低てい酸素さんそ症しょう

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曖昧さ回避 この項目こうもくでは、生体せいたい組織そしき中ちゅうの酸素さんそ欠乏けつぼう一般いっぱんを意味いみする医学いがく用語ようごについて説明せつめいしています。血液けつえき中ちゅうの酸素さんそ濃度のうど低下ていかを意味いみする医学いがく用語ようごについては「低てい酸素さんそ血ち症しょう」を、労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいの用語ようごについては「酸素さんそ欠乏症けつぼうしょう」を、その他たの用法ようほうについては「酸さん欠かけ」をご覧らんください。
Hypoxia
別称べっしょう Hypoxiation, lack of oxygen, low blood oxygen , oxygen starvation
酸素さんそ飽和ほうわ度どの低ひくい高齢こうれい者しゃに見みられた、手てのチアノーセ
概要がいよう
診療しんりょう科か 呼吸こきゅう器き学がく, 毒物どくぶつ学がく
症状しょうじょう 四肢ししのチアノーゼ、しびれ、針はりに刺さされた感覚かんかく
危険きけん因子いんし 糖尿とうにょう病びょう、冠動脈かんどうみゃく疾患しっかん、心臓しんぞう発作ほっさ、脳卒中のうそっちゅう、塞ふさが栓せん症しょう、血栓けっせん症しょう、深部しんぶ静脈じょうみゃく血栓けっせん症しょう、喫煙きつえん
合併症がっぺいしょう 壊疽えそ, 壊死えし
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう

低てい酸素さんそ症しょう（ていさんそしょう、Hypoxia）とは、生存せいぞんに酸素さんそが必要ひつような生物せいぶつにおいて、何なんらかの原因げんいんで生体せいたいの組織そしきに充分じゅうぶんな酸素さんそが行いき渡わたたらず、酸素さんそを利用りようしたエネルギー産さん生せいが不充分ふじゅうぶんな状態じょうたいのことである。

なお、呼吸こきゅう機能きのうの障害しょうがいがもたらす低てい酸素さんそ血ち症しょう（hypoxemia）については、血液けつえきガス分析ぶんせきの項目こうもくを参照さんしょうのこと。

原因げんいん[編集へんしゅう]

何なんらかの原因げんいんで周囲しゅういの酸素さんそ濃度のうどが低下ていかした場合ばあい、肺はい胞換気かんき不全ふぜんなどによる外そと呼吸こきゅうの障害しょうがい、一酸化いっさんか炭素たんそ中毒ちゅうどくなどによる血液けつえきの酸素さんそ運搬うんぱん量りょうの減少げんしょう、血液けつえき循環じゅんかん不全ふぜんによる酸素さんそ運搬うんぱん量りょうの減少げんしょう、シアン化合かごう物ぶつ中毒ちゅうどくなどによって組織そしき中ちゅうのミトコンドリア自体じたいが酸素さんそを利用りようできない場合ばあいなど、様々さまざまな原因げんいんが挙あげられる。

徴候ちょうこうと症状しょうじょう[編集へんしゅう]

  • チアノーゼ[1]
  • 頭痛ずつう[1][2][3]
  • 反応はんのう速度そくどの低下ていか[4]、方向ほうこう感覚かんかくの喪失そうしつ、協調きょうちょう障害しょうがい[1]
  • 判断はんだん力りょくの低下ていか、混乱こんらん、記憶きおく喪失そうしつ、認知にんち障害しょうがい[1][1]
  • 多幸たこう感かんまたは解離かいり[1]
  • 視覚しかく障害しょうがい[2]
  • 立たちくらみ、めまい[1]
  • 疲労ひろう、眠気ねむけ、倦怠けんたい感かん[1]
  • 息切いきぎれ[1]
  • 吐はき気けと嘔吐おうと[1]
  • 最初さいしょは血圧けつあつが上昇じょうしょうし、病状びょうじょうが進行しんこうするにつれて血圧けつあつが低下ていかする[1]
  • 重度じゅうどの低てい酸素さんそ症しょうは、意識いしきの喪失そうしつ、発作ほっさ、痙攣けいれん、昏睡こんすい、そして最終さいしゅう的てきに死しに至いたりえる。呼吸こきゅう数すうが遅おそく浅あさくなり、瞳孔どうこうの対たい光ひかり反射はんしゃを失うしなうことがある[1]
  • 手足てあしの指ゆびのうずき[2]
  • しびれ[2]

軽度けいどの低てい酸素さんそ症しょうならば、呼吸こきゅう数すう増加ぞうかや心拍しんぱく出で量りょうと心拍しんぱく数すうを増加ぞうかすることによって代償だいしょうし、すぐに回復かいふくする。しかし、代償だいしょう不能ふのうで、脳のうにまで低てい酸素さんそ状態じょうたいが生しょうじた場合ばあい、呼吸こきゅう機能きのうが減退げんたい、神経しんけいの働はたらきが鈍にぶくなるなどの症状しょうじょうが現あらわれる。

また、長期間ちょうきかんに亘わたって慢性まんせい的てきに低てい酸素さんその状態じょうたいに置おかれると、血液けつえき中ちゅうの赤血球せっけっきゅうを増加ぞうかさせて、低てい酸素さんそ状態じょうたいに適応てきおうしようとする。

重症じゅうしょうの場合ばあい、様々さまざまな障害しょうがいが発生はっせいし、最悪さいあくの場合ばあいには死亡しぼうする。

幸しあわせな低てい酸素さんそ症しょう[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「en:Silent hypoxia」を参照さんしょう

幸しあわせな低てい酸素さんそ症しょう (ハッピー・ハイポキシア、happy hypoxia）、もしくは静しずかな低てい酸素さんそ症しょう ( Silent hypoxia ）と呼よばれる呼吸こきゅう困難こんなん（息苦いきぐるしさ）を感かんじない無む症候しょうこう性せいの低てい酸素さんそ症しょう状態じょうたいである。急激きゅうげきに低てい酸素さんそ血ち症しょうが進行しんこうするCOVID-19肺炎はいえんでこの症状しょうじょうを呈ていすることがあり、一般いっぱんに報道ほうどうされたこともある[5]。

息苦いきぐるしさを感かんじるには、血ち中ちゅう二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうど( PaCO2 )が高たかくなり視床ししょう下部かぶにある呼吸こきゅう中枢ちゅうすうを「息苦いきぐるしさ」として刺激しげきされる必要ひつようがある。息苦いきぐるしくなると、呼吸こきゅう回数かいすうを増ふやしたりして呼吸こきゅう調節ちょうせつが行おこなわれる。そのため、酸素さんそが減へっていても血ち中ちゅう二酸化炭素にさんかたんそが増ふえない場合ばあいは息苦いきぐるしさを感かんじない状態じょうたいとなる[注釈ちゅうしゃく 1]。

新型しんがたコロナ患者かんじゃで同どう症状しょうじょうをしめした半数はんすう以上いじょうでも、血ち中ちゅうの二酸化炭素にさんかたんそが低ひくい状態じょうたいが確認かくにんされている。ほか、味覚みかくが鈍なまる症状しょうじょうのように「息苦いきぐるしさ」を感かんじる感覚かんかくに作用さようしている可能かのう性せいが指摘してきされている[6]。

上うえの図ずは何なにもせず、一度いちど水中すいちゅうに潜もぐり、水面すいめんに戻もどるまでの血ち中ちゅうの酸素さんそ（O2）と二酸化炭素にさんかたんそ（CO2） 濃度のうどを示しめしたものである。
二酸化炭素にさんかたんそが先さきに上昇じょうしょうして呼吸こきゅうが必要ひつようと感かんじるトリガーを引ひき、酸素さんそがブラックアウトゾーンに達たっする前まえに水面すいめんに戻もどってきていることがわかる。
上うえの図ずは、血ち中ちゅう二酸化炭素にさんかたんそを低下ていかさせ長ながく水中すいちゅうに潜もぐっていられる呼吸こきゅう法ほうハイパーベンチレーションを行おこない水上すいじょうに戻もどる前まえに失神しっしんした場合ばあいの血ち中ちゅう酸素さんそ（O2） と 血ち中ちゅう二酸化炭素にさんかたんそ（CO2） 濃度のうどを示しめしたものである。
二酸化炭素にさんかたんそが息苦いきぐるしさを感かんじさせるトリガーポイントまで余裕よゆうがある状態じょうたいで、酸素さんそ濃度のうどが失神しっしん（ブラックアウト）ゾーンに達たっしていることがわかる。

治療ちりょう[編集へんしゅう]

酸素さんその供給きょうきゅう、不整脈ふせいみゃくの治療ちりょう、電解でんかい質しつの矯正きょうせいなどがある。


脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 補足ほそく：肺はい胞に炎症えんしょうがあるような肺炎はいえんでは、酸素さんそのガス交換こうかんが阻害そがいされるが、二酸化炭素にさんかたんそのガス交換こうかんは影響えいきょうが小ちいさい。気管きかんが腫はれたり・マスクをして換気かんきができなくなり二酸化炭素にさんかたんそが肺はいに溜たまると血ち中ちゅうの二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうどが上あがり「息苦いきぐるしさ」を感かんじる。[要よう出典しゅってん]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l Mandal, Ananya (2010年ねん2月がつ17日にち). “Hypoxia Symptoms”. www.news-medical.net. 2022年ねん11月27日にち閲覧えつらん。
  2. ^ a b c d “17: Aeromedical Factors”. Pilot's Handbook of Aeronautical Knowledge: FAA Manual H-8083-25. Washington, DC: Flight Standards Service. Federal Aviation Administration, U.S. Dept. of Transportation. (2001). ISBN 1-56027-540-5. https://www.faa.gov/regulations_policies/handbooks_manuals/aviation/phak 
  3. ^ Prasad, Shweta; Pal, Pramod Kumar; Chen, Robert (2021). “1 - Breathing and the Nervous System”. In Aminoff, Michael J.; Josephson, S. Andrew. Aminoff's Neurology and General Medicine (Sixth ed.). Academic Press. pp. 3–19. doi:10.1016/B978-0-12-819306-8.00001-0. ISBN 9780128193068. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/B9780128193068000010 
  4. ^ “A Quick Look at Reflexes - Health Encyclopedia - University of Rochester Medical Center”. 2022年ねん12月閲覧えつらん。
  5. ^ 日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい. “【新型しんがたコロナウイルス 格闘かくとうの証言しょうげん】急変きゅうへんする新型しんがたコロナ肺炎はいえん 体内たいないでは何なにが起おきているのか（自じ撮とり）”. www.nhk.or.jp. 2023年ねん8月がつ14日にち閲覧えつらん。
  6. ^ COVID-19: How do we explain 'happy' hypoxia? medicalnewstoday

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

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