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プロドラッグ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

プロドラッグえい: Prodrug)とは、投与とうよされると生体せいたいによる代謝たいしゃ作用さようけて活性かっせい代謝たいしゃぶつへと変化へんかし、薬効やっこうしめ医薬品いやくひんである[1]

目的もくてき[編集へんしゅう]

  1. 作用さよう持続じぞく
  2. あぶら溶性ようせい増大ぞうだい
  3. 副作用ふくさよう毒性どくせい軽減けいげん
  4. 安定あんてい
  5. あじ・においの改善かいぜん
  6. 経口けいこう投与とうよにおけるバイオアベイラビリティとく消化しょうかかんからの吸収きゅうしゅうやすさ)の改善かいぜん

1、2、4、6は、吸収きゅうしゅう分布ぶんぷ代謝たいしゃ排泄はいせつかんする物性ぶっせい、いわゆるADME最適さいてきにより達成たっせいされることがおおい。3.のれいは、おおくのがんたいする化学かがく療法りょうほうくすりにおいてられ、プロドラッグ戦略せんりゃくにより意図いとした標的ひょうてきへの薬物やくぶつ選択せんたくせい向上こうじょうさせる(ターゲティング)。

てい酸素さんそ状態じょうたいがん細胞さいぼう標的ひょうてきにする医薬品いやくひんは、還元かんげん活性かっせいおこなう。すなわち、てい酸素さんそ状態じょうたい細胞さいぼうない存在そんざいする多量たりょう還元かんげん酵素こうそ利用りようし、プロドラッグを細胞さいぼう毒性どくせいかたへと変換へんかんする。活性かっせいまえ形態けいたいがよりひく細胞さいぼう毒性どくせいしめすならば、健康けんこう正常せいじょう細胞さいぼうきずつける可能かのうせいいちじるしく軽減けいげんさせ、結果けっかとして副作用ふくさようかるくすることができる。

医薬品いやくひん設計せっけいにおける位置いちづけ[編集へんしゅう]

合理ごうりてき医薬品いやくひん設計せっけいにおいては、新規しんき化学かがく物質ぶっしつ構造こうぞう操作そうさしながらバイオアベイラビリティを改善かいぜんしてゆくが、そのためには、体内たいないでのおも代謝たいしゃ経路けいろや、吸収きゅうしゅう改善かいぜんための化学かがくてき特性とくせいることが重要じゅうようである。しかし、意図いとせずプロドラッグがもちいられることもある。とく偶然ぐうぜん発見はっけんにより開発かいはつされた医薬品いやくひん場合ばあいは、当初とうしょ活性かっせいしめすとおもわれていた化合かごうぶつが、詳細しょうさい代謝たいしゃ研究けんきゅうのちにプロドラッグであったと判明はんめいすることがある。

化学かがく構造こうぞう変換へんかん[編集へんしゅう]

薬物やくぶつのプロドラッグへの変換へんかんには様々さまざま置換ちかんもとによる化学かがく修飾しゅうしょくされるが、カルボキシもとヒドロキシもと化合かごうぶつエステルし、あぶら溶性ようせいたかめて吸収きゅうしゅうせい改善かいぜんするなどのれいもっとおおい。エステル結合けつごう肝臓かんぞうなどに存在そんざいするエステラーゼの作用さようによって容易ようい切断せつだんされ、活性かっせい本体ほんたいとなる。

モルヒネの2つのヒドロキシもとアセチルし、大脳だいのうへの移行いこうせいたかめたヘロインが、典型てんけいれいとしてげられる。

プロドラッグは、あくまで薬物やくぶつ化学かがく構造こうぞう変換へんかんによるものであって、投与とうよ方法ほうほう変更へんこう(たとえば、錠剤じょうざいから注射ちゅうしゃざいへ)はふくまれない。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

プロドラッグは、どこで最終さいしゅうてき活性かっせい薬物やくぶつ形態けいたい変換へんかんされるかにもとづいて、2つのタイプに分類ぶんるいできる。タイプ1は細胞さいぼうない変換へんかんおこなわれるもの(れい抗菌こうきんせいヌクレオシドるいこうコレステロールしょうざいスタチンるい化学かがく療法りょうほうもちいる抗体こうたい依存いぞんがた遺伝子いでんし依存いぞんがた酵素こうそプロドラッグ[ADEP/GDEP])、タイプ2は細胞さいぼうがいとく消化しょうかぶつちゅう、もしくはからだ循環じゅんかんちゅう変換へんかんされるもの(れいエトポシドバルガンシクロビルホスアンプレナビル英語えいごばん)である。それぞれのタイプはさらにサブタイプA、Bにけられる。タイプ1Aと1Bは、活性かっせい形態けいたいへの変換へんかんおこなわれる場所ばしょ薬物やくぶつ作用さよう場所ばしょであるかどうかによりめられる。タイプ2Aと2Bは変換へんかんが、消化しょうかぶつちゅうからだ循環じゅんかんちゅうかにより分類ぶんるいされる [2]

タイプ 変換へんかん サブタイプ 変換へんかんおこなわれる組織そしき れい
タイプ1 細胞さいぼうない タイプ1A 治療ちりょう目的もくてき組織そしき細胞さいぼう ジドブジンフルオロウラシル
タイプ1 細胞さいぼうない タイプ1B 代謝たいしゃ組織そしき肝臓かんぞうはいなど) カプトプリルシクロフォスファミド
タイプ2 細胞さいぼうがい タイプ2A 消化しょうかぶつ スルファサラジン(サラゾスルガピリジン)、酸化さんかロペラミド英語えいごばん
タイプ2 細胞さいぼうがい タイプ2B からだ循環じゅんかん フォスフェニトイン英語えいごばんバンブテロール英語えいごばん

治療ちりょう標的ひょうてき変換へんかんおな場合ばあいれい:HMG-CoA還元かんげん酵素こうそ阻害そがいざい)、1つのプロドラッグがタイプ1Aとタイプ1Bの両方りょうほうぞくすることもありうる。

プロドラッグのれい[編集へんしゅう]

プロドラッグ活性かっせい代謝たいしゃぶつじゅん記述きじゅつ

出典しゅってん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 金子かねこ久美子くみこ水島みずしまひろし、「プロドラッグ炎症えんしょう 1981ねん 1かん 2ごう p.316, doi:10.2492/jsir1981.1.2_316
  2. ^ Kuei-Meng Wu; James G. Farrelly. “Regulatory perspectives of Type II prodrug development and time-dependent toxicity management: Nonclinical Pharm/Tox analysis and the role of comparative toxicology”. Toxicology 236 (1-2): 1-6. doi:10.1016/j.tox.2007.04.005. 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]