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NGC 6302 - Wikipedia

NGC 6302

さそり惑星わくせいじょう星雲せいうん

NGC 6302Caldwell 69)は、さそりにある双極そうきょくせい惑星わくせいじょう星雲せいうんである。そのかたちからバタフライ星雲せいうんともばれる[9]星雲せいうんちゅう構造こうぞうは、これまで惑星わくせいじょう星雲せいうん観測かんそくされたなかもっと複雑ふくざつなものの1つである。スペクトルにより、中央ちゅうおう恒星こうせい表面ひょうめん温度おんどは20まんKをえ、この銀河ぎんがなかもっとあつ恒星こうせいの1つであることがしめされており、形成けいせいもととなった恒星こうせい非常ひじょうおおきいものであったことが示唆しさされている(PG1159がたほし参照さんしょう)。

NGC 6302
星座せいざ さそり
かけの等級とうきゅう (mv) 7.1B[1]
直径ちょっけい >3′.0[2]
位置いち
もと:J2000.0
あかけい (RA, αあるふぁ)  17h 13m 44.211s[1]
あかぬき (Dec, δでるた) −37° 06′ 15.94″[1]
距離きょり 3.4 ± 0.5 × 103光年こうねん(1.04 ± 0.16キロパーセク)[2]
NGC 6302の位置
NGC 6302の位置いち
物理ぶつりてき性質せいしつ
半径はんけい >1.5 ± 0.2光年こうねん[3]
絶対ぜったい等級とうきゅう (H) -3.0B +0.4
−0.3
[4]
カタログでの名称めいしょう
Bipolar Nebula[1]、Bug Nebula[1]

PK 349+01 1[1]、Butterfly Nebula[5][6]、Sharpless 6、RCW 124、Gum 60、Caldwell 69[7]
バグ星雲せいうん[8]

Template (ノート 解説かいせつ■Project

中央ちゅうおう恒星こうせい白色はくしょく矮星で、改良かいりょうされたハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうこう視野しやカメラ3使つかって、近年きんねんになって発見はっけんされた(Szyszka et al. 2009)。恒星こうせい現在げんざい質量しつりょうは、やく0.64太陽たいよう質量しつりょうであり、周囲しゅういにガスとちりでできた非常ひじょう密度みつど円盤えんばんっている。この密度みつどたか円盤えんばんにより、恒星こうせいからなが物質ぶっしつは、砂時計すなどけいのような双極そうきょく構造こうぞう形成けいせいすることになる(Gurzadyan 1997)。この双極そうきょく構造こうぞうは、様々さまざま興味深きょうみぶか構造こうぞうしめす。

観測かんそく歴史れきし

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この天体てんたいニュージェネラルカタログふくまれているため、すくなくとも1888ねん以前いぜんからられていたことになる[10]。NGC 6302にかんするもっと初期しょき研究けんきゅうは、1907ねんにこの天体てんたいについて記述きじゅつしたエドワード・エマーソン・バーナードのものである(Meaburn et al. 2005)。

その、この天体てんたいおおくの研究けんきゅう対象たいしょうとなり、様々さまざま興味深きょうみぶか性質せいしつしめされた。近年きんねん研究けんきゅう興味きょうみは、星雲せいうん励起れいき機構きこうから、大量たいりょうちり成分せいぶん性質せいしつうつってきた。

2009ねん9がつにハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう最後さいごのサービスミッションを開始かいししてからはじめての撮影さつえい対象たいしょうの1つとなった[11]

性質せいしつ

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NGC 6302は、2つのローブを双極そうきょく構造こうぞう近似きんじされる複雑ふくざつ形態けいたいつが、この2つのローブは、ぜん段階だんかいの1質量しつりょう喪失そうしつ由来ゆらいするという証拠しょうこがある。星雲せいうんのくびれ部分ぶぶんくらせんは、すべての波長はちょう中央ちゅうおう恒星こうせいかくしている(Matsuura et al. 2005)。観測かんそくにより、メンゼル3られるような直交ちょっこうするスカートじょう構造こうぞう存在そんざいすることがしめされた(Meaburn et al. 2005)。星雲せいうん全体ぜんたいは、12.8°かたむいている。

NGC 6302の北西ほくせいのローブは、中央ちゅうおう恒星こうせいから3′.0の範囲はんいび、やく1900ねんまえ爆発ばくはつにより形成けいせいされたと推定すいていされている。この星雲せいうんには、そのかべ正確せいかくにハッブルがたのアウトフローにしたがった円形えんけい部分ぶぶんつ(ここでは、アウトフローの速度そくどは、中央ちゅうおうみなもとからの距離きょり比例ひれいする)。中央ちゅうおう恒星こうせいからのかく距離きょり1′.71の地点ちてんでは、このローブのフローの速度そくどは、263km/s1と測定そくていされる。ローブのさい外縁がいえんでは、そときの速度そくどは600km/sをえる。ローブの西端せいたんでは、この領域りょういきでアウトフローを変質へんしつさせるガスのしょうたま衝突しょうとつ痕跡こんせきられる(Meaburn et al. 2005)。

中央ちゅうおう恒星こうせい

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既知きち恒星こうせいなかもっと温度おんどたかいものの1つであるこの星雲せいうん中央ちゅうおう恒星こうせいは、そのたか温度おんどによりおも紫外線しがいせん放射ほうしゃしており、またちりのトーラスがとく紫外線しがいせんいきだい部分ぶぶん放射ほうしゃ遮蔽しゃへいしていたため、さらにあかるい背景はいけい放射ほうしゃのために、かつては検出けんしゅつされなかった。ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによる最初さいしょ撮影さつえいではつからなかったが(APoD 2004)、改良かいりょうされて解像度かいぞうど向上こうじょうしたこう視野しやカメラ3によって、くら恒星こうせい存在そんざいあきらかとなった(Szyszka et al. 2009)。温度おんどやく20まんK、質量しつりょうやく0.64太陽たいよう質量しつりょうであることがしめされた。恒星こうせいもと質量しつりょうはもっとおおきかったが、だい部分ぶぶん惑星わくせいじょう星雲せいうん形成けいせいされたさい放出ほうしゅつされた。恒星こうせい温度おんど光度こうどは、この恒星こうせいすでかく融合ゆうごう停止ていししており、1ねんに1%ずつくらくなりながら白色はくしょく矮星になりつつある途上とじょうにあることをしめしている。

ちり化学かがく

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星雲せいうん中央ちゅうおう目立めだくらせんは、ケイ酸けいさんしお結晶けっしょうみず結晶けっしょう水晶すいしょうふく合体がったいから構成こうせいされるという特異とくい化学かがく組成そせい証拠しょうこられており、また太陽系たいようけいがいはじめての炭化たんか水素すいそ存在そんざい示唆しさされている(Kemper et al. 2002)。みずのない環境かんきょうでは炭化たんか水素すいそ形成けいせいむずかしいことから、この検出けんしゅつについてはいま議論ぎろんされており、結論けつろんていない(Ferrarotti & Gail 2005)。

NGC 6302で検出けんしゅつされるちりもっと興味深きょうみぶか特徴とくちょうの1つは、ケイ酸けいさんしおとう酸素さんそ豊富ほうふ物質ぶっしつたまき芳香ほうこうぞく炭化たんか水素すいそとう炭素たんそ豊富ほうふ物質ぶっしつ両方りょうほう存在そんざいすることである(Kemper et al. 2002)。通常つうじょう恒星こうせいは、酸素さんそ豊富ほうふ物質ぶっしつ炭素たんそ豊富ほうふ物質ぶっしつのどちらかのみで構成こうせいされ、前者ぜんしゃから後者こうしゃへの変換へんかんは、恒星こうせい大気たいきにおける核変換かくへんかん化学かがく変化へんかによって、恒星こうせい進化しんか末期まっきこる。NGC 6302は、炭化たんか水素すいそ分子ぶんし酸素さんそ豊富ほうふ環境かんきょう形成けいせいされた天体てんたいのグループにぞくする(Matsuura et al. 2005)。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e f (SIMBAD 2007)
  2. ^ a b (Meaburn et al. 2005)
  3. ^ Radius = distance × sin(angular size / 2) = 3.4 ± 0.5 kly * sin(>3′.0 / 2) = >1.5 ± 0.2 ly
  4. ^ 7.1B apparent magnitude - 5 * (log10(1040 ± 160 pc distance) - 1) = -3.0B +0.4
    −0.3
    absolute magnitude
  5. ^ (APoD 1998)
  6. ^ (APoD 2004)
  7. ^ O'Meara, Stephen James (2002). The Caldwell Objects. Cambridge University Press. ISBN 0-521-82796-5 
  8. ^ ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうとらえた宇宙うちゅうかがやちょうはね惑星わくせいじょう星雲せいうんNGC 6302AstroArts
  9. ^ 3光年こうねん羽根はねひろげるバタフライ Astro Arts
  10. ^ (1) Wolfgang Steinicke, Nebel und Sternhaufen: Geschichte ihrer Entdeckung, Beobachtung und Katalogisierung- von Herschel bis Dreyers, 2009, p.429. (2) Universe Today; (3) Stephen James O'Meara, The Caldwell objects. Cambridge University Press, 2002, p.274.ひとし多数たすう出典しゅってんでは、1826ねんジェームズ・ダンロップ発見はっけんしたとしている。
  11. ^ News Release Number: STScI-2009-25: Hubble Opens New Eyes on the Universe [1]
  12. ^ てつ分布ぶんぷえがした「バタフライ星雲せいうん」のあか縁取へりと”. sorae. 2024ねん4がつ10日とおか閲覧えつらん

出典しゅってん

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外部がいぶリンク

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