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システムバス - Wikipedia

システムバス英語えいご: system bus)は、情報じょうほうはこぶためのデータバス英語えいごばん送信そうしんさき決定けっていするためのアドレスバス動作どうさ決定けっていするためのコントロールバス英語えいごばんの3種類しゅるいバス機能きのう単一たんいつのバスで実現じつげんしたものである。この技術ぎじゅつは、コスト削減さくげんとモジュールせい向上こうじょうのために開発かいはつされ、1970年代ねんだいから1980年代ねんだいかけて主流しゅりゅうとなったが、現代げんだいのコンピュータでは用途ようとごとにべつのバスを使用しようしている。

システムバスの概念がいねん

背景はいけい

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現代げんだいコンピュータのほとんどは、1945ねん発表はっぴょうされたEDVACにかんする報告ほうこくしょだいいち草稿そうこうもとづいて設計せっけいされている。この報告ほうこくしょもとづくコンピュータ(一般いっぱんノイマンがたばれる)は、中央ちゅうおう制御せいぎょ装置そうち演算えんざん論理ろんり装置そうち(ALU。報告ほうこくしょでは中央ちゅうおう演算えんざん〈central arithmetic part〉とばれる)をメモリ入出力にゅうしゅつりょく装置そうちわせて、プログラム内蔵ないぞうがたコンピュータ構成こうせいする[1]。この報告ほうこくしょでは、コンピュータの一般いっぱんてき構成こうせい理論りろんモデルはしめされたが、そのモデルの実装じっそうしめされなかった[2]。やがて、制御せいぎょ装置そうちとALUが統合とうごうされて、中央ちゅうおう処理しょり装置そうちCPU)となった。

1950年代ねんだいから1960年代ねんだいにかけてのコンピュータは、一般いっぱんてきにアドホックな方法ほうほう構築こうちくされていた。たとえば、当時とうじのコンピュータにおけるCPU、メモリ、入出力にゅうしゅつりょく装置そうちは、それぞれが1つまたは複数個ふくすうこわかれた筐体きょうたい格納かくのうされており、ケーブルで接続せつぞくされていた。当時とうじのエンジニアは、プリント基板きばん相互そうご接続せつぞくするためのバックプレーン概念がいねん拡張かくちょうするかたちで、このケーブルのたば規格きかく標準ひょうじゅんした。「バス」(bus)という名称めいしょうは、初期しょき機械きかいしき計算けいさんふく電気でんき機械きかい各部かくぶ電力でんりょくはこぶ「バスバー」(bus bar)としてすでに使用しようされていた[3]集積しゅうせき回路かいろ(IC)の出現しゅつげんにより、コンピュータのかくユニットが大幅おおはばちいさくなり、バスはさらに標準ひょうじゅんされた[4]標準ひょうじゅんされたモジュールは、より均一きんいつ方法ほうほう相互そうご接続せつぞくすることができ、開発かいはつ保守ほしゅ容易よういになった。

概要がいよう

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ていコストとモジュールせいのために、メモリバス英語えいごばん入出力にゅうしゅつりょくバス、コントロールバス英語えいごばん電源でんげんバスが1つの統一とういつされた「システムバス」にまとめられるようになった[5]。コンピュータが単一たんいつ筐体きょうたいおさまるほどちいさくなるにつれ、モジュールせいていコスト重要じゅうようになってきた(そして、顧客こきゃくてい価格かかく期待きたいしていた)。デジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)は、大量たいりょう生産せいさんによりミニコンピュータのコストをさらに削減さくげんし、メモリバスにメモリマップドI/O搭載とうさいして、入出力にゅうしゅつりょく装置そうちとメモリが同一どういつアドレス空間くうかんうええるようにした。これは1969ねんころPDP-11Unibusとして実装じっそうされたもので、I/Oバスをべつ用意よういする必要ひつようがなくなった[6]。PDP-8のようなメモリマップドI/Oをたないコンピュータでも、すぐにシステムバスが実装じっそうされ、モジュールを任意にんいのスロットにむことができるようになった[7]一部いちぶ著者ちょしゃは、これをコンピュータアーキテクチャのあたらしい合理ごうりされたモデルとんだ[8]

一般いっぱんてき単一たんいつ集積しゅうせき回路かいろうえにCPUを搭載とうさいしている初期しょきマイクロコンピュータおおくは、1975ねんころAltair 8800S-100バス皮切かわきりに、単一たんいつのシステムバスを使用しようして構築こうちくされた[9]IBM PCは、1981ねんIndustry Standard Architecture(ISA)バスをシステムバスとして使用しようした。初期しょきモデルにおけるパッシブバックプレーンは、CPUとRAMをマザーボードうえ配置はいちし、システムバススロットにオプションの拡張かくちょうカードのみを配置はいちするという標準ひょうじゅんえられた。

 
システムバスを使用しようした単純たんじゅん対称たいしょうがたマルチプロセッシング

1983ねんマルチバスがIEEE 796として規格きかくされた[10]サン・マイクロシステムズは1989ねんに、より小型こがた拡張かくちょうカードに対応たいおうするSBus開発かいはつした[11]対称たいしょうがたマルチプロセッシング実装じっそうするもっと簡単かんたん方法ほうほうは、2つ以上いじょうのCPUを共有きょうゆうシステムバスに接続せつぞくすることであり、1980年代ねんだいまで使用しようされていた。しかし、共有きょうゆうバスはすぐにボトルネックとなり、より洗練せんれんされた接続せつぞく技術ぎじゅつ模索もさくされた[12]

デュアルインディペンデントバス

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CPU設計せっけいが、より高速こうそく内部ないぶバスとより低速ていそくペリフェラルバス使用しようするように進化しんかしたことにより、インテルは、メインシステムメモリとのあいだ外部がいぶフロントサイドバスと、1つまたは複数ふくすうのCPUとCPUキャッシュとのあいだ内部ないぶバックサイドバス英語えいごばん使用しようする、デュアルインディペンデントバス (Dual Independent Bus, DIB) という言葉ことば使用しようするようになった。これは、1990年代ねんだいなかばから後半こうはんにかけてPentium ProPentium II導入どうにゅうされた[13]。CPUがメインメモリや入出力にゅうしゅつりょく装置そうちとのあいだでデータ通信つうしんするためのプライマリバスをフロントサイドバスび、バックサイドバスは2キャッシュにアクセスする。

現代げんだいのPCやサーバでは、HyperTransportインテル QuickPath インターコネクトなどの高性能こうせいのう相互そうご接続せつぞく技術ぎじゅつ使用しようされているが、よりシンプルなマイクロプロセッサではシステムバス・アーキテクチャが使用しようされつづけている。システムバスを単一たんいつ集積しゅうせき回路かいろ内部ないぶ内蔵ないぞうすることにより、System-on-a-chip実現じつげんすることもできる。そのれいとして、AMBA英語えいごばんCoreConnect英語えいごばんWishbone英語えいごばんなどがある[14]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ John von Neumann (June 30, 1945). “First Draft of a Report on the EDVAC”. March 14, 2013てんオリジナルよりアーカイブ。May 27, 2011閲覧えつらん Introduction and editing by Michael D. Godfrey, Stanford University, November 1992.
  2. ^ Michael D. Godfrey; D. F. Hendry (1993). “The Computer as von Neumann Planned It”. IEEE Annals of the History of Computing 15 (1): 11–21. doi:10.1109/85.194088. オリジナルの2011-08-25時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110825104605/http://qss.stanford.edu/~godfrey/vonNeumann/edv-an.pdf. 
  3. ^ アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく特許とっきょだい 3,470,421ごう "Continuous Bus Bar for Connector Plate Back Panel Machine Wiring" Donald L. Shore et al., Filed August 30, 1967, issued September 30, 1969.
  4. ^ アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく特許とっきょだい 3,462,742ごう "Computer System Adapted to be Constructed of Large Integrated Circuit Arrays" Henry S. Miller et al., Filed December 21, 1966, issued August 19, 1969.
  5. ^ Linda Null; Julia Lobur (2010). The essentials of computer organization and architecture (3rd ed.). Jones & Bartlett Learning. pp. 36,199–203. ISBN 978-1-4496-0006-8. https://books.google.com/books?id=f83XxoBC_8MC&pg=PA36 
  6. ^ C. Gordon Bell; R. Cady; H. McFarland; B. Delagi; J. O'Laughlin; R. Noonan; W. Wulf (1970). “A New Architecture for Mini-Computers—The DEC PDP-11”. Spring Joint Computer Conference: 657–675. http://research.microsoft.com/en-us/um/people/gbell/CGB%20Files/New%20Architecture%20PDP11%20SJCC%201970%20c.pdf. 
  7. ^ Small Computer Handbook. Digital Equipment Corporation. (1973). pp. 2–9. http://www.bitsavers.org/pdf/dec/pdp8/handbooks/Small_Computer_Handbook_1973.pdf 
  8. ^ Miles J. Murdocca; Vincent P. Heuring (2007). Computer architecture and organization: an integrated approach. John Wiley & Sons. p. 11. ISBN 978-0-471-73388-1 
  9. ^ Herbert R. Johnson. “Origins of S-100 computers”. 2020ねん4がつ9にち閲覧えつらん
  10. ^ 796-1983 — IEEE Standard Microcomputer System Bus”. Institute of Electrical and Electronics Engineers (1983ねん). May 25, 2011閲覧えつらん
  11. ^ Frank, E.H. (1990). “The SBus: Sun's high performance system bus for RISC workstations”. Digest of Papers Compcon Spring '90. Thirty-Fifth IEEE Computer Society International Conference on Intellectual Leverage. pp. 189–194. doi:10.1109/CMPCON.1990.63672. ISBN 0-8186-2028-5 
  12. ^ Donald Charles Winsor (1989). Bus and Cache Memory Organization for Multiprocessors. University of Michigan Electrical Engineering department. http://www.eecs.umich.edu/~tnm/trev_test/dissertationsPDF/donw.pdf  Ph.D. dissertation.
  13. ^ Todd Langley and Rob Kowalczyk (January 2009). “Introduction to Intel Architecture: The Basics”. White paper. Intel Corporation. June 7, 2011てんオリジナルよりアーカイブ。May 25, 2011閲覧えつらん
  14. ^ Rudolf Usselmann (January 9, 2001). “OpenCores SoC Bus Review”. May 30, 2011閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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