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金属カルボニルクラスター - Wikipedia

化学かがくでは、 金属きんぞくカルボニルクラスターえい:metal carbonyl cluster)は、金属きんぞく-金属きんぞく結合けつごうによって化学かがく結合けつごうした2つ以上いじょう金属きんぞく原子げんしふくみ、かつ、一酸化いっさんか炭素たんそ(CO)をおもはいとしてふく化合かごうぶつである。 簡単かんたん構造こうぞう金属きんぞくカルボニルクラスターとしては、 Fe2(CO)9Fe3(CO)12Mn2(CO)10がある。[1] かくかずおおいクラスターとしては、[Rh13(CO) 24H3] 2−とPt 3三角形さんかっけい積層せきそう[Pt3n(CO)6n] 2−(n = 2–6)が例示れいじされる。 [2]

最初さいしょ金属きんぞくカルボニルクラスターはFe3(CO)12、Ir4(CO)12、およびRh6(CO)16であるが、1930年代ねんだいにWalter Hieberによって報告ほうこくされた。[3] [4] その構造こうぞうXせん結晶けっしょう構造こうぞう解析かいせきによって確立かくりつされた。 [5]

Paolo Chini (1928-1980)は、多核たかく金属きんぞくカルボニルクラスターの合成ごうせい特性とくせいのパイオニアである。 かれ研究けんきゅうは1958ねんはじまっているが、ヒドロホルミルにおける選択せんたくせい改善かいぜんかんする特許とっきょ再現さいげんすることである。 てつとコバルトのカルボニルの混合こんごうぶつから、最初さいしょのバイメタルカルボニルクラスターHFeCo3(CO)12られた。[6]

カルボニルクラスターの種類しゅるい

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二元にげん金属きんぞくカルボニルクラスター

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二元にげん金属きんぞくカルボニルクラスターは、金属きんぞく原子げんしとカルボニルもとのみで構成こうせいされ、もっとひろ研究けんきゅうされ、かつ、使用しようされている金属きんぞくカルボニルクラスターである。 一般いっぱん飽和ほうわ金属きんぞくカルボニルのちぢみあいによりしょうじる。 Ru(CO) 5からCOが解離かいりすることによりRu(CO) 4生成せいせいし、さらさんりょうしてRu 3 (CO)12変換へんかんする。実際じっさい反応はんのう機構きこうは、この単純たんじゅんなシナリオより複雑ふくざつである。 てい分子ぶんしりょう金属きんぞくカルボニルのちぢみあいにはだつカルボニル必要ひつようだが、これはねつてき光化学こうかがくてき、またはさまざまな試薬しやく使用しようしておこなうことができる。 二元にげん金属きんぞくカルボニルクラスターのかく金属きんぞく中心ちゅうしんかず)は通常つうじょう6以下いかである。

金属きんぞく しんカルボニル クラスター
Fe Fe(CO) 5 Fe 2 (CO) 9 、 Fe 3(CO)12
Ru Ru(CO) 5 Ru 3 (CO) 12
Os Os(CO) 5 Os 3(CO)12
Co Co 2 (CO) 8 Co 4 (CO) 12
Rh Rh 2(CO)8 Rh 4(CO)12
Ir Ir 2(CO)8 Ir 4(CO)12

チニクラスター

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プラチナカルボニルジアニオン[Pt3n(CO)6n] 2- (n=1-10)の合成ごうせいおよび特性とくせいは、チニクラスターまたはより正確せいかくにはチニーロンゴニクラスターとしてられている。 [6]

 

金属きんぞくカルビドクラスター

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カルビドクラスター[Os10C(CO) 24] 2−がったOsCOユニットは、結晶けっしょう構造こうぞう分析ぶんせき起因きいんするアーチファクト。 [7]

二元にげん金属きんぞくカルボニルクラスターのかくすう通常つうじょう6以下いかであるが、カルビドクラスターはしばしばかくすうおおくなる。 てつぞく元素げんそ金属きんぞくカルボニルはカルビド誘導体ゆうどうたい形成けいせいすることがよくられている。 れいとしては、[Rh6C(CO)15 ] 2- [8]および[Ru6C(CO)16] 2-がある。[9] 炭化たんかカルボニルは完全かんぜんめられた炭素たんそ([Fe6C(CO)16] 2−)だけでなく、Fe5 C(CO)15やFe4C(CO)13のような露出ろしゅつした炭素たんそ中心ちゅうしんにも存在そんざいする。 [10]

化学かがく結合けつごう

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ていかくクラスターの場合ばあい化学かがく結合けつごう局所きょくしょされているかのように説明せつめいされる。 この目的もくてきのために、 18電子でんしルールがもちいられる。 したがって、有機ゆうき金属きんぞく錯体さくたいの34電子でんしは、金属きんぞく-金属きんぞく結合けつごう金属きんぞく錯体さくたい予測よそくする。 多核たかくクラスターでは、 Jemmis mnoルールや多面体ためんたい骨格こっかく電子でんしペア理論りろんなど、より複雑ふくざつなルールがもちいられる。

クラスターはおおくの場合ばあい離散りさんした金属きんぞく金属きんぞく結合けつごうとして表現ひょうげんされるが、この結合けつごう性質せいしつは、架橋かきょうはいがある場合ばあい不明ふめいかくでになる。 [11]

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語えいご) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン英語えいごばん. ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ Paul J. Dyson, J. Scott McIndoe "Transition Metal Carbonyl Cluster Chemistry" Taylor & Francis, 2000.
  3. ^ Hieber, W.; Lagally, H. (1940). “Über Metallcarbonyle. XXXV. Über Iridiumcarbonyl”. Zeitschrift für Anorganische und Allgemeine Chemie 245 (3): 321–333. doi:10.1002/zaac.19402450311. 
  4. ^ Hieber, W.; Lagally, H. (1943). “Über Metallcarbonyle. XLV. Das Rhodium im System der Metallcarbonyle”. Zeitschrift für Anorganische und Allgemeine Chemie 251 (1): 96–113. doi:10.1002/zaac.19432510110. 
  5. ^ Corey, Eugene R.; Dahl, Lawrence F.; Beck, Wolfgang (1963). “Rh6(CO)16 and its Identity with Previously Reported Rh4(CO)11”. J. Am. Chem. Soc. 85 (8): 1202–1203. doi:10.1021/ja00891a040. 
  6. ^ a b Paolieri, Matteo; Ciabatti, Iacopo; Fontani, Marco (2019). “Paolo Chini: The Chemical Architect of Metal Carbonyl Clusters”. Journal of Cluster Science. doi:10.1007/s10876-019-01607-7. https://rdcu.be/bFj7i. 
  7. ^ Jackson, P. F., Johnson, B. F. G., Lewis, J., Nelson, W. J. H., McPartlin, M., "The synthesis of the cluster dianion [Os10C(CO)24]2- by pyrolysis.
  8. ^ S. Martinengo, D. Strumolo, P. Chini, "Dipotassium μみゅー6-Carbido-Nona-μみゅー-Carbonyl-Hexacarbonylhexarhodate(2-) K2[Rh6(CO)6(μみゅー-CO)9-μみゅー-C]" Inorganic Syntheses, 1980, Volume 20, Pages: 212–215, 2007. doi:10.1002/9780470132517.ch48
  9. ^ Elena Cariati, Claudia Dragonetti, Elena Lucenti, Dominique Roberto, "Tri- and Hexaruthnium Carbonyl Clusters" Inorganic Syntheses, 2004, Volume 35, 210.
  10. ^ Ernestine W. Hill, John S. Bradley, "Tetrairon Carbido Carbonyl Clusters" Inorganic Syntheses, 1990, Volume 27, Pages: 182–188. doi:10.1002/9780470132586.ch36
  11. ^ Jennifer C. Green, Malcolm L. H. Green, Gerard Parkin "The occurrence and representation of three-centre two-electron bonds in covalent inorganic compounds" Chem.

関連かんれん項目こうもく

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