教育 きょういく を主 おも 目的 もくてき としつつ、コンパイラが記述 きじゅつ できる程度 ていど に強力 きょうりょく な言語 げんご を目指 めざ し、当初 とうしょ 、ヴィルト自身 じしん がPascalコンパイラ をPascal自身 じしん で書 か いてみせ、その能力 のうりょく を示 しめ した(後 ご のModula-2では、オペレーティングシステムをModula-2で書 か いてみせた)。当時 とうじ FORTRAN 以外 いがい のコンパイラは生成 せいせい される機械 きかい 語 ご が冗長 じょうちょう で最適 さいてき 化 か が難 むずか しいと言 い われていたが、「言語 げんご 仕様 しよう と最適 さいてき 化 か は独立 どくりつ した問題 もんだい である」ことを証明 しょうめい するという目的 もくてき もあったらしい。[要 よう 出典 しゅってん ]
Pascalの単純 たんじゅん さは、例 たと えば構文 こうぶん がLL(1) であることなどによく現 あらわ れている[ 注釈 ちゅうしゃく 1] 。全 すべ ての名札 なふだ 、定数 ていすう 、型名 かためい 、変数 へんすう 、サブルーチン [ 注釈 ちゅうしゃく 2] は使用 しよう に先立 さきだ って定義 ていぎ しておく必要 ひつよう がある。ポインタ を用 もち いたリストのような型 かた の定義 ていぎ や、交互 こうご にサブルーチンが呼 よ び合 あ うためには、例外 れいがい 的 てき な構文 こうぶん を使 つか わねばならない。ポインタに限 かぎ っては、参照 さんしょう される型 かた の定義 ていぎ の前 まえ に、その型 かた を参照 さんしょう するような定義 ていぎ ができた。また、サブルーチンの定義 ていぎ 部分 ぶぶん だけを先 さき に記述 きじゅつ する方法 ほうほう で解決 かいけつ した。
その結果 けっか 、パーサはLL(1)パーサであり、バックエンドはいわゆるワンパスコンパイラであった[ 注釈 ちゅうしゃく 3] 。なお、他 た 言語 げんご のコンパイラでは、2回 かい 以上 いじょう 走査 そうさ を行 おこな うマルチパス形式 けいしき のものが多 おお かった。マルチパス形式 けいしき では、最初 さいしょ の走査 そうさ で識別子 しきべつし 等 とう の情報 じょうほう を中心 ちゅうしん に情報 じょうほう 収集 しゅうしゅう を行 おこな い、後続 こうぞく の走査 そうさ でそれらの情報 じょうほう を参照 さんしょう しつつ実行 じっこう ファイルを生成 せいせい するため、コンパイル速度 そくど 面 めん では不利 ふり だが、最適 さいてき 化 か の点 てん で有利 ゆうり となる。絶望 ぜつぼう 的 てき に遅 おそ いフロッピーディスク を作業 さぎょう ディスクとするユーザが多 おお かった初期 しょき のパーソナルコンピュータでは、ワンパスコンパイラであることは大 おお いに利点 りてん となった。
なお、Turbo Pascalの高速 こうそく 性 せい は、アセンブラ で記述 きじゅつ されていたことも一因 いちいん であるが、Pascalの簡潔 かんけつ な仕様 しよう を活 い かしメモリを使 つか える限 かぎ り使 つか ってファイルアクセスを最小限 さいしょうげん に留 と めることで実現 じつげん された。
ALGOL由来 ゆらい の制御 せいぎょ 構造 こうぞう 、サブルーチンの中 なか に、そのサブルーチン内 ない からのみ見 み えるローカルな変数 へんすう 、そのサブルーチン内 ない からのみ呼 よ び出 だ せるサブルーチン等 とう を定義 ていぎ できるといった、スコープの概念 がいねん と再帰 さいき 的 てき な構文 こうぶん 構造 こうぞう (ブロック構造 こうぞう と呼 よ ぶ)、静的 せいてき スコープ による参照 さんしょう の局所 きょくしょ 化 か 機能 きのう を持 も つ。さらに、豊富 ほうふ なデータ型 がた と、COBOL に見 み られた構造 こうぞう 体 たい を含 ふく む新 あたら しいデータ型 がた を定義 ていぎ できるという特徴 とくちょう も持 も っている。レコード型 がた とポインタを用 もち いてリスト 、木 き といったデータ構造 こうぞう を自由 じゆう に構築 こうちく することができる(二 に 分木 ぶんぎ #データの二 に 分木 ぶんぎ への格納 かくのう 法 ほう の例 れい 参照 さんしょう )。なお由来 ゆらい は不明 ふめい だが、最後 さいご にピリオドを付 つ けるという、微妙 びみょう にALGOLの構文 こうぶん と違 ちが う点 てん がある。
Pascalの注目 ちゅうもく すべきは、変数 へんすう の宣言 せんげん を「変数 へんすう 名 めい 、型名 かためい 」の順序 じゅんじょ とした記法 きほう であろう。ALGOLを源流 げんりゅう とするC言語 げんご などでは、変数 へんすう などの定義 ていぎ でint x
といったような「型名 かためい 変数 へんすう 名 めい 」という順序 じゅんじょ で記述 きじゅつ される。一方 いっぽう 、Pascalでは「var x : int
」というような、「変数 へんすう 名 めい 型名 かためい 」の順序 じゅんじょ で記述 きじゅつ する。この記法 きほう は数学 すうがく などと類似 るいじ の記法 きほう であるため、ヴィルトの完全 かんぜん なオリジナルだとは言 い いにくいが、最初 さいしょ に述 の べたALGOL WではALGOLと同様 どうよう であるので、プログラミング言語 げんご への導入 どうにゅう としてはオリジナリティが高 たか いものと考 かんが えられる。この点 てん について、Java などはC言語 げんご の構文 こうぶん の小 しょう 改良 かいりょう にとどまっているが、Limbo やGo言語 げんご などC言語 げんご を使 つか い尽 づく した設計 せっけい 者 しゃ らによる新 しん 言語 げんご が、Pascalに似 に た記法 きほう としていることは特筆 とくひつ 事項 じこう であろう。なお、ALGOL系 けい ではAda も変数 へんすう などの型 かた の記述 きじゅつ を、これに類似 るいじ した構文 こうぶん としている。Scala やKotlin といったJava VM 環境 かんきょう で動作 どうさ する後発 こうはつ 言語 げんご も、型 かた を後 こう 置 おけ する記法 きほう を採用 さいよう している。この表記 ひょうき 法 ほう は型 かた 推論 すいろん の普及 ふきゅう に伴 ともな って良 よ い方向 ほうこう に働 はたら いた。型名 かためい を前 まえ 置 おけ する言語 げんご では、「=
」の左辺 さへん において、型名 かためい があれば変数 へんすう の宣言 せんげん と初期 しょき 化 か 、変数 へんすう 名 めい だけなら代入 だいにゅう として区別 くべつ できるが、型 かた 推論 すいろん では型名 かためい が省略 しょうりゃく されてしまうため区別 くべつ できなくなる。その結果 けっか 、C++ やD では「auto
」などの接頭 せっとう 辞 じ が必要 ひつよう で、初 はつ 学者 がくしゃ にとってはautoのような型 かた があるかのようにみえてしまう。型名 かためい を後 こう 置 おけ する言語 げんご ではそのような問題 もんだい はない。
コンパイル時 じ にできるだけ多 おお くの不 ふ 注意 ちゅうい による誤 あやま りを発見 はっけん できる、強 つよ く型付 かたつ けされた(strongly typed)言語 げんご であり、またハードウェアを隠蔽 いんぺい する思想 しそう が徹底 てってい している。たとえば集合 しゅうごう 型 かた 、ポインタ型 がた はそれぞれビットマップ とアドレス を抽象 ちゅうしょう 化 か したものと考 かんが えられる。また Pascal は教育 きょういく 用 よう ということもあり、最初 さいしょ の仕様 しよう では分割 ぶんかつ コンパイル や外部 がいぶ ライブラリ の利用 りよう が考慮 こうりょ されていなかった。これは大 だい 規模 きぼ なプログラムを記述 きじゅつ したり、ハードウェアを直接 ちょくせつ 操作 そうさ するプログラムを記述 きじゅつ するには不便 ふべん な仕様 しよう であり、入出力 にゅうしゅつりょく の扱 あつか いなど処理 しょり 系 けい に依存 いぞん しなければならない部分 ぶぶん を言語 げんご の中 なか に抱 かか える結果 けっか に繋 つな がった。たとえばファイル型 がた 変数 へんすう に特定 とくてい のファイルを関連付 かんれんづ ける標準 ひょうじゅん 的 てき な方法 ほうほう はない。ヴィルト自身 じしん は Modula-2 でこれらの要請 ようせい に応 こた える一方 いっぽう で、Pascalでは実装 じっそう のベンダがそれぞれ独自 どくじ の拡張 かくちょう を施 ほどこ して、分割 ぶんかつ コンパイルやハードウェアの直接 ちょくせつ 操作 そうさ を可能 かのう としたが、この部分 ぶぶん の互換 ごかん 性 せい は乏 とぼ しい。
配列 はいれつ についても問題 もんだい 点 てん が発覚 はっかく した。Pascalでは静的 せいてき 配列 はいれつ のみをサポートする。これはコンパイル時 じ にサイズが決定 けってい され、実行 じっこう 中 ちゅう はサイズを変更 へんこう できない。しかし実際 じっさい のプログラムは実行 じっこう するまでサイズが決 き められないことが多 おお く、後発 こうはつ の言語 げんご は実行 じっこう 中 ちゅう にサイズを変更 へんこう できる動的 どうてき 配列 はいれつ をサポートしている。
著名 ちょめい なものに、Te X [ 注釈 ちゅうしゃく 4] 、初期 しょき のMacintosh のオペレーティングシステム およびアプリケーション などがある。
処理 しょり 系 けい に関 かん しても、2019年 ねん 現在 げんざい も多 おお くのプラットフォームに多 おお くの実装 じっそう がある。
AVRco[ 2] - マイクロプロセッサ用 よう の Pascal。
Delphi - 現在 げんざい 最 もっと もメジャーな Pascal。
DWScript[ 3] - Delphi用 よう のスクリプトエンジン。
Free Pascal - オープンソースの Pascal。
GNU Pascal - オープンソースの Pascal。
IP Pascal [ 4] - 標準 ひょうじゅん Pascal をベースに拡張 かくちょう された Pascal。
mikropascal[ 5] - マイクロプロセッサ用 よう の Pascal。
Modern Pascal[ 6] - Free Pascalで書 か かれたマルチプラットフォームのインタプリタおよびP-Codeコンパイラ。
NewPascal[ 7] - Lazarus / Free Pascal のフォーク。
Open Sibyl[ 8] - Speedsoft Sibyl のオープンソース実装 じっそう 。
Oxygene - .NET 用 よう の Object Pascal。
PascalABC.NET[ 9] - .NET 用 よう の Object Pascal。
Pascal Script[ 10] - DelphiまたはFree Pascalプロジェクト内 ない で使 つか えるスクリプトエンジン。
Pascal-P5[ 11] - 標準 ひょうじゅん Pascal に準拠 じゅんきょ したフルセットの Pascal-P。
PICco[ 12] - マイクロプロセッサ用 よう の Pascal。
THINK Pascal[ 13] - Classic MacOS 用 よう の 4.5d4 が無償 むしょう 公開 こうかい されている。
Turbo Rascal[ 14] - Commodore 64/128、VIC-20、Nintendo ファミリーコンピュータ向 む けのクロスコンパイラ。
Turbo51[ 15] - 8051 マイクロプロセッサ用 よう の Pascal。
Ultibo[ 16] - Raspberry Pi ベアメタルプログラミング用 よう 環境 かんきょう (Lazarus / Free Pascal のカスタマイズ)。
Vector Pascal[ 17] - MMXやAMD 3d NowなどのSIMD命令 めいれい セット用 よう のPascal。
Virtual Pascal[ 18] - DOS、Windows、OS/2用 よう
WDSibyl[ 19] - Speedsoft Sibyl のオープンソース実装 じっそう 。
最初 さいしょ のPascalコンパイラは、CDC 6000 シリーズ用 よう に1970年 ねん に書 か かれた1パスコンパイラで、それ自身 じしん が Pascal で書 か かれていた。CDC 6000 シリーズは 1ワード が 60ビットのマシンであった。Pascal には、メモリを節約 せつやく するための詰 つ め合 あ わせ機能 きのう (pack/unpack)や、10文字 もじ (1文字 もじ は6ビット)の詰 つ め合 あ わせ文字 もじ 列 れつ である alfa 型 がた の存在 そんざい [ 21] 、長 なが いワードをビットごとに扱 あつか うための集合 しゅうごう 型 がた など、CDC のアーキテクチャの影響 えいきょう を受 う けた箇所 かしょ がある。CDC 用 よう のコンパイラは、extern 宣言 せんげん によって外部 がいぶ ライブラリを読 よ み込 こ むことができた[ 22] 。
1972年 ねん から1974年 ねん にかけてチューリッヒ工科 こうか 大学 だいがく で書 か かれたPascal-P[ 23] は、Pascal からP コード へのコンパイラと、Pコードインタプリタからなる中 なか 間 あいだ 言語 げんご コンパイラで、やはり Pascal 自身 じしん で書 か かれていた。このことにより、後 ご の Java が異 こと なるアーキテクチャの計算 けいさん 機 き への移植 いしょく が進 すす んだのと同様 どうよう 、多 おお くの計算 けいさん 機 き への移植 いしょく が進 すす んだ。中間 なかま 言語 げんご コンパイラを移植 いしょく するためには、仮想 かそう スタックマシンであるPコードマシンのエミュレータを移植 いしょく 元 もと の機械 きかい で開発 かいはつ し、コンパイラを移植 いしょく 先 さき の機械 きかい でコンパイルするだけで良 よ い。1970 - 80年代 ねんだい の低速 ていそく な計算 けいさん 機 き では、このような中 なか 間 あいだ 言語 げんご 方式 ほうしき では性能 せいのう が不十分 ふじゅうぶん だった。Pascal-PにはPascal-P1・Pascal-P2・Pascal-P3・Pascal-P4の4つのバージョンがあるが、いずれもPascalのサブセット実装 じっそう となっている。
1975年 ねん にニクラウス・ヴィルト がインタプリタであるPascal-S[ 24] を書 か いた。サブセットであるとはいえ、このPascalのソースコードは2,000行 ぎょう 程 ほど しかない。
同 おな じく1975年 ねん にカリフォルニア工科 こうか 大学 だいがく で Pascal を並列 へいれつ 動作 どうさ 用 よう に拡張 かくちょう したConcurrent Pascal が開発 かいはつ され、それを使 つか ってシングルユーザのオペレーティングシステムを開発 かいはつ し、Pascal がシステムプログラミング にも優 すぐ れていることを明 あき らかにした。
1978年 ねん にカリフォルニア大学 だいがく サンディエゴ校 こう (UCSD)でPascal-P2をベースにしたUCSD Pascal が開発 かいはつ された。これは、異 こと なるプラットフォームに移植 いしょく できるカスタムオペレーティングシステム(UCSD p-System )上 じょう で実行 じっこう 可能 かのう なバージョンである。Apple もライセンスを取得 しゅとく し、Apple II やApple III へ移植 いしょく されている。
日本 にっぽん では、1979年 ねん にシャープ 製 せい MZシリーズ 向 む けに「Tiny PASCAL PALL」として発売 はつばい されている[ 26] 。
ISOではPascalを1983年 ねん にISO 7185 として標準 ひょうじゅん 化 か し現在 げんざい は1990年版 ねんばん である。対応 たいおう する日本 にっぽん の規格 きかく はJIS X 3008-1990で、改訂 かいてい 版 ばん は1994である。標準 ひょうじゅん Pascal には水準 すいじゅん 0と水準 すいじゅん 1があり、後者 こうしゃ は長 なが さの異 こと なる配列 はいれつ を引数 ひきすう に取 と るための整合 せいごう 配列 はいれつ が使 つか える[ 27] 。また、拡張 かくちょう 規格 きかく としてISO/IEC 10206 が1991年 ねん に策定 さくてい された。1993年 ねん のオブジェクト指向 しこう 拡張 かくちょう の規格 きかく はドラフトで終 お わっている。
以前 いぜん ならばALGOLが使 つか われていたであろう、論文 ろんぶん や学会 がっかい 誌 し 等 とう におけるアルゴリズムの記述 きじゅつ に、ALGOLに代 か わってPascalは使 つか われるようになった。
Pascal は、アルゴリズムの教科書 きょうかしょ にしばしば使 つか われた。ヴィルト自身 じしん による『アルゴリズム+データ構造 こうぞう =プログラム』をはじめ、エイホ ・ホップクロフト ・ウルマン 『データ構造 こうぞう とアルゴリズム』などは Pascal を使用 しよう している。
1970年代 ねんだい 末 まつ のパソコン上 じょう のシステムでは、Apple II や Z80 システムで動作 どうさ する UCSD Pascal が動 うご いていた[ 28] 。UCSD Pascal はPコードを使 つか った中 なか 間 あいだ コードコンパイラで、文字 もじ 列 れつ 型 がた ・case文 ぶん の拡張 かくちょう ・ユニットを使 つか った Modula-2 風 ふう の分割 ぶんかつ コンパイルなどをサポートしており、言語 げんご 以外 いがい にメニューを使 つか ったユーザーインターフェースも優 すぐ れていた。
ほかに、デジタルリサーチ の Pascal/MT+ やJRTシステムズ社 しゃ の JRT pascal(日本 にっぽん ではライフボート が α あるふぁ Pascal として販売 はんばい した)などが販売 はんばい されていた。
1983年 ねん にボーランド が発売 はつばい したTurbo Pascalは(当初 とうしょ はZ80マシンのCP/M で動作 どうさ する)、大変 たいへん 高速 こうそく な1パスコンパイラ兼 けん 開発 かいはつ 環境 かんきょう である。続 つづ いて8086マシン用 よう (CP/M-86 , MS-DOS )がリリースされ、1980年代 ねんだい 後半 こうはん 〜1990年代 ねんだい 前半 ぜんはん に一般 いっぱん 個人 こじん が所有 しょゆう するパーソナルコンピュータの環境 かんきょう として最 もっと も数 かず の多 おお かったMS-DOSにおいて大 おお きな人気 にんき を得 え た。ビルドの高速 こうそく さは、「コンパイラは、コンパイル時間 じかん があるので不便 ふべん だ」という意識 いしき を、十分 じゅうぶん に速 はや い環境 かんきょう であればたいして気 き にならないのだ、という事実 じじつ を示 しめ して塗 ぬ り替 か えた。さらにWordStar 風 ふう のキー操作 そうさ を持 も った、当時 とうじ としては高機能 こうきのう なフルスクリーンエディタ を備 そな えていながら低 てい 価格 かかく であったため、日本 にっぽん では「フルスクリーンエディタを買 か うと、おまけに高速 こうそく な Pascal コンパイラが付 つ いてくる」とまで言 い われたほどである。[要 よう 出典 しゅってん ]
「Turbo Pascal」は、版 はん を重 かさ ねるにつれてモジュール機能 きのう やオブジェクト指向 しこう の拡張 かくちょう を加 くわ え、「Pascal処理 しょり 系 けい の実装 じっそう としての名前 なまえ 」というよりも「Pascal を拡張 かくちょう した言語 げんご の名前 なまえ 」となった。オブジェクト指向 しこう の拡張 かくちょう はやがてObject Pascal という言語 げんご として認知 にんち されるようになった。ボーランドはObject Pascalの開発 かいはつ 環境 かんきょう をより充実 じゅうじつ させたWindows向 む けの製品 せいひん としてDelphi をリリースした。
Turbo Pascal と Delphi の成功 せいこう によって、互換 ごかん を謳 うた った実装 じっそう が開発 かいはつ されている。商用 しょうよう のものとしては Speed Pascal、Virtual Pascal、マイクロソフト のQuickPascal があり、フリーソフトとしては Free Pascal (元 もと FPK Pascal)が広 ひろ い範囲 はんい のプラットフォームで動作 どうさ する。ISO 標準 ひょうじゅん Pascal を意識 いしき したものでは、GNU Pascal がある。また、ボーランド自身 じしん がDelphiをベースにして作 つく ったGNU/Linux 向 む け開発 かいはつ 環境 かんきょう のKylix もある。
当初 とうしょ 、Macintoshにはセルフ開発 かいはつ 環境 かんきょう はなく、システムの開発 かいはつ およびアプリケーションのクロス開発 かいはつ 用 よう プラットフォームとして、もっぱらLisa 上 うえ でIDE のLisa Workshopを使用 しよう した。Lisaの公式 こうしき 開発 かいはつ 言語 げんご はPascalだったためMacintosh Toolboxと呼 よ ぶAPIにおいても、その呼 よ び出 だ し手法 しゅほう がPascalに準拠 じゅんきょ していたのはこうした理由 りゆう による。Lisa PascalはSilicon Valley Software社 しゃ の68000用 よう ネイティブコードコンパイラをライセンス取得 しゅとく したもので、後 のち にオブジェクト指向 しこう を取 と り入 い れたClascalに進化 しんか する。
後 のち に登場 とうじょう したMacintosh用 よう セルフ開発 かいはつ 環境 かんきょう Macintosh Programmer's Workshop (英語 えいご 版 ばん ) (MPW)にはヴィルト と Apple のラリー・テスラー 率 ひき いるチームが開発 かいはつ したObject Pascal が含 ふく まれていた。これはClascalの言語 げんご 仕様 しよう を整理 せいり ・発展 はってん させたものである。この環境 かんきょう で書 か かれていたアプリケーションとしてAdobe Photoshop がある。
ニクラス・ヴィルト自身 じしん によって、Pascalや他 た の言語 げんご の経験 けいけん にもとづき、後継 こうけい と言 い える言語 げんご が設計 せっけい されている。Pascalとの互換 ごかん 性 せい を残 のこ した拡張 かくちょう といったようなスタイルではなく、そのため名前 なまえ にもPascalを含 ふく めていない。
Modula - モジュール化 か などを指向 しこう した。Modula-2の方 ほう へ移 うつ ったため実質 じっしつ 未 み 完成 かんせい 。途上 とじょう 版 ばん のコンパイラだけがリリースされたらしい[要 よう 出典 しゅってん ] 。
Modula-2 - モジュール化 か などの機能 きのう を追加 ついか した。ヴィルトは、Modula-2だけでオペレーティングシステムを含 ふく むシステムを作 つく って見 み せた。
Modula-3 - オブジェクト指向 しこう など。
Oberon , Oberon-2 - 言語 げんご を拡張 かくちょう して強力 きょうりょく にするのではなく、拡張 かくちょう 可能 かのう にしてコア部分 ぶぶん は小 ちい さくする、という方向 ほうこう 性 せい で設計 せっけい されている。
その他 た の言語 げんご ないし実装 じっそう
「本物 ほんもの のプログラマはPascalを使 つか わない 」というエッセイは、そのタイトルだけは有名 ゆうめい だが、Pascalについては実 み のところ、構造 こうぞう 化 か プログラミング の代名詞 だいめいし のような感 かん じで引 ひ き合 あ いに出 だ されているだけであり、その内容 ないよう についても、当 とう のハッカーたちからも否定 ひてい と肯定 こうてい が半々 はんはん といった所 ところ である(例 たと えばジャーゴンファイル では、用語 ようご 集 しゅう 本体 ほんたい では否定 ひてい 的 てき に、附録 ふろく では肯定 こうてい 的 てき に言及 げんきゅう している)。本格 ほんかく 的 てき な批判 ひはん の文章 ぶんしょう としては、カーニハン によるWhy Pascal is Not My Favorite Programming Language [ 30] がある。
初期 しょき の批判 ひはん にもかかわらずPascalは進化 しんか し続 つづ けた。そしてカーニハン の批判 ひはん ポイントの殆 ほとん どは商用 しょうよう バージョンのPascalに当 あ てはまらなくなった。例 たと えば論文 ろんぶん The Pascal Programming Language [ 31] のMyth 6節 せつ で拡張 かくちょう Pascalの言語 げんご 仕様 しよう に基 もと づき、論文 ろんぶん The Macintosh Programmer's Workshop [ 32] では、Object Pascal(MPW Pascal)の言語 げんご 仕様 しよう に基 もと づき、批判 ひはん ポイントの殆 ほとん どは克服 こくふく していると語 かた られている。
^ これは、プログラマに対 たい して不親切 ふしんせつ なほどである。実際 じっさい には多 おお くの処理 しょり 系 けい が拡張 かくちょう しているが、本来 ほんらい の(構文 こうぶん がLL(1)の)Pascalでは、ラベルに普通 ふつう に名前 なまえ が使 つか えず、数字 すうじ による番号 ばんごう しか使 つか えない。 [要 よう 出典 しゅってん ]
^ Pascalにおいては手続 てつづ き (procedure
)または関数 かんすう (function
)と呼 よ び、値 ね を返 かえ し式 しき の中 なか で用 もち いうるものを特 とく に関数 かんすう と読 よ んで区別 くべつ する。
^ 似 に たような長所 ちょうしょ が主張 しゅちょう された処理 しょり 系 けい ・言語 げんご にダートマスBASIC がある。
^ Te Xは特 とく にその大 だい 規模 きぼ さから、どんな実装 じっそう でも少 すく なくとも一 ひと つのバグがTe Xによってあぶり出 だ された、などと言 い われている。
^ 並列 へいれつ (パラレル)ではない
Per Brinch Hansen 著 ちょ 、田中 たなか 英彦 ひでひこ 訳 やく 『並行 へいこう 動作 どうさ プログラムの構造 こうぞう 』日本 にっぽん コンピュータ協会 きょうかい 〈コンピュータ・サイエンス研究 けんきゅう 書 しょ シリーズ〉、1980年 ねん 。 NCID BN01967499 。
Charles Antony Richard Hoare (1981-02). “The emperor's old clothes”. Magazine Communications of the ACM (New York: ACM) 24 (2): 75-83. doi :10.1145/358549.358561 .
K・イェンゼン、N・ヴィルト 著 ちょ 、原田 はらだ 賢一 けんいち 訳 やく 『PASCAL』(原書 げんしょ 第 だい 二 に 版 はん )培風館 ばいふうかん 〈情報処理 じょうほうしょり シリーズ, 2〉、1981年 ねん 。ISBN 456300782X 。
Wirth, Niklaus 著 ちょ 、宇井 うい 康隆 やすたか 訳 やく 「プログラミング言語 げんご :要求 ようきゅう 項目 こうもく と評価 ひょうか 方法 ほうほう 」、アラン・フォイヤー; ナレイン・ゲハーニ 編 へん 『Ada, C, Pascal』工学 こうがく 社 しゃ 、1986年 ねん 、305-325頁 ぺーじ 。ISBN 4875930844 。
K・イェンゼン、N・ヴィルト、A.B. ミケル、J.F. マイナー 著 ちょ 、原田 はらだ 賢一 けんいち 訳 やく 『PASCAL』(原書 げんしょ 第 だい 4版 はん )培風館 ばいふうかん 〈情報処理 じょうほうしょり シリーズ, 2〉、1993年 ねん 10月 がつ 。ISBN 4-563-01466-4 。
川合 かわい 彗『PASCAL入門 にゅうもん 』共立 きょうりつ 出版 しゅっぱん 株式会社 かぶしきがいしゃ 、1981,1983。ISBN 4-320-02150-9 。