障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎ

障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎ（しょうがいひえつきょうぎ）とは、馬術ばじゅつ競技きょうぎの一種いっしゅである。飛とび越こさなければ通過つうかできない施設しせつ（障害しょうがい）が設置せっちされたコース（経路けいろ）を、乗馬じょうばして通過つうかする技術ぎじゅつを競きそう競技きょうぎである。馬場ばば馬術ばじゅつ、総合そうごう馬術ばじゅつなどに対たいして、障害しょうがい馬術ばじゅつとも呼よばれる。英語えいごでは「jumping」と呼よばれる。オリンピックの馬術ばじゅつ競技きょうぎおよび、近代きんだい五ご種しゅ競技きょうぎにも採用さいようされている。

障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎの様子ようす

なお、東京とうきょう都と馬術ばじゅつ連盟れんめいなど一部いちぶの競技きょうぎ団体だんたいにおいては常用漢字じょうようかんじ外そとである「碍」を用もちいて「障さわ碍飛越とびこし競技きょうぎ」（読よみは同おなじ）と表記ひょうきされることもある（同音どうおんの漢字かんじによる書がきかえも参照さんしょう）。

かつての障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎは狩猟しゅりょうを行おこなっていた者ものが技量ぎりょう比くらべとして行いっていたものでスポーツの域いきまでは洗練せんれんされていなかったが、1900年ねんのパリオリンピックで障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎが行おこなわれたことをきっかけに、障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎのルールが進歩しんぽしてスポーツとして改良かいりょうされ現在げんざいの競技きょうぎ形態けいたいとなった。

概要がいよう

障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎは他たの馬術ばじゅつ競技きょうぎと同おなじく、人馬じんば単位たんいで出場しゅつじょうするため、騎乗きじょうする馬うまの調教ちょうきょうも競きそうことになる。

ただし、自分じぶんの馬うまを所有しょゆうしていない初心者しょしんしゃのための競技きょうぎとして、開催かいさい者しゃ側がわから馬うまを貸与たいよする方式ほうしきがとられることもある。この場合ばあいは対戦たいせんする相手あいて同士どうしが同おなじ乗馬じょうばを使用しようすることになる。

競技きょうぎ形式けいしきはいくつかあるが、基本きほん的てきに採点さいてんは減点げんてん方式ほうしきで行おこなわれる。

• 障害しょうがいに触ふれるなどしてバーを落下らっかさせたり、障害しょうがいを壊こわした場合ばあいは減点げんてん4。
• 馬うまが障害しょうがいを避さけたり（逃避とうひ）、障害しょうがいの前まえで停止ていししてしまったり（拒止きょし）、騎手きしゅの意図いとに反はんして勝手かってに円えんを描えがくように回まわったり後退こうたいしたり（不ふ従順じゅうじゅん）した場合ばあいは、反抗はんこうとして減点げんてん4。反抗はんこうが2回かい（日本にっぽん国内こくないローカルルールで3回かい）で失権しっけん。
• タイムを計測けいそくするが、規定きていタイムを超過ちょうかした場合ばあいには、通常つうじょう4秒びょうごとに減点げんてん1。
• 落馬らくばしたり、馬うまが転倒てんとうしたり、障害しょうがいの順序じゅんじょを間違まちがえて飛越とびこししたり（経路けいろ違反いはん）した場合ばあいは失権しっけん。

減点げんてん数すうが等ひとしかった場合ばあいには、障害しょうがいの難なん度どを上あげて決勝けっしょう戦せんを行おこなうジャンプオフを行おこなったり、タイムの早はやい方ほうを勝者しょうしゃとするなどで順位じゅんいが判定はんていされる。

ルール

ブリティッシュ馬術ばじゅつの流ながれを汲くむ競技きょうぎであり、礼儀れいぎに関かんしてもルールが定さだめられている。 服装ふくそうに関かんしては「赤あかか黒くろのジャケット、白しろまたは淡あわ黄き褐色かっしょくの乗馬じょうばズボン、黒くろまたは茶色ちゃいろの長靴ながぐつの着用ちゃくよう」「白しろのタイかチョーカー、あるいはハンティング・ストックと、白しろまたは色いろの薄うすいシャツを着用ちゃくよう」敬礼けいれいについては「競技きょうぎ時じに主審しゅしんへ敬礼けいれい」といった規定きていがある（FEI障害しょうがい馬術ばじゅつ規程きてい 第だい256条じょう）。

選手せんしゅは競技きょうぎ前まえに経路けいろを下見したみすることができるが、このとき障害しょうがいに触ふれることはできない。しかしこの機会きかいを利用りようして距離きょりや歩数ほすう、回転かいてん半径はんけいなど走行そうこう計画けいかくを組くみ立たてることになる。下見したみには指導しどう者しゃなど選手せんしゅ以外いがいも参加さんかを許ゆるされる。

障害しょうがいは飛越とびこし方向ほうこうが定さだまっており、赤あかい旗はたを右手みぎてに、白しろい旗はたを左手ひだりてに見みて飛とぶ方向ほうこうにしか通過つうかを許ゆるされない。これに違反いはんした場合ばあいは経路けいろ違反いはんで即そく失権しっけんとなる。また、障害しょうがいの飛越とびこし順序じゅんじょも定さだめられており、これを違ちがえた場合ばあいも同様どうようである（飛越とびこし方向ほうこうや順序じゅんじょを定さだめない競技きょうぎ形式けいしきもある）。2反抗はんこうもしくは3反抗はんこうや経路けいろ違反いはんで失権しっけんとなるほか、落馬らくば、合図あいず前まえのスタートなども失権しっけんの対象たいしょうとなる。それ以外いがいにもスタートから第だい1障害しょうがいや障害しょうがい間あいだに45秒びょうという制限せいげん時間じかんもついており、45秒びょう以内いないに次つぎの障害しょうがいを通過つうかできない場合ばあいは失権しっけんになることもあるので注意ちゅういが必要ひつようである。失権しっけん者しゃの得点とくてんは、失権しっけんした以降いこうのすべての障害しょうがいを失敗しっぱいしたものとして大幅おおはばな減点げんてんがなされる。

競走きょうそう馬ばからの転向てんこう例れい

競馬けいばの競走きょうそう馬ばから転向てんこうした馬うまの例れいとして、2004年ねんの菊花賞きっかしょうに優勝ゆうしょうした「デルタブルース」や、2008年ねんのデイリー杯はい2歳さいステークス に優勝ゆうしょうした「シェーンヴァルト」、1995年ねんに大井おおい競馬けいば場じょうからデビューした「トップギアI」が存在そんざいする。「シェーンヴァルト」は2017年ねんの第だい72回かい国民こくみん体育たいいく大会たいかいで優勝ゆうしょう、「トップギアI」は2008年ねんにスウェーデンで行おこなわれた「ワールドカップ・ファイナル」にサラブレッドとして初はじめて出場しゅつじょうを成なした記録きろくもある。

関連かんれん項目こうもく

• アジリティ - 犬いぬの障害しょうがい飛越とびこし競技きょうぎ
• ラビット・アジリティ - ウサギの障害しょうがい物ぶつ競走きょうそう。