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アプレピタント
IUPAC命名 めいめい 法 ほう による物質 ぶっしつ 名 めい
5-([(2R ,3S )-2-((R )-1-[3,5-Bis(trifluoromethyl)phenyl]ethoxy)-3-(4-fluorophenyl)morpholino]methyl)-1H -1,2,4-triazol-3(2H )-one
臨床 りんしょう データ販売 はんばい 名 めい
Emend Drugs.com
monograph MedlinePlus
a604003 ライセンス
EMA :リンク 、US Daily Med :リンク 胎児 たいじ 危険 きけん 度 ど 分類 ぶんるい
法的 ほうてき 規制 きせい
投与 とうよ 経路 けいろ
By mouth (capsules ) 薬物 やくぶつ 動態 どうたい データ生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 利用 りよう 能 のう 60–65% 血漿 けっしょう タンパク結合 けつごう >95% 代謝 たいしゃ Liver (mostly CYP3A4 - mediated; some contributions by CYP2C19 & CYP1A2 )半減 はんげん 期 き 9–13 hours 排泄 はいせつ Urine (5%), faeces (86%) 識別 しきべつ CAS番号 ばんごう
170729-80-3 ATCコード
A04AD12 (WHO ) PubChem
CID: 6918365 IUPHAR/BPS
3490 DrugBank
DB00673 ChemSpider
5293568 UNII
1NF15YR6UY ChEBI
CHEBI:499361 ChEMBL
CHEMBL1471 化学 かがく 的 てき データ化学 かがく 式 しき C 23 H 21 F 7 N 4 O 3 分子 ぶんし 量 りょう 534.43 g·mol−1
FC(F)(F)c1cc(cc(c1)C(F)(F)F)[C@H](O[C@H]4OCCN(CC/2=N/C(=O)NN\2)[C@H]4c3ccc(F)cc3)C
InChI=1S/C23H21F7N4O3/c1-12(14-8-15(22(25,26)27)10-16(9-14)23(28,29)30)37-20-19(13-2-4-17(24)5-3-13)34(6-7-36-20)11-18-31-21(35)33-32-18/h2-5,8-10,12,19-20H,6-7,11H2,1H3,(H2,31,32,33,35)/t12-,19+,20-/m1/s1 Key:ATALOFNDEOCMKK-OITMNORJSA-N
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アプレピタント (Aprepitant)は、イメンド( Emend)などの商品 しょうひん 名 めい で販売 はんばい されている、化学 かがく 療法 りょうほう 誘発 ゆうはつ 性 せい の悪心 あくしん ・嘔吐 おうと (CINV)や術後 じゅつご の悪心 あくしん ・嘔吐 おうと (PONV)の予防 よぼう に用 もち いられる医薬品 いやくひん である[1] 。オンダンセトロン やデキサメタゾン と併用 へいよう することができる[1] 。投与 とうよ 法 ほう は経口 けいこう である[1] 。日本 にっぽん では術後 じゅつご 悪心 あくしん 嘔吐 おうと には保険 ほけん 承認 しょうにん されていない。
一般 いっぱん 的 てき な副作用 ふくさよう には、倦怠 けんたい 感 かん 、食欲 しょくよく 不振 ふしん 、下痢 げり 、腹痛 はらいた 、しゃっくり、かゆみ、肺炎 はいえん 、血圧 けつあつ の変化 へんか 、などがあげられる[1] 。その他 た の重度 じゅうど の副作用 ふくさよう には、アナフィラキシー があげられる[1] 。妊娠 にんしん 中 なか の人 ひと への投与 とうよ は有害 ゆうがい ではないようであるが、十分 じゅうぶん な研究 けんきゅう はされていない[2] 。アプレピタントは、ニューロキニン-1受容 じゅよう 体 たい 拮抗 きっこう 薬 やく に分類 ぶんるい される医薬品 いやくひん である[1] 。アプレピタントの作用 さよう 機 き 序 じょ はP物質 ぶっしつ がNK1 受容 じゅよう 体 たい に 結合 けつごう するのを阻害 そがい することによるものである[3] 。
アプレピタントは、2003年 ねん にヨーロッパと米国 べいこく で医薬品 いやくひん として承認 しょうにん された[1] [3] 。メルク・アンド・カンパニー によって製造 せいぞう されている[1] 。世界 せかい 保健 ほけん 機関 きかん の必須 ひっす 医薬品 いやくひん リスト に収載 しゅうさい されている[4] 。投与 とうよ 形態 けいたい が静脈 じょうみゃく 注射 ちゅうしゃ による、ホスアプレピタント も存在 そんざい する[1] 。
抗 こう 悪性 あくせい 腫瘍 しゅよう 剤 ざい (シスプラチンなど)投与 とうよ に伴 ともな う消化 しょうか 器 き 症状 しょうじょう (悪心 あくしん 、嘔吐 おうと )(遅 おそ 発 はつ 期 き を含 ふく む)[5]
重大 じゅうだい な副作用 ふくさよう は、皮膚 ひふ 粘膜 ねんまく 眼 め 症候群 しょうこうぐん 、穿孔 せんこう 性 せい 十二指腸 じゅうにしちょう 潰瘍 かいよう 、ショック、アナフィラキシー が知 し られている[5] 。
アプレピタントはNK1 受容 じゅよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) からの信号 しんごう を遮断 しゃだん するため、NK1 拮抗 きっこう 薬 やく に分類 ぶんるい される。そのため、患者 かんじゃ の嘔吐 おうと の可能 かのう 性 せい を減少 げんしょう させることができる。
NK1 は、中枢 ちゅうすう および末梢 まっしょう 神経 しんけい 系 けい に存在 そんざい するGタンパク質 たんぱくしつ 共役 きょうやく 型 がた 受容 じゅよう 体 たい である。この受容 じゅよう 体 たい には、P物質 ぶっしつ (SP)と呼 よ ばれる主要 しゅよう なリガンド が存在 そんざい する。P物質 ぶっしつ は11個 いっこ のアミノ酸 あみのさん からなる神経 しんけい ペプチドで、脳 のう からの刺激 しげき や情報 じょうほう を伝達 でんたつ する。脳 のう の嘔吐 おうと 中枢 ちゅうすう に高 こう 濃度 のうど に存在 そんざい し、活性 かっせい 化 か されると嘔吐 おうと 反射 はんしゃ が惹起 じゃっき される。この他 ほか 、末梢 まっしょう の受容 じゅよう 体 たい から中枢 ちゅうすう への痛覚 つうかく 刺激 しげき の伝達 でんたつ にも重要 じゅうよう な役割 やくわり を果 は たしている。
アプレピタントは、脳 のう の神経 しんけい 細胞 さいぼう の受容 じゅよう 体 たい に結合 けつごう するP物質 ぶっしつ を遮断 しゃだん することにより、細胞 さいぼう 毒性 どくせい のある化学 かがく 療法 りょうほう 剤 ざい によって引 ひ き起 お こされる急性 きゅうせい および遅 おそ 発 はつ 性 せい の嘔吐 おうと を抑制 よくせい することが示 しめ されている。また、アプレピタントが血液 けつえき 脳 のう 関門 かんもん を通過 つうか し、ヒト脳 のう 内 ない のNK1受容 じゅよう 体 たい に結合 けつごう することが、陽電子 ようでんし 放出 ほうしゅつ 断層 だんそう 撮影 さつえい (PET)を用 もち いた研究 けんきゅう で明 あき らかにされている[6] 。さらに、化学 かがく 療法 りょうほう による悪心 あくしん ・嘔吐 おうと の予防 よぼう にも用 もち いられる5-HT3 受容 じゅよう 体 たい 拮抗 きっこう 薬 やく オンダンセトロン や副腎 ふくじん 皮質 ひしつ ホルモン であるデキサメタゾン の活性 かっせい を高 たか めることも明 あき らかにされている[7] 。
アプレピタントは、カプセルの形 かたち で経口 けいこう 投与 とうよ される。新 あたら しいクラスの治療 ちりょう 薬 やく は、臨床 りんしょう 試験 しけん を行 おこな う前 まえ に、前 ぜん 臨床 りんしょう での代謝 たいしゃ と排泄 はいせつ の研究 けんきゅう という観点 かんてん から特性 とくせい を明 あき らかにする必要 ひつよう がある。平均 へいきん 的 てき なバイオアベイラビリティ は約 やく 60~65%であることが判 わか っている。アプレピタントは主 おも にCYP3A4 で代謝 たいしゃ され、CYP1A2 とCYP2C19 では僅 わず かに代謝 たいしゃ される。ヒトの血漿 けっしょう 中 ちゅう には、弱 よわ い活性 かっせい しか持 も たないアプレピタントの7つの代謝 たいしゃ 物 ぶつ が確認 かくにん されている。アプレピタントはCYP3A4の中等 ちゅうとう 度 ど の阻害 そがい 剤 ざい であるため、CYP3A4で代謝 たいしゃ される併用 へいよう 薬 やく の血漿 けっしょう 中 ちゅう 濃度 のうど を上昇 じょうしょう させる可能 かのう 性 せい がある。特 とく にオキシコドン との相互 そうご 作用 さよう が示 しめ されており、アプレピタントはオキシコドンの有効 ゆうこう 性 せい を高 たか め、副作用 ふくさよう を悪化 あっか させたが、これがCPY3A4阻害 そがい によるものか、NK1 アンタゴニスト作用 さよう によるものかは不明 ふめい である[8] 。14 C標識 ひょうしき したアプレピタントのプロドラッグ (L-758298)を静脈 じょうみゃく 内 ない 投与 とうよ したところ、迅速 じんそく かつ完全 かんぜん にアプレピタントに変換 へんかん され、全 ぜん 放射能 ほうしゃのう の約 やく 57%が尿 にょう 中 ちゅう に、約 やく 45%が糞 くそ 中 ちゅう に排泄 はいせつ された。未 み 変化 へんか 体 たい は尿 にょう 中 ちゅう に排泄 はいせつ されない[9] 。
アプレピタントは、モルホリン を核 かく として、隣接 りんせつ する環 たまき の炭素 たんそ に2つの置換 ちかん 基 もと が結合 けつごう している。これらの置換 ちかん 基 もと は、トリフルオロメチル化 か された1-フェニルエタノールとフルオロフェニル基 もと である。またアプレピタントは、モルホリン環 たまき の窒素 ちっそ に結合 けつごう した3つ目 め の置換 ちかん 基 もと (トリアゾリノン )を持 も つ。また、3つのキラル中心 ちゅうしん が非常 ひじょう に近 ちか くにあり、それらが結合 けつごう してアミノアセタール配列 はいれつ を形成 けいせい している。
アプレピタントの水 みず への溶解 ようかい 性 せい は非常 ひじょう に低 ひく い。しかし、油 あぶら のような非 ひ 極性 きょくせい 分子 ぶんし にはかなり高 たか い溶解 ようかい 性 せい を示 しめ す。このことから、アプレピタントは極性 きょくせい のある置換 ちかん 基 もと を含 ふく んでいるにも拘 かかわ らず、全体 ぜんたい としては非 ひ 極性 きょくせい 物質 ぶっしつ であると考 かんが えられる。
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^ a b “Emend ” (英語 えいご ). European Medicines Agency (2018年 ねん 9月 がつ 17日 にち ). 2019年 ねん 10月 がつ 13日 にち 閲覧 えつらん 。
^ World Health Organization model list of essential medicines: 21st list 2019 . Geneva: World Health Organization. (2019). hdl :10665/325771 . WHO/MVP/EMP/IAU/2019.06. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO
^ a b “イメンドカプセル125mg/イメンドカプセル80mg/イメンドカプセルセット 添付 てんぷ 文書 ぶんしょ ”. www.info.pmda.go.jp . PMDA. 2021年 ねん 5月 がつ 16日 にち 閲覧 えつらん 。
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^ FDA Advisory Committee Background Package