出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アフォンソ5世(ポルトガル語: Afonso V、1432年1月15日 - 1481年8月28日[1])は、ポルトガル王(在位:1438年 - 1481年)。ドゥアルテ1世とアラゴン王フェルナンド1世の娘レオノールの子。アフリカ王(葡: Africano)と呼ばれる。
父王の急逝により、わずか6歳で即位した。王の遺言によりアフォンソの母后レオノールが摂政となったが、外国人ということで国民に支持されず、コルテス(議会)はドゥアルテ王の弟コインブラ公ペドロ王子を摂政に選んだ。
ペドロ王子は善政を行い、庶出の異母兄バルセロス伯アフォンソを初代ブラガンサ公にした(アフォンソはブラガンサ家の祖となった)。が、コインブラ公に代わり実権の掌握を狙うブラガンサ公は、幼いアフォンソ王に「摂政は王位を狙っている」と吹き込み、王はコインブラ公を敵視するようになった。
1443年、ドゥアルテ1世の弟フェルナンド聖王子[注釈 1]がフェズで獄死した。遺骸は城壁から逆さに吊り下げられた。従者たちは遺骸をもらい受けると、遺骨に塩をふりかけ、壷に入れて埋葬した。アフォンソ5世は捕虜にしたモロッコの貴族たちと交換に、叔父フェルナンド王子の遺骸を取り戻し、後にバターリャ修道院に埋葬した。
1446年、アフォンソ5世は14歳で親政を始めた。もう一人の叔父エンリケ航海王子の斡旋により、コインブラ公ペドロは政治顧問に退き、国政の実権はブラガンサ公アフォンソとその息子オウレン伯アフォンソへ移った。
1448年、コインブラ公の娘(アルフォンソの従妹)であるイザベルと結婚する。2人の間には2男1女が生まれた。しかし1449年、コインブラ公が領地のコインブラの通過をブラガンサ公に認めなかった措置を発端に、アフォンソ5世はアルファホベイラの戦い(英語版)でコインブラ公を敗死させた。
1458年、アフォンソ5世はアルカセル・セゲールを征服した。1471年にはアシラーを征服(アシラー征服(英語版))し、さらにタンジェも征服した(ポルトガル領タンジェ)。これにより、モロッコでセウタ他4都市を掌握するアフリカ・ポルトガル帝国を形成、ポルトガル・アルガルヴェ、アフリカ海内海外王を名乗った。
結婚とカスティーリャ介入[編集]
同年、カスティーリャ王エンリケ4世の死去により、エンリケの異母妹イサベル(後のイサベル1世)とエンリケの長女フアナ・ラ・ベルトラネーハ王女との間に、王位を巡って抗争が起こった。フアナは、妃に先立たれて独身だったアフォンソ5世と婚約し、その救援を求めた。43歳の叔父と14歳の姪との結婚でも、教皇の許可を取得すれば可能だった。
アフォンソ5世は、この結婚でカスティーリャ・ポルトガルの両国王になれると乗り気になり、王太子ジョアンも同意したので、2万の兵を率いてカスティーリャへ侵攻した。しかしカスティーリャ人と軍の大半は、出自の明らかでないフアナよりも、アラゴン王太子妃となったイサベルを支持していたため、1476年3月のトーロの戦い(英語版)で敗れた。膠着状態に陥った継承戦争のさなか、アフォンソ5世はフランスに赴いてルイ11世の援助を求めたが失敗した。教皇庁からの結婚の許可もついに出なかった。
1477年7月、アルカソヴァス条約(英語版)により戦争は終結した。条約の内容は次の通りであった。
- アフォンソ5世はフアナとの結婚を解消し、カスティーリャ王位請求権を放棄する。
- フアナはカスティーリャの王位継承者アストゥリアス公フアン(カトリック両王の長男)と将来結婚するか、あるいは修道院に入るか、半年以内に決める。
- ポルトガル王太子ジョアンの長男アフォンソとカスティーリャ王女イサベル(カトリック両王の長女)の婚約。
- フアナに味方して戦ったカスティーリャ人に恩赦を与える。
フアナは17歳でカスティーリャの王冠を放棄し、コインブラの聖クララ修道院へ入った。
王は、晩年の治世にジョアン王太子を摂政にし、実権から退いた。上記3のアフォンソ王子とイサベル王女の結婚は履行されたが、アフォンソが早世したためイサベルはアフォンソ5世の甥マヌエル1世(幸運王)と再婚した。
最初の王妃イザベル・デ・コインブラとの間に、2男1女がある。
- アラゴン王ペドロ4世の娘。
- カスティーリャ王アルフォンソ11世の庶子。
- ポルトガル王ペドロ1世の庶子。
- ^ クロー『メフメト2世 トルコの征服王』、335頁
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/64/Question_book-4.svg/50px-Question_book-4.svg.png) | 出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2022年12月) |
- 安部眞穏「波瀾万丈のポルトガル史」(1994年 泰流社)
|
---|
全般 | |
---|
国立図書館 | |
---|
学術データベース | |
---|
人物 | |
---|
その他 | |
---|