泉いずみ重しげる千代ちよ

いずみ しげちよ 泉いずみ 重しげる千代ちよ
生誕せいたん	(1865-08-20) 1865年ねん8月がつ20日はつか 日本にっぽん 奄美あまみ群島ぐんとう徳之島とくのしま
死没しぼつ	(1986-02-21) 1986年ねん2月がつ21日にち（120歳さい没ぼつ） 日本にっぽん 鹿児島かごしま県けん大島おおしま郡ぐん伊仙いせん町まち
職業しょくぎょう	農家のうか

泉いずみ 重しげる千代ちよ（いずみ しげちよ、男性だんせい、慶応けいおう元年がんねん6月29日にち（1865年ねん8月がつ20日はつか） - 昭和しょうわ61年ねん（1986年ねん）2月がつ21日にち）は、鹿児島かごしま県けん徳之島とくのしま（大島おおしま郡ぐん伊仙いせん町まち）出身しゅっしんの元もと世界せかい最さい長寿ちょうじゅ人物じんぶつ。

後のちに「世界せかい最さい長寿ちょうじゅ人物じんぶつ」の記録きろくはフランス人じんの女性じょせいジャンヌ・カルマン（1875年ねん - 1997年ねん、122歳さい没ぼつ）によって更新こうしんされたが、男性だんせいとしての「世界せかい最さい長寿ちょうじゅ人物じんぶつ」記録きろくはいまも彼かれが保持ほじしている。また、それとは別べつに1955年ねん以降いこう、世界せかい最さい高齢こうれいであった期間きかんがもっとも長ながい人物じんぶつでもある。

経歴けいれき

1865年ねん（慶応けいおう元年がんねん）に奄美あまみ群島ぐんとう徳之島とくのしま（当時とうじは薩摩さつま藩はん領内りょうない、現在げんざいの鹿児島かごしま県けん伊仙いせん町まち）で父ちち・為ため源げん、母はは・つるかめの長男ちょうなんとして生うまれたとされている。1871年ねん（明治めいじ4年ねん）に行おこなわれた日本にっぽん初はつの国勢調査こくせいちょうさで6歳さいと記録きろくされていることがその裏付うらづけである。生後せいご半年はんとしで両親りょうしんを亡なくしたため叔父おじに育そだてられ、1872年ねん（明治めいじ5年ねん）には祖父そふ・勝澄かつずみの養子ようしとなった。青年せいねん時代じだいはサトウキビ畑はたけでの労働ろうどうを行おこなっていたという。1904年ねん（明治めいじ37年ねん）に妻つま・みや（1965年ねん/昭和しょうわ40年ねんに逝去せいきょ）と結婚けっこん。この5年ねん後ごの1909年ねん（明治めいじ42年ねん）に、沖縄おきなわへの帆掛ほかけ舟ぶねで新婚しんこん旅行りょこうに出でかけた。

その後ご、1980年ねん（昭和しょうわ55年ねん）刊行かんこうのギネスブックに「世界せかい最さい長寿ちょうじゅ人物じんぶつ」として取とり上あげられ、地元じもと・伊仙いせん町まちから名誉めいよ町民ちょうみんの称号しょうごうを与あたえられた。

泉いずみは1980年ねん（昭和しょうわ55年ねん）4月がつ3日にち、114歳さいのときにギネスブック編集へんしゅう者しゃの正式せいしきな訪問ほうもんを受うけている。そして、こんなにも長生ながいきできた理由りゆうとして「神様かみさまと仏様ほとけさまとお天道様てんとさまのおかげ」と語かたった。またインタビューで、好すきな女性じょせいのタイプを聞きかれ、「やっぱり年上としうえかのう…」と答こたえた、という逸話いつわがある。黒砂糖くろざとうから作つくった焼酎しょうちゅうを好このみ、酒さけが長生ながいきの秘訣ひけつであると語かたった。

大だいのプロレスファンとしても知しられ『ビッグレスラー』誌しに読者どくしゃ投稿とうこうしたこともある。

1982年ねん（昭和しょうわ57年ねん）には、故郷こきょうである鹿児島かごしま県けん伊仙いせん町まち阿三あさんに全国ぜんこくの有志ゆうしによる寄付きふで銅像どうぞうが建設けんせつされた。1985年ねん8月がつ20日はつかには120歳さいになり、信頼しんらいに足たる記録きろくが確認かくにんされる中なかでは人類じんるい史上しじょう初はつの大だい還暦かんれきを迎むかえた（異論いろんは下記かき参照さんしょう）。1986年ねん（昭和しょうわ61年ねん）2月がつ21日にち、120歳さいで死去しきょ。法名ほうみょうは「釋しゃく壽ひさし重じゅう誓ちかい」。これにより、江戸えど時代じだい生うまれの人ひとは他たの国くにも含ふくめて全すべて他界たかいした。

生年せいねんに関かんする異論いろん

泉いずみが120歳さいまで生存せいぞんしたことは、日本にっぽん国内こくないではほぼ事実じじつであるという受うけ止とめ方かたが一般いっぱん的てきである。これは、最初さいしょの国勢調査こくせいちょうさにおいて記載きさいされている生年月日せいねんがっぴが正ただしく、かつ1986年ねんに亡なくなった人物じんぶつと国勢調査こくせいちょうさに記載きさいされた人物じんぶつが同一どういつであることを前提ぜんていとする。 1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）、泉いずみ重しげる千代ちよが満まん101歳さいとなった時とき、地元じもとの鹿児島大学かごしまだいがく医学部いがくぶ助教授じょきょうじゅ（当時とうじ）の福田ふくだ正臣まさおみは高齢こうれい者しゃ診察しんさつを行おこない、泉いずみに対たいして「100歳さいを過すぎても胃腸いちょうはすこぶる順調じゅんちょう。歯はがなくなったものの普通ふつうにご飯はんやおかずを食たべる、目めも耳みみも達者たっしゃである」という診察しんさつ結果けっかを発表はっぴょう。しかし福田ふくだは老齢ろうれい学がくの観点かんてんから泉いずみの年齢ねんれいについて疑念ぎねんを持もち、1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）の日本にっぽん老年ろうねん医い学会がっかいで彼かれの世界せかい最高さいこう年齢ねんれい生存せいぞん記録きろくについて否定ひていの見解けんかいを述のべた。　厳密げんみつには泉いずみが間違まちがいなく1865年ねん生うまれであったかどうかについては議論ぎろんの余地よちが存在そんざいする。

ギネスブックによって泉いずみが「世界せかい最さい高齢こうれい」と認定にんていされて以降いこう、ほかにも「実際じっさいには泉いずみが生うまれたのはもっと遅おそいのではないか？」等とうの意見いけんが週刊しゅうかん誌しなどにも取とり上あげられた。

『週刊しゅうかん読売よみうり』の1980年ねん12月7日にち号ごうは、「泉いずみ重しげる千代ちよさんの115歳さい説せつに疑問ぎもんがある!」と題だいして、泉いずみ重しげる千代ちよの戸籍こせきの記録きろくについて信憑しんぴょう性せいが薄うすい根拠こんきょとして以下いかを指摘してきした。

• 泉いずみ重しげる千代ちよの戸籍こせきに実じつ父母ちちははの記載きさいがない
• 戸籍こせきの記録きろくでは、14歳さい以下いかの養父ようふから7歳さいの泉いずみ重しげる千代ちよが家督かとくを相続そうぞくしている。

また ”徳之島とくのしまには、過去かこ帳ちょうや寺てら請制度せいどの前提ぜんていとなる寺てらが存在そんざいしなかったために生年せいねんに記録きろくされた証拠しょうこ文書ぶんしょがない。 初はじめて戸籍こせきが作成さくせいされたときに記録きろくされた戸籍こせきは自己じこ申告しんこくであり信頼しんらい性せいが薄うすかったのではないか” ”1865年ねんというのは早世そうせいした兄あにの生年せいねんであり、実際じっさいの泉いずみは1880年ねん前後ぜんごの生うまれであるが、兄あにの生年月日せいねんがっぴが使つかわれていたのだ” と指摘してき。 1872年ねんの壬みずのえ申さる戸籍こせきに泉いずみ重しげる千代ちよの記録きろくがあることから、彼かれを1880年ねん前後ぜんこうに生うまれたとするのは矛盾むじゅんになるが、この点てんについて『週刊しゅうかん読売よみうり』は”徳之島とくのしまが離島りとうであるため、戸籍こせき作成さくせいが遅おくれたのではないか”と述のべている。

『週刊しゅうかん読売よみうり』はその後ごも、1984年ねん12月2日にち号ごうでは「*スクープ 泉いずみ重しげる千代ちよさんは104歳さいだった!ギネス「世界一せかいいち」(119歳さい)返上へんじょうへ」といったタイトルの記事きじを掲載けいさいしたり、1986年ねん3月がつ9日にち号ごうでは「世界一せかいいちの長寿ちょうじゅ 故こ・泉いずみ重しげる千代ちよさんの「120歳さい」に疑義ぎぎあり 泉いずみ重しげる千代ちよは2人にんいたのか?」と泉いずみの死去しきょ時じに報ほうじるなどした。しかし、以降いこうは積極せっきょく的てきな検証けんしょうはなされていない状況じょうきょうである。

関連かんれん項目こうもく

• 本郷ほんごうかまと - 後ごの世界せかい最さい長寿ちょうじゅ者しゃ。出身しゅっしん地ちが彼かれと同おなじ伊仙いせん町まちである。