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ドデカカルボニル三オスミウム - Wikipedia

ドデカカルボニルさんオスミウム(Triosmium dodecacarbonyl)は、化学かがくしきOs3(CO)12化合かごうぶつである。黄色おうしょく金属きんぞくカルボニルクラスター化合かごうぶつで、有機ゆうきオスミウム化合かごうぶつ前駆ぜんくたいとして重要じゅうようである。クラスター化学かがく進歩しんぽおおくは、ドデカカルボニルさんオスミウムやそのかるアナログであるドデカカルボニルさんルテニウム誘導体ゆうどうたい由来ゆらいするものである。

ドデカカルボニルさんオスミウム
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 15696-40-9 チェック
特性とくせい
化学かがくしき C12O12Os3
モル質量しつりょう 906.81 g/mol
外観がいかん 黄色おうしょく固体こたい
密度みつど 3.48 g/cm3
融点ゆうてん

224 °C, 497 K, 435 °F

沸点ふってん

真空しんくうちゅう昇華しょうか

みずへの溶解ようかい 不溶ふよう
その溶媒ようばいへの溶解ようかい 有機ゆうき溶媒ようばいにわずかに
構造こうぞう
双極そうきょくモーメント 0 D (0 C・m)
危険きけんせい
おも危険きけんせい CO source
Rフレーズ 22-36/37/38
Sフレーズ 22-26-36/37/39
関連かんれんする物質ぶっしつ
関連かんれん物質ぶっしつ ドデカカルボニルさんてつ
ドデカカルボニルさんルテニウム
デカカルボニルジヒドリドさんオスミウム
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

構造こうぞう合成ごうせい

編集へんしゅう

クラスターはD3h分子ぶんし対称たいしょうせいち、各々おのおのじく方向ほうこうに2つ、水平すいへい方向ほうこうに2つのCOはいつオスミウム原子げんしからなる正三角形せいさんかっけい形状けいじょうである。Os-Os結合けつごうちょうは288 pmである[1]。ドデカカルボニルさんルテニウムもおな構造こうぞうつが、ドデカカルボニルさんてつことなり、2つの架橋かきょうCOはいがC2v対称たいしょうとなっている。

ドデカカルボニルさんオスミウムは、こうあつ、175℃で酸化さんかオスミウム(VIII)一酸化いっさんか炭素たんそ直接ちょくせつ反応はんのうさせることでられる[2]

3 OsO4 + 24 CO → Os3(CO)12 + 12 CO2

生成せいせいぶつはほぼ定量ていりょうてきである。

反応はんのう

編集へんしゅう

ドデカカルボニルさんオスミウムの化学かがくてき性質せいしつはかなり調しらべられている。

クラスターとはい直接ちょくせつ反応はんのうは、しばしば複雑ふくざつ生成せいせいぶつぶん分布ぶんぷをもたらす。これは、内部ないぶOs-CO結合けつごうこわすには高温こうおん必要ひつようであり、そのような高温こうおんでは、最初さいしょ形成けいせいされた付加ふかぶつがさらに反応はんのうするためである。だつカルボニルざいとしてトリメチルアミン-N-オキシドをもちいると、Os3(CO)11(MeCN)やOs3(CO)10(MeCN)2ひとしのより不安定ふあんてい誘導体ゆうどうたい変換へんかんされる[3]。Os3(CO)11(MeCN)は、様々さまざまなよりよわ塩基えんきせいはいとでも反応はんのうして、Os3(CO)11(ethylene)やOs3(CO)11(pyridine)とう付加ふかぶつ生成せいせいする。Os3(CO)12とエチレンやピリジンとの直接ちょくせつ反応はんのうではこれらの有機ゆうきはい分解ぶんかいし、ビニルヒドリド(HOs3(CO)10(ηいーた1,ηいーた2-C2H3))やピリジルヒドリド(HOs3(CO)10(NC5H4))を生成せいせいする。これらの生成せいせいぶつは、Os-H結合けつごうおよびOs-C結合けつごう安定あんていせいしめす。

Os3(CO)12は、炭化たんか水素すいそ金属きんぞく集合しゅうごうたい相互そうご作用さようする方法ほうほう試験しけんするためのプラットフォームとなる。たとえば、CH3(H)Os3(CO)10は、アゴスティック相互そうご作用さよう最初さいしょ明確めいかくれいの1つである[4]

化学かがく結合けつごう観点かんてんからは、デカカルボニルジヒドリドさんオスミウム(H2Os3(CO)10)は注目ちゅうもくあたいする。この化合かごうぶつでは、2つのヒドリドはいが1つのOs-Osあいだ架橋かきょうし、ジボラン反応はんのうせいしめ[5]

ペンタカルボニルオスミウムは、280-290℃で固体こたいドデカカルボニルさんオスミウムを200気圧きあつ一酸化いっさんか炭素たんそ反応はんのうさせることでられる[6]

出典しゅってん

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  1. ^ Corey, E. R.; Dahl, L. F. "The Molecular and Crystal Structure of Os3(CO)12" Inorganic Chemistry 1962, volume 1, pages 521-526; doi:10.1021/ic50003a016.
  2. ^ Drake, S. R.; Loveday, P. A. "Dodecarbonyltriosmium" Inorganic Syntheses, 1990, volume 28, pages 230-231. ISBN 0-471-52619-3.
  3. ^ Nicholls, J. N.; Vargas, M. D. "Some Useful Derivatives of Dodecarbonyltriosmium" Inorganic Syntheses, 1990, volume 28, pages 232-235. ISBN 0-471-52619-3.
  4. ^ Calvert, R. B.; Shapley, J. R. "Decacarbonyl(methyl)hydrotriosmium: NMR evidence for a Carbon..Hydrogen..Osmium Interaction" Journal of the American Chemical Society 1978, volume 100, pages 7726-7727; doi:10.1021/ja00492a047.
  5. ^ Keister, J. B.; Shapley, J. R. "Solution Structures and Dynamics of complexes of Decacarbonyldihydrotriosmium with Lewis Bases" Inorganic Chemistry 1982, volume 21, pages 3304-3310; doi:10.1021/ic00139a011.
  6. ^ Rushman, Paul; Van Buuren, Gilbert N.; Shiralian, Mahmoud; Pomeroy, Roland K. (1983). “Properties of the Pentacarbonyls of Ruthenium and Osmium”. Organometallics 2 (5): 693-94. doi:10.1021/om00077a026. 

関連かんれん項目こうもく

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