(Translated by https://www.hiragana.jp/)
大学受験物理/力学 - Wikibooks コンテンツにスキップ

大学だいがく受験じゅけん物理ぶつり/力学りきがく

出典しゅってん: フリー教科書きょうかしょ『ウィキブックス(Wikibooks)』

速度そくど加速度かそくど

[編集へんしゅう]

例題れいだい問題もんだい解答かいとう解説かいせつ解答かいとう解説かいせつ参照さんしょう

とう速度そくど運動うんどう

[編集へんしゅう]

とう速度そくど運動うんどうは、速度そくどまたは速度そくどおおきさが時間じかんによらず一定いってい運動うんどうである。とくに、運動うんどうきがつね一定いっていである運動うんどうひとしそく直線ちょくせん運動うんどうという。 たとえば、自動車じどうしゃが 6 秒間びょうかんだけ速度そくど 10 m/s ではしった場合ばあい、そのあいだ自動車じどうしゃ変位へんい は、

である。

とう加速度かそくど運動うんどう

[編集へんしゅう]

加速度かそくどとは、単位たんい時間じかんたりの速度そくど時間じかん変化へんかりつのことである。 たとえば時刻じこく 0 s で速度そくどが 2 m/s であり時刻じこく 2 s で速度そくどが 12 m/s だったとすると、そのあいだ加速度かそくど は、

である。

つぎ加速度かそくど一定いっていである場合ばあい速度そくど変位へんいかんがえよう。物体ぶったい運動うんどう方向ほうこうかって じくをとる。

とう加速度かそくど運動うんどう グラフ。
たてじく速度そくどよこじく時刻じこくをとる。

まず、速度そくど もとめる。ひだりのグラフのとおり、時間じかんたりの速度そくど変化へんか加速度かそくど にあたるので、はつ速度そくど とすれば、時刻じこく における速度そくどとして

られる。

つぎに、変位へんい かんがえる。変位へんい グラフの面積めんせきひとしいので、

である。最後さいご速度そくど しき

変形へんけいし、変位へんい しき代入だいにゅうすれば、

となる。

まとめると、つぎのようになる。

  • とう加速度かそくど運動うんどうする物体ぶったい速度そくど時刻じこく公式こうしき
  • とう加速度かそくど運動うんどうする物体ぶったい変位へんい時刻じこく公式こうしき
  • とう加速度かそくど運動うんどうする物体ぶったい速度そくど変位へんい公式こうしき

3 つ公式こうしきには時刻じこく があらわにははいらない。また、この関係かんけいエネルギー保存ほぞん法則ほうそくから導出どうしゅつすることができる。


例題れいだい 1 - 1
ある電車でんしゃ加速度かそくど 1.0 m/s2加速かそくし、その最高さいこう速度そくどは 72 km/h までたっする[3]線路せんろちゅう速度そくど制限せいげんはないものとする[4]以下いかいについて有効ゆうこう数字すうじ 2 けたこたえよ。

(1) 電車でんしゃさい高速度こうそくど単位たんい m/s であらわせ。

A えき出発しゅっぱつして B えき到着とうちゃくするとき、速度そくど 時刻じこく 関係かんけい以下いかのようになった。このグラフを グラフという。
グラフ

(2) 減速げんそく加速度かそくどもとめよ。

(3) A えきから B えきへの距離きょりはいくらか。

(4) これまでのいを参考さんこうにして、電車でんしゃの A えきからの変位へんい 時刻じこく関係かんけいあらわ グラフをけ。

ところで、有効ゆうこう数字すうじ 2 けたとはどういう意味いみだろうか。有効ゆうこう数字すうじとはその数値すうちのうち信頼しんらいできるけたかずしめす。

たとえば 5.4270019 という測定そくていされても、その測定そくてい有効ゆうこう数字すうじが 2 けたであれば信頼しんらいできるはじめの 2 けただけ(つまりこの場合ばあいは 5.4 まで)である。同様どうように 5.3794306 という測定そくていされた場合ばあい有効ゆうこう数字すうじが 2 けたであればその測定そくていは 3 けた四捨五入ししゃごにゅうして 5.4 と評価ひょうかされる。

このように有効ゆうこう数字すうじ測定そくていのうち測定そくてい誤差ごさ影響えいきょう比較的ひかくてきちいさい部分ぶぶん簡便かんべん評価ひょうかすることに使つかわれる。測定そくてい評価ひょうかほうとして正統せいとう方法ほうほうは、有効ゆうこう数字すうじではなく測定そくていかくかさ評価ひょうかすることであるが、(傾向けいこうだけかればむような)大雑把おおざっぱ評価ひょうか場合ばあいには有効ゆうこう桁数けたすうだけに使つかえばよい。

有効ゆうこう数字すうじ桁数けたすう数字すうじなんあるかをかんがえればい。ただし、最初さいしょが 0 ではじまる数値すうちれい:0.52)などは小数点しょうすうてんのちからをかぞえる。

  • れい
1.3 → 有効ゆうこう数字すうじ 2 けた、0.2 → 有効ゆうこう数字すうじ 1 けた
5.573 → 有効ゆうこう数字すうじ 4 けた、−0.84 → 有効ゆうこう数字すうじ 2 けた

有効ゆうこう数字すうじ使つかった評価ひょうかをするさい測定そくてい指数しすう表記ひょうき、つまり

のような形式けいしきえたほうがかりやすい。たとえば

340.5 → 3.405 × 102
0.00602 → 6.02 × 10−3
12000.0 → 1.20000 × 104

これは小数点しょうすうてん位置いち固定こていした表記ひょうきほう場合ばあい有効ゆうこう桁数けたすう正確せいかくつたわらない可能かのうせいがあるためである。ただし有効ゆうこう数字すうじけた明示めいじしておくほうが簡単かんたんかつ適切てきせつなことがおおい。


相対そうたい速度そくど

[編集へんしゅう]

相対そうたい速度そくど問題もんだいぶんなどでは通常つうじょう「B にたいする A の速度そくど」などとかれるが、これを「B がる A のかけの速度そくど」とえても同義どうぎである[5]

たとえばおな方向ほうこう走行そうこうする自動車じどうしゃ A, B があり、A が 40 km/h、B が 70 km/h で走行そうこうしているとき、A の車内しゃないからは B が前方ぜんぽうけて 30 km/h で移動いどうしているようにえる。B から A を場合ばあいは、A が後方こうほうけて 30 km/h で移動いどうしているようにえる。

一般いっぱんてきに「B にたいする A の速度そくど」は、つぎのようにあらわせられる。A の速度そくど、B の速度そくど相対そうたい速度そくど とすれば(添字そえじの r は相対そうたい relative の頭文字かしらもじあらわしている)、

いかえると、「(相対そうたい速度そくど)=(相手あいて速度そくど)−(自分じぶん速度そくど)」である。それでは、例題れいだい 1 - 2 をいてみよう。


例題れいだい 1 - 2
はやさ 10 m/s のくるまはやさ 4.0 m/s のねこ平行へいこうしてはしっている。このとき、くるますわっているいぬたいする相対そうたい速度そくどもとめよ。ただしいぬねこはおたがいの存在そんざいづいていないものとする[6]

落下らっか運動うんどう

[編集へんしゅう]

落下らっか運動うんどう重力じゅうりょく作用さようによってしょうじる物体ぶったい運動うんどうひらたくえばものちるときのうごきのことである。基本きほんてきには鉛直えんちょく上向うわむきにせいればい(ただし、問題もんだいぶん指定していがある場合ばあいはその指示しじしたがうこと)。

したがって、上記じょうきの3つの公式こうしきもちいる。ただし、地球ちきゅう表面ひょうめん近傍きんぼう落下らっかする物体ぶったい加速度かそくど である(出題しゅつだいされることはおおくないが、月面げつめんでの落下らっか運動うんどう問題もんだいでは地球ちきゅうじょうの 1/6 程度ていど加速度かそくどとして採用さいようされることがおおい)。重力じゅうりょくによってしょうじる加速度かそくど重力じゅうりょく加速度かそくどばれる(なお、地球ちきゅうじょうでの落下らっか運動うんどう問題もんだいでよく使つかわれる重力じゅうりょく加速度かそくどは、標準ひょうじゅん重力じゅうりょく加速度かそくど近似きんじである)。

この重力じゅうりょく加速度かそくどおおきさの導出どうしゅつについては万有引力ばんゆういんりょくこうれる。それでは、それぞれのパターンについてかんがえていこう。


  • 自由じゆう落下らっか
    自由じゆう落下らっか

はつ速度そくど 0 でしずかに物体ぶったいはなしたとき落下らっか運動うんどう自由じゆう落下らっかという。

  • 鉛直えんちょくげ・鉛直えんちょくろし

鉛直えんちょく上向うわむきにはつ速度そくどあたえた落下らっか運動うんどう鉛直えんちょくといい、鉛直えんちょく下向したむきにはつ速度そくどあたえた落下らっか運動うんどう鉛直えんちょくろしという。


例題れいだい1 - 3

たかさ 19.6 m [7]しょうビルの屋上おくじょうからしょうたまとす[8]つぎかくいに有効ゆうこう数字すうじ 2 けたこたえよ。ただし重力じゅうりょく加速度かそくどを 9.8 m/s2 とし、鉛直えんちょく下向したむきをせいとする。

〔1〕 まず、しょうたましずかにとした。

(1) 地面じめんまでちるのにかかった時間じかんはいくらか。
(2) 地面じめんたっする直前ちょくぜんはやさはいくらか。


〔2〕 つぎ鉛直えんちょく上向うわむきに 14.7 m/s のはやさでげてとした。

(1) 地面じめんまでちるのにかかった時間じかんはいくらか。
(2) しょうたま最高さいこうてんたっしたとき地面じめんからのたかさはいくらか。
(3) 地面じめんたっする直前ちょくぜんはやさはいくらか。
  • Tips

ところで落下らっか運動うんどうにおいて最高さいこうてん となったときのたかさであるが、このような問題もんだい頻繁ひんぱんわれるため公式こうしきの1つとしておぼえておくとい。ではみちびいてみよう。

鉛直えんちょくげをかんがえよう。鉛直えんちょく上向うわむきをせいとする。速度そくど変位へんい公式こうしき もちいてみる。最高さいこうてん ではそのときはやさは 0 m/s なので、重力じゅうりょく加速度かそくど とすると、 となる。よって、もとまる。

つぎにそのときの時刻じこく もとめてみよう。速度そくど時刻じこく公式こうしき より、 なので、もとまる。

この 2 つのしきは、こののち学習がくしゅうするはすかた投射とうしゃ問題もんだいやくつ。


つぎの 2 つは水平すいへい方向ほうこう鉛直えんちょく方向ほうこうの 2 方向ほうこうけてかんがえるとい。ただし、水平すいへい方向ほうこう右向みぎむきをまさに、鉛直えんちょく方向ほうこう上向うわむきをまさることがおおい。

  • 水平すいへい投射とうしゃ
水平すいへい投射とうしゃとは、水平すいへい方向ほうこうはつ速度そくどけて落下らっかさせる運動うんどうのことである。

物体ぶったいなにちからくわわらなければ、運動うんどう状態じょうたいえることはない。したがって水平すいへい投射とうしゃのとき、けるちから重力じゅうりょくただひとつであるから、鉛直えんちょく方向ほうこうだけ自由じゆう落下らっか運動うんどうとなるのである。

  • はすかた投射とうしゃ
    はすかた投射とうしゃ
はすかた投射とうしゃとは、ななめにはつ速度そくどけて落下らっかさせる運動うんどうのことである。

水平面すいへいめんとのなすかくきにはつ速度そくど 物体ぶったいげたとしよう。このとき、速度そくど分解ぶんかいできるからベクトルあらわすことができ、あらわせられる。

この2つにけてかんがえると、まず水平すいへい方向ほうこうについて、はつ速度そくど 水平すいへい方向ほうこうにはちからなにはたらいていないのでひとしそく運動うんどうをしている。それにたいして鉛直えんちょく方向ほうこうは、はつ速度そくど げあげて加速度かそくど 落下らっかしている運動うんどうひとしい。


以上いじょうをまとめると、以下いかひょうになる。

運動うんどう 垂直すいちょく方向ほうこう 鉛直えんちょく方向ほうこう
水平すいへい投射とうしゃ 自由じゆう落下らっか ひとしそく運動うんどう
はすかた投射とうしゃ 鉛直えんちょくげ/ろし ひとしそく運動うんどう

例題れいだい 1 - 4
つぎ文章ぶんしょうそらしょ適切てきせつれよ。
ひだりのように、大砲たいほうはつ速度そくど 上方かみがた 45°にたまげた。大砲たいほうたまおおきさを無視むしできるものとする。以下いか空欄くうらんについて、有効ゆうこう数字すうじ 2 けたこたえよ。

(1) 砲弾ほうだん着地ちゃくちした時刻じこく発射はっしゃ時刻じこくからかぞえて [ ア ] s であり、そのとき砲弾ほうだんはやさは[ イ ] m/s である。さらに砲弾ほうだん着地ちゃくちした場所ばしょ発射はっしゃ位置いちから[ ウ ] m さきである。ただし、重力じゅうりょく加速度かそくどを 9.8 m/s2 とする。


(2) 砲弾ほうだん到達とうたつする最高さいこうてんたかさは [ エ ] m であり、そのとき砲弾ほうだんはやさは[ オ ] m/s である。さらに砲弾ほうだん最高さいこうてんたっする時刻じこく発射はっしゃ時刻じこくからかぞえて [ カ ] s である。


例題れいだい 1 - 5
はすかた投射とうしゃにおいて、その軌道きどう放物線ほうぶつせんえがくのはなぜか。説明せつめいせよ。

  • 問題もんだい1
2 つしょうたま A, B ははじめたがいに距離きょり だけはなれている。しょうたま A をはつ速度そくど 水平面すいへいめんとのなす角度かくど 水平面すいへいめんじょうからげ、同時どうじしょうたま B を水平面すいへいめんからたか位置いちからしずかに落下らっかさせた。しょうたま A としょうたま B は時刻じこく のときに衝突しょうとつしたという。重力じゅうりょく加速度かそくど として以下いかいにこたえよ。水平すいへい方向ほうこう右向みぎむき・鉛直えんちょく方向ほうこう上向うわむきをせいとする。[9]


(1) 時刻じこく のときの A, B の変位へんい水平すいへい方向ほうこう鉛直えんちょく方向ほうこうけてそれぞれあらわせ。

(2) 時刻じこく のとき、B にたいする A の相対そうたい速度そくどおおきさをもとめよ。

(3) 時刻じこく を、はじめの時刻じこくでの AB あいだ距離きょり 、B の落下らっかするたか、A の投射とうしゃかく 、A のはつ速度そくど もちいて 2 とおりにあらわせ。

(4) もとめよ。ただし、はじめの時刻じこくでの AB あいだ距離きょり 、B の落下らっかするたか重力じゅうりょく加速度かそくど 、A の投射とうしゃかく 、A のはつ速度そくど なかから必要ひつようなものをもちいよ。また、この結果けっかからどのようなことがえるか。簡潔かんけつしるせ。

(5) 問題もんだいぶんおよび (1)~(4) の状況じょうきょうつような 条件じょうけんもとめよ。ただし、はじめの時刻じこくでの AB あいだ距離きょり 重力じゅうりょく加速度かそくど 、A の投射とうしゃかく 、A のはつ速度そくど もちいよ。


ちから

[編集へんしゅう]

ちからとは、物体ぶったい運動うんどう変化へんかさせる原因げんいんとなる作用さようのことである。日常にちじょうてきにはちからとはパワーであるとわれるが、英語えいご表記ひょうきは "force" であって "power" ではない。物理ぶつりがくにおけるパワーは単位たんい時間じかんたりにどれだけ仕事しごとができるか、あるいは単位たんい時間じかんたりに伝播でんぱされるエネルギーしめりょうであり、力学りきがくでいうところのちからとはことなるりょうである。

一般いっぱんてきにはちからおおきさをあらわ単位たんいとしてニュートン単位たんい記号きごう:N)がもちいられる。ほかにもキログラムしげる単位たんい記号きごう:kgf)などもちから単位たんいとしてもちいられることがある。ニュートンはメートル (m)、びょう (s)、キログラム (kg) のせきによっててられる。

つまり質量しつりょう(この場合ばあい単位たんいは kg)と加速度かそくど(この場合ばあい単位たんいは m/s2)のせきとして構成こうせいされる。 [10]

高校こうこう物理ぶつりにおいて、ちから物体ぶったいれてはじめて作用さようするちからと、れなくても作用さようするちからの2つに分類ぶんるいされる。前者ぜんしゃ接触せっしょくりょく後者こうしゃ接触せっしょくりょくばれる。接触せっしょくりょくにはちからいと張力ちょうりょく、ばねの弾性だんせいりょくなどたくさんあるが、接触せっしょくりょく万有引力ばんゆういんりょく静電気せいでんきりょく磁気じきりょくの3つしかない。

運動うんどう法則ほうそく

[編集へんしゅう]

運動うんどう法則ほうそくは、物体ぶったい運動うんどうかんしてられた経験けいけんそくアイザック・ニュートン整理せいり定式ていしきしたものであり[11]力学りきがくにおけるだいいち原理げんりとなっている重要じゅうよう法則ほうそくである。ニュートンによる定式ていしき以下いかの 3 つの法則ほうそくとしてまとめることができる。

作用さよう反作用はんさよう法則ほうそく
  • 運動うんどうだい1法則ほうそく
すべての物体ぶったいは、外部がいぶからちからくわえられないかぎり、静止せいししている物体ぶったい静止せいしつづけ、運動うんどうしている物体ぶったい運動うんどうつづける。慣性かんせい法則ほうそくともばれる。
  • 運動うんどうだい2法則ほうそく
物体ぶったいちからはたらいているならば、物体ぶったいちからはたらいている方向ほうこう加速度かそくどしょうじ、物体ぶったい運動うんどう加速度かそくどはその合力ごうりょくおおきさに比例ひれいし、質量しつりょう反比例はんぴれいする。すなわち、物体ぶったい質量しつりょう加速度かそくど物体ぶったいはたらちから とすれば
である。運動うんどうだい2法則ほうそくたん運動うんどう法則ほうそくともばれる。運動うんどうだい2法則ほうそくについてはのちくわしく解説かいせつする。
  • 運動うんどうだい3法則ほうそく
一方いっぽうけるちから他方たほうけるちからきが反対はんたいおおきさがひとしい。この法則ほうそく後述こうじゅつちから法則ほうそく混同こんどうしやすい。作用さよう反作用はんさよう法則ほうそくともばれる。
たとえば、みぎのようにスケートリンクじょうひだりひと相手あいてすと右側みぎがわひとにはちから くわわる。作用さよう反作用はんさよう法則ほうそくは、されたみぎひとからひだりひとちから くわえられること、2 つのちからおおきさはたがいにひとしく、ちからきはせい反対はんたいであることをしめす。つまり
つ。

ちから種類しゅるい

[編集へんしゅう]

物体ぶったいには様々さまざまちからがかかる。たとえばわたしたち人間にんげんでも、地球ちきゅうからの重力じゅうりょくけたり大気たいきからの圧力あつりょく圧力あつりょくちからではないが)をけたりするだろう。また、物体ぶったいしたりするなどしてちからくわえると、その物体ぶったいうごく。この項目こうもくでは物体ぶったいにかかる様々さまざまちからていくことにする。

1. 重力じゅうりょく
これは物体ぶったい惑星わくせい存在そんざいするならばどんなものでもかかるちからである(正確せいかく定義ていぎすると、地球ちきゅう万有引力ばんゆういんりょく地球ちきゅう自転じてんによる遠心えんしんりょく合力ごうりょくである)。この重力じゅうりょくおおきさ は、物体ぶったい質量しつりょう とすると、 である。ただし 重力じゅうりょく加速度かそくどである。たとえば60 kgの人間にんげんにかかる重力じゅうりょくおおきさ は、 Nである。
2.張力ちょうりょく
張力ちょうりょくとは、いと物体ぶったいちからのことである。1ほんつながったいとにおいて、そのいとがピンとっていれば(たるんでいない)、張力ちょうりょくがはたらく。基本きほんてきちからかんがえるさいいと質量しつりょう無視むししてい。
張力ちょうりょく 重力じゅうりょく いと天井てんじょう固定こていされている。
みぎかんがえる。これにおいて質量しつりょう しょうたま静止せいししている。物体ぶったい静止せいししているのでちから合力ごうりょくは 0 のはずである。したがって、 となる。

またいとつながっているならば、その張力ちょうりょくりょうはしひとしい。つまり天井てんじょういとられるちから となるのである。

3. 弾性だんせいりょく
バネをばそうとするとバネはもとながさにもどろうとちぢまる方向ほうこうちからあたえる。ぎゃくにバネをちぢめようとするとバネはびる方向ほうこうちからあたえる。これを弾性だんせいりょくという。また、バネになにちからあたえられていないときのながさを自然しぜんちょうという。

 

固定こていされたバネ。
うえなにちからあたえられていないバネ。
したられたバネ。
みぎにおいて、うえながさが自然しぜんちょうのバネで、したられることにより だけびたバネである。
ちぢめた/ばした方向ほうこうとはぎゃくきに弾性だんせいりょくははたらくので、弾性だんせいりょくは、 あらわされる。ただし、 をバネ定数ていすうという。またこれをフックの法則ほうそくという。

これら以外いがいにもちから様々さまざまあるが、これら以外いがいは「ちからのまとめ」で列挙れっきょしていく。

ちからのつりあい

[編集へんしゅう]

 複数ふくすうちから物体ぶったい作用さようしているにもかかわらず物体ぶったい運動うんどうしていない状態じょうたいを「ちからがつりあっている」という。これは複数ふくすうちから合力ごうりょくが0になっているからである。すなわち、物体ぶったい複数ふくすうちからがかかっているとすると、状態じょうたいが「ちからがつりあっている」という。これをかんがえるには垂直すいちょく抗力こうりょくかんがえが必要ひつようになる。

 

斜面しゃめんにおける物体ぶったい垂直すいちょく抗力こうりょく

 垂直すいちょく抗力こうりょくとは、物体ぶったい接触せっしょくしているほか物体ぶったい地面じめんとう固体こたいめんしているとき、そのちからめん垂直すいちょく成分せいぶんたいし、おなおおきさで反対はんたいきの、固体こたいめん物体ぶったいかえちからのことである。

 ひだりかんがえてみよう。まず質量しつりょう物体ぶったいには重力じゅうりょくがかかる。そしてしめすように、斜面しゃめん垂直すいちょく上向うわむきには垂直すいちょく抗力こうりょくがかかる。斜面しゃめん垂直すいちょく方向ほうこうたいしてちからはつりあっているから、重力じゅうりょく分解ぶんかいして、垂直すいちょく抗力こうりょくもとまる。地面じめんまたは垂直すいちょく物体ぶったいせっしているならば垂直すいちょく抗力こうりょくははたらく。いいかえると、垂直すいちょく抗力こうりょくおおきさが0になったとき物体ぶったい地面じめんからはなれるのである。

ちから図示ずし

[編集へんしゅう]

 力学りきがく基本きほんちからを"ただしく"図示ずしすることであり、まさしくえがけていれば問題もんだいはほぼけたものだとおもってい。なぜならば後述こうじゅつ運動うんどう方程式ほうていしきもちいることで、物体ぶったい運動うんどうかるからである。

 ちから図示ずしする方法ほうほうつぎ手順てじゅんおこなう。

  1.  れていないちからえがく。これは重力じゅうりょく万有引力ばんゆういんりょく)、静電気せいでんきりょく磁力じりょくの3つしか存在そんざいせず、力学りきがくにおいては重力じゅうりょく万有引力ばんゆういんりょく)である。
  2.  れているちからえがく。ひといと張力ちょうりょく弾性だんせいりょく摩擦まさつりょくなど。

 

いとつながれた2物体ぶったい

 この手順てじゅんしたがうと、たとえばみぎちから図示ずしあやまりなくできる。みぎは、質量しつりょうがそれぞれ物体ぶったいいとつながれていて、みぎはしいとちからっている(ちから矢印やじるしいとはなれたところにあるが、すこはなしてえがいたほうがちから図示ずし綺麗きれいにできる)。重力じゅうりょく加速度かそくどとすると、まず、手順てじゅん1からそれぞれに重力じゅうりょくがかかる。つぎいとはたるんでいないのでいと張力ちょうりょくが、みぎはし、2物体ぶったいあいだみぎからかる。垂直すいちょく抗力こうりょく重力じゅうりょくとは反対はんたいきにかかる。これで、すべてのちから図示ずしできた。(下図したず

 

いとつながれた2物体ぶったい図示ずし

運動うんどう方程式ほうていしき

[編集へんしゅう]

 質量しつりょう物体ぶったいすべての合力ごうりょくがかかっているとき

っている。このしき意味いみするところは、「ちからおおきさがかればその物体ぶったい運動うんどう様子ようすもわかる」ということである。早速さっそく例題れいだい2-1をいてみよう。

  • 摩擦まさつりょく

 運動うんどうだい1法則ほうそくより、なにちからがはたらいていなければ、物体ぶったい運動うんどうつづけるはずである。しかし現実げんじつではおおくの場合ばあいいつかは静止せいししてしまう(ボールを地面じめんころがしてみると理解りかいできるだろう)。これは、運動うんどうしているきとはぎゃくきにちから作用さようするからである。このようにあらい表面ひょうめんじょう物体ぶったい運動うんどうさまたげるきに作用さようするちから摩擦まさつりょくという。摩擦まさつりょくには静止せいし摩擦まさつりょくどう摩擦まさつりょくと2種類しゅるいある。

 ※粘性ねんせい摩擦まさつりょくもあるが、高校こうこうではあつかわれない。

1.静止せいし摩擦まさつりょく  あらいめんにおいて、物体ぶったい多少たしょうちからくわえてもビクともしない。これは摩擦まさつりょくがはたらいているからであり、このちから静止せいし摩擦まさつりょくという。したちから静止せいし摩擦まさつりょくはつりあっているから、である。

 しかし、ある摩擦まさつりょくおおきくすると、物体ぶったいうごす。そのうご直前ちょくぜん摩擦まさつりょく最大さいだい静止せいし摩擦まさつりょくという。このおおきさは、あらわせられる。ただし、静止せいし摩擦まさつ係数けいすうといい、地面じめん物体ぶったいによって様々さまざまをとる。垂直すいちょく抗力こうりょくである。

2.どう摩擦まさつりょく  物体ぶったい運動うんどうしているときにも、物体ぶったい摩擦まさつりょくける。だから物体ぶったい減速げんそく静止せいしするのである。この摩擦まさつりょくどう摩擦まさつりょくという。そしてこのおおきさ は、あらわせられる。静止せいし摩擦まさつ係数けいすうといい、垂直すいちょく抗力こうりょくである。

ちからのまとめ

[編集へんしゅう]

 様々さまざまちからてきたが、ここで一旦いったんまとめてみよう。重力じゅうりょく加速度かそくど とする。

 ちからかれば運動うんどう様子ようすもわかる、ということをしめしているしきである。 〔N〕は合力ごうりょくちからおおきさということに注意ちゅういせよ。

  • 重力じゅうりょく

 力学りきがくにおいて、まず最初さいしょかんがえるべきちからである。質量しつりょうがあるかぎりはかならずかかるちからである。「おもさ」ともいう。

  • いと張力ちょうりょく

 いとっているちからのこと。ぴんとっていればはたらいており、ちからいをかんがえられる。


  • 例題れいだい2-1
いとつながれた2物体ぶったい

 ひだりのようになめらかなゆか質量しつりょうがそれぞれ 物体ぶったいいとつながれていて、みぎはしいとちから る。重力じゅうりょく加速度かそくど としてつぎいにこたえよ。

(1) 加速度かそくどもとめよ。

(2) 2物体ぶったいつながれているいと張力ちょうりょくもとめよ。


  • 例題れいだい2-2

 なめらかな斜面しゃめんうえ質量しつりょう 物体ぶったいかれている。斜面しゃめん角度かくどは30°である。物体ぶったい天井てんじょう固定こていされたいとなな上方かみがたられ、いと鉛直えんちょく方向ほうこうとなすかくも 30° である。物体ぶったいゆかからのたかさを とし、重力じゅうりょく加速度かそくど とする。


(1) 物体ぶったいにかかるちからをすべてきだせ。

(2) いと張力ちょうりょく および、物体ぶったい斜面しゃめんからける垂直すいちょく抗力こうりょく をそれぞれもとめよ。

 つぎいとしずかにると、物体ぶったいすべりていった。

(3) この物体ぶったい斜面しゃめんすべりて地面じめん到着とうちゃくするときあいだもとめよ。


  • 弾性だんせいりょく

 ばねが自然しぜんちょうへともどろうとするちから〔m〕はバネのながさではなく、自然しぜんちょうからのながさである。


  • 例題れいだい2-3

 ひだりのようにバネが1ほん(①)と2ほん接続せつぞくされたバネが2種類しゅるい(②、③)ある。どのバネもかる丈夫じょうぶで、バネ定数ていすうは10 N/mである。それぞれを全体ぜんたいで20 cmばすにはなにNのちから必要ひつようか。


  • 垂直すいちょく抗力こうりょく

 作用さよう反作用はんさよう法則ほうそく地面じめんからかえされるちからのこと。〔N〕とはかぎらない。

  • 静止せいし摩擦まさつりょく

 作用さようさせるちからおおきさが一定いってい以下いかだと静止せいし摩擦まさつりょくにより物体ぶったいうごかない。静止せいし摩擦まさつりょくが"える"限界げんかいのとき、〔N〕となるし、限界げんかいでなければう。

  • どう摩擦まさつりょく

 こちらの摩擦まさつりょくうごいているならばいち定値ていち〔N〕をとる。

  • 圧力あつりょくちからではない)
圧力あつりょくがい

 ちからがあるめん全体ぜんたいくわわるときめん単位たんい面積めんせきたりにくわわるちからおおきさを圧力あつりょくという。圧力あつりょく単位たんいはパスカル〔Pa〕である。面積めんせきめんちから〔N〕がくわわったとすると、その圧力あつりょく〔Pa〕は、

〔Pa〕

である。

  • 水圧すいあつちからではない)
水圧すいあつ説明せつめい水深すいしんふかくなるほど、比例ひれいして水圧すいあつつよくなる。水圧すいあつ方向ほうこうは、物体ぶったいめん垂直すいちょく方向ほうこうはたらく。

 みずによる圧力あつりょく水圧すいあつという。みぎのように、水深すいしん〔m〕の水中すいちゅう上面うわつら面積めんせき〔m2〕をもつ物体ぶったいがあるとき、このうえには体積たいせき〔m3〕のみずがある。みず密度みつど〔kg/m3〕とすると、このみず質量しつりょう〔kg〕は、〔kg〕となる。よって、水圧すいあつ〔Pa〕は、

〔Pa〕
  • 浮力ふりょく
みずかぶ物体ぶったいは、物体ぶったいおもさと浮力ふりょくとがうときに、物体ぶったい静止せいしする。
また、浮力ふりょくおおきさは、水面すいめんからした物体ぶったい排除はいじょしたおもさによるちからおおきさにひとしい。

 「水圧すいあつ」とおなじく、ふか〔m〕のところにそこ面積めんせき〔m2たか〔m〕の物体ぶったいがあるとする。物体ぶったい体積たいせき〔m3〕とおく。この物体ぶったい上面うわつら下面かめんける水圧すいあつ〔Pa〕、〔Pa〕とすると、〔Pa〕、〔Pa〕となるので、物体ぶったいみずからける合力ごうりょく〔N〕は、

〔N〕

  • 例題れいだい2-4
みずうえしずかに物体ぶったいくとしずむことなくいた。

 かくあたり〔m〕の立方体りっぽうたいみずしずかにかべると、立方体りっぽうたいしずむことなく静止せいしした。みず密度みつど〔kg/m3〕とし立方体りっぽうたい密度みつど〔kg/m3〕、重力じゅうりょく加速度かそくど〔m/s2〕とする。

(1) このときの浮力ふりょく〔N〕をもとめよ。

 つぎに、ちから〔N〕で立方体りっぽうたいすと、〔m〕だけしずんだ。

(2) このときの浮力ふりょく〔N〕をもとめよ。

(3) 立方体りっぽうたいすべみずなかしずめるために最低限さいていげん必要ひつようちから〔N〕をもとめよ。


終端しゅうたん速度そくど

[編集へんしゅう]

 十分じゅうぶんなが坂道さかみちでキックボードにってさかくだってみたとする(危険きけんなので、絶対ぜったいにマネしないこと)。するとスビードは最初さいしょがるものの、加速度かそくど減少げんしょうしていき、最終さいしゅうてき一定いってい速度そくどになる。

 さて、なぜ終端しゅうたん速度そくどたっするのだろうか。それは、空気くうき抵抗ていこうりょくがはたらいているからであり、このちからおおきさはあらわせられる。空気くうき抵抗ていこうりょく比例ひれい定数ていすうであり、物体ぶったいはやさである。そしてこのきは当然とうぜん運動うんどう方向ほうこうぎゃくきである。

 終端しゅうたん速度そくど問題もんだいさい、”とうそく”というワードに注意ちゅういするとよりから、かんがえればい。つまり、ちからのつりあいかんがえてやればいのである。


  • 例題れいだい2-5
キックボードと無限むげんながさか

 あなたのわりにAくんがキックボードにって角度かくどのなめらかな斜面しゃめんながさが十分じゅうぶんながさかくだると、十分じゅうぶん時間じかんったのちはや一定いっていになった。Aくんとキックボードの質量しつりょう重力じゅうりょく加速度かそくどおおきさをとし、キックボードと地面じめんあいだ摩擦まさつはないものとする。さらに、はやさがのとき、空気くうき抵抗ていこうりょくがはたらくものとする。

(1) もとめよ。

(2) v-tグラフをけ。


慣性かんせいりょく

[編集へんしゅう]

 加速度かそくど〔m/s2〕で運動うんどうしている観測かんそくしゃからると質量しつりょう〔kg〕の物体ぶったいには加速度かそくどぎゃくきにちから〔N〕がはたらいているようにみえる。このかけのちから慣性かんせいりょくという。そしてたとえば右向みぎむきに加速度かそくど〔m/s2〕で減速げんそくしている電車でんしゃなかからえきのホームで静止せいししている質量しつりょう駅員えきいんると、駅員えきいん左向ひだりむきに加速度かそくど〔m/s2〕で減速げんそくしているようにえ、より駅員えきいんちからけているようにみえる。


  • 例題れいだい 2 - 6

 エレベーターに体重たいじゅうけいきそのうえ体重たいじゅう(質量しつりょう)60 kgの人間にんげんる。このとき、つぎいにこたえよ。ただし、重力じゅうりょく加速度かそくどを10 m/s2とする。

(1) エレベーターが一定いってい加速度かそくど5.0 m/s2下降かこうしている。このときに体重たいじゅうけいしめもとめよ。

(2) エレベーターが一定いってい加速度かそくど4.0 m/s2上昇じょうしょうしている。このときに体重たいじゅうけいしめもとめよ。

(3) 人間にんげん重量じゅうりょう状態じょうたいになるためのエレベーターの下向したむきの加速度かそくどおおきさをもとめよ。


  • 問題もんだい 2
滑車かっしゃ

 のように、質量しつりょう物体ぶったいいとにつなぎどう滑車かっしゃにかける。さらにそのどう滑車かっしゃ質量しつりょう物体ぶったいつながれたいとはしにつなぎてい滑車かっしゃにかける。重力じゅうりょく加速度かそくどとして、以下いかいにこたえよ。ただし、滑車かっしゃ質量しつりょう無視むしできるものとし、空気くうき抵抗ていこうかんがえないものとする。

(1) 3つの物体ぶったい運動うんどう方程式ほうていしきあらわせ。ただし、質量しつりょう物体ぶったい地面じめんたいする加速度かそくどおおきさをどう滑車かっしゃたいする質量しつりょう物体ぶったい地面じめんたいする加速度かそくどおおきさをとし、てい滑車かっしゃにかかるいと張力ちょうりょくとする。さらに、鉛直えんちょく下向したむきをせい方向ほうこうとする。

(2) もちいてあらわせ。

(3) 全体ぜんたい静止せいしするためには、ひだりみぎ物体ぶったい質量しつりょうをどのようにえたらいか。


剛体ごうたい

[編集へんしゅう]

 剛体ごうたいとはおもりょくくわえても変形へんけいしないとてもかた物体ぶったい固体こたいである。

 細長ほそながぼう水平すいへいつくえうえにおいていちはしちからくわえるとぼう回転かいてんする。このように、ちからには物体ぶったい回転かいてんさせる性質せいしつがある。これをちからのモーメントという。

 ちからのモーメントのおおきさ〔N・m〕は回転かいてんさせようとしているちから垂直すいちょく成分せいぶんおおきさを〔N〕、ある1てんからちから作用さようてんへの最短さいたん距離きょり〔m〕とすると、

となる。「ある1てん」の場所ばしょはどこでもよいが問題もんだい指定していされている場合ばあい指示しじしたがうこと。一般いっぱんてきはん時計とけいまわりのきをまさることがおおい。

 つぎちからのモーメントはう。”りょく回転かいてんさせる要素ようそ”がっている…ということは、「回転かいてんしない」とうことになる。いのしきは、ちからいと同様どうように、

この公式こうしきもちいてもよい。しかしこのしきではかりにくいのでつぎのようにかんがえるのがい。

(はん時計とけいまわりのちからのモーメント)=(時計とけいまわりのちからのモーメント)

では、例題れいだいつうじてどのように適用てきようすればいか確認かくにんしよう。


  • 例題れいだい2-7

 Aはし半径はんけい0.10 mでありBはし半径はんけい0.20 mである円錐えんすいだいがある。2人ふたりがこのりょうはしって時計とけいまわりにまわしてどちらがまわそうとした方向ほうこうまわるかきそうゲームをする。Bはしったひとが5.0 Nのちからまわそうとするとき、AはしったひとけないためにはなにNのちから必要ひつようか。


  • 例題れいだい2-8
シーソーに2人ふたり

 のようにシーソーをかんがえる。ただしシーソーは全長ぜんちょうが5.0 mで質量しつりょう無視むしできる丈夫じょうぶなものとする。Aはしに60 kg、Bはしに40 kgのひとる。シーソーが地面じめん水平すいへいになるためには支柱しちゅうOは左端ひだりはしからなにmにけばいか。重力じゅうりょく加速度かそくどを9.8 m/s2とする。


  • 問題もんだい3

 角度かくどえられるあら斜面しゃめんじょうよこたて物体ぶったいく。最初さいしょ斜面しゃめん角度かくどのとき、物体ぶったい静止せいしした。このとき、角度かくど直方体ちょくほうたい静止せいしできる最大さいだいかくである。斜面しゃめん物体ぶったい静止せいし摩擦まさつ係数けいすうとし、重力じゅうりょく加速度かそくどとする。

(1) 直方体ちょくほうたいにはたらく垂直すいちょく抗力こうりょく静止せいし摩擦まさつりょくおおきさをもとめよ。

(2) もとめよ。

(3) 静止せいし摩擦まさつ係数けいすうはいくら以上いじょうであるとかんがえられるか。もちいてあらわせ。


力学りきがくてきエネルギーと保存ほぞんそく

[編集へんしゅう]

 いままでは途中とちゅう経過けいかからなければ(速度そくど加速度かそくどもとめられなければ)運動うんどう様子ようすからなかった。こんこう保存ほぞんそく使つかえば、最終さいしゅう結果けっかであればかるようになるのである。

仕事しごと

[編集へんしゅう]

 物理ぶつりにおける「仕事しごと」のりょうつぎのように定義ていぎされる。

ここで注意ちゅういちから一定いってい場合ばあいにしかもちいることはできず、さらに移動いどうするのに”役立やくだつ”方向ほうこうおおきさをもちいなればならない。

仕事しごととは結果けっかである。これにたいして「これからやる」というまえ可能かのうせいをエネルギーという。

エネルギー保存ほぞんそく

[編集へんしゅう]

運動うんどうりょう保存ほぞんそく

[編集へんしゅう]

うえしき運動うんどう方程式ほうていしきから導出どうしゅつする。

よってF=0ならば運動うんどうりょうp(=mv)は変化へんかしない。

物体ぶったい衝突しょうとつ

[編集へんしゅう]

衝突しょうとつ問題もんだいは、運動うんどうりょう保存ほぞんそく衝突しょうとつしき並列へいれつしてく。

衝突しょうとつしき

物体ぶったい分裂ぶんれつ

[編集へんしゅう]

円運動えんうんどう

[編集へんしゅう]

円運動えんうんどう

[編集へんしゅう]

えん中心ちゅうしんかってxじくをとる。

物体ぶったい運動うんどう方向ほうこうかってyじくをとる。

水平すいへい円運動えんうんどう

[編集へんしゅう]

鉛直えんちょく円運動えんうんどう

[編集へんしゅう]

万有引力ばんゆういんりょく

[編集へんしゅう]

たん振動しんどう

[編集へんしゅう]

物体ぶったいがはじめに運動うんどうする方向ほうこうかってxじくをとる。

  1. ^ 微分びぶん積分せきぶんがく基本きほん定理ていりかぎりにおいて積分せきぶん微分びぶんたがいのぎゃく変換へんかんとなる。このかぎりにおいて、微分びぶんの「反対はんたい」は積分せきぶんとなる。よくられているように、アイザック・ニュートンゴットフリート・ライプニッツ幾何きかがくてき方法ほうほうたのまず、算術さんじゅつとして基本きほん定理ていりつことを発見はっけんしている。純粋じゅんすい幾何きかがくもちいた方法ほうほうでは、かれらに先立さきだ先駆せんくしゃすうめいいる。
  2. ^ 大雑把おおざっぱって積分せきぶんとは合計ごうけいもとめることである。たとえば時々刻々じじこくこく時給じきゅう計算けいさんして月々つきづき収入しゅうにゅう(ないし給与きゅうよがく)を算出さんしゅつしているとき、ひと積分せきぶんをしているのである。物理ぶつりがくかぎらず有用ゆうようれいとして、かくりつ期待きたい計算けいさんもまた積分せきぶんかんがえを利用りようしたものである。
  3. ^ 現実げんじつてきには走行そうこう速度そくどなどによらず一定いってい加速度かそくどることはむずかしい。とく最高さいこう速度そくど機械きかいてき限界げんかいによって規定きていされる場合ばあいには尚更なおさらである。しかし物理ぶつりがくにおいて、このような非常ひじょう大雑把おおざっぱ線引せんひきをしてみるとやくつことがおおい。
  4. ^ 危険きけんである。しかしながら物理ぶつりてきには可能かのうであるし、これは物理ぶつり例題れいだいなので現実げんじつ法的ほうてき問題もんだいにはれないこととする。
  5. ^ 厳密げんみつには「同義どうぎである」と仮定かていする。この仮定かていガリレイの相対性原理そうたいせいげんりからみちびかれる。
  6. ^ したがって、相手あいて興奮こうふんしたり威嚇いかくしたり、そうしたことによって相対そうたい速度そくど変化へんかするようなことはない。
  7. ^ 数値すうち計算けいさん能力のうりょくうような問題もんだいでないかぎり、計算けいさん煩雑はんざつにならないような数値すうちもちいられることがおおい。たとえば 19.6 は 9.8 でることができる。
  8. ^ この行動こうどう如何いか危険きけんであるかについては説明せつめいはぶく。物理ぶつりがく素晴すばらしいことは実際じっさい行動こうどうせずとも、紙面しめんうわ思考しこうなかでそれを確認かくにんできることである。
  9. ^ ちなみに、このように自由じゆう落下らっかした物体ぶったいはすかた投射とうしゃにより衝突しょうとつさせるような状況じょうきょうを「モンキー・ハンティング」という(Aは弾丸だんがん、Bはさるである)。
  10. ^ これは、「運動うんどうだい2法則ほうそく により理解りかいされるだろう。
  11. ^ とはえニュートンの定式ていしき現在げんざいしたしまれる形式けいしきとは幾分いくぶんことなっている。現代げんだいてき形式けいしき素地そじとなっているのは数学すうがくてきにはレオンハルト・オイラー仕事しごとであり、物理ぶつりてきにはジャン・ル・ロン・ダランベール仕事しごとであるとされる。