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ISO 14000 - Wikipedia

ISO 14000(アイエスオーいちまんよんせん、アイソいちまんよんせん、イソいちまんよんせん)は、国際こくさい標準ひょうじゅん機構きこう (ISO) が発行はっこうした環境かんきょうマネジメントシステムかんする国際こくさい規格きかく (IS) ぐん総称そうしょうISO 14000および環境かんきょうISO称呼しょうこするときは、しゅとして「要求ようきゅう事項じこう」をさだめたISO 14001をす。

ISO 14000シリーズは、1992ねん地球ちきゅうサミットをきっかけとして規格きかく策定さくていはじまり、1996ねんから発行はっこう開始かいしされた。(より正確せいかくには、地球ちきゅうサミットまえ創設そうせつされた持続じぞく可能かのう開発かいはつのための経済けいざいじん会議かいぎ (BCSD) が国際こくさい標準ひょうじゅん機構きこうたいして、環境かんきょうについての国際こくさい規格きかく作成さくせいむよう要請ようせいおこなった。)

概要がいよう

編集へんしゅう

ISO 14000ファミリーが支援しえんする環境かんきょうマネジメントシステム (EMS: Environmental Management Systems) がたさなければならない事項じこうさだめた規格きかくがISO 14001である。

組織そしき企業きぎょう各種かくしゅ団体だんたいなど)の活動かつどう製品せいひんおよびサービスによってしょうじる環境かんきょうへの影響えいきょう持続じぞくてき改善かいぜんするためのシステムを構築こうちくし、そのシステムを継続けいぞくてき改善かいぜんしていくPDCAサイクル構築こうちくすることが要求ようきゅうされている。このなかで、有害ゆうがい環境かんきょう影響えいきょう環境かんきょうへの負荷ふか)の低減ていげん有益ゆうえき環境かんきょう影響えいきょう増大ぞうだい組織そしき経営けいえい改善かいぜんおよび環境かんきょう経営けいえい期待きたいされている。ただし、環境かんきょうパフォーマンスの評価ひょうかかんする具体ぐたいてき取決とりきめはなく、組織そしき自主じしゅてきにできる範囲はんい評価ひょうかおこなうことになる。

ISO 14001は、1996ねん9月に制定せいていされ、その2004ねん11月に規定きてい明確めいかくISO 9001との両立りょうりつせいという原則げんそくによって規格きかく改定かいていおこなわれた。 ISO 14001は環境かんきょうマネジメントシステムがたすべき必須ひっす事項じこうさだめている。関連かんれん規格きかくであるISO 14004は、ISO 14001の適用てきようにあたって組織そしきがいかに環境かんきょうマネジメントシステムを構築こうちくするか広義こうぎ詳細しょうさい事項じこうしめされた手引てびきであり、拘束こうそくりょくはない。日本にっぽん国内こくないではこれらに対応たいおうして、それぞれ日本工業規格にほんこうぎょうきかく JIS Q 14001, JIS Q 14004が制定せいていされ、規格きかくぐんちゅうほか規格きかくもJISおこなわれている。

近年きんねんでは、環境かんきょうマネジメントシステムの適用てきよう範囲はんい拡大かくだいられ、組織そしき社会しゃかいてき責任せきにん (SR: Social Responsibility) を評価ひょうかするさい基準きじゅん利用りようされることがあり、社会しゃかいてき責任せきにん投資とうし (SRI: Socially Responsible Investment) にも関連かんれんしている[1]。また、組織そしき内外ないがい双方向そうほうこうコミュニケーションによる環境かんきょうコミュニケーションが促進そくしんされ、その情報じょうほう重要じゅうよう企業きぎょう情報じょうほうとして位置いちづけられる動向どうこうがある。

審査しんさ登録とうろく制度せいど

編集へんしゅう

組織そしきがISO 14001にもとづく環境かんきょうマネジメントシステムを構築こうちくしたことを社会しゃかいつたえるには、自己じこ宣言せんげんと、外部がいぶ機関きかんによる評価ひょうか利用りようできる。外部がいぶ機関きかんである審査しんさ登録とうろく機関きかん第三者だいさんしゃとして審査しんさ登録とうろく制度せいどもとづき組織そしき審査しんさし、適合てきごうしている場合ばあいは、おおやけ証明しょうめいされ、登録とうろく証書しょうしょ発行はっこうされる。これがISO 14001の認証にんしょう審査しんさ登録とうろく)である。有効ゆうこう期間きかん審査しんさ登録とうろく機関きかんによってことなるが、おおむね登録とうろくから3年間ねんかんである。

用語ようご認証にんしょう」と「認定にんてい
マネジメントシステム規格きかく適合てきごうしていることを審査しんさ登録とうろくする場合ばあいには、「審査しんさ登録とうろく」または「認証にんしょう」と用語ようご使用しようし、審査しんさ登録とうろく機関きかん審査しんさいん評価ひょうか登録とうろく機関きかん審査しんさいん研修けんしゅう機関きかんたいしてもちいる「認定にんてい」という用語ようごとは区別くべつする。

国際こくさい標準ひょうじゅん機構きこううち政策せいさく開発かいはつ委員いいんかいのひとつである適合てきごうせい評価ひょうか委員いいんかい (CASCO) が作成さくせいした規格きかく (ISO/IEC 17011) に適合てきごうした「認定にんてい機関きかん」が、適合てきごうせい評価ひょうか機関きかん、すなわち「審査しんさ登録とうろく機関きかん認証にんしょう機関きかん)」、審査しんさいん資格しかくあたえる「審査しんさいん評価ひょうか登録とうろく機関きかん」、審査しんさいんになるための研修けんしゅうおこなう「審査しんさいん研修けんしゅう機関きかん」の審査しんさ認定にんてい登録とうろく統括とうかつする。なお、認定にんてい機関きかん認定にんてい機関きかん相互そうご承認しょうにんすることによって適合てきごうせいたもっている。日本にっぽんでの唯一ゆいいつ認定にんてい機関きかん日本にっぽん適合てきごうせい認定にんてい協会きょうかい (JAB) であり、海外かいがい認定にんてい機関きかん相互そうご承認しょうにんしている[2][3]

日本にっぽんでは、品質ひんしつ管理かんり国際こくさい規格きかくである初期しょき[いつ?]ISO 9000シリーズを不要ふようとした国際こくさいてき背景はいけいもあり、環境かんきょう問題もんだいかんして積極せっきょくてき取組とりくみがおこなわれ、ISO 14001を認証にんしょう取得しゅとくした組織そしきすうぐんいて世界せかい最多さいたこくである[4]。したがって、日本にっぽん審査しんさ登録とうろく機関きかん市場いちばとして、海外かいがい認定にんてい機関きかんから認定にんていされた審査しんさ登録とうろく機関きかん認証にんしょう機関きかん)による進出しんしゅつおおく、国際こくさい通商つうしょう要求ようきゅう事項じこう翻訳ほんやく解釈かいしゃく各国かっこく法的ほうてき要求ようきゅう事項じこうなどのメリットとデメリットが数多かずおおげられる。組織そしき審査しんさ登録とうろくまたは認証にんしょう必要ひつようとする場合ばあいは、対象たいしょうとなる項目こうもく範囲はんい登録とうろく範囲はんいめ、審査しんさ登録とうろく機関きかん選択せんたくをする。

中小ちゅうしょう企業きぎょうであっても、大手おおて企業きぎょうとのしょう取引とりひきにおいて認証にんしょう取得しゅとく要求ようきゅうされ、取得しゅとくすることがめずらしくなかった。企業きぎょう以外いがいでも、地方自治体ちほうじちたいなど企業きぎょう以外いがい組織そしき認証にんしょうけるれいおおくなり、イメージアップを企図きとしたNPO学校がっこう法人ほうじん宗教しゅうきょう法人ほうじんなどが取得しゅとくするれいられる。ただし、認証にんしょう取得しゅとくしていることがかならずしも適切てきせつ環境かんきょうマネジメントシステムを構築こうちくしていることを意味いみするとはかぎらないので、取引とりひきさきなどの利害りがい関係かんけいしゃ評価ひょうか重要じゅうようされる。

形骸けいがいふせ目的もくてきなどから、この規格きかく認証にんしょう毎年まいとし更新こうしんけなければならない制度せいどになっているので、認証にんしょう維持いじつづけるためにはつぎのようなコストが毎年まいとし発生はっせいする。

  • 更新こうしん審査しんさ更新こうしん手数料てすうりょうなどの事務じむ経費けいひ
  • 従業じゅうぎょういん職員しょくいんなどへの教育きょういく
  • 関連かんれんする設備せつびへの継続けいぞくてき補修ほしゅう投資とうし

ISO 14001の内容ないよう

編集へんしゅう

ISO 14000シリーズのなかでももっと基本きほんとなるISO 14001(環境かんきょうマネジメントシステム ― 要求ようきゅう事項じこう)のおも内容ないようは、つぎのとおり。

  • 4.1 一般いっぱん要求ようきゅう事項じこう
  • 4.2 環境かんきょう方針ほうしん
  • 4.3 計画けいかく
    • 4.3.1 環境かんきょう側面そくめん
    • 4.3.2 法的ほうてきおよびその要求ようきゅう事項じこう
    • 4.3.3 目的もくてき目標もくひょうおよ実施じっし計画けいかく
  • 4.4 実施じっしおよ運用うんよう
    • 4.4.1 資源しげん役割やくわり責任せきにんおよ権限けんげん
    • 4.4.2 力量りきりょう教育きょういく訓練くんれんおよ自覚じかく
    • 4.4.3 コミュニケーション
    • 4.4.4 文書ぶんしょるい
    • 4.4.5 文書ぶんしょ管理かんり
    • 4.4.6 運用うんよう管理かんり
    • 4.4.7 緊急きんきゅう事態じたいへの準備じゅんびおよ対応たいおう
  • 4.5 点検てんけん
    • 4.5.1 監視かんしおよ測定そくてい
    • 4.5.2 順守じゅんしゅ評価ひょうか
    • 4.5.3 不適合ふてきごうならびに是正ぜせい処置しょちおよ予防よぼう処置しょち
    • 4.5.4 記録きろく管理かんり
    • 4.5.5 内部ないぶ監査かんさ
  • 4.6 マネジメントレビュー

ISO 14000ファミリー

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ISO 14000規格きかくぐんには、つぎのものがある。

  • ISO 14001:2015 環境かんきょうマネジメントシステム(EMS)― 要求ようきゅう事項じこうおよ利用りよう手引てび
  • ISO 14004:2016 環境かんきょうマネジメントシステム ― 実施じっし一般いっぱん指針ししん
  • ISO 14015 環境かんきょうマネジメント ― 用地ようちおよ組織そしき環境かんきょうアセスメント (EASC) …… 土壌どじょう汚染おせんかんする規格きかく
  • ISO 14020シリーズ 環境かんきょうラベル (EL)
  • ISO 14030シリーズ 環境かんきょうパフォーマンス評価ひょうか (EPE)
  • ISO 14040シリーズ ライフサイクルアセスメント (LCA)
  • ISO 14050 環境かんきょうマネジメント ― 用語ようご
  • ISO 14051 環境かんきょうマネジメント ― マテリアルフローコスト会計かいけい 一般いっぱん枠組わくぐ
  • ISO/TR 14062 環境かんきょうマネジメント ― 環境かんきょう適合てきごう設計せっけい …… 技術ぎじゅつ報告ほうこくしょ(Technical Report)として発行はっこう、JIS の TR Q 0007 に対応たいおうする。
  • ISO 14063 環境かんきょうマネジメント ― 環境かんきょうコミュニケーション[5]
  • ISO 14064-1 温室おんしつ効果こうかガスだい1組織そしきにおける温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつりょうおよ吸収きゅうしゅうりょう定量ていりょうおよ報告ほうこくのための仕様しようならびに手引てびき
  • ISO 14064-2 温室おんしつ効果こうかガス ― だい2:プロジェクトにおける温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつりょう削減さくげんまた吸収きゅうしゅうりょう増大ぞうだい定量ていりょう監視かんしおよ報告ほうこくのための仕様しようならびに手引てびき
  • ISO 14064-3 温室おんしつ効果こうかガス ― だい3温室おんしつ効果こうかガスにかんする主張しゅちょう有効ゆうこう確認かくにんおよ検証けんしょうのための手引てびき
  • ISO 14065 温室おんしつ効果こうかガス ― 温室おんしつ効果こうかガスにかんする認定にんていまたはその承認しょうにんにおいて使用しようされる有効ゆうこう確認かくにんおよ検証けんしょうおこな機関きかんたいする要求ようきゅう事項じこう
  • ISO 14066 温室おんしつ効果こうかガス ― 温室おんしつ効果こうかガスにかんする主張しゅちょう有効ゆうこう確認かくにんおよ検証けんしょうおこなもの力量りきりょうかんする要求ようきゅう事項じこう
  • ISO Guide64 製品せいひん規格きかく環境かんきょう側面そくめん導入どうにゅうするための指針ししん …… JIS では JIS Q 0064 として制定せいてい
  • ISO 19011 品質ひんしつおよ環境かんきょうマネジメントシステム監査かんさのための指針ししん

ISO 14015(用地ようちおよ組織そしき環境かんきょうアセスメント)の目次もくじつぎのとおり。

  • 0 序文じょぶん
  • 1 適用てきよう範囲はんい
  • 2 用語ようごおよ定義ていぎ
    • 2.1 評価ひょうかがわ
    • 2.2 評価ひょうかしゃ
    • 2.3 事業じぎょうへの影響えいきょう
    • 2.4 依頼いらいしゃ
    • 2.7 用地ようちおよ組織そしき環境かんきょうアセスメント (EASO)
    • 2.9 環境かんきょう事項じこう
    • 2.11 実地じっち探査たんさ
    • 2.13 評価ひょうかがわ代表だいひょうしゃ
    • 2.14 用地ようち
    • 2.15 妥当だとうせい確認かくにん
  • 3 役割やくわりおよ責任せきにん
    • 3.1 依頼いらいしゃ
    • 3.2 評価ひょうかがわ代表だいひょうしゃ
    • 3.3 評価ひょうかしゃ
  • 4 アセスメント手順てじゅん
    • 4.1 一般いっぱん
    • 4.2 計画けいかく作成さくせい
      • 4.2.1 一般いっぱん
      • 4.2.2 アセスメントの目的もくてき
      • 4.2.3 アセスメントの範囲はんい
      • 4.2.4 アセスメント基準きじゅん
      • 4.2.5 アセスメント計画けいかく
    • 4.3 情報じょうほう収集しゅうしゅうおよ妥当だとうせい確認かくにん
      • 4.3.1 一般いっぱん
      • 4.3.2 既存きそん文書ぶんしょおよ記録きろく検査けんさ
      • 4.3.3 活動かつどうおよ物理ぶつりてき状態じょうたい観察かんさつ
      • 4.3.4 面接めんせつ調査ちょうさ
  • 5 報告ほうこく

評価ひょうかくわしい内容ないようは、土壌どじょう第三者だいさんしゃ評価ひょうか参照さんしょうのこと。

脚注きゃくちゅう出典しゅってん

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  1. ^ 日本にっぽん規格きかく協会きょうかい (JSA) ISO 26000 社会しゃかいてき責任せきにん
  2. ^ 日本にっぽん工業こうぎょう標準ひょうじゅん調査ちょうさかい (JISC) 審査しんさ登録とうろくのしくみ
  3. ^ 財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん適合てきごうせい認定にんてい協会きょうかい (JAB) マネジメントシステム審査しんさ登録とうろく制度せいどほん協会きょうかい事業じぎょう
  4. ^ 日本にっぽん工業こうぎょう標準ひょうじゅん調査ちょうさかい (JISC) ISO 14001とは
  5. ^ 環境かんきょうコミュニケーション」の定義ていぎ環境省かんきょうしょう環境かんきょう白書はくしょ』「だい1せつ 1 社会しゃかい環境かんきょうコミュニケーションのかかわり」 より)
    • 環境省かんきょうしょうは、環境かんきょう白書はくしょで「持続じぞく可能かのう社会しゃかい構築こうちくけて、個人こじん行政ぎょうせい企業きぎょう民間みんかん営利えいり団体だんたいといったかく主体しゅたいあいだのパートナーシップを確立かくりつするために、環境かんきょう負荷ふか環境かんきょう保全ほぜん活動かつどうとうかんする情報じょうほう一方いっぽうてき提供ていきょうするだけでなく、利害りがい関係かんけいしゃ意見いけんき、討議とうぎすることにより、たがいの理解りかい納得なっとくふかめていくこと」と意味付いみづけた。
    • 日本にっぽん国外こくがいにおいては、「環境かんきょうめんからの持続じぞく可能かのうせいけた、政策せいさく立案りつあん市民しみん参加さんかおよび事業じぎょう実施じっし効果こうかてき推進すいしんするために、計画けいかくてきかつ戦略せんりゃくてきもちいられるコミュニケーションの手法しゅほうまたはメディアの活用かつよう」と定義ていぎしているれいがある。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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