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MULTI2 - Wikipedia

MULTI2(マルチツー)とは、1988ねん日立製作所ひたちせいさくしょにより開発かいはつされたブロック暗号あんごうである。日本にっぽん衛星えいせい地上ちじょうデジタル放送ほうそう標準ひょうじゅん暗号あんごうとして採用さいようされている。

MULTI2
一般いっぱん
設計せっけいしゃ 日立製作所ひたちせいさくしょ
初版しょはん発行はっこう 1988
暗号あんごう詳細しょうさい
かぎちょう 64 bits
ブロックちょう 64 bits
構造こうぞう Feistel構造こうぞう
ラウンドすう 可変かへん

概要がいよう

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MULTI2は、ブロックちょう64ビット、かぎちょう64ビットで、4種類しゅるいあるラウンド関数かんすうかえしによりスクランブルするせきがたブロック暗号あんごうである。ラウンドすう可変かへんである。

ISO/IEC 9979にもとづく暗号あんごうアルゴリズム登録とうろく制度せいどアルゴリズム公開こうかいして登録とうろくされている(登録とうろく番号ばんごう9、1994ねん)。MULTI2 はアルゴリズムが完全かんぜん公開こうかいされているが、これ以外いがいのMULTIX (MULTI3やMULTI4などが存在そんざいするとされる)はアルゴリズムが秘匿ひとくされている。

MULTI2は、日本にっぽんデジタル放送ほうそうよう限定げんてい受信じゅしん方式ほうしきB-CAS)の標準ひょうじゅん暗号あんごうとして採用さいようされている。衛星えいせいデジタル放送ほうそう東経とうけい110CSデジタル放送ほうそう地上ちじょうデジタルテレビジョン放送ほうそうなどの放送ほうそうは、MULTI2で暗号あんごうされてチューナにて受信じゅしん復号ふくごうされる。ブロックちょうが64ビットとすくないため、次世代じせだい放送ほうそうサービスでは、AESCamelliaといった128ビットブロック暗号あんごう採用さいよう検討けんとうされている[1]

構造こうぞう

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入力にゅうりょく64ビットを左右さゆう32ビットに分割ぶんかつしたのち、ラウンド関数かんすう Πぱい1~Πぱい4 のかえしでスクランブルをおこなう。Πぱい1とΠぱい3はみぎ32ビットを変換へんかんし、Πぱい2とΠぱい4はひだり32ビットを変換へんかんするFeistel構造こうぞう類似るいじした構造こうぞうになっている。

かぎスケジューラでは、かぎ(=データかぎ)64ビットと、システム固定こてい(=システムかぎ)256ビットを使用しようして拡大かくだいかぎ256ビットを生成せいせいする。メインのスクランブラとおなじラウンド関数かんすう Πぱい1~Πぱい4 を使用しようして、データかぎをシステムかぎで "暗号あんごう" したときのかくラウンドの出力しゅつりょく拡大かくだいかぎとする。1ラウンドごとに32ビットの出力しゅつりょくがあり、8ラウンドかえして256ビットをる。

ラウンド関数かんすうは、32ビットCPUでの実装じっそう効率こうりつ意識いしきして、S-BOXやビット単位たんい転置てんち使用しようせずに、論理ろんり排他はいたてき論理ろんり加算かさん減算げんざん、ビットシフトのみで構成こうせいされている。

性能せいのう

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MULTI2はラウンドすう可変かへんであり、スループットはラウンドすうによって変化へんかする。

1989ねん開発かいはつしゃによる報告ほうこくによると、ワークステーション2050/32(MC68020,20MHz)で、ソフトウェア実装じっそうC言語げんご)すると278Kbpsのスループットがある。 ISO/IEC 9979のレジスト文書ぶんしょでは、ラウンドすう32のとき、1MIPSのマシンでやく1Mbps主張しゅちょうされている。

安全あんぜんせい

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12だん以下いかでは、選択せんたく平文へいぶん攻撃こうげきにより現実げんじつてき時間じかん攻撃こうげき可能かのうである。 32だん以上いじょうDES同等どうとうとされる。

標準ひょうじゅん

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MULTI2は、1996ねん開始かいしされたCSデジタル放送ほうそう使用しようされるスクランブルの標準ひょうじゅん暗号あんごうとして採用さいようされた。 デジタル放送ほうそうのトランスポート・ストリーム(TSパケットのペイロード部分ぶぶん)の暗号あんごう使用しようされている。その、BSデジタル放送ほうそう地上ちじょうデジタル放送ほうそうでの同様どうよう採用さいようされた。(stub)

デジタル放送ほうそうのコンテンツ権利けんり保護ほご方式ほうしきとして、ストリームがたのTYPE1コンテンツにたいするアクセス制御せいぎょ方式ほうしきには互換ごかんせい重視じゅうししてMULTI2を使用しようし、ファイルがた蓄積ちくせきがた)のTYPE2コンテンツには用途ようとおうじて堅牢けんろうなアルゴリズムを選択せんたく可能かのうとすることが検討けんとうされている。

  • 1988ねん 日立製作所ひたちせいさくしょにて開発かいはつ(4がつ28にち特許とっきょ出願しゅつがん
  • 1989ねん 情報処理じょうほうしょり学会がっかい DPS研究けんきゅうかい発表はっぴょう
  • 1994ねん ISO/IEC 9979 暗号あんごうアルゴリズム登録とうろく登録とうろく番号ばんごう 9 )
  • 1995ねん CSデジタル衛星えいせい放送ほうそうようのスクランブルの標準ひょうじゅん暗号あんごう採用さいよう
  • 1998ねん MULTI2にかんする出願しゅつがん特許とっきょ登録とうろくされる(だい2760799ごう
  • 2006ねん ISO/IEC 9979 暗号あんごうアルゴリズム登録とうろく制度せいど廃止はいしされる
  • 2008ねん 特許とっきょ期限きげんれる

脚注きゃくちゅう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 特許とっきょ公報こうほう, だい2760799ごう, 名称めいしょう:暗号あんごう方式ほうしき, 発明はつめいしゃ:宝木たからぎ和夫かずお, 中川なかがわさとしおっと, 佐々木ささき良一りょういち, 出願しゅつがん:昭和しょうわ63ねん4がつ28にち.
  • 宝木たからぎ和夫かずお, 佐々木ささき良一りょういち, 中川なかがわさとしおっと, "マルチメディア高速こうそく暗号あんごう方式ほうしき Multi - Media Encryption Alogorithm", 情報処理じょうほうしょり学会がっかい, マルチメディア通信つうしん分散ぶんさん処理しょり, Vol.1989 No.11, pp.1-8, 1989-1-19.
  • ALGORITHM REGISTER ENRTY, ISO/IEC 9979/0009 - ウェイバックマシン(2011ねん7がつ17にちアーカイブぶん), 登録とうろく:1994-11-14.
  • ISO/IEC 9979 Register of Cryptographic Algorithms - ウェイバックマシン(2011ねん8がつ7にちアーカイブぶん), 登録とうろく制度せいど廃止はいし:2006-02-09
  • 松井まついたかし, 山岸やまぎしあつしひろし, "秘密ひみつかぎ暗号あんごう方式ほうしきかくりつてき解読かいどくほうかんする考察こうさつ", 電子でんし情報じょうほう通信つうしん学会がっかい論文ろんぶん A, Vol.J77-A No.3, pp.476-484, 1994.
  • 電波でんぱ産業さんぎょうかい, ARIB STD-B25, "デジタル放送ほうそうにおけるアクセス制御せいぎょ方式ほうしき", 平成へいせい11ねん10がつ26にち策定さくてい, 1999.
  • 電波でんぱ産業さんぎょうかい, ARIB TR-B15, "BS/広帯域こうたいいきCSデジタル放送ほうそう運用うんよう規定きてい", 平成へいせい11ねん10がつ26にち制定せいてい, 1999.
  • 電波でんぱ産業さんぎょうかい, ARIB TR-B14, "地上ちじょうデジタルテレビジョン放送ほうそう運用うんよう規定きてい", 平成へいせい14ねん1がつ24にち制定せいてい, 2002.

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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