アニリン塩酸えんさん塩しお

アニリン塩酸えんさん塩しお
	IUPAC名めい塩化えんかアニリニウム
	別称べっしょう塩酸えんさんアニリン、塩酸えんさんベンゼンアミン、アニリン塩しお、塩酸えんさんフェニルアミン、塩化えんかアニリン、塩化えんかフェニルアンモニウム、UN 1548, C.I. 76001
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう	142-04-1
PubChem	8870
EC番号ばんごう	205-519-8
RTECS番号ばんごう	CY0875000
	SMILES C1=CC=C(C=C1)N.Cl;
	InChI InChI=1/C6H7N.ClH/c7-6-4-2-1-3-5-6;/h1-5H,7H2;1H;
特性とくせい
化学かがく式しき	C6H8ClN
モル質量しつりょう	129.59 g/mol
外観がいかん	hygroscopic white crystals
密度みつど	1.2215 g/cm3
融点ゆうてん	199 - 202℃
沸点ふってん	245℃
水みずへの溶解ようかい度ど	1070g/L
危険きけん性せい
NFPA 704	1 3 0
引火いんか点てん	193℃ o.c. /c.c.
許容きょよう曝露ばくろ限界げんかい	2 ppm
	特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・常つね圧あつ (100 kPa) におけるものである。

アニリン塩酸えんさん塩しお（アニリンえんさんえん、Anilinium chloride）は、芳香ほうこう族ぞくアンモニウム塩しおの一ひとつで、白色はくしょく板いた状じょうの結晶けっしょう。アニリンと塩酸えんさんとの反応はんのうで得えられる。

概要がいよう

アニリン塩酸えんさん塩しおは弱じゃく塩基えんきであるアニリンと塩酸えんさんの塩しおであり、先さきに述のべたようにアニリンと濃こ塩酸えんさんを反応はんのうさせると得えられる。

{\ce {C6H5NH2\ + HCl -> C6H5N^+ H3Cl^-}}

また、実験じっけん室しつ的てきなアニリン生成せいせい法ほうとしてニトロベンゼンをスズと塩酸えんさんによって還元かんげんする方法ほうほうがあるが、この際さいに、生しょうじたアニリンと過剰かじょうの塩酸えんさんとが反応はんのうして一時いちじ的てきに生成せいせいすることがある。

{\ce {2C6H5NO2\ + 3Sn\ + 14HCl -> 2C6H5N^+ H3Cl^- \ + 3SnCl4\ + 4H2O}}

生しょうじたアニリン塩酸えんさん塩しおにアニリンよりも強つよい塩基えんきを反応はんのうさせれば、アニリンを遊離ゆうりすることが可能かのうである。

{\ce {C6H5N^+ H3Cl^- \ + NaOH -> C6H5NH2\ + NaCl\ + H2O}}

アニリン塩酸えんさん塩しおは染料せんりょうの中なか間あいだ体たいとして利用りようされる。アニリン塩酸えんさん塩しおを繊維せんいに染しみ込こませ、繊維せんい上じょうで酸化さんかすると、アニリンブラックという不溶性ふようせいの黒色こくしょく染料せんりょうとなり、染色せんしょくできる。また、亜あ硝酸しょうさんを5度ど以下いかで反応はんのうさせ、塩化えんかベンゼンジアゾニウムを生成せいせいした上うえで、フェノール塩しおと混合こんごうするとジアゾカップリングが起おきて赤あか～黄色おうしょくの色いろが着つき、染色せんしょくできる。