クリストファー・ノーラン

クリストファー・ノーラン Christopher Nolan
2013年ねん
生年月日せいねんがっぴ	(1970-07-30) 1970年ねん7月がつ30日にち（54歳さい）
出生しゅっしょう地ち	イングランド・ロンドン
国籍こくせき	イギリス アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
職業しょくぎょう	映画えいが監督かんとく
ジャンル	映画えいが監督かんとく・映画えいがプロデューサー・脚本きゃくほん家か
配偶はいぐう者しゃ	エマ・トーマス（1997年ねん - ）
著名ちょめいな家族かぞく	ジョナサン・ノーラン（弟おとうと）
主おもな作品さくひん
『メメント』 『ダークナイト トリロジー』 『インセプション』 『インターステラー』 『ダンケルク』 『TENET テネット』
受賞じゅしょう ロサンゼルス映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう 脚本きゃくほん賞しょう 2001年ねん『メメント』 放送ほうそう映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょう オリジナル脚本きゃくほん賞しょう 2001年ねん『メメント』 アクション映画えいが賞しょう 2008年ねん『ダークナイト』 2010年ねん『インセプション』 MTVムービー・アワード 新人しんじん監督かんとく賞しょう 2002年ねん『メメント』 AFI賞しょう 脚本きゃくほん賞しょう 2001年ねん『メメント』 日本にっぽんアカデミー賞しょう 最優秀さいゆうしゅう外国がいこく語ご作品さくひん賞しょう 2008年ねん『ダークナイト』 ブルーリボン賞しょう 外国がいこく語ご作品さくひん賞しょう 2008年ねん『ダークナイト』 その他たの賞しょう

クリストファー・ノーラン（Christopher Nolan, 1970年ねん7月がつ30日にち -）は、イギリス出身しゅっしんの映画えいが監督かんとく・映画えいがプロデューサー・脚本きゃくほん家か。

プロフィール

ロンドンでコピーライターの父ちちと客室きゃくしつ乗務じょうむ員いんの母ははのもとに生うまれる。父親ちちおやはイングランド人じん、母親ははおやはアメリカ人じんであるため、イギリスとアメリカの国籍こくせきを持もつ。幼少ようしょうの頃ころはロンドンとシカゴの両方りょうほうで過すごした。その後ごハートフォードシャーのインデペンデント・スクールであるヘイリーベリー・アンド・インペリアル・サービス・カレッジを卒業そつぎょう後ご、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン大学だいがくに入学にゅうがく。英えい文学ぶんがくを学まなぶ傍かたわら、短編たんぺん映画えいがの制作せいさくをはじめる。映画えいが製作せいさくではなく英えい文学ぶんがくを専攻せんこうした理由りゆうについては「視点してんを広ひろげるため」と語かたっている。大学だいがくを選えらんだ理由りゆうは映画えいが製作せいさく施設しせつの整ととのっていることも挙あげており、同どう大学だいがくの映画えいがソサエティのプレジデントを務つとめた。

1998年ねん、『フォロウィング』で初はじめて長編ちょうへん映画えいがの監督かんとくを務つとめる。2作さく目めとなった『メメント』の脚本きゃくほんは、弟おとうとのジョナサン・ノーランが書かいた短編たんぺんを基もとにしている。この作品さくひんで一気いっきに注目ちゅうもくされるようになり、ロサンゼルス映画えいが批評ひひょう家か協会きょうかい賞しょうやインディペンデント・スピリット賞しょうなどを受賞じゅしょう、アカデミー脚本きゃくほん賞しょうにもノミネートされる。

2000年代ねんだいには新生しんせい『バットマン』シリーズの監督かんとくに抜擢ばってきされる。2005年ねん公開こうかいの『バットマン ビギンズ』では期待きたいに反はんし平凡へいぼんな興行こうぎょう成績せいせきに留とまるも、2008年ねん公開こうかいの続編ぞくへん『ダークナイト』は公開こうかい6日にちで『バットマン ビギンズ』の興行こうぎょう収入しゅうにゅうを超こえて『バットマン』シリーズ最大さいだいのヒットとなり、最終さいしゅう的てきに全米ぜんべい興行こうぎょう収入しゅうにゅう歴代れきだい2位い、世界せかい興行こうぎょう収入しゅうにゅう歴代れきだい4位いを記録きろくした（全すべて公開こうかい時じ）。また、悪役あくやく「ジョーカー」を演えんじたヒース・レジャーは第だい81回かいアカデミー賞しょう助演じょえん男優だんゆう賞しょうを受賞じゅしょう。この作品さくひんの成功せいこうによりノーランが監督かんとくした『バットマン』シリーズはアメリカでは『ダークナイト・トリロジー』と呼よばれるようになった。2012年ねん公開こうかいの完結かんけつ作さく『ダークナイト ライジング』でも監督かんとくを務つとめた。

以降いこうも製作せいさく費ひ1億おくドル超ちょう（所謂いわゆるビッグバジェット）のオリジナル作品さくひんである『インセプション』(2010年ねん)、『インターステラー』(2014年ねん)、『ダンケルク』(2017年ねん)がいずれも全米ぜんべい興きょう収おさむ1億おく8000万まんドルを超こえており、アカデミー賞しょう複数ふくすう部門ぶもんノミネートとなるなど、作家さっか主義しゅぎと大作たいさく主義しゅぎの両立りょうりつに最もっとも成功せいこうしている一人ひとりと評ひょうされる。

2019年ねん1月がつ25日にちには、次回じかい作さく『TENET テネット』の公開こうかい日びが2020年ねん7月がつ17日にちであるとワーナーブラザーズが発表はっぴょうした。しかし新型しんがたコロナウィルス感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうでアメリカ国内こくないでは映画えいが館かんが閉鎖へいさされている状況じょうきょうを受うけ、公開こうかい日びは7月がつ31日にち、8月がつ12日にちと延期えんきされ、最終さいしゅう的てきには8月がつ26日にちに欧州おうしゅうから段階だんかい的てきに世界せかいで公開こうかいし、全米ぜんべい公開こうかいは9月2日にちとなった(日本にっぽん国内こくない公開こうかいは当初とうしょの予定よてい通どおり9月がつ18日にち)。この影響えいきょうで、『TENET テネット』の全米ぜんべい興きょう収おさむは約やく5700万まんドルと大おおきく低迷ていめい、興行こうぎょうとしては失敗しっぱいに終おわった。

私生活しせいかつでは、1997年ねんに大学だいがくの同級生どうきゅうせいであり映画えいがプロデューサーのエマ・トーマスと結婚けっこん。4人にんの子供こどもと共ともにロサンゼルス在住ざいじゅう。また、左利ひだりききである。

作風さくふう

• インターネット嫌きらいを公言こうげんしており、『インターステラー』にはパソコン、携帯けいたい電話でんわなどインターネットを想起そうきさせるものは出ださなかった。その理由りゆうとして「ネットのせいでみんな本ほんを読よまなくなった。書物しょもつは知識ちしきの歴史れきし的てきな体系たいけいだ。ネットのつまみ食ぐいの知識ちしきではコンテクストが失うしなわれてしまう」と語かたっている。
• IMAXを初はじめて長編ちょうへん映画えいがで使用しようした監督かんとくである。あまり最先端さいせんたん技術ぎじゅつには興味きょうみを示しめさず、『ダークナイト』ではCGではない本物ほんもののビルを丸まるごと1棟むね爆破ばくはして撮影さつえいを行おこなった。『インターステラー』で使つかわれている一部いちぶの地球ちきゅうの映像えいぞうはCGではなく実際じっさいにジェット機じぇっときの先端せんたんにIMAXカメラを搭載とうさいし成層圏せいそうけんで撮とったものである。また、『TENET テネット』では退役たいえきした飛行機ひこうき（ボーイング747）を購入こうにゅうし、実際じっさいに倉庫そうこに激突げきとつさせて撮影さつえいをした。大掛おおがかりな撮影さつえいが困難こんなんな時ときはミニチュアなどによる特撮とくさつを起用きようし極力きょくりょくCGの使用しようを避さけている。撮影さつえい現場げんばでは第だい二に班はん（本編ほんぺん撮影さつえいとは別べつに、背景はいけいやアクションシーンなど、ドラマシーケンス間あいだを構成こうせいする、つなぎのシーケンスを担当たんとうする撮影さつえいチーム）監督かんとくをほとんど使つかわず、自みずからカメラの横よこに立たって撮影さつえいを行おこなう姿勢しせいを貫つらぬいている。
• 同おなじ俳優はいゆうを積極せっきょく的てきに起用きようすることで知しられる。特とくにマイケル・ケインは『バットマン ビギンズ』以降いこうの長編ちょうへん８作品さくひん全すべてに出演しゅつえんしている（『ダンケルク』はカメオ出演しゅつえん）。また、主要しゅような製作せいさくスタッフを固定こていすることでも知しられ、音楽おんがくをハンス・ジマー（『バットマン ビギンズ』以降いこうの監督かんとく作さく７作品さくひん中ちゅう６作品さくひん）、編集へんしゅうをリー・スミス（『バットマン ビギンズ』以降いこうの７作品さくひん全すべて）、美術びじゅつをネイサン・クロウリー（『バットマン ビギンズ』以降いこうの７作品さくひん中ちゅう６作品さくひん）が担当たんとうすることが多おおい。撮影さつえいは『メメント』以降いこう『ダークナイト ライジング』まで一貫いっかんしてウォーリー・フィスターを起用きようしていたが、フィスターが映画えいが監督かんとくを志向しこうしたため、『インターステラー』以降いこうはオランダの撮影さつえい監督かんとくであるホイテ・ヴァン・ホイテマを起用きようしている。
• 現在げんざいの映画えいが界かいではほとんどの監督かんとくがデジタルカメラで撮影さつえいしているが、彼かれはフィルムを使つかった撮影さつえいを行おこなっている。2014年ねん8月がつには、他たの数すう人にんの映画えいが監督かんとくと共ともに映画えいがスタジオに働はたらきかけ、フィルムメーカーのコダックから今後こんご 一いち定量ていりょうのフィルムを購入こうにゅうする契約けいやくを締結ていけつさせたため、経営けいえい難なんだったコダックはフィルム製造せいぞうの継続けいぞくが可能かのうになった。
• 音響おんきょう面めんでは「無限むげん音階おんかい（シェパード・トーン）」を多用たようしていて、ほぼ全ぜん作品さくひんで使つかわれている。
• 『007』シリーズのファンであり、2010年ねんの『インセプション』公開こうかい時じに初はじめて「いつかボンド映画えいがを監督かんとくしたい」と発言はつげんしており、現在げんざいもシリーズのプロデューサーと話はなし合あいを続つづけている。特とくに『女王じょおう陛下へいかの007』が気きに入いっていると述のべている。また、『バットマン』シリーズや『インセプション』がボンド映画えいがの影響えいきょうを受うけていることも明あかしている。『バットマン』3部ぶ作さくを監督かんとくするにあたって最もっとも影響えいきょうを受うけた映画えいがとして、リチャード・ドナー監督かんとくの『スーパーマン』と「007」シリーズ、特とくに『007 ロシアより愛あいをこめて』を挙あげ、『ダークナイト』ではヒース・レジャー演えんじるジョーカーが『ロシアより愛あいをこめて』に登場とうじょうするナイフ付つきの靴くつを使用しようするシーンがある。また『私わたしを愛あいしたスパイ』以来いらい「007」シリーズでフィジカル・エフェクトやミニチュア撮影さつえいを担当たんとうしているクリス・コーボールドを特技とくぎ監督かんとくに起用きようし、『007 サンダーボール作戦さくせん』末尾まつびのフルトン回収かいしゅうシステムを『ダークナイト』に「スカイフック」として登場とうじょうさせ、『消けされたライセンス』冒頭ぼうとうの飛行機ひこうきを飛行機ひこうきで釣つり上あげる場面ばめんは『ダークナイト ライジング』でそっくりな見みせ場ばを作つくっている。
• 2013年ねんには「Sight and Sound マガジン」にて、好すきな映画えいがとして『殺ころし屋やたちの挽歌ばんか』（1984年ねん）、『十じゅう二に人にんの怒おこれる男おとこ』（1957年ねん）、『シン・レッド・ライン』（1998年ねん）、『怪人かいじんマブゼ博士はかせ』（1933年ねん）、『ジェラシー』（1980年ねん）、『戦場せんじょうのメリークリスマス』（1983年ねん）、『宇宙うちゅうへのフロンティア』（1989年ねん）、『コヤニスカッツィ』（1983年ねん）、『アーカディン/秘密ひみつ調査ちょうさ報告ほうこく書しょ』（1955年ねん）、『グリード』（1925年ねん）の10本ほんを挙あげている。

フィルモグラフィ

長編ちょうへん映画えいが(監督かんとく作品さくひん)

公開こうかい年ねん	タイトル	配給はいきゅう会社かいしゃ	RTスコア	IMDbスコア	興行こうぎょう収入しゅうにゅう	クレジット
1998	フォロウィング Following	モメンタム・ピクチャーズ	76%	7.6	$48,482	監督かんとく/製作せいさく/脚本きゃくほん/撮影さつえい/編集へんしゅう
2000	メメント Memento	ニューマーケット・フィルムズ	93%	8.6	$39,723,096	監督かんとく/脚本きゃくほん
2002	インソムニア Insomnia	ワーナー・ブラザーズ	93%	7.2	$113,714,830	監督かんとく
2005	バットマン ビギンズ Batman Begins		85%	8.3	$374,218,673	監督かんとく/脚本きゃくほん
2006	プレステージ The Prestige	タッチストーン・ピクチャーズ ワーナー・ブラザーズ	76%	8.5	$109,676,311	監督かんとく/製作せいさく/脚本きゃくほん
2008	ダークナイト The Dark Knight	ワーナー・ブラザーズ	94%	9.0	$1,004,558,444	監督かんとく/製作せいさく/原案げんあん/脚本きゃくほん
2010	インセプション Inception		87%	8.8	$825,532,764	監督かんとく/製作せいさく/原案げんあん/脚本きゃくほん
2012	ダークナイト ライジング The Dark Knight Rises		87%	8.8	$1,084,939,099	監督かんとく/製作せいさく/原案げんあん/脚本きゃくほん
2014	インターステラー Interstellar	ワーナー・ブラザーズ パラマウント映画えいが	70%	8.6	$701,729,127	監督かんとく/製作せいさく/脚本きゃくほん
2017	ダンケルク Dunkirk	ワーナー・ブラザーズ	92%	7.9	$526,940,665	監督かんとく/製作せいさく/脚本きゃくほん
2020	TENET テネット Tenet		70%	7.5	$363,129,000	監督かんとく/脚本きゃくほん/製作せいさく

短編たんぺん映画えいが

• Tarantella (1989年ねん、監督かんとく・脚本きゃくほん・製作せいさく) - 未み公開こうかい
• Larceny (1995年ねん、監督かんとく・脚本きゃくほん・製作せいさく) - 未み公開こうかい
• Doodlebug (1997年ねん、監督かんとく・脚本きゃくほん・撮影さつえい・編集へんしゅう・美術びじゅつ) - 初はつ監督かんとく作品さくひん
• Quay (2015年ねん、監督かんとく) - ドキュメンタリー

出演しゅつえん

• サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ Side by Side（2012年ねん）

関連かんれん項目こうもく

• シンコピー・フィルムズ
• スラムダンス映画えいが祭さい

関連かんれん文献ぶんけん

• トッド・マガウアン『クリストファー・ノーランの嘘うそ／思想しそうで読よむ映画えいが論ろん』（フィルムアート社しゃ、2017年ねん）
• Telegraph.co.uk Interview with Christopher Nolan and Christian Bale

外部がいぶリンク

• クリストファー・ノーラン - allcinema
• クリストファー・ノーラン - KINENOTE
• Christopher Nolan - IMDb（英語えいご）
• NolanFans.com Premiere Fan Community