abs

absは、多おおくのプログラミング言語げんごにおいて引数ひきすうの絶対ぜったい値ち (absolute value) を返かえす関数かんすうである。言語げんごによってabs, Abs, ABSなどと大文字おおもじ小文字こもじに揺ゆれがあったり、多少たしょうの修飾しゅうしょく辞じを伴ともなっていたりする場合ばあいもある。例たとえばFortranの場合ばあい、引数ひきすうの型かたによってABS, IABSなど、異ことなる名前なまえの関数かんすうが用意よういされている。

C/C++

C/C++ではヘッダーファイル<stdlib.h>および<cstdlib>の中なかで、次つぎのように関数かんすうabsが宣言せんげんされている。ただし、後述こうじゅつするようにこれ以外いがいにもいくつか種類しゅるいが存在そんざいする。

int abs(int);

そして、例たとえば次つぎのように使用しようできる。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>

int main(void) {
    int x = -5;
    int abs_x = abs(x);
    printf("%dの絶対ぜったい値ちは%d\n", x, abs_x);
    return 0;
}

出力しゅつりょく結果けっか:

-5の絶対ぜったい値ちは5

なお、符号ふごう付づけ整数せいすう型がたに2の補数ほすうを用もちいる処理しょり系けいでabs(INT_MIN)を実行じっこうする場合ばあいなど、結果けっかが表現ひょうげんできない場合ばあいの動作どうさはC言語げんごの仕様しよう上じょうは未定義みていぎであるが、GCCなどの典型てんけい的てきな実装じっそうでは（絶対ぜったい値ちではない）元もとの値ねをそのまま返かえす。

absの種類しゅるい

C/C++の場合ばあい、Fortran同様どうように引数ひきすうの型かたによって異ことなる名前なまえの関数かんすうが用意よういされている。ただしC++ではabsがそれぞれの型かたに対たいして多重たじゅう定義ていぎされているので、異ことなる型かたに対たいして一律いちりつabsを使用しようすることもできる。

関数かんすう名めい	型かた	宣言せんげんヘッダー	備考びこう
abs	int（整数せいすう型がた）	<stdlib.h>, <cstdlib>
labs	long（長ちょう整数せいすう型がた）	<stdlib.h>, <cstdlib>
llabs	long long（長々ながなが整数せいすう型がた）	<stdlib.h>, <cstdlib>	C99、C++11で標準ひょうじゅん化か。
imaxabs	intmax_t（処理しょり系けいが扱あつかえる最大さいだいの整数せいすう型がた）	<stdlib.h>, <cstdlib>	C99、C++11で標準ひょうじゅん化か。
fabs	double（倍精度ばいせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん数すう型かた）	<math.h>, <cmath>
fabsf	float（単精度たんせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん数すう型かた）	<math.h>	C99で標準ひょうじゅん化か。
fabsl	long double（拡張かくちょう倍精度ばいせいど浮動ふどう小数点しょうすうてん数すう型かた）	<math.h>	C99で標準ひょうじゅん化か。
cabs	double complex（倍精度ばいせいど複素数ふくそすう型かた、C99のみ）	<complex.h>	C99で標準ひょうじゅん化か。
cabsf	float complex（単精度たんせいど複素数ふくそすう型がた、C99のみ）	<complex.h>	C99で標準ひょうじゅん化か。
cabsl	long double complex（拡張かくちょう倍精度ばいせいど複素数ふくそすう型がた、C99のみ）	<complex.h>	C99で標準ひょうじゅん化か。
abs	complex<T>（複素数ふくそすう型がたテンプレート、C++のみ）	<complex>
abs	valarray<T>（ベクトル演算えんざん対応たいおう配列はいれつ型がたテンプレート、C++のみ）	<valarray>

実装じっそう例れい

C言語げんごにおけるabs関数かんすうの典型てんけい的てきな実装じっそう例れいは以下いかである。

int my_abs(int x) {
    if (x < 0)
        return -x;
    else
        return x;
}

もしくは、マクロを用もちいればC言語げんごでも型かたを気きにせずに用もちいることが可能かのうとなる。しかし副作用ふくさように注意ちゅういする必要ひつよう性せいが生しょうじる。以下いかの構文こうぶんは条件じょうけん演算えんざん子こを用もちいている。

#define my_abs(x) ((x) >= 0 ? (x) : -(x))

C99ではジェネリック版はんのfabs関数かんすうが<tgmath.h>に宣言せんげんされている。

Java

java.lang.Math.abs() にて実装じっそうされている。int, long, float, double 用ように多重たじゅう定義ていぎされている。int, long の負数ふすうの最小さいしょう値ちを引数ひきすうに与あたえると同おなじ値ちをそのまま返かえすと規定きていされている。

.NET

C#を始はじめとする.NET Frameworkに対応たいおうした言語げんごでは、System.Math.Abs() にて実装じっそうされている。System.SByte, System.Int16, System.Int32, System.Int64, System.Decimal, System.Single, System.Double 用ように多重たじゅう定義ていぎされている。SByte.MinValue, Int16.MinValue, Int32.MinValue, Int64.MinValue をそれぞれのメソッドオーバーロードに渡わたすと System.OverflowException 例外れいがいがスローされる。

外部がいぶリンク

• abs(3) – JM Project Linux Library Functions マニュアル