Gill Sansの大文字体はトラヤヌスの記念柱をはじめとするトラヤヌス帝の記念碑にみられるような古代ローマの碑文体や、Caslon、Baskervilleといった書体をモデルにしている。大文字のMの形は正方形を基にしており、真ん中の線が正方形の中央で交わっている。
Gill Sansファミリーは14のスタイルから成っている。Gill SansがFuturaのようなジオメトリックサンセリフよりも機械的な感じがしないのは、その造形が伝統的なローマン体に由来するからである。Akzidenz-GroteskやUniversのような標準的なサンセリフとは違い、小文字体はカロリング小文字体をモデルにしている。カロリング体の影響は二階建てになった小文字のaやgに顕著である。小文字のtの形や縦棒の終端が斜めになっている所はオールドスタイルセリフ体によく似ている。イタリック体小文字のaはヒューマニスト式に一階建てになっている。イタリックのeは非常に筆記体風で、小文字のpはCaslonやBaskervilleのイタリックを思わせる筆記体のテールを残している。Gill Sansはその後暫くSyntaxやFF Scala Sansなどのヒューマニストサンセリフのモデルとなった。