へんかん する反 はん 応 おう である。この反応 はんのう が起 お こるためには、アルファ粒子 りゅうし を放出 ほうしゅつ するだけのエネルギーをどこかから持 も ってこなければならない。通常 つうじょう この反応 はんのう が起 お こるのは、元 もと の原子核 げんしかく (親 おや 核 かく などと呼 よ ばれる)の質量 しつりょう 欠損 けっそん が、崩壊 ほうかい した後 のち の核種 かくしゅ (娘 むすめ 核 かく と呼 よ ぶ)の質量 しつりょう 欠損 けっそん とヘリウム原子核 げんしかく の質量 しつりょう 欠損 けっそん を足 た したものよりも小 ちい さい場合 ばあい に限 かぎ られる。質量 しつりょう 欠損 けっそん の差 さ により生 しょう じる余剰 よじょう なエネルギーこそがアルファ崩壊 ほうかい を起 お こす源 みなもと なのである。とはいっても、原子核 げんしかく の崩壊 ほうかい を引 ひ き起 お こすためには、通常 つうじょう かなり高 たか いポテンシャル障壁 しょうへき を超 こ えなければならないので、アルファ崩壊 ほうかい に対 たい して不安定 ふあんてい な核種 かくしゅ だからといって直 ただ ちに崩壊 ほうかい するということは無 な い。ある確 かく 率 りつ によっておこるトンネル効果 こうか でポテンシャル障壁 しょうへき をすり抜 ぬ けた場合 ばあい のみ崩壊 ほうかい が起 お こるので、一般 いっぱん にアルファ崩壊 ほうかい が起 お こるのにはかなり長 なが い時間 じかん がかかり、半減 はんげん 期 き が数 すう 万 まん 年 ねん から億 おく 年 ねん 以上 いじょう という核種 かくしゅ も少 すく なくない。
上記 じょうき の議論 ぎろん は原子力 げんしりょく 発電 はつでん や原子 げんし 爆 ばく 弾 だん などで利用 りよう されている原子 げんし 核分裂 かくぶんれつ の場合 ばあい も同様 どうよう に考 かんが えることが出来 でき る。アルファ崩壊 ほうかい の場合 ばあい には、分裂 ぶんれつ 後 ご の片方 かたがた の原子核 げんしかく がヘリウム原子核 げんしかく に固定 こてい されていたが、原子 げんし 核分裂 かくぶんれつ では、分裂 ぶんれつ によって生 しょう じる核 かく がそれに限 かぎ らず、またいくつかの自由 じゆう な中性子 ちゅうせいし なども同時 どうじ に生 しょう じるという点 てん が異 こと なるだけである。また、ベータ崩壊 ほうかい やベータプラス崩壊 ほうかい 、軌道 きどう 電子 でんし 捕獲 ほかく などの他 ほか の原子核 げんしかく 崩壊 ほうかい の場合 ばあい にも基本 きほん 的 てき には同様 どうよう である。ただし、それらは原子核 げんしかく のほかに電子 でんし もかかわる反応 はんのう であるから、電子 でんし の質量 しつりょう 分 ぶん のエネルギーも考慮 こうりょ に入 い れなければならない。
自然 しぜん 界 かい に存在 そんざい する原子核 げんしかく は、ほぼ基底 きてい 状態 じょうたい (その核種 かくしゅ の採 と りうるエネルギー状態 じょうたい のうちで最 もっと もエネルギーが小 ちい さい=質量 しつりょう 欠損 けっそん が大 おお きく安定 あんてい な状態 じょうたい )で存在 そんざい する。ごく稀 まれ に放射線 ほうしゃせん などの影響 えいきょう で励起 れいき 状態 じょうたい (基底 きてい 状態 じょうたい よりもエネルギーが大 おお きい状態 じょうたい 。外 そと からエネルギーを加 くわ えることによって生 しょう ずる)になることがあってもガンマ崩壊 ほうかい (原子核 げんしかく がガンマ線 がんません を放出 ほうしゅつ してよりエネルギーの低 ひく い状態 じょうたい に移行 いこう すること。)によって、直 ただ ちに基底 きてい 状態 じょうたい に移行 いこう する。とはいっても励起 れいき 状態 じょうたい は通常 つうじょう よりも原子核 げんしかく の持 も つエネルギーが大 おお きい状態 じょうたい であるから、その分 ぶん だけ質量 しつりょう 欠損 けっそん は減少 げんしょう した状態 じょうたい である。したがって励起 れいき 状態 じょうたい の核 かく が、上記 じょうき のアルファ崩壊 ほうかい 等 とう を起 お こす条件 じょうけん を満 み たしていると、ある確 かく 率 りつ で原子核 げんしかく 崩壊 ほうかい が起 お こり、核種 かくしゅ が変換 へんかん することがある。
中性 ちゅうせい 原子 げんし の重 おも さから、その原子 げんし の質量 しつりょう 数 すう Aの原子 げんし 質量 しつりょう 単位 たんい 倍 ばい を引 ひ いたものを質量 しつりょう 偏差 へんさ ( しつりょうへんさ ) と呼 よ ぶ。あるいは、電子 でんし の質量 しつりょう および束縛 そくばく エネルギーを含 ふく まない形 かたち として、原子核 げんしかく の重 おも さから原子核 げんしかく の質量 しつりょう 数 すう の原子 げんし 質量 しつりょう 単位 たんい 倍 ばい を引 ひ いたものをさす場合 ばあい もある。また、質量 しつりょう 偏差 へんさ の値 ね を質量 しつりょう 数 すう Aで割 わ ったものを比 ひ 質量 しつりょう 偏差 へんさ と呼 よ ぶ。
質量 しつりょう 偏差 へんさ の正負 せいふ を反転 はんてん したものは、質量 しつりょう 超過 ちょうか ( しつりょうちょうか ) と呼 よ ばれる量 りょう である。
文献 ぶんけん 等 とう によっては、質量 しつりょう 偏差 へんさ の意味 いみ で質量 しつりょう 欠損 けっそん という言葉 ことば を用 もち いていることもある。