駆かけ込こみ乗車じょうしゃ

駆かけ込こみ乗車じょうしゃ（かけこみじょうしゃ）とは、出発しゅっぱつのため扉とびらを閉しめようとしているバスや列車れっしゃなどの公共こうきょう交通こうつう機関きかんに、急いそいで乗のろうとする行為こういを指さす。

概要がいよう

いくつかの理由りゆう（以下いかを参照さんしょう）で、好このましくない行為こういや、危険きけんな行為こういとみなされる事ことが多おおい。また、ホームや車内しゃない放送ほうそうでは駆かけ込こみ乗車じょうしゃをしないようにと放送ほうそうしていることが多おおい。

列車れっしゃの場合ばあいは一度いちど動うごき出だしたら次つぎの駅えきまで容易よういに停車ていしゃすることができないが、バスの場合ばあいは基本きほん的てきにどこでも路上ろじょうならばドアを開閉かいへいできるため、既すでに出発しゅっぱつしたバスが信号しんごう待まち等とうで止とまっている隙すきに乗降じょうこう口こうドアに駆かけ寄よったり、ドアを叩たたく等とうをして乗のせろと詰つめかける者ものがあり、このような場合ばあいにバス運転うんてん士しがクレームを恐おそれて乗のせてしまうこともある。他方たほう、停車ていしゃ本数ほんすうが一時いちじ間あいだに一本いっぽん以下いかといった少すくない駅えきでは、動うごき出だした列車れっしゃであっても再ふたたび停止ていしして扉とびらを開あけ、遅おくれてきた乗客じょうきゃくを乗のせる姿すがたもみられる。

また、閉しまりかけた扉とびらの間あいだに手荷物てにもつや傘かさ・杖つえなどの所持しょじ品ひんを差さし出だす者ものもいる。鉄道てつどう車両しゃりょうやバス車両しゃりょうのドアは乗務じょうむ員いんの操作そうさにより開閉かいへいするので、エレベーターなどのセンサー式しきの自動じどうドアのように扉とびらの間あいだに物ものを差さし出だしても自動じどうでは開ひらかず、危険きけん行為こういでもあるため鉄道てつどう事業じぎょう者しゃでは行おこなわないよう呼よび掛かけている。

問題もんだい点てん

• 所定しょていの発車はっしゃ時刻じこく、到着とうちゃく時刻じこくから遅おくれる原因げんいんになり、公共こうきょう交通こうつう機関きかんの円滑えんかつな運行うんこうの妨害ぼうがいになる。
• 扉とびらに挟はさまれる可能かのう性せいが高たかく、万一まんいちの場合ばあい、怪我けがをする原因げんいんになる。
  • 圧縮あっしゅく空気くうきや電磁石でんじしゃくで駆動くどうしている扉とびらの圧力あつりょくは大おおきく、挟はさまれること自体じたいが危険きけんである。薄着うすぎで腕うでなどを挟はさまれると痣あざになる位くらいの力ちからがかかる。
  • 扉とびらに身体しんたい・衣服いふく・所持しょじ品ひんの一部いちぶが挟はさまった場合ばあいに、乗務じょうむ員いんがそれに気きづかずに発車はっしゃさせてしまうことがある。このとき車両しゃりょうの外側そとがわから挟はさまっている場合ばあい、発車はっしゃした車両しゃりょうに引ひきずられて怪我けがをしたり、最悪さいあくの場合ばあいは死亡しぼう事故じこにつながる可能かのう性せいもありうる。通常つうじょう、列車れっしゃは扉とびらが完全かんぜんに閉しまることで運転うんてん台だいの戸と閉ランプが点灯てんとうし、発車はっしゃできるようになる仕組しくみになっているが、衣服いふくなど薄うすい物ものが挟はさまった状態じょうたいで扉とびらの隙間すきまが小ちいさい場合ばあいは、扉とびらが閉しまったと誤認ごにんされ、戸と閉ランプが点灯てんとうしてしまうことがある。1978年ねんの阪急電鉄はんきゅうでんてつ十じゅう三さん駅えき扉とびら挟はさみ死亡しぼう事故じこや1995年ねんの三島みしま駅えき乗客じょうきゃく転落てんらく事故じこ、2007年ねんの山手やまて線せんベビーカー引ひきずり事故じこなどは、その代表だいひょう例れいといえる。
• 駆かけ込こんだ時とき、勢いきおい余あまって扉とびらに衝突しょうとつした場合ばあい、タンコブができたり、場合ばあいによっては扉とびらを壊こわす危険きけん性せいもある。
• 駆かけ込こんだ時ときに、他たの乗客じょうきゃくと接触せっしょくしたり、衝突しょうとつしたりする危険きけん性せいがある。
• そもそも、ホームや駅えきの階段かいだんなどを走はしる事ことになるため、転倒てんとうや衝突しょうとつの原因げんいんとなり、危険きけんである。
• 物もの（特とくに傘かさ）をドアに挟はさんだまま発車はっしゃしてしまい、飛とび出でた部分ぶぶんが対向たいこう列車れっしゃやホームの乗客じょうきゃくに接触せっしょくしてしまう恐おそれがある。
• 財布さいふや携帯けいたい電話でんわなどの所持しょじ品ひんを落おとしたり、紛失ふんしつしたりする原因げんいんにもなりうる。

なお、一部いちぶの鉄道てつどう事業じぎょう者しゃでは、駆かけ込こみ乗車じょうしゃ防止ぼうしのため発車はっしゃ（ドアを閉しめる）前まえに大だい音量おんりょうのベルやチャイム・メロディを鳴ならしているが、これがかえって駆かけ込こみ誘発ゆうはつの原因げんいんとなっている可能かのう性せいも指摘してきされており、東日本旅客鉄道ひがしにほんりょかくてつどう（JR東日本ひがしにっぽん）では、意図いと的てきにメロディの鳴ならし方かたを変更へんこうするなどの実験じっけんも行おこなっている。

関連かんれん項目こうもく

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