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Morris worm - Wikipedia

Morris worm(モリスワーム)とは、インターネットうえ拡散かくさんした初期しょきワームの1つ。たんインターネットワームばれることもある。

すうせんだいマシンサービス不能ふのうみ、報道ほうどうによって注目ちゅうもくされた世界せかいはつのワームとなされている。当時とうじコーネル大学だいがく学生がくせいであったロバート・T・モリスによってつくられ、マサチュまさちゅセッツ工科大学せっつこうかだいがく(MIT)から1988ねん11月2にちはなたれた。MITからはなたれたのは、コーネル大学だいがく起源きげんであることをかくすためであった。ちなみにロバート・T・モリスは現在げんざい[いつ?] MIT のじゅん教授きょうじゅである。

アーキテクチャ

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作成さくせいしゃによれば、モリスワームは損害そんがいあたえる意図いとかれたのではなく、インターネットのおおきさをはか目的もくてきかれたとされている。しかし、意図いとしていなかったコード性質せいしつから危険きけんせいすこととなった。それは、1つのコンピュータにふくすうかいわたって侵入しんにゅうし、それぞれの侵入しんにゅう起動きどうされたプロセスがマシンに負荷ふかあたえ、利用りよう不可能ふかのう状態じょうたいにしてしまったことである。モリスワームはUNIXsendmailFingerプロトコル、rsh/rexecなどの既知きち脆弱ぜいじゃくせいや、推測すいそくしやすいパスワードなどを利用りようして動作どうさする。ワーム本体ほんたい侵入しんにゅうできるのは、BSD 4.x の動作どうさするDECVAXサン・マイクロシステムズSun-3 だけであった。C言語げんごかれた移植いしょくせいたかい "grappling hook" とばれるソフトウェアコンポーネントがワーム本体ほんたいをそのマシンに侵入しんにゅうさせるために使つかわれ、grappling hook 自体じたいは VAX と Sun 3 以外いがいでも動作どうさしたため、ワーム本体ほんたいダウンロードする操作そうさおこなわれ、ネットワークディスク圧迫あっぱくした。

拡散かくさん機構きこう致命ちめいてきあやまりがあったため、がいのない知的ちてき実験じっけんのつもりが、悪意あくいちたDoS攻撃こうげきのようなものに変貌へんぼうしてしまった。モリスワームはあらたなコンピュータをつけたとき、そこにすで自分じぶんコピー動作どうさしているかをわせて侵入しんにゅうするかどうかをめるようになっていた。しかし単純たんじゅんにこれをおこなうと、侵入しんにゅうされないようにするのは容易よういである。ワームの問合といあわせにたいして "yes" とこたえるプロセスをはしらせておけばよい。そうすれば、ワームはそのマシンには侵入しんにゅうしない。これにたいする対策たいさくは、マイケル・ラビンのモットーである "Randomization" からヒントをたもので、そのような可能かのうせい対処たいしょするため、モリスは応答おうとうが "yes" だった場合ばあいでも7かいのうちいちかいはワーム本体ほんたいをコピーするようにした[1]。この仕様しよう異常いじょう増殖ぞうしょくりつしてしまった。一部いちぶのコンピュータにはふくすうかい感染かんせんられ、ワームは急速きゅうそくひろがっていった。ラビンはこの誤算ごさんみみにしたとき、「最初さいしょシミュレータでそれをためすべきだった」と指摘してきした。

影響えいきょう

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やく6,000だいのUNIXマシンがモリスワームに侵入しんにゅうされたとわれている。ポール・グレアムはこれについてつぎのように主張しゅちょうしている[2]

わたしはこの統計とうけいりょうがでっちげられたにいた。だれかがインターネットにはやく6まんだいのコンピュータが接続せつぞくされているとい、このワームはそのうち10%に侵入しんにゅうしただろうということになった。

アメリカ政府せいふ説明せつめい責任せきにんきょく(GAO)は損害そんがいがくを1000まんドルから1おくドルと見積みつもった。

Gene Spafford は、この緊急きんきゅう事態じたい連絡れんらくようとして Phage mailing list作成さくせいした。

ロバート・T・モリスは、1986ねん成立せいりつしたばかりのコンピュータ詐欺さぎおよび不正ふせい使用しよう取締とりしまりほうはじめて告発こくはつされた人物じんぶつとなった。有罪ゆうざい宣告せんこくされた(3年間ねんかん保護ほご観察かんさつ、400あいだ労働ろうどう奉仕ほうし、10,050ドルの罰金ばっきん)。

モリスワームは、当時とうじのインターネットにあたえた損害そんがい(ダウンタイム)のおおきさとインターネットのセキュリティ問題もんだいあきらかにしたというてんで "Great Worm" とばれることもある。"Great Worm" の由来ゆらいは、J・R・R・トールキン作品さくひん登場とうじょうするドラゴン Scatha と Glaurung である[3]

この事件じけんCERT/CCをはじめとするCSIRT各国かっこくまれ、インターネットセキュリティの研究けんきゅう活発かっぱつするきっかけとなった。

モリスはこれ以降いこう一時期いちじき名前なまえがネットにることをけたため、Yahooによる買収ばいしゅう直前ちょくぜんのViawebのスナップショットではJohn McArtyemという名前なまえっている。そのあまりにかけなくなり、いま普通ふつう名前なまえしている[4]

関連かんれん項目こうもく

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出典しゅってん脚注きゃくちゅう

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外部がいぶリンク

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  • Archive of worm material, incl. papers and code
  • An analysis of the worm by Eugene Spafford
  • An analysis of the worm by Mark Eichin and Jon Rochlis[リンク]
  • "The Morris Internet Worm" by Charles Schmidt and Tom Darby
  • RFC 1135 - "Helminthiasis of the Internet" - ワームにかんする分析ぶんせき
  • "A Tour of the Worm"[リンク], Don Seeley, Department of Computer Science, University of Utah (as posted by Francis Litterio)
  • The Morris Worm[リンク]
  • A Report On The Internet Worm, by Bob Page, University of Lowell