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じゃく形式けいしき

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数学すうがくにおいてじゃく形式けいしき(じゃくけいしき、えい: weak formulation)は、線型せんけい代数だいすうがく概念がいねんを、たとえばへん微分びぶん方程式ほうていしきなどのほか分野ぶんやにおいて問題もんだいくためにもちいることを可能かのうにする、重要じゅうよう解析かいせきじょう道具どうぐである。じゃく形式けいしきにおいて、方程式ほうていしき絶対ぜったいせいはもはや要求ようきゅうされず(適切てきせつである必要ひつようすらない)、わりにあるテストベクトルあるいはテスト函数かんすうかんするじゃくかい存在そんざいする。これはちょう函数かんすう意味いみかい要求ようきゅうする問題もんだい構成こうせいすることと同値どうちである。

ここではじゃく形式けいしきかんするいくつかのれい紹介しょうかいし、そのかいたいする主要しゅよう定理ていりであるラックス=ミルグラムの定理ていり(Lax-Milgram theorem)をべる。

一般いっぱん概念がいねん

をあるバナッハ空間くうかんとする。つぎ方程式ほうていしきかい つけたい。

ただ および であり、双対そうついである。

定義ていぎよりこの問題もんだいすべての たいしてつぎたすような つけることと同値どうちである:

.

ここで をテストベクトルあるいはテスト函数かんすうぶ。

これをじゃく形式けいしきによる一般いっぱんてきかたちえる。すなわち、つぎたす つける:

ただし そう線型せんけい形式けいしき

である。以上いじょう説明せつめい非常ひじょう抽象ちゅうしょうてきであるため、以下いかではいくつかのれいる。

れい1:線型せんけい連立れんりつ方程式ほうていしき

線型せんけい写像しゃぞうとする。このとき、方程式ほうていしき

じゃく形式けいしきは、すべての たいしてつぎ方程式ほうていしきたす つけることとなる。

ここで 内積ないせきあらわす。

線型せんけい写像しゃぞうなので、基底きていベクトルにたいして調しらべれば十分じゅうぶんである。すると

られる。実際じっさい展開てんかいすることで、つぎ行列ぎょうれつ形式けいしきでの方程式ほうていしきられる。

ここで および である。

このじゃく形式けいしき関連かんれんするそう線型せんけい形式けいしきは、つぎあたえられる。

れい2 ポアソン方程式ほうていしき

ここでの目標もくひょうは、ある領域りょういき うえつぎポアソン方程式ほうていしき

かいで、境界きょうかい となるようなものをつけることである。またかい空間くうかん 後述こうじゅつ議論ぎろん決定けっていする。じゃく形式けいしき導出どうしゅつのために、つぎ-スカラー内積ないせきもちいる:

微分びぶん可能かのう函数かんすう をテスト函数かんすうとしてもちいることで、つぎられる。

この方程式ほうていしき左辺さへんは、グリーンの恒等こうとうしきもちいた部分ぶぶん積分せきぶんにより、より対称たいしょうてきつぎ形式けいしき記述きじゅつできる。

これはまさしくポアソン方程式ほうていしきじゃく形式けいしき通常つうじょうばれるものである。ここで空間くうかん 定義ていぎする必要ひつようがある。この空間くうかんは、この方程式ほうていしきみちびけるものでなければならない。したがってこの空間くうかんにおけるしるべ函数かんすう二乗にじょう積分せきぶんである必要ひつようがある。実際じっさい、ゼロ境界きょうかい条件じょうけんで、じゃく微分びぶんぞく函数かんすうからなるソボレフ空間くうかん かんがえれば、目的もくてきたされる。

つぎのように記号きごうさだめることで、一般いっぱんてきかたちることが出来できる:

および

ラックス=ミルグラムの定理ていり

これはそう線型せんけい形式けいしき対称たいしょう部分ぶぶん性質せいしつ依存いぞんするラックス=ミルグラムの定理ていり(Lax-Milgram theorem)の構成こうせいである。もっと一般いっぱんてきかたちというわけではない。

ヒルベルト空間くうかんとし、 うえそう線型せんけい形式けいしきで、つぎたすものとする:

  1. 有界ゆうかい
  2. 強圧きょうあつてき

このとき、任意にんいたいして、つぎ方程式ほうていしきにはただひとつのかい 存在そんざいする。

またつぎ成立せいりつする。

れい1への応用おうよう

この場合ばあい、ラックス=ミルグラムの定理ていり適用てきようすることはあきらかに十分じゅうぶんすぎるものであるが、場合ばあい同様どうようかたちにするためにこの定理ていり使用しようする。

  • 有界ゆうかいせい うえのすべてのそう線型せんけい形式けいしき有界ゆうかいである。とくに、つぎつ。
  • 強圧きょうあつせい: これは実際じっさい固有値こゆうち よりもちいさくないことを意味いみする。これはとくに、ゼロ固有値こゆうち存在そんざいしないことを意味いみするので、けいかいである。

さらにつぎ評価ひょうかられる。

ここで 固有値こゆうち最小さいしょうである。

れい2への応用おうよう

上述じょうじゅつのように、 とし、ノルムはつぎさだめる。

ここで右辺うへんのノルムは うえでの -ノルムである(ポアンカレ不等式ふとうしきにより、これはまさしく うえのノルムをあたえる)。しかし、 であり、コーシー=シュワルツの不等式ふとうしきよりつぎつ:

したがって、任意にんいたいして、ポアソン方程式ほうていしきただひとつのかい 存在そんざいし、つぎ評価ひょうかられる。

関連かんれん項目こうもく

参考さんこう文献ぶんけん

  • Lax, Peter D.; Milgram, Arthur N. (1954). “Parabolic equations”. Contributions to the theory of partial differential equations. Annals of Mathematics Studies, no. 33. Princeton, N. J.: Princeton University Press. pp. 167–190  MR0067317

外部がいぶリンク