通とおりゃんせ

『通とおりゃんせ』（とおりゃんせ）は、江戸えど時代じだいに成立せいりつしたと見みられる日本にっぽんのわらべうた（童謡どうよう）。遊あそび歌かとして知しられ、その遊戯ゆうぎもいう。

作詞さくし者しゃ不明ふめい、本ほん居きょ長世ながよ編へん・作曲さっきょく、あるいは、野口のぐち雨情うじょう作さくとも伝つたえられる（1920年ねん頃ごろ収録しゅうろくレコードに作者さくしゃとして記載きさいされている）。

歌詞かし

意味いみ

「通とおりゃんせ」発祥はっしょうの地ち碑ひ
（小田原おだわら市し山やま角かく天神てんじん社しゃ）

「通とおりゃんせ」発祥はっしょうの地ち碑ひ
（小田原おだわら市し国府津こうづ菅原すがわら神社じんじゃ）

神奈川かながわ県けん小田原おだわら市し南町みなみまちの山やま角かく天神てんじん社しゃ、および同市どうし国府津こうづの菅原すがわら神社じんじゃや、埼玉さいたま県けん川越かわごえ市しの三さん芳野よしの神社じんじゃが舞台ぶたいであるという説せつがあり、共ともに発祥はっしょうの碑いしぶみがある。

このほか関所せきしょを舞台ぶたいとするという説せつ（出立しゅったつは楽らくだが帰還きかんの際さいは厳きびしく調しらべられるという歌詞かし）もある。

この歌詞かしの意味いみに神隠かみがくし伝説でんせつや人柱ひとばしら、埋蔵まいぞう金きん伝説でんせつの関連かんれん付づけをする人ひとは多おおく、しばしば小説しょうせつや映画えいが、ドラマ、ゲーム等ひとしの創作そうさくの題材だいざいとして取とり上あげられる。また、様々さまざまな陰謀いんぼう説せつもある。

歌詞かしの「行いきはよいよい　帰かえりはこわい」が、被ひ差別さべつ部落ぶらくへの一本いっぽん道どうを意味いみしているとする説せつがあるため、東京とうきょうでは放送ほうそうできるが大阪おおさかでは放送ほうそうできず排除はいじょされる形かたちとなっている。

通とおりゃんせ原文げんぶん

通とおりゃんせ　通とおりゃんせ
ここはどこの　細道ほそみちじゃ
天神てんじんさまの　細道ほそみちじゃ
ちっと通とおして　下おろしゃんせ
御用ごようのないもの　通とおしゃせぬ
この子この七ななつの　おいに
お札さつを納おさめに　まいります
行いきはよいよい　帰かえりはこわい
こわいながらも
通とおりゃんせ　通とおりゃんせ

歌うたの訳わけ

通とおりなさい、通とおりなさい。
ここは、どこの細道ほそみちですか?
天神てんじん様さまの細道ほそみちですよ。
ちょっと通とおして下くださいませんか?
御用ごようの無ない者ものは、通とおしはしません。
この子この七ななつの御祝おいわいに、御札おさつを納おさめに参まいります。
行いきは良よいですが、帰かえってくるのは難むずかしい。
難むずかしいですが、
通とおりなさい、通とおりなさい。

楽譜がくふ

遊戯ゆうぎ

二人ふたりの子供こどもが向むかい合あって立たち両手りょうてを繋つないで挙あげ関所せきしょをつくり、他たの子供こどもたちが列れつになってこの手ての下したをくぐっていく。この間あいだ、『とおりゃんせ』を歌うたい、歌うたの終おわりで、両手りょうてを挙あげていた子供こどもらがさっと手てを下おろす。ちょうどそこにいきあたった子供こどもがつかまって関所せきしょ役やくの子供こどもと交代こうたいする。

ロンドン橋きょう落おちたと同様どうようの遊あそび方かたもある。

使用しよう・歌唱かしょう・アレンジ等とう

音響おんきょう装置そうち付づけ信号しんごう機き

かつて、日本にっぽんの横断おうだん歩道ほどうに設置せっちされている音響おんきょう装置そうち付づけ信号しんごう機きには、いろいろな曲きょくのメロディが使用しようされていたが、視覚しかく障碍しょうがい者しゃの混乱こんらんを招まねくことも少すくなくなかったため、1975年ねんに2種しゅのメロディ（『通とおりゃんせ』、『故郷こきょうの空そら』）および2種しゅの鳥とりの擬音ぎおん（「ピヨ」、「カッコー」）が制定せいていされた。

その後ご、2003年ねんに、今後こんごの音響おんきょう装置そうち付づけ信号しんごう機きには鳥とりの擬音ぎおんを使用しようしたものを設置せっちするように通達つうたつが出だされた。そのため、『通とおりゃんせ』に限かぎらずメロディを使用しようしたものは、鳥とりの擬音ぎおんを採用さいようした信号しんごう機きに置おき換かえられつつある。

その他た

• 1961年ねんに北原きたはら謙二けんじが歌うたい、シングル盤ばんとして発売はつばいした歌謡かよう曲きょく「日暮ひぐれの小径しょうけい」（作詞さくし：へてなたつ、作曲さっきょく：鈴木すずき英治えいじ）の曲きょく中ちゅうで、本ほん楽曲がっきょくのフレーズを引用いんようしている。
• 1969年ねん2月がつ、NHKの『みんなのうた』で歌うたわれた。歌うたは東京とうきょう少年しょうねん少女しょうじょ合唱がっしょう隊たい。映像えいぞうは木馬もくば座ざ製作せいさくのアニメ。
• 80年代ねんだい、ロッテチョコレート「ほおずき」のCMに本ほん曲きょくが使つかわれたことがある。
• 1982年ねんの増村ますむら保たもつ造づくり監督かんとく映画えいが『この子この七ななつのおいに』のテーマ曲きょくとして使用しようされた。
• 2006年ねんに文化庁ぶんかちょうと日本にっぽんPTA全国ぜんこく協議きょうぎ会かいが「日本にっぽんの歌うた百ひゃく選せん」に選定せんていした。
• フジテレビの子供こども向むけ番組ばんぐみ『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』で、町まちあかりが「歌うたのお姉ねえさん」として替かえ歌うた「わ、分わからない… 通とおりゃんせ」を歌うたい、2019年ねん発売はつばいのアルバム『あかりおねえさんのニコニコへんなうた』に収録しゅうろくされた。
• 2020年ねんよりカーセンサーのCMに使つかわれる。このためCMは元もと曲きょくと同様どうようのシュールさを持もつ。
• 2024年ねんには新あたらしい学校がっこうのリーダーズが通とおりゃんせをモチーフとした配信はいしん限定げんていシングル「Toryanse」をリリース。

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの音響おんきょう装置そうち付づけ信号しんごう機き

外部がいぶリンク

• 「通とおりゃんせ」発祥はっしょうの地ちで歌詞かしの意味いみを探さぐる - デイリーポータルZ